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[G★2006#68]NEXONに元EAのSteve Rachtschaffner氏加入。Alex Garden氏と共に北米戦略の要に
今回お披露目された開発スタジオは四つ。これらは,もともとはNEXON社内にあった開発チーム(開発本部)だが,同社が「スタジオ制」に移行したことを受けて,このようにあらためてお披露目されたわけだ。
スタジオ制への移行は,各開発チームを一つの会社として独立させることで,より効率の良い開発環境を構築するのが目的で行われた。また,各スタジオにアイデンティティを持たせることにより,より個性的なゲームの開発を促す狙いもある。各開発会社の概要は以下のとおり。
●開発1本部(スタジオ名は未定)
MMORPGとFPS専門のスタジオ。「テイルズウィーバー」「風の王国」などを担当している
●開発2本部 ロドマニスタジオ
「Kart Rider」に代表されるカジュアルゲーム専門のスタジオ
●開発3本部 デブキャットスタジオ
MMORPG「マビノギ」の開発したチームが母体となっており,特徴的でありながら,大衆性を損なわないようなゲームの開発を目指す
●開発4本部 ウィゼットスタジオ
ターゲットをしぼったカジュアルゲームの開発を担当。横スクロールオンラインアクション「メイプルストーリー」の開発チームが母体となっている
また,各開発スタジオが,すでに新規タイトルの開発に取りかかっていることが明らかにされた。いままでの体制下では1チームが1タイトルの開発を行っていたが,今後は1チーム,ではなく1スタジオが,三つから四つのタイトルを同時開発するという。これは仮にプロジェクトが中断/終了してしまったとしても,ヒューマンリソースを有効活用できるという,リスクヘッジ的な意味合いが強い。
さらにNEXONは,クオリティマネジメントチームを設立し,各タイトルのマーケティングから品質管理までを一括して行うことも発表している。これによって,各スタジオはゲーム開発に集中できる環境を得られるわけだ。
同社が12年間かけて培ってきたオンラインゲーム開発/運営のノウハウを生かし,各タイトルの発表時期や,βテスト開始時期,アップデートのタイミングなどを決定する。この取り組みにより,オンラインゲームの寿命を延ばすという。
また,「ハードルシステム」と呼ばれる品質管理システムを設け,各開発スタジオが進めているプロジェクトを定期的にチェックする。いままでは個人の判断などによってプロジェクトが中断/終了されることがあったが,こういった管理を一括して行うことで,同社が蓄積してきたノウハウを有機的に生かすのが狙い。
■Alex Garden氏を招聘し,北米事業を強化
同氏はHomeworldシリーズ,「Impossible Creatures」「Warhammer 40000: Dawn of War」「Company of Heroes」など,次々と革新的なRTSを生み出してきたゲームクリエイター。2001年からはNEXONの顧問として韓国ゲーム市場を見続けている,北米と韓国の両方のゲーム市場に明るいクリエイターという希有な存在だ。同氏は北米展開の第一段階として,北米でのパートナー企業とコミュニケーションを密にとり,NEXONが培ってきたノウハウと,北米の開発会社が持つ技術力を融合させていき,基盤の構築を行うと語った。
同氏によると,バンクーバーには60以上の開発会社があるが,ただの一つもオンラインゲームの開発に携わったことがないという。まずは韓国が持つノウハウを伝えることで,北米の開発会社を育てていくようだ。
現場復帰の理由を,自分のやりたいことと,NEXONの方向性が完全にマッチしたからと説明し,積極的に北米市場の開拓を行う旨を語っていた。
さらに元EAという人脈を生かし,もう一人EAから誰かを連れてくることを示唆。名前は明かせないが,EAに1年間で600万ドル以上の利益を与えた人物だと説明していた。
11月9日にお伝えしたように,NEXONはアメリカの大手メディア企業 Viacomとの業務提携も行っている。積極的な人材確保や社内体制の強化を経て,本格的にグローバルでビジネスを展開できる基盤を作りつつある。
もっとも,ゲームを遊ぶ人間にとってみては,いますぐ何かが変わるというわけではない。しかし,明確にホールディングカンパニー制を採ったNEXONの戦略が今後どのように進んでいくのか,非常に気になるのも事実だ。Viacomとの提携も,NEXONという巨大グループ内での大きな枠で捉えるならば,“オンラインゲームからの脱却”および“広義のデジタルコンテンツ事業への進化”をも視野に入れていることは想像に難くない。
それらが有機的かつ有意義に作用し,いままでにないテイストを持ったゲームが誕生することを期待せずにはいられない。(noguchi)
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