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[AGDC 2007]“月額料徴収の牙城”北米市場を,アイテム販売で突き崩すNexon
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印刷2007/09/10 18:04

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[AGDC 2007]“月額料徴収の牙城”北米市場を,アイテム販売で突き崩すNexon

画像集#002のサムネイル/[AGDC 2007]“月額料徴収の牙城”北米市場を,アイテム販売で突き崩すNexon
Nexonの北米支部におけるゲーム運営ディレクター キム・ミンホ氏。「メイプルストーリー」のサービスは,韓国での公称1400万アカウントや日本の900万アカウントには遠く及ばないが,これまでアメリカにはなかったアイテム課金制を採用しながらも,200万アカウントとそれなりの成績を挙げている
 先週オースティンで開催されていたAGDC 2007において,最終日の基調講演で壇上に登ったのが,Nexonの北米支部におけるゲーム運営ディレクター,Minho Kim(キム・ミンホ)氏だ。Nexonは1994年に韓国で設立された会社だが,オンラインゲームの波に乗って2005年には2億3000万ドル(約265億円)の売り上げをマークするまでに成長している。その旗振り役となっているのが日本でもお馴染みの「メイプルストーリー」で,この1作だけで月間1600万ドル(約18億5000万円)もの売り上げを得ているという。

 キム氏の講演タイトルは,「Coming to America: Nexon's Microtransaction Revolution」(北米進出:ネクソンのマイクロトランザクション革命)というもの。マイクロトランザクションとは,日本でいうアイテム課金のように,月額制による一括徴収ではなく,アイテム,マップ,サービスなどを小分けに販売していくビジネスモデルの,英語による通称である。
 メイプルストーリーの英語版がリリースされたのは2005年5月のこと。手ごたえを感じたのか,同年10月にはロサンジェルスにNexon America(当時の名称はNXGames)が設立されている。

 メイプルストーリーは,現在アメリカで200万人のアカウント数を持つヒット作。基本料金は無料で,従来アメリカで本格的には根づかないだろうとされていた,アイテム課金も順調に受け入れられ始めており,2007年1月にはセブン・イレブンや大型スーパーマーケットを舞台に,10ドル分と25ドル分のプリペイカード「Nexon Game Card」の販売もスタートしたという。また,コカコーラなどの企業とのタイアップによる広告も大きな収入源の一つ。「コカコーラワールド」という専用マップやテーマアイテム,モンスターを用意している。
 キム氏の解説では,北米におけるプレイヤー層は13歳から17歳までが50%を占め,18歳から24歳が30%と,中学生から大学までの層に集中している。女性が25%程度になるらしく,人種別に見ると白人が39%,アジア人が37%,ヒスパニックが9%,そして黒人層が7%と,人口比率を勘案したときにはアジア系が突出しているものの,それなりに広い層に需要がある印象だ。共通項は「アニメ好き」であり,日本産オンラインゲームの少なさという盲点を,うまく突いている印象もある。
画像集#003のサムネイル/[AGDC 2007]“月額料徴収の牙城”北米市場を,アイテム販売で突き崩すNexon 画像集#004のサムネイル/[AGDC 2007]“月額料徴収の牙城”北米市場を,アイテム販売で突き崩すNexon

 アメリカでは,PayPalなどを使って簡単にオンラインショッピングができる環境にあるため,マイクロトランザクションについては「親のお金を勝手に使ってしまうのではないか」という危険性も以前から指摘されてきた。それとは別に悪意ある詐欺行為なども懸念されるところだが,キム氏は「より多くの人員を雇用し,常に警戒していくという基本が大切」と言い,Nexon Americaは万全の体制で当たっていると胸を叩いて請け合った。
 またNexonは,以前からギフト機能の廃止や,消費金額の上限を設けるといった手を打っているが,キム氏も「絶対勝てないイタチごっこをするよりも,システム上で対策を練るほうがよい」と述べ,開発チームとは綿密に連携してきたと話した。
 Nexon Americaは「Crazy Racing:Kart Rider」を2007年内に北米マーケットに投入予定だ。すでにアイテム課金のノウハウは持っているため,何か新しい挑戦もしたいという。キム氏は「この(カジュアル系オンラインゲーム)ジャンルの次の作品を欧米市場向けに投入するなら,当然ながら欧米で開発するのがよいはずだ」と締めくくった。
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