プレイレポート
サービス開始直前レポート,MMORPG「九龍争覇」ちょっと触ってみました
ロックワークスよりサービスが開始される「九龍争覇」は,韓国のINDY21が開発し,アメリカでも2007年5月に「9DRAGONS」として正式サービスが行われているタイトルだ。
昨年には,参加者にロックワークス自ら交通費を負担するという太っ腹な先行プレミアム試遊会(αテスト)が行われたので,それを憶えている人もいるだろう。
ところがその後,大きな動きもなく,動向が気になっていた人も多いとは思うが,今年(2008年)の2月に突然,サービスの開始,それに続く課金アイテムの販売スケジュールが発表され,大きく動き出した。サービス開始直前となるこのタイミングを前に1度触ってみる機会が得られたので,これまで武侠MMORPGであることや,門派が存在する,PvPが可能といったくらいしか情報が出ていなかった本作の内容について,軽くではあるがレポートをお届けしよう。
混じりっけのない生粋の武侠モノ
ほかのMMORPGと違う点としてまず挙げられるのが,混じりっけのない純粋な武侠世界をバックグラウンドにしていることだ。これまでにも武侠と銘打ったMMORPGは提供されてきたものの,やはりファンタジー要素がどこかに垣間見えるものがほとんどだった。その点,九龍争覇では,建物,風景,人物などは言うに及ばず,登場する武器は刀や槍,円月輪,素手,短剣,法輪具,斧とすべて近接武器で,漢(オトコ)らしい(?)肉弾戦のみ。つまり,弓はおろか,ファンタジー的な魔法の類も存在しないわけだ。
こんな漢らしい世界の中で,六つの門派が白道と黒道の二つの勢力に分かれて争っており,九龍争覇の軸となる世界観を作っているのだ。
この六つの門派というのは,丐幇(かいほう),少林寺(しょうりんじ),武當(ぶとう),秘宮(ひきゅう),緑林盟(りょくりんめい),魔教(まきょう)だ。このうち,丐幇,少林寺,武當の3派が白道,秘宮,緑林盟,魔教が黒道となる。
なお,サービス開始(2月23日)の時点では丐幇と緑林盟の二つの門派でプレイでき,3月1日の課金アイテム実装時にさらに少林寺と秘宮の2門派が追加され,合計4門派でプレイ可能となる。
また,キャラクターのステータスである「筋力」「気力」「知恵」「健康」「敏捷」の五つに,初期ボーナスとなる「気」10ポイントを割り振る必要がある。実際にプレイした感じでは,筋力や敏捷といったパラメータは武器を装備する際にも影響するので,この段階で振っておくのは悪い選択ではなさそうだ。
また,キャラクター作成でもう一つ重要なのが,開始地域の選択だ。今回プレイしたのはサービス開始時のバージョンと基本的には同じで,丐幇と緑林盟の二つの門派しか存在しないバージョンである。開始地域は「天津」「泰山」の二か所から選択できる。天津が丐幇の本部に隣接した村,泰山が緑林盟に隣接した村となっているためだ。
作成当初のキャラクターはどちらの門派にも属していない「浪人」であるため,どちらから開始してもそれぞれの門派のNPCやPCから攻撃を受けることはないし,(始めてすぐには)どちらの本部にも入れない。
浪人の間に,勇気を出してフィールドを駆け抜ければ,お互いの村の間を行き来できるが,当然のことながら,村と村の間にはレベルの高い敵も存在するので,うまくすり抜けられるかどうかといった運も必要となる。
そのため,もし誰か友達と一緒に遊ぼうとするなら,先にどちらで始めるかということくらいは決めておいたほうがいいかもしれない。
天津は丐幇の本部がある。丐幇はいわゆる乞食から商人までの町人が元となっている門派のため,村にいるNPCなどもそういった風貌だ | |
泰山は緑林盟の本部。緑林盟は義賊が元となった門派で登場するNPCの多くが,山賊風だったりどこかしら無骨な雰囲気をかもし出している |
入門によって自分の進む道を見つけ出せ
