2004/08/26 16:47 |
ロシアのAction Formsが開発する「Vivisector:Beast Inside」は,一風変わった世界観のアクションシューティングである。E3では数年前から公開されており,おどろおどろしい雰囲気やいささか地味な印象ゆえか,メディアで大きく取り扱われることはなかった。しかし,今年に入ってグラフィックスエンジンのAtmosFear Engineが大幅にチューンナップされたことで,ほかのFPSに十分対抗できる質感が実現されつつある。
大まかなストーリーは以下のとおりだ。19世紀末,モーヘッド博士が南海の孤島ソレオ島で狂気の実験を行い,動物たちをヒューマノイドに発達させる手法"ModBeasts"を編み出した。時は流れて約百年後の1978年,この忘れられていた島にプレイヤーが偶然やって来るのだが,この新生物たちは徒党を組み,機械やコンピュータ技術を組み込んだ生物工学を発達させていたのだった……。 H.G.ウェルズの空想小説「モロー博士の島」を下敷きにしているのは明白だが,ゲームとしては現代風にアレンジされたアクションやバイオレンス要素がかなり加味されている。
今回のGame Convention 2004ではドイツでの販売を手がけるPointSoftのブースで展示され,18歳以下は購入禁止のソフトとして扱われていた。去年のE3で展示されたデモと異なり,敵キャラクターは毛皮や体毛のシミュレーションを含むレンダリング技術で表現されている。序盤の海岸地帯こそ普通のハイエナなどがうろつき回っているだけだが,やがて武器を携帯した"HumAnimals"という知的な混合体が登場し,Brutesと呼ばれる,巨体化・強暴化した品種も登場する。改造途中で皮を剥がれた状態の生物も描写され,多分にホラー要素を含んでいる。
Vivisectorのモンスターは,すべてスケルトン(骨格)モデルを毛皮で包む形で作られている。そう聞いただけではとくに重要なこととも感じられないと思うが,モンスターは被弾すると外皮が剥げ,赤い肉片や骨格の白い部分が露出するのだ。最初のうちこそプレイしていて興味を惹かれるが,正直グロテスク。ドイツで販売規制が行われるのも不思議はない。
物理処理はかなり特徴的で,木箱に向けて発砲してみると単に壊れるのではなく,穴が空いて貫通していた。うまくいけば,プレイヤーの攻撃を避けようと隠れている敵にダメージを与えることも可能なのではないだろうか。ゲームを進めるに従ってスキルポイントが手に入るというロールプレイング的な要素もあって,これを好きな武器に割り振っていけば,発砲のスピードを上げたり,装填時間を短縮したりできるわけだ。
残念なのは,出荷時点でマルチプレイヤーモードを持たない予定であることだが,後日パッチとして無料でダウンロード可能にするという。そのぶん,シングルプレイヤーモードでのストーリーに重点を置いて開発しているようだ。北米や日本での販売元は決定していないので入手が難しいかもしれないが,ちょっと遊んでみたい作品ではある。(奥谷海人)
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