インタビュー
「EVE Online」の開発/運営はあくまでもCCP。日本語化やサービスに関するアレコレをCCPのCEOに聞いてみた
そこで4GamerではあらためてCCPに連絡を取り,日本展開に関連した疑問をメールと電話でCCP Games CEOのHilmar Petursson氏に確認してみた。本稿ではその内容をお伝えしよう。
4Gamer:
EVE Onlineは英語,ドイツ語,ロシア語でサービスが行われています。そんな中,次の言語として日本語を選択した理由はなんでしょうか。ほかにもEU圏の言語はありますが。
CCP Games CEOのHilmar Petursson氏(写真は,E3 2011の取材で撮影したもの) |
インフラの状況,オンラインゲーム人口,生活水準の高さなどを考えると,日本はMMOのマーケットとして非常に重要で,私達は何年も前からターゲットにしていました。また,EVE Onlineは月額制ですが,2011年6月のアップデートでゲーム内ストア(アイテムモール)を導入しており,アイテム課金と月額制のどちらにも慣れ親しんでいる日本人プレイヤーは非常に重要です。
さらに,日本語のクライアントができる以前から,数があまり多くないとはいえ,日本人のコミュニティができていた,という点も大きなポイントです。
4Gamer:
では,多くの会社がある中で,ネクソンを選んだ理由を教えてください。日本でのネクソンは,ライト層へのアピールが強い会社という印象があり,EVE Onlineが持つイメージとはかなり異なります。
Petursson氏:
私達はかなり長い時間をかけて,日本で活動するさまざまな会社と話してきました。その中でネクソンは,オンラインゲームサービスのトップをいくというだけでなく,我々と同じようなパイオニアスピリッツを持っていると感じたのです。CCPもネクソンもすでに完成されたゲームの後を追わず,独自の路線を進んでいます。そしてネクソンの方々と話したときに,彼らがプレイヤーを大切にしながら大きくなろうとしていることが分かったので,彼らと手を組むことに決めました。
4Gamer:
CCPとネクソンの役割分担を,あらためて教えてください。
Petursson氏:
いままでどおり開発と運営はCCPが行い,ネクソンが日本人に向けたカスタマーサポートの一部を担当します。ただし,ネクソンがサポートするのは決済関係など,直接プレイに関係ない部分で,ゲームプレイに関する問題についてはCCPが対応します。
4Gamer:
ネクソンの発表の中に「日本での課金形態はアイテム課金システムがある月額制を予定しています」という一文がありました。これは日本独自の課金方法が用意されるということでしょうか。
Petursson氏:
まずはEVE Onlineの課金方法を説明させてください。地域によって価格は多少異なりますが,EVE Onlineは月額制です。そして,2011年6月に実装したアバター用の衣装などを購入する方法がありますので,「月額+アイテム課金制」となります。これは全世界共通で,日本の皆さんも他国のプレイヤーも完全に同じです。
4Gamer:
支払い方法にはどんなものが用意されますか。
Petursson氏:
ネクソンが現在対応している,さまざまな支払い方法がEVE Onlineで利用できるようになります。これは私達がネクソンと組んだ,大きなアドバンテージの一つです。
4Gamer:
すでにEVE Onlineをプレイしている日本人は,ネクソンのIDを取得するといった手続きが必要になりますか。
Petursson氏:
そういった部分は,ネクソンと調整している段階です。決まり次第公式フォーラムで発表しますので,もうしばらくお待ちください。
4Gamer:
2007年ぐらいから日本語化の話が表に出ていましたが,実現には至っていませんでした。今回はそのときとなにが違うのでしょうか。日本人プレイヤーの多くは,またストップしてしまう可能性を心配しています。
Petursson氏:
2007年に日本語化を進めていたときは,私達のローカライズ用エンジンの性能が満足できるものではなく,日本語にきちんと対応できていませんでした。どうしても納得がいくレベルの翻訳にならなかったので,それができる環境作りを優先していたという事情があります。今は新しいローカライズ用エンジンが完成していますので,以前のようなことはないと思います。
4Gamer:
日本人,もしくは日本語が話せるGMを用意するとおっしゃっていましたが,何名くらいになるのでしょうか。
Petursson氏:
すでに二人