プレイレポート
正式サービスが開始された「Warhammer Online: Age of Reckoning」のファーストインプレッションを掲載
9月18日,MMORPG「Warhammer Online: Age of Reckoning」(以下,WAR)の正式サービスがついに開始された。
繰り返されたスケジュールの延期,なかなか公開されないスクリーンショット,開発者がプレゼンするだけで,プレイ画面がほとんど映らないプロモーションムービー,そして今年(2008年)のE3 Media and Business Summit直前におけるMythicの社名変更と,正式サービス開始時点での実装コンテンツ縮小という発表。加えてここ数年,大作として注目を集めたものが,いざフタを開けてみたら今一つ振るわないという例が頻出していたことを考えるに,筆者はどうもWARに対するネガティブなイメージが払拭できずにいた。
しかしながらここには,「そうした疑念は杞憂だった」と書いておきたい。率直に言って,今のところWARはとても楽しいのだ。まあ,“今のところ”なのは,この記事を執筆している時点で,筆者はわずか1週間強しかプレイしていないからである。
筆者のキャラクターはDestruction/Green Skin/Black Orcであり,現時点ではTier 2をレベル10台前半で進行中だ。通常クエストはそれなりの数をクリアしたものの,WARの特徴である「Public Quest」は数回体験した程度で,「RvR Scenerio」はTier 1を卒業し,Tier 2においてBlack Orcとしてどう動けばいいのか,ようやくつかめてきたところである。
すなわち序盤をようやく終え,いよいよ本格的にWARとは何であるかを体験し始めた段階なのだ。
そんな前置きはいいからどう面白いのか具体的な話を早く進めろ! と怒られそうだが,もう少し書いておくと,WARはプレイヤーにできることが非常に多く,必然的に情報量も膨大になる。正直なところ,数時間プレイしてコツをつかむまで,今まさに目の前で起きている出来事に関する情報を取捨選択するにも戸惑った(が,それもまた楽しい)ほどだ。たいがいの事柄はファンタジー系MMORPGの文法に則っているので,経験者ならそれほど問題なく理解できるだろうが,そうでない人には少々ハードルが高いかもしれない。
Green Skinのスタート地点となるMt. Bloodhornは,プレイヤーもNPCもGreen Skinだらけ。たまに捕虜のDwarfがいる |
うーん,格好いい! いつかはオレもあんな風になるんだと心に誓った瞬間だが,どうやらまだまだ先は長そうだ |
命令されるまま樽を開け,中から出てきたDwarfを倒す。でも,なんでこいつら樽詰めにされているのだろうか? |
……と思っていたら,気絶したDwarfを樽詰めにして流すクエストがあとから登場。細かい演出も凝っているので見逃せない |
Green Skinもいいけど,さすがに見飽きたと思っていたらキレイどころ発見。でもアップにするとちょっと怖かった…… |
2軍団6種族で,全18Career。当面はBlack Orcで手一杯だが,レベルアップの速度は早めなのでそのうち別のCareerも試したい |
気軽にボスモンスターと戦える「Public Quest」
Warの特徴的コンテンツであるPublic Questの概要は,以前の記事でお伝えしたとおり。ごく簡単に言ってしまえばフィールド上の各地に点在するボスと戦うためのシステムである。プレイヤーが特定の地域に足を踏み入れると,Public Questのタイトルが表示されるのだが,参加するか否かは自由。もっとも別のクエストを達成するために雑魚を倒した結果,意図せず参加してしまったなんてことも珍しくない。その場合であっても,引き続き参加するか,自分のクエストを優先するかの選択は自由だ。
ボスことHeroをみんなでタコ殴り。独自の報酬ルートシステムがあるので,何も気にせずとにかく殴れ! 殴れ! |
Public Questには数段階の「Stage」が設定されており,条件を満たすと次のステージに進める仕組みだ。Stage 1は,雑魚の一定数討伐か,オブジェクトをいくつか破壊するという簡単なもの。続くステージでは,「Champion」など少し強い敵が登場し,最終的にボスの「Hero」を倒せばめでたくクリアである。