作成したキャラクターは,浪人として九龍争覇の世界に降り立つことになる。先に述べたとおり浪人はどこの門派にも属さないため,白道でも黒道でもなく,すべてのキャラクターにとって中立という扱いになる。
もちろん,気になるのは門派の存在だろう。門派には,それぞれ4種類ずつの職(職責)が用意されている。また,浪人のあいだは,すべての種類の武器スキルを習得できる(門派のものと比べて弱い)のだが,門派に所属すると習得できる武器スキルが限定されてしまう点も知っておいたほうがいいだろう。現状確認できている点を説明すると,丐幇では棒,拳脚,法輪の3種類,緑林盟では斧,槍,法輪の3種類だ。
そのため,できるなら開始地域を決める段階で入門する門派,使いたい武器などを見定める必要がありそうだ。
現時点での丐幇と緑林盟で就ける職責は,以下のとおりなので参考にしてもらいたい。
このように,九龍争覇では,門派の中に職責が存在する。九龍争覇の中でプレイヤーが扱えるのは人間なのだが,システムとしてのイメージでは,ファンタジーMMORPGをプレイしてきた人にとっては門派は種族的なものと考えた方が理解しやすいかもしれない。
門派に入門するには,ある程度のレベルが必要だ。といってもそれほど遠い未来の話ではなく,丐幇ではレベル4,緑林盟ではレベル6になると,門派への推薦状をもらえるクエストが発生する。このように,門派によって入門できるレベルが異なっていることも気に留めておいてほしい。なお,職責に就くにはレベル25になる必要があり,こちらはちょっと先の話のようだ。
成長が存在する武功と奥義
九龍争覇でいうところの,武功と奥義はいわゆるスキルのことで,奥義はスキルポイントを消費して武器を使うときの能力を上昇させ,その武器の攻撃力を上げるというものだ。スキルポイントはキャラクターのレベルが上がれば1ずつ増えていく。
門派によって使う武器が異なるため,どこかに入門してしまうと,その門派で使える奥義しか上げられなくなる。
また,武功はいわゆる技やアクティブスキルといったものだ。浪人時代から各開始地域の練武館で武功を習得することができ,基本となる武器を使う型のようなものと,必殺技を覚えることが可能だ。
型については修練後,実際にその型を勉強するために,ちょっとした遊び心が垣間見える“ミニゲーム”を行うことで身につけられるようになっている。
練武館に行くと,初期の武功を修練することができる。門派によって覚えられる武術の種類は異なる。型と技のどちらも覚えられるのでまとめて覚えてしまおう |
レベルが上がると奥義(武器基本スキル)ポイントが1ポイントずつ貰える。使用する武器や武功に合わせて奥義も上げておくと攻撃力が上がることになる |
例えば,練武館の横に建ててある木人を模した練習用の器具に向かって攻撃を仕掛けると,左右に振れる玉をターゲット枠内でクリックするという課題が出される。それを10回程度繰り返すと,武功レベルの上がった次のコンビネーション攻撃のモーションも練習できるなど,段階的な修練をミニゲームで表現しているのだ。
ミニゲームといっても,簡単なものなので気負う必要はないが,行わないと基本の型も修練できないので,避けられない要素というわけだ。
習得した武功は,使えば使うほどジワジワとレベルが上がる仕組みになっている。例えば型であれば,その型で戦うことで自動的に修練値が増えていきレベルが上がるといった具合だ。序盤では武功レベル3で,次はレベル6でとコンビネーションが増えていき,1回の攻撃で与えられるダメージも増えていくので,型のレベルが上がるのが嬉しく感じられるだろう。
また,その都度使用しなければならない必殺技系の武功にも同様にレベルがあり,レベルが上がればダメージも上がるようなので,できるだけ使うようにしたいが,こちらはやや育ちが遅いので気長に見ていくしかない様子だ。
