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Arena Netインタビュー,Guild Warsの成功の秘訣とe-Sportsの持つ可能性
今回,Guild Wars(以下,GW)のディレクター,Arena NetのJeff Strain氏に話を聞く機会に恵まれたので,ヒット作を生み出す秘訣はどこにあるのか,長くプレイするためのポイントとはなにかということを聞いてみた。
簡単に本作のシステムを紹介しておこう。
本作は,RPGモードとPvPモードの二つに分かれており,PvPモードでは最高レベルのキャラクターが作成でき,いきなりオンライン対戦が楽しめる。一方のRPGモードではスキルの取得が主な要素となっていて,豊富に用意されたクエストやミッションをクリアしていくというゲームスタイルだ。
クラスは,Warrior,Ranger,Monk,Elementalist,Necromancer,Mesmerの6種。対戦を面白くしているのは,メインクラスとサブクラスの存在で,例えばWarrior/Monkというキャラクターならば,回復ができる戦士といった感じになるのだ。
トータルで470種用意されているスキルから,8種を選んでデッキと呼ばれるスキルセットを作る。RPGモードで街の外に出た場合,対戦を行っている場合は,このデッキに登録したスキルしか使うことができなくなる。ここが,対戦を面白くしている部分といえるだろう。
ざっくりとゲームシステムを紹介したが,それを踏まえつつインタビュー記事を一読していただきたい。
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4Gamer.net(以下,4G):
よろしくお願いいたします。
Jeff Strain氏(以下,Jeff氏):
こちらこそよろしく。
4G:
4月28日にローンチしたGuild Warsは成功といえるほどの人数を集めたし,またあなたがたの以前の作品であるDiablo,Battle.Netでも成功を収めていました。人を集めるポイントはどこにあるのでしょうか。
Jeff氏:
開発を行うにあたって,重点を置いているのは"イノベーション"(新機軸)です。つまり,いままでなかったものを提供することが魅力となり,多くの人がプレイすることにつながっていると思います。
4G:
Diabloがリリースされた当時も,かなり衝撃を受けたのを覚えています。ゲームにとってユーザーインタフェースが重要だという開発者が多いのですが,そこも注意を払っていますか?
Jeff氏:
そうですね。インタフェースはゲームで最も重要な部分の一つです。オンラインゲームのテクノロジーは,'90年代中盤から3Dへと移行して,FPSジャンルに多く採用されていました。2000年以降は,多くのMMORPGが3Dテクノロジーを使うようになってきて,表現の幅も広がってきています。なので,UIもいろいろなアイデアを入れようと試行錯誤しています。
4G:
大作と呼ばれるタイトルの開発では,最後までインタフェースが決まらないこともありますし,サービス開始後に大きく変更するタイトルもありますね。
Jeff氏:
ゲームが成功するには美しい画面と美しいインタフェースが必要です。ゲームの内容がどんなに面白くても,ぱっと見で人を引き付けられなければ,プレイしてくれないでしょう。
4G:
なるほど。
4G:
GWは,e-Sportsも視野に入れたタイトルとなっていますが,ゲームのバランシングが難しかったのではないですか?
Jeff氏:
ええ,かなり時間を費やしました。スタークラフトやM:tGのバランサーを手がけたJames Phinneyがリードデザイナーとして,GWでもゲームバランスを担当してます。スタークラフトは3種族の特徴を出しつつも,全体的なバランスをとる必要があったので,それをやり遂げた彼ならば最適と思いました。
4G:
おおっ,スタークラフトの種族バランスは秀逸ですよね。ゲームバランスをとる具体的なフローはどのようなものですか?
Jeff氏:
まず数学的な計算を行って,最初の調整を行います。その後,可能な限りの時間を費やして,シミュレーションをします。それからβテストとなるのですが,GWの場合では週末の3〜4日だけテストを行いました。そこで得られたデータを1か月ほどかけてまとめ,それを反映させます。それからまたβテストを……という感じですね。
4G:
やはり机上での計算と実際は違うということですね。ところで,e-Sportsを競技として考えると,ある程度限られたルールで行う必要があると思います。そこで聞きたいのですが,GWではアイテムやスキルはどのようなコンセプトで作られたのですか?
Jeff氏:
うーん……e-Sportsは,限られた中でしのぎを削っていくほうが楽しいというのは同感です。ただGWでは,実際に対戦を行う前に,いろいろと戦略を練るという楽しみを置いておきたかったのです。そこで,たくさんのスキル(編注:総数は470個らしい)を用意して,そこから8種類のスキルでデッキを作成するというシステムにしました。
4G:
カードゲームに近いシステムですね。アイテムやスキルは今後増えていく予定ですか?
Jeff氏:
もちろん増えていきます。ストリーミング技術を使っていて,プレイ中でもアップデートが随時反映されるので,リアルタイムでアイテムなどが増えているのが分かると思います。アイテムはどんどん増やしていく予定で,スキルについては……バランスもとらないといけないので,少しずつですかね。
4G:
アーマーの種類がちょっと少ないような気がしていましたので,ちょっと安心できました。
Jeff氏:
あと,スキルを増やすと関連したアイテムも増やさないといけないので,アイテムは結構増えるんじゃないでしょうか。スキルをすべて使えるようになるには結構時間がかかるようにしてあるので,それからになるでしょう。
4G:
どのくらいのプレイ時間を予想してますか?
Jeff氏:
RPGモードのミッションをすべてクリアし,スキルもコンプリートするとなると,100時間以上はかかると思いますよ。このアイテムやスキルを探し出すというのもGWの楽しみの一つです。
4G:
ある程度スキルを揃えないとPvPはきついですしね。ちょっと気が早いと思いますが,拡張パックなどは考えていますか?
Jeff氏:
ええ,それもすでに開発スケジュールには入っていて,2006年にチャプター1をリリースする予定です。拡張パックは半年に1度のペースで出していって,ストーリーやアイテム,スキル,ゲーム機能などが追加されます。
4G:
追加されるゲーム機能とは,どのようなものですか?
Jeff氏:
ええと……,話しちゃってもいいのかな。例えば,グローバルトーナメントで優勝すると,NPCがその優勝ギルドについて話すようになったり,ブロードキャストでライブ観戦できるようになったりするのを考えてます。
4G:
ふむふむ,それは面白そうですね。GWはライセンス課金モデルを採用してますが,その追加チャプターは有料となりますか?
Jeff氏:
ええ,有料です。でもセパレートで導入できるようにするので,プレイヤーが自分で好きなチャプターを選べますよ。
4G:
EverQuest IIのアドベンチャーパックのような感じですね。
4G:
ちょっと話は変わるのですが,一つのゲームを長くプレイさせる要素というか,ポイントはありますか?
Jeff氏:
うっ……難しい質問ですね。ええと,スタークラフトのようにバランスの良いゲームにすれば,対戦を行うこと自体が楽しくなるので長くプレイしてくれるでしょう。トーナメントをイベント化していったり,キャッシュプライズを設けたりしてe-Sportsを活性化させていければ,それも長くプレイするポイントの一つになると思います。
4G:
やはりポイントはバランスなのですね。日本でもリリースされる予定があるようですが,ヒットしそうですか?
Jeff氏:
GWは,テンポの良い戦闘や広大なエリアの冒険,ギルド対戦をデザインして作っていますので,Diablo IIが好きな人なら,間違いなく楽しめると思います。アメリカのプレイヤーは,ミッションやスキルを探しながら対戦を楽しんでいますので,その流れが日本でも起こることを期待したいですね。
4G:
あっ,もう時間のようですね。では最後の質問です。GWは,これからのe-Sportsをどのように変えていくと思いますか?
Jeff氏:
GWの特徴は,一つのクライアントバージョンしか存在しないことです。ローンチの時点で,英語,韓国語,フランス語,ドイツ語,イタリア語,スペイン語の6か国語に対応しています。サーバーも,どの地域から接続しても同じですので,全世界規模の一つのゲームとして機能します。また,ラダーも一つしかありませんので,日本のギルドでも韓国のギルドでもランキング1位になれば,それは世界で1位ということになるのです。
これが意味するのは,いままでのようなローカルなe-Sportsではなく,グローバルのe-Sportsということですので,非常にエキサイティングなものになるのではないでしょうか。
4G:
ありがとうございました。
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ライセンス課金やスキルシステムなど独特の要素を採用したGWは,"MMORPG"ではなく,新しいスタイルのオンラインゲームとしてみるべきだと再認識させられた。また,同作が目指しているポイント,今後のe-Sportsのメインストリームとなっていくスタイルが,垣間見えたような気もする。
ローンチ1週間で30万本の売り上げはあるものの,Diabloと同じだけの旋風を巻き起こせるかどうかはまだ未知数。しかし,筆者はそのポテンシャルは十分に持っていると感じている。今後の展開/発展に期待したい。(Seal)
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