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印刷2005/07/25 15:32

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インタフェースも加わり,完成が見えてきた「Black & White 2」

今回のイベントで,自らデモを担当するなど精力的に活動するピーター・モリニュー氏。イギリスを代表するゲーム開発者であり,過去20年にわたって天才的(変態的?)な作品を送り続けてきた奇才だ
 「Hot Summer Night 2005」で最も驚いたのが,「Black & White 2」(邦題 ブラック&ホワイト2)の進歩である。Electronic Artsの企業コミュニケーション副社長Jeff Brown(ジェフ・ブラウン)氏も同席していたためか,デモンストレーションをリードデザイナーである元Blizzard EntertainmentのRon Miller(ロン・ミラー)氏が,そして解説をLionhead Studiosのリーダー,Peter Molyneux(ピーター・モリニュー)氏が自ら行うといった豪華さだった。

 前作がリリースされたのは2001年の3月のことで,「スムースな続編リリースでシリーズ化を狙う」という当初の構想とは裏腹に,すでに丸4年の年月が流れてしまっている。
 しかし,2004年になってミラー氏が開発に参入したことでプロジェクトの進行も一気に引き締まり,より従来のRTSに近くて分かりやすいゲームプレイとなったのは,E3 2005のレポート「こちら」でお伝えしたとおりである。
 6月末にはα版が完成しており,今回のデモンストレーションで使用されたのもα版で,E3で見たものと比べて随分と違う印象を受けた。発売日も,すでに報じられているように9月最終週,もしくは10月の第2週であることがモリニュー氏の口から語られた。



ゲーム画面の雰囲気は前作から変わりないが,普段はフワフワなクリーチャーの毛皮が雨が降ればベットリするようなシミュレーションに至るまで,細かい技術が使用されている
 α版となったBlack & White 2には,以前から仕様として追加されることが決まっていたインタフェース(HUD)が実装されていた。左右の下部に,それぞれ七つのアイコンが並んでおり,ミラー氏は「左の青が町の建設用で,右の赤が軍事用」と説明する。また,実際に町を建設するときには下部に新しいHUDが現れて,それぞれの文明に合わせたタウンホール,武器庫,マーケット,風車,アリーナ,像や噴水など,何百という種類の施設から選択できるようになっている。
 自由度の高さをアセット(asset)の豊富さでも補っているBlack & White 2では,一人一人の町の住人にも名前が付けられていることが分かった。モリニュー氏は6桁もの数の名前を用意したと説明していたが,これはランダムに生成させたり電話帳から拝借したりしたものではなく,Lionhead Studiosが持つコンタクトリストを中心に,ファンサイトの運営者や馴染みのゲーマー,さらには同社従業員の親類からペットの名前までを利用しているという。
 つまり,筆者を含めた多くの日本人の名前も,日本民族の中に含まれている可能性が高い。モリニュー氏は,「姪っ子のエマやペットのケニーまで含めていて,ゲーム中で彼らの名前を見つけると,ゴッドハンドで移動させて同じ家に住まわせないと気が済まないんだよ」と語っていた。
 ここ3か月は,少なくとも毎日3時間はBlack & White 2を実際に遊んでテストしているとのことで,モリニュー氏のこの作品に対する愛情も伝わってくる。



直撮りの画像だが,現在のインタフェースはこんな感じになっている。「The Sims」シリーズのように,クリーチャーや町人達が考えていることが頭上に表示されるのも今回分かった新要素だ
 クリーチャーの数こそ少なくなったが,モリニュー氏も「ゲーム以外のありとあらゆる商業ソフトを含めても,確実に"史上最高"のAIが自慢だ」と,満足げに語る本作。プレイヤーがゴッドハンドを使って,例えば遠方の樹木を引っこ抜いて木こりの近くに持ってくる,という作業を観察してみると,これまでのようにプレイヤーがわざわざクリーチャーを動かすことなく,勝手に同じ作業を行ってくれるのが見て取れた。
 都市やクリーチャーの風貌は,すべてプレイヤーの遊び方次第で変わってくるのがBlack & Whiteの面白さだが,今回はさらに磨きがかかっている様子だ。ゴッドハンドを使って,クリーチャーを引っ叩いたりくすぐったりして調教する前作の機能はそのままに,プレイヤーのペットだけでなく町の守護神としての機能が強調されているようだった。クリーチャーがGoodのアライメントであれば歩く先々で花が咲き乱れるし,Evilのアライメントであれば草木は枯れて腐ったような,どす黒い大地となる。地面にズームアップすると,無数のアリが這い回っているという有様だった。
 クリーチャーを中心に組織できる軍隊は,剣,弓,そして"Weapons of War"とモリニュー氏がサラリと流した三つの兵科で構成される。このWeapons of Warは,おそらく投石器のような兵器を指していると思われる。兵士は町の住人と切り離されているわけではなく,戦時に徴兵用のテントを建てると,住人達が作業を中断してワラワラと集まる仕組みだ。既存のストラテジーゲームのように,軍隊の育成には時間がかからず,プレイヤーの好みで瞬時に戦争体制に入れるのである。

 RTSや育成,都市建設の要素はもちろんのこと,近隣の町からの移住など複雑なゲームメカニックが絡み合い,一つの洗練されたゲームが出来上がっているようだった。力作ながらも難解だった前作での経験が,Black & White 2には存分に生かされているようだ。あと1週間ほどでプレビュー版の配布も始まり,初秋へのリリースに向けた準備が整いつつある。(奥谷海人)

  • 関連タイトル:

    Black & White 2

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