2003年5月15日のNews記事「こちら」でもお伝えした，Microsoft期待の新作MMORPG「Mythica」。前回の記事では，Mythica Game Studioのエグゼクティヴ・プロデューサーであるMatt Wilson氏から，「Mythica」のゲームプレイにおける核心となる"パブリックエリア"と"プライベートエリア"の存在についてを聞き出した（前記事ではインタビュー中で"パブリックスペース" "プライベートスペース"と呼んでいたのでそのように表記したが，ゲーム画面では"エリア"という表記が使用されていたため今回はこちらの呼称を使用する）。

　2回めのインタビューでは，前回ほとんど見送った基本システムについてを聞き出すことにした。結論からいうと，「Mythica」は基本システムさえも独創的かつ挑戦的で，既存のMMORPGの設定にしがみついたまま理解しようとしても，「？？？」と首をひねる話ばかりであった。同じ質問を何度も何度も繰り返し，ようやく見えてきた内容についてお伝えしよう。

　北欧神話をベースに制作されている本作品。おおよそのストーリーも神話に沿っており，アース神族と巨人族の戦いがバックグラウンドとなる。
　ゲームの舞台設定は，各地にFire GiantのShrine（祠）が現れ，これが地下から炎を吸い上げて自らの力を蓄えている。実際，地上ではShrineを中心に溶岩が吹き荒れ，炎に侵食されつつある。世界のすべてが炎に飲み込まれるのを阻止するのがプレイヤー達の目的だ。
　前回の記事でも紹介したが，「Mythica」は既存のMMORPGと比較してストーリー性が極めて高い作品を目指している。こういった背景は，ゲーム中でも大いに関わってくることだろう。ちなみにストーリーは，世界全体を通した巨大なものが1本存在するほか，各地にサイドストーリー的なものが数多く存在しているらしい。

　多くの戦闘的な神々が存在する北欧神話であるが，プレイヤーは8神の中からいずれかをパトロンとして選び，崇拝するかによってクラスおよび能力が決定していく。このうち明かされている神の名は現在4人（Tyr，Thor，Loki，Skadi）で，残り半分の公表が待たれるところ。主神格であるOdinなどの名は，今のところパトロンとしては出てきていない。なお8種類のクラスは以下の通り。

Berserker
　戦士系。体にタトゥーを入れるごとに強力になり，武器も防具も必要としなくなっていく。

Demonologist
　主に地下で暮らしている。複数のモンスターを支配下に置き，操る能力を持つ。

Hunter
　狩人系。弓矢などによる攻撃を得意としている。

Stormwrighter
　風や雷など，天候の力を自在に操る能力を持っている。

Trickster
　キャラクターやモンスターを操るなどのトリックを使う。

Warrior
　純粋な戦士系。高い防御力と攻撃力を誇る。

Pyromancer
　炎を操る能力を持っている。

Druid
　ヒーリング系。自然の力を利用する。

　あまりオーソドックスでないクラスタイプもあり，なかなかクセのあるチョイスとなっているようだ。
　いずれのクラスにも，専用の神聖スキルが100種類ずつあり，これ以外にもスキルは存在するという。ほかのスキルは動物系のキャラクターから入手するなどといった，ユニークな入手手段と機能が期待できそうだ。いくつかのスキルを実際に使用しているところを見せてもらったが，敵を凍らせたり突風で吹き飛ばすといったスキルが，まるでシングルプレイ用のアクションゲームのようにストレスなく作動していた。全世界が一応リアルタイムでありながら，実際は動きの噛み合っていないことが多いMMORPGだが，「Mythica」はそのあたりの不満も解決してくれるかもしれない。

　種族（レイス）は人間，ドワーフ，アルファ（エルフ）の3種類が存在するが，プレイヤーキャラクターは最初はごく普通の人間タイプかバイキングタイプのみ選択可能。ようするに，プレイヤーは基本的に人間のみということになる。
　ここからが難しいところなのだが，たとえばプレイヤーが活躍によってドワーフ族の崇拝を集め，あるいはドワーフ族に関するアイテムを入手していくにつれ，プレイヤーの姿かたちがドワーフ化していく。その道を究めれば，ついには完璧なドワーフの容姿と化すというのだ。こういった肉体の変化は常に起こり，慣れたプレイヤーならさまざまな要素を取り入れたキャラクターを作り上げていけるだろうというのだが……。
　実はこのあたりは，何度もしつこく聞いたにも関わらず，とうとう完全には把握しきれなかった。実に申し訳ない。通常のRPGであれば，最初に性別を選んで種族を選んでクラスを選んで……といった具合にキャラクターメイキングを行うものだが，「Mythica」は初期段階では性別と体型ぐらいしか選択できず，あとはプレイ経過によって常時変化していくものとなるようだ。バイキングの扱いについても不明な点が多く，今後の情報に期待するしかない。

　舞台となる世界は，Asgard（神々の国），Midgard（人間の国），Muspellheim（Fire Giantの国），Jotunheim（Frost Giantの国），Vanaheim（ドワーフの国とのことだが？）の五つ。だが設定資料集には，別扱いといった感じでさらに二つの国のイメージイラストも描かれていた。
　まだまだ隠し事のかなり多そうな本作品，全貌が見えてきたとは言い難いが，今後の注目度が極めて高いMMORPGとなることは間違いなさそうだ。（Kawamura）

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