武功の中でも技については,戦闘中に使うと技の名前が表示され大きなダメージを与えることができる。使うことで技の経験値も貯まり技のレベルを上げることも可能だ |
型にもレベルが存在する。レベル1の状態では基本の型は武器によって2発攻撃するものが,型のレベルが3になるとコンビネーション攻撃により,武器による2発ののち蹴りを2発追加で行うなど見た目もダメージ総量も大幅に変わることになる |
対人戦は現状小規模なもののみ
レベル上げやクエストのために幾度も狩りを行ってみたが,敵に囲まれる場面によく出くわした。もちろん,ある程度走って逃げればそれ以上追って来なくなるので,うまく敵から逃げながら戦えばいいのだが,レベルの高い敵が混ざっているときは少々面倒なので,その点は心に留めておいたほうがよさそうだ。
さて,もちろん九龍争覇の要素としてはこれだけではなく,武侠MMORPGらしくPvP要素として,個人対個人のPvP「比武」が用意されている。参加可能なレベルは25で,必然的に門派入門と職責選択後に行える対人戦ということになる。仕様としてはPKも存在するが,短い浪人時代にPKを行うことも少ないだろうし,門派に入門すればある程度レベルが上がらないと別の門派のプレイヤーに会うことはないので,序盤のうちは気にしなくてもよさそうだ。
PvPの練習をしたいなら,比武を利用して模擬戦のようなこともできるようなので,レベルが上がったら積極的に参加してみるのがいいかもしれない。
また,独特なシステムとして,名品や収集品を集めるというものがある。敵が稀にドロップする名品を集めると,特別なアイテムが手に入るというもの。名品のジャンルもさまざまで,ジャンルごとに集める種類は多く,これがプレイヤー間での売買の対象になる可能性が高いと思われる。手に入れた名品は,名品ウィンドウに登録でき,一つのジャンルをすべて揃えると,そのジャンルの特別なアイテムがもらえるというわけだ。
また収集品は名品とは異なり,取り扱っているNPCによって収集するものが異なっており,収集品と交換することで,より良いアイテムが手に入る。対応しているNPCは収集品に関するウィンドウに表示されているので,そのNPCのもとに届ければアイテムがもらえるわけだ。
このほか,戦闘中に敵の攻撃によって“傷”を負うと,実際の体力(HP)がその傷のポイントを差し引いた分までしか回復しなくなり,薬や薬師による治療が必要になる。また,ダメージを受けることで徐々に溜まって行く憤怒ゲージがMAXになれば,一時的に攻撃力が跳ね上がる「怒りモード」が発動できるシステムも存在する。もちろん,ここでは紹介しきれないような内容もまだまだあるので,実際にプレイして体験してもらいたい。
全体的にやや狭い印象
PvPに関しては個人対個人と小規模で,大規模な対人戦は今のところ存在しないなど,武侠MMORPGにありがちな対人戦を前面に出したタイトルという印象は持たなかった。とはいえ,武術を前面に押した本作なので,今後,対人戦の要素は増える可能性もあるし,職責に就いてからほかの門派と衝突する場面も多くなると思うので,高レベルでの印象はまた違ってくるだろう。
しかし,それまでは普通のMMORPGとしてキャラクターの成長を実感しながら育てられるタイトルといえそうだ。
ただ気になったのは,フィールド上の狩場がやや狭く感じられるなど,全体的に世界が狭く感じた点だ。一人で狩りをしていたテストプレイと違い,実際には何百倍もの人がその場にいることを考えると,序盤の狩場争いはかなり厳しいものになるかもしれない。
最初に書いたように,サービス開始当初に2門派,課金アイテムの販売が始まる段階で4門派でのスタートとなり,予定している6門派になるのはまだ先のようなので,門派が出揃うまでの間に,既存の門派で腕を磨いておいてはいかがだろうか。
- 関連タイトル:
九龍争覇
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