なお,ボスだけあってHeroは,同ランクのプレイヤー2〜3人では結構な苦戦を強いられる。Public Questはパーティを組んでいなくとも参加できる仕様だが,参加プレイヤーが5〜6人程度いなければクリアは少々難しいだろう。ちなみにStage 2以降はクリアまでの制限時間が設けられており,Hero討伐後も3分の待機時間を経てStage 1から再スタートするため,非常にスポーツライクにサクサク繰り返しプレイできる。
またステージクリアの条件には,「味方のNPCを安全地帯まで導く」という一種の護衛クエストなど毛色の違うものもあり,それに気づかず,アレでもないコレでもないと周囲の敵を延々と討伐し続けていると,そのうちタイムアップになりかねない。
加えて,Order/Destructionそれぞれの領域が隣接している地域では,どちらが先にStage 1をクリアするか競わせる場合もある。先にクリアできた軍はStage 2に進み,負けた方は失敗となり再スタートを待たなければならない。
ステージクリアによってもらえる報酬は,防具やアクセサリーなど各種アイテムの入った「Loot Bag」だが,Bagを手にできるかどうかは,Public Questにどれだけ貢献したかとサイコロの目によって決定した順位に左右される。報酬獲得にランダム要素が入るのは賛否が分かれるかもしれないが,高ランクのプレイヤーの報酬独占を防ぐだけでなく,より多くのプレイヤーに報酬を与えることで自軍全体のベースアップを図る意味があるといえる。
バックストーリーにより,ステージクリアの条件に“オブジェクトの破壊”が含まれることもある。闇雲に森林伐採しているわけではないのだ |
取り残されたGoblinを安全地帯まで逃がす。ほかのプレイヤーが誰もその目的に気づかず,筆者一人でやったこともある |
パーティがBlack Orcだらけに! そのときはみんなで笑ったが,あとから見るとメンバー以外もBlack Orcで気色悪い |
人通りの少ないフィールドの隅に配置されたPublic Questもある。一人で黙々と挑んでみたが,案の定Heroに勝てない |
Heroを倒したあとの報酬を受け取れるかどうかは,貢献度と運で決まる。体感的には運の要素が結構強い |
Public Questに参加していると,そのエリアに対する「Infulence」が貯まる。一定以上に貯まるとアイテムと交換できる |
スポーツライクで繰り返しプレイもしやすい
「RvR Scenario」
RvR Scenarioについても概要は以前の記事で紹介したとおり。Scenarioにはあらかじめパーティを組んで参加してもいいし,一人でも参加できる。いずれにしてもScenario開始時点では,6人一組のパーティになるよう調整される。例えば5人パーティで参加を表明した場合,Scenario内ではソロで参加したプレイヤーが一人加わるわけだ。
なお,筆者が実際にプレイしたのはTier 1の「Gates of Ekrund」と,Tier 2の「Mourkain Temple」の2種類で,いずれもルールはシンプルで分かりやすく,短時間で決着がつくため,繰り返してプレイしやすい。
Gates of Ekrundは,マップ上に設置された3か所の拠点を奪い合うタイプのもの。味方プレイヤーが一定時間拠点付近に滞在すれば占拠成功となり,多くのポイントが得られるが,敵がそれを黙って見過ごすはずもなく,殺し合いと拠点の奪い合いが繰り広げられる。
マップが狭いことに加え,敵味方とも守備に回るよりは攻撃に向かいがちなので,戦況がコロコロと変わりやすく気が抜けない。
Scenario開始前に,自動的にパーティがマッチングされる。もし空きがあれば,別のパーティへの移動も可能だ |
Gates of Ekrundでは三つの拠点を奪い合う。右上のアイコンとバーが,現時点での占拠状態を示している |
防衛が手薄になったところを狙って,占拠された拠点を奪い返す。相手にもよるが,ガラ空きになることも結構ある |
Scenario終了後の成績表。重要なのは王冠アイコン下の「Renown Point」(名声)で,RvRにおける経験値といっていい |
Mourkain Templeは,「Mourkain Artifact」を奪い合うタイプだ。いち早くArtifactを取った軍が守備側,そうでない軍が必然的に攻撃側になる。攻撃側がArtifactを持ったプレイヤーを倒せば攻守交代。攻撃側の意識としてArtifactを持ったプレイヤーを狙うのは当然だが,DPSに長けた味方をアシストするのもまた重要である。一方,守備側は基本的に迎撃すればいいのだが,上記のとおり,攻撃側は単純にArtifactを狙うプレイヤーばかりではないので,それに合わせて自分が今何をすべきか考える必要がある。
さてRvRタイトルを標榜するWARだけあって,相対するCareer間には得手不得手があり,それを踏まえながら各軍が戦略/戦術を練る……というのが建前なのだが,現時点ではバランスが取り切れておらず,一部のCareerだけが活躍する状況となっている感は否めない。結果としてMourkain Templeでは,Artifactを先取した軍が有利となってしまっている。
また筆者が使うBlack Orcにしても,味方のヒールが届かない場所に追い込まれ,複数の敵に囲まれた状態なのに,自分でも「アレ?」と思うほど長い間死なずに戦っていた経験がある。おかげで「体力が5%を切った状態で5体の敵を殺した」という,名誉なんだか間抜けなんだか分からない実績がアンロックされたくらいだ。
こうしたバランス調整は,あちらを直せばこちらに不満/問題が発生という状態に陥りがちで,長い期間がかかるもの。極論すればいつまで経っても終わらないものだとも思うが,微妙なバランス取りを早急に何とかしてもらいたいのが一人のプレイヤーとして正直な感想である。実際,今のバランスが一通りの完成を見ないことには,見送られたCareerの実装など,いつまでたっても先の話だろう。
Tier 2ともなると,すでにマウントを持ったプレイヤーもいる。いつかはオレも,と再び心に誓うが,先は長い |
遠方に見える光柱が,Artifactを持ったプレイヤー。アレを追いかけてさえいればいいというものではなく,頭を使う必要がある |
情報量の多さと派手なエフェクトで,画面上が,なにがなにやらという状態に。クエストは非表示にした方がいいかもしれない |
RvRでRenown Pointを貯めると「Renown Rank」が上がる。それに応じた称号と特殊なAbilityが得られ,強力なアイテムの購入権が与えられる |
プレイヤーがRank 11に達すると「Mastery Training」を受けられる。各Careerに3系統のMastery Pathがある |
Scenarioとは別に,フィールドでもRvRは繰り広げられている。ラムで開城されたKeepを見つけたので入ってみたら敵に取り囲まれた |
遊べば遊ぶほど奥深いWAR
プレイレポート第2弾もお楽しみに
ご承知のとおり,MMORPGは長期間にわたってプレイすることを前提として作られている。そのためプレイ開始当初に非常に面白いと感じたとしても,実装されたコンテンツを一通りプレイし終えてしまうと,新たなコンテンツが追加される前に飽きてしまうこともあり得る。
WARはRvRを核としてデザインされているため,互いに対立するプレイヤーが存在する限りエンドレスに楽しめるが,それにしても,Career間のバランスが長期間調整されなかったり,あるいはプレイヤーのコア化が進んだりした結果,定番化した戦略/戦術を理解していない初心者お断りという空気が蔓延するなどして,プレイヤーの新陳代謝が滞ってしまってはうまく機能しないだろう。
そうした点を踏まえると,これからも継続してプレイしないことには評価は下せないし,また長年サービスを継続し今なお洗練され続ける「World of Warcraft」などと比較してどうこういうのも難しい。
しかし筆者にとってWARは現状楽しくプレイできているし,まだまだ手をつけていない部分も多く,これからもプレイしていきたいと思わせる内容になっていることは確かである。今後も不定期ではあるが,いいタイミングでレポートしていきたい。
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