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[GDC 2012]「Diablo III」のマップ,キャラクターやモンスターは,このようにして作られた。Blizzard Entertainmentがゲームアートの講演を実施
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印刷2012/03/10 00:00

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[GDC 2012]「Diablo III」のマップ,キャラクターやモンスターは,このようにして作られた。Blizzard Entertainmentがゲームアートの講演を実施

画像集#002のサムネイル/[GDC 2012]「Diablo III」のマップ,キャラクターやモンスターは,このようにして作られた。Blizzard Entertainmentがゲームアートの講演を実施
 現地時間2012年3月8日,サンフランシスコで開催中のGame Developers Conference 2012で,Blizzard Entertainmentが「The Art of Diablo III」と題した講演を行った。Visual Arts関連の一連の講演におけるキーノートであり,しかも「Diablo III」についての話ということで,レクチャールームの前には長蛇の列ができた。スピーカーは,BlizzardでArt Directorを務めるChristian Lichtner氏だ。

Blizzard Entertainment Art Director
Christian Lichtner氏
画像集#003のサムネイル/[GDC 2012]「Diablo III」のマップ,キャラクターやモンスターは,このようにして作られた。Blizzard Entertainmentがゲームアートの講演を実施

 Diablo IIIだけでなく,Blizzardが自社の開発するゲームのアートに強く求めているのは,「地域を越えた様式美」「力強いシルエット」「大胆な色づかい」,そして「ダイナミックなアニメーション」だ。
 Jim Raynorが戦闘ヘルメットごしにこちらを見つめる「StarCraft II: Wings of Liberty」のイメージイラストや,「World of Warcraft: Cataclysm」のシネマチックなプロモーションムービーなどが代表例だろう。
 見事なアートワークは時代を超えて存在する芸術だが,しかし,あくまでもゲームを引き立てるためのものでなければならないとLichtner氏は言う。素晴らしいアートがあれば,それだけで優れたゲームになるわけではなく,アーティストのすべての判断は,Blizzardが制作するそれぞれのゲームの個性に合わせて下されるべきだと言うのだ。

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アートワークは,ゲームに優先するものではない
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 では,Diablo IIIの個性とは何か? 1996年の「Diablo」,2000年の「Diablo II」とシリーズでは一貫して,ファンタジー世界「サンクチュアリ」を舞台にした,天国と地獄の叙事詩的闘争を描いてきた。Diablo IIIでもその基本は維持しつつ,前作,前々作が持っていた雰囲気を引き継いでいくのだ。

 アクションRPGであるDiablo IIIは,ハイペースで展開されるアクションと,クラシカルなユーザーインタフェースを持ったダークなゴシックファンタジーとしてファンに認知されている。グラフィックスの基本は,その特徴に従って,ゲームをカンバスに見立てた絵画調のものであることが望ましいとLichtner氏は続ける。

 絵画がそうであるように,基本となる色彩は統一されており,エリアごとにまとめられている。例えば,地下世界なら青,ダンジョンでは赤,森林地帯なら緑,山地は薄紫といった具合だ。このようにすることで,プレイヤーに多彩なロケーションの存在を感じさせ,ゲームが進捗しているという雰囲気も生み出してくれるのだ。

それぞれのエリアで,色彩が統一されている
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 画面に登場するオブジェクトなどは,よほど特殊な地域を除いてリアルであることが求められる。もっとも,Diablo IIIは斜め見下ろし型の,いわゆる2.5Dタイプのゲームなので,プレイヤーから見える方向だけを描けばよく,描き込んでもポリゴンをあまり消費しないというメリットを持っている。

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斜め見下ろし型に視点が固定されているので,ちょっと分かりにくいかもしれないが,樹木の裏は描かれていない
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 Diablo IIIのすべてのゲーム画面は,「BACKGROUND」「MIDGROUND」,そして「FOREGROUND」の三層に分かれている。BACKGROUNDには背景やオブジェクトが描かれるが,Lichtner氏の定めたルールがいくつかある。それは「背景はコントラストが低いソフトな画面であること」「純色の黒や白は使わないこと」,そして「進むべき道がはっきり見えること」などで,基本的にMIDGROUNDとFOREGROUNDを引き立てるためにある。

 MIDGROUNDには,プレイヤーキャラクターやモンスターなどが描かれる。BACKGROUNDとは逆に,こちらではコントラストの強いグラフィックスが採用され,キャラクターやモンスターの姿が強調されることが求められる。プレイヤーが注目すべきものが,はっきり分かるようにするわけだ。
 キャラクターデザインは時間をかけて検討されたが,重要なのは,一目見てそれがどのクラスに属しているかすぐ分かるようなデザインにすることだったという。またモンスターも,視認しやすく,ターゲットしたときにも分かりやすいように,外形線のはっきりしたデザインが選ばれている。
 さまざまなスキルを発動したときの特殊効果は,画面を華やかに彩り,ゲームのファンタジー色を強めてくれる要素だが,これもまたMIDGROUNDに描かれる。

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 FOREGROUNDには,体力やマナ,セットしたスキルなど,ユーザーインタフェース部分が描かれるが,これはゲーム全体の画面のトーンを決めるものであり,従来作のプレイヤーであれば,「これはDiabloだ」とすぐに分かるようなものでなければならない。そのためコントラストはもっとも強く,アイコンの形状,色などはすぐに理解できるものが採用されている。ここで,Lichtner氏はDiabloとDiablo IIIのユーザーインタフェース部分を比較した。ゲームシステムが同じではないため,当然表示される情報は異なるのだが,左右の球状の部分や,全体の雰囲気などが慎重にデザインされていることがよく分かる。

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 続いて,マップやヒーロー達,そしてモンスターのデザインが次々に紹介され,これらが選ばれた理由,あるいはボツになってしまった理由などが説明された。基本的には,いかに美しく,イマジネーションにあふれていても,それがゲームのムードにそぐわない,あるいは見えにくい,分かりにくいのであれば修正が重ねられることになる。
 一匹のモンスターにも,こうした提案と修正の繰り返しが背後にあり,あらためて言うまでもないかもしれないが,Diablo IIIにかけるBlizzardの努力は想像以上のものがあるということが,よく分かったレクチャーだった。実際にゲームをプレイするときには,そのアートワークにも注目したいと思う。

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モンスター「Siege Breaker」のデザインの変遷。初期のデザインが,不気味なテクスチャや動物的な外見を持っていたのに対して,視認しにくいという理由から,すっきりしたデザインが採用されることになった
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WizardとBarbarianのデザイン。いずれも左が初期のアイデアで,右が実際にゲームに使われるもの。解剖学的な正確さなど,細かい変更も合わせて行われている
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武器もデザインだけでなく,それがなんの武器なのか一目で分かることが必要だ
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防具についても,アップグレードするとどうなるのか,どういうバリエーションがあるのかなど,デザインが子細に検討された。敵を倒したときなどに手に入る,武器,防具の驚くほどの豊富さがDiabloシリーズのセールスポイントでもあるので,重要な部分だ
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Burning Hellsの罪の王,Azmodanのデザインにはさまざまなアイデアが出され,二転三転した。ここでも,プレイヤーが分かりやすいことが最優先されている
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Diabloのデザインの変遷
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