インタビュー
「大航海時代 Online」PS3版発売後初となる大規模アップデート「Extra Chapter」の内容は? 開発/運営インタビューを掲載
また,この間には,4月28日にPLAYSTATION 3版(以下,PS3版)が発売されるなどの,実に大きな動きもあったのだが,「大航海時代 Online」にとってその影響はどの程度のものだったのだろうか。ほかにも,7月に導入される最新アップデート「Extra Chapter」のこと,それに続くアップデートのこと,そろそろ聞こえてきそうな次期拡張パックのことなど,聞いてみたいことが山ほどある。
というわけで,さっそく本作の運営プロデューサー渥美貴史氏と,開発プロデューサー竹田智一氏にインタビューしてみたので,いろいろと気になっていたという人は,その内容を確認してみよう。
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PS3版の発売以降,同時接続数が1.4倍に
増えたのはPS3版プレイヤーだけではない?
本日はよろしくお願いします。まず,前回の大規模アップデート「Cruz del Sur」Chapter5についてお聞きします。Chapter5はプレイヤーに自由と変化を与えるという,バランス的にも難しそうなアップデートだと感じましたが,実際に導入されて以降,プレイヤーの反応はどうでしたか?
渥美貴史氏(以下,渥美氏):
そうですね,Chapter5「オスマンの脅威」のコンセプトは,プレイヤーのみなさんに自由と変化を楽しんでいただくというものでした。その一つとして,プレイヤーの国籍にオスマントルコを,上級者向けの国家という形で追加しましたが,オスマントルコという国家の特殊性などから,このコンセプトは受け入れていただけたと思っています。
4Gamer:
六つの国家に対してすべて敵対してしまいますし,街に入るのも大変みたいですからね。それでも,オスマンはかなり以前から注目度の高かった国家でしたから,喜んでオスマンに飛び込んだプレイヤーもいたのではないでしょうか。
渥美氏:
ええ,そういったプレイヤーもいらっしゃると思います。それにオスマン国籍以外のプレイヤーからも,少数精鋭のオスマントルコ国籍のプレイヤーを見かけたときに「ついにきたか!」と,楽しんでいただけたと思います。
次にもう1点,Chapter5のコンセプト“自由”において,システム的に大きかったのは,一つの海域がプレイヤーの行動によって無法海域になったり,安全海域になったりといった,海域の変動システムです。プレイヤーの行動が,ゲーム世界により反映されやすくなったのですが,これは賛否両論があったと思います。海域の変化によって,より楽しくなったというプレイヤーもいる一方,逆にプレイが拘束されたというご意見もありました。例えば,行きたかった場所が,無法海域になって予定を取りやめたといったようなことが起こったのではないかと思います。
4Gamer:
たしかに,無法海域はできるだけ近づきたくないですね。逆に安全海域であればいまのうちに行っておこうという気になります。
おっしゃるとおり,安全海域化は一般的にはポジティブな要素ですから,そこに行ってみようかというモチベーションになります。その一方で,無法海域は非常に怖いところですが,海賊プレイを楽しみにしている方にとっては,無法海域では上納品が使えないというところがモチベーションとして大きな部分になっています。
当然,海賊プレイをされないプレイヤーにとっても,無法海域をゲーム内の刺激として受け取る方もいらっしゃれば,制限として受け取る方もいるでしょう。
4Gamer:
海賊プレイやその討伐を楽しみたい人には刺激になりそうですが……そうでなければ,ただ危険な場所ですよね。
渥美氏:
そうですね。なので,中長期的な課題にはなりますが,無法海域については,行くメリットのようなものを検討しています。
4Gamer:
それは,海賊プレイ以外でのメリットということですね?
竹田氏:
はい。海賊プレイをしていても,そこに誰も来ないのでは無法海域の意味がありません。
これについては単純に,安全海域(初期の海域)と危険海域(外洋など)とでは,危険海域を冒険したほうがおいしい成果があるべきというのは当然ですよね。そういう方向で検討しています。
渥美氏:
こういったメリットに関しては今後,無法海域にうまく追加していこうと思っています。
4Gamer:
大きなメリットを得るためには,より冒険(危険)を……といった感じですね。具体的にどのようなメリットがあるのか気になるところです。続報を楽しみにしています。
渥美氏:
このほかにもChapter5では,アパルタメントで家具の配置を変更できたり,一部専門職によるランク16までの育成で,装備アイテムの選択の幅が広がったりといったところもお楽しみいただけているのではないでしょうか。もちろん,自由と変化ということで,Chapter5の内容についてはどれも賛否両論はありました。
4Gamer:
プレイヤーの手に委ねられるということは,何を選択するかによってプレイヤーにとって都合のいい物,わるい物は当然出てきますよね。
渥美氏:
そうなります。しかし,こういった賛否両論を多くいただいたのは,Chapter5の実装とPS3版の発売で,新規のプレイヤーと「大航海時代 Online」に戻ってきたプレイヤーによって,サーバーが全体的に活性化し,いろいろな立場の方が新しい仕様に触れたからではないかと考えています。
4Gamer:
なるほど。ところで,Chapter5の導入後,4月28日にPS3版が発売されました。これによって,どれくらいプレイヤーが増加したのでしょうか。
渥美氏:
まず全般的な接続数については,おかげさまで我々の想定を上回る増加となっています。具体的には,接続数ベースで約1.4倍になります。
4Gamer:
アカウント数ではなく,ですか。MMORPGで接続数1.4倍というと,かなり大きなものになりますね。
はい。この接続数1.4倍もそうですが,PS3版を発売してから少しびっくりしたことがあります。それは,PC版のプレイヤーも同様に増えていることです。このPC版プレイヤー増加には二つの意味があり,先ほどお話したように,一つはサーバーが活性化したことで戻ってきたプレイヤーが増えている……こちらは分かりやすいのですが,もう一つは新規プレイヤーが増えているのです。
4Gamer:
Chapter5による帰参者や,PS3版からの新規プレイヤーだけの増加というわけではないのですね。これは,どのようなことが影響したのでしょうか?
渥美氏:
おそらくPS3版発売によって「大航海時代 Online」の露出が増えたことで本作を知り,試しにPC版で(体験版を)遊んでみたという方が多かったのではないかと思います。それに加えて,体験版のプレイで終わるのではなく,そこから製品版にアップグレードする方も増えています。
4Gamer:
なるほど,PS3版の発売情報が出始めて,試しにPC版でプレイしてみた人というのが意外と多かったわけですね。ところでPS3版については,発売後すぐにPS3版のパッケージが売り切れて,なかなか手に入らないという状態になっていましたね。
渥美氏:
はい。それにつきましては,当初手に入りづらい状況が続きまして,お店に来ていただいた方には申し訳なかったです。
4Gamer:
MMORPGは特殊なタイトルだと思うので,仕入れる側も発注の計算が難しかったのでしょうか。結局,予想以上に世間の期待が大きかったということですね。
竹田氏:
そうですね,PS3でのMMORPGのパッケージ販売タイトルとしても初だったので,まさしくそうだと思います。
渥美氏:
ですがその後は,おかげさまでPS3版の好調な出荷が続いています。
アップデートのテーマは「Expedition」
Extra Chapterではメインストリームとは違った要素を導入する
では,7月に実装される予定の「Extra Chapter」について教えてください。
渥美氏:
まず「Cruz del Sur」は,世界一周というテーマで始まり,Chapter4で「インカ」,Chapter5で「オスマン」が導入されて,当初描いていた設計図が実現できました。ただ,ここで「Cruz del Sur」が終わりかというと,我々にはまだやり残した感があったので,それらを提供したいというのが「Extra Chapter」のコンセプトです。
4Gamer:
なるほど,2008年12月26日のChapter5インタビューでCruz del Surの番外編にあたるアップデートだというお話をされていましたね。
渥美氏:
そうです。そして,そのExtra Chapterの名称は「Expedition」,つまり探検や遠征,学術的な旅行,探求の旅といったものになります。
4Gamer:
探求の旅というと,なにやら冒険がメインになるのかな? と思わせる名称ですね。
竹田氏:
ええ,そういうニュアンスもあります。
4Gamer:
具体的にはどのようなものになるのでしょうか?
渥美氏:
新たな文化圏が追加されたり,もしくはレベルキャップの開放でより成長できたりといった,メインストリームの仕様追加ではなく,今までなかなか入れられなかった周辺的な遊びが楽しめるゲームシステムや,さらなる探究心を感じてもらえる冒険の舞台を追加します。まずは,アップデートのポイントの1点目ですが,太平洋地域で新たな冒険の舞台を追加します。
4Gamer:
太平洋というと,現在実装されている南太平洋ですね?
そうです。「Cruz del Sur」では,世界一周できる航路が開きましたが,茫漠としている太平洋地域にもう少し舞台があってもいいのではと考えました。そこで,太平洋上にいくつかの島を入れます。それらの島は,街扱いだったり,陸地扱いだったり,その奥地の遺跡だったりします。
4Gamer:
南太平洋の島といえば,うーん,どこでしょうね。
竹田氏:
南半球にある島々のなかには,日本人によく知られているところもあれば,聞いたことないというところもあると思います。そういった,「Expedition」という名前に添う島々を加えようかなと思います。
渥美氏:
そのうちの一つは,「○○の島」として有名な――と言ってしまえば「ああ,あの島かー」と分かる島だと思います(笑)。
4Gamer:
なんとなく,あのあたりの島かなという予想はできてきましたが(笑)。詳細は発表を待ちましょう。
渥美氏:
これらの島が入ることによって途中に立ち寄れる場所ができるので,太平洋の航行は楽になるでしょう。
4Gamer:
太平洋の途中に街があると助かります。太平洋周辺は,ほかの海域に比べて街や陸地が少なくて,以前に比べて船速が上がったとはいえ,オセアニア/南米間はひたすら海で大変でした。
竹田氏:
そうですね。交易圏を広げるというわけではないのですが,やはり寂しい場所だったので,この機会にもう少し舞台を広げたかったのです。
渥美氏:
もちろんこれに加えて,そこで出てくる冒険系の発見物やそれに付随するクエストが追加されます。
次にポイントの2点目となるのが,新しい職業とそれに伴う要素の追加です。職業の追加に関しても,先ほどのメインストリームとは違ったものを入れたいという話のとおり,いつもと異なるテイストになります。
竹田氏:
どちらかといえば,職業としては,わき道的なものになります。これがメインになるという職業ではないです。
4Gamer:
メインにはならない職業ですか。どのような職業が追加されるのでしょうか?
渥美氏:
具体的には,冒険教官,商業教官,海事教官,そしてフィロゾフの四つになります。フィロゾフ(Philosophe)は,賢人や哲学者という意味で,ここでは「錬金術師」を指します。
竹田氏:
これまでは,錬金術の職業として「錬金術師見習」がありましたが,いよいよ本格的な錬金術師としてフィロゾフが追加されます。また,錬金術師にまつわる新しい称号も追加します。
次に三つの教官ですが,これは,最近新しいプレイヤーが増えてきたので,そういった初心者の方々に,いろいろ遊び方や知識を教えているというプレイヤーも多いと思います。そういったプレイヤーにロールプレイのような雰囲気を味わっていただきたいということで加えた職業です。
4Gamer:
ロールプレイとしての職業というわけですか。教官といっても,ほかのプレイヤーに持っているスキルを教えられるというわけではないですよね?
竹田氏:
そうですね,実際にスキルを教えられるというわけではありません(笑)。
4Gamer:
教官といわれるくらいですから,それぞれの職業レベルがそれなりに必要だったりはしますか?
竹田氏:
ある程度は必要になりますが,最高レベルでないと駄目というわけではないです。先ほどからお話ししているように,職業的にはわき道ですから(笑)。ただ,いままでにない専門スキルもあり,それらのスキルはもちろん上限が16になります。
4Gamer:
たしかに錬金術師にしても,新しく追加されたというよりは,錬金術師見習の強化版みたいな感じですよね。
渥美氏:
はい,そのような感じだと思ってください。あといくつかのスキルについては,強化を予定しています。
4Gamer:
スキルの強化というと,スキルランクとは別ですよね?
渥美氏:
ええ,繰り返しになりますがExtra Chapterは,これまで優先順位的に我々が手を付けられなかった部分をやろうということで,日の目の当たっていなかったスキルを強化しようと思います。
4Gamer:
なるほど,あえて取る必要性が感じられないスキルは,いくつかありますね。
渥美氏:
そういったスキルを,取ろうか取るまいか迷うくらいのバランスにしたいと思います。
内容としては,とても些細なことなんですが,例えば演奏スキルで演奏すると,セイレーンの歌が聞こえてきても自分の演奏で撃退できたり,音楽につられてカモメ(船上災害が発生しなくなる)が寄ってきたりと,効果としては必須というものではありませんが,ほんのちょっとした遊び心のようなものを入れます。また,これまで使いづらかった身体言語を使いやすくします。
4Gamer:
身体言語は,失敗するたびにスキルを発動させるのがちょっと面倒でした。具体的にはどのように楽になるのでしょうか?
竹田氏:
NPCに話しかけると自動で身体言語を使うようになります。このように,あると便利なのに……という,細々とした要素を強化していきます。
渥美氏:
こういった細かな部分の強化については,PC版に慣れていた我々が気が付いていなかった部分に対する,PS3版のプレイヤーのみなさんからのフィードバックによって決まりました。
4Gamer:
なるほど,ハードの違い……おそらく大きいのは,ゲームパッドだからこその意見ですね。PC版だと考えてみれば面倒だけど,なんとなく慣れていた部分があったと思います。
渥美氏:
なお,これらの強化は今回だけで終わりというわけではありません。
4Gamer:
今回のアップデート以降も強化は続けられるわけですね。趣味やこだわりで持っている,あまり日の目を見ないスキルが強化されるとちょっと嬉しいかしれません(笑)。
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