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[GDC2004#04]デミス・ハサビス氏の天才がゆえの苦悩
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印刷2004/03/26 17:32

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 [GDC2004#04]デミス・ハサビス氏の天才がゆえの苦悩 - 2004/03/26 17:32

〜レクチャー1:デミス・ハサビス氏の天才がゆえの苦悩
Republic:Lesson Learned

■「Republic」での失敗で学んだこと

 「Republic:The Revolution」は,2003年に発売されたソフトの中でも,最も野心的なゲームであったのは疑いの余地がない。簡単に説明すると,Republicは政治というシリアスで大人向けのテーマを扱った,いくつものファクションに分かれた国を統一していくゲームである。
 最大15万人の市民がそれぞれの仕事や思想によって日常生活を送っている都市で,プレイヤーは自分の組織の幹部達に,彼らの得意技能を生かしてビラ配りやポスターの貼り付け,戸別訪問,抗議デモ,演説,恐喝などを指示して,自らの影響力を高めていく。
 公表されている発売本数こそ約40万本とそこそこの数字を記録しているが,最終段階でのゲームバランス調整に本腰を入れないままリリースされた感が強い。プレイヤーやメディアの評価が"良い"と"悪い"に真っ二つに割れたのも,中途半端さが目立ってしまったからかもしれない。

 実際のところ,Republicの開発を指揮したデミス・ハサビス(Demis Hassabis)氏にとっては,このRepublicは2作めの作品だった。
 16歳で「Theme Park」の開発者としてデビューし,師匠にあたるピーター・モリニュー氏の許しを得てケンブリッジ大学に復学。卒業したあとはBullfrog Productions社から派生していたLionhead Studios社に入って「Black & White」のプロトタイプの制作に参加するものの,その後独立してElixir Studios社を設立した。
 ハサビス氏によると,このときに世話になったBullfrogやLionheadの人材を引き抜くのは良しとせず,結果頼ったのが大学時代の旧友や後輩達だった。名門大学だけあって非常に有能な人材ばかりで,彼らはハサビス氏の得意とする人工知能部分以外でのプログラミング,つまり物理やグラフィックス部分で大きな成果をあげた。
 しかし,所詮はゲーム制作の経験がない元研究者達だったためか,時間や資金,部下達のマネージメントがうまくできず,開発や研究に時間が取られるばかり。実際のゲームの骨組みが見えたのは開発着手から4年が経過してからで,販売元のEidos社との軋轢を生む結果になったという。
 これはハサビス氏もレクチャーで語っていたように,ソフトのオーサーシップ(作者)を強調するあまり,彼自身が総合プロデューサー,リードデザイナー,リードプログラマー,さらにはCEOや広報までの役回りをこなさなければならず,結果としてチームをまとめあげることができなくなったため。彼以外の創設メンバー3人は次々に退社し,Elixir Studios社に残ったのは,意外にも思考錯誤の波を受けて翻弄されていた中途採用の人材だった。この中から,時間やコスト面を統括するプロデューサーとゲームの質に重点を置くリードデザイナーを抜擢して,ようやくRepublicの制作に弾みがついたのだという。

 最後は,販売元や待ちわびたファンからのプレッシャーもあってRepublicを中途半端なままリリースしてしまったようだが,まだ若いハサビス氏には学ぶところが大きかったはずだ。
 単体のプロジェクトだけに専念するために,メンバーのスリム化や適材適所への異動にも成功し,現在では彼も「ディレクター」という肩書きで新作「Evil Genius」の開発に専念している。



■天才の本領発揮? 新作「Evil Genius」について

 Evil Geniusは,映画「オースティン・パワーズ」に出てくる悪の親玉"ドクター・イーブル"のような役柄になって,自分の秘密基地に潜入してくるCIA,特殊部隊,007並のスパイなどの攻撃を防ぐというゲーム。落とし穴から用心棒までを駆使して基地を守り,いつの日か世界征服の夢を成し遂げるのである。
 この作品で再利用されているAIや地形開発用のツールは,Elixir社の開発者達の血と汗の結晶ともいえるもので,今後も同社の持ち味として生かされていくことだろう。
 Evil Geniusは,「世界各地への攻撃」「マルチプレイヤーモード」などは続編に回し,現実的なスケジュールで作られているようだ。発売元のVivendi Universal Games社から,おそらくは2004中にもリリースされることになるだろう。(奥谷海人)




「Republic:The Revolution」の記事一覧は,「こちら」
「Evil Genius」の記事一覧は,「こちら」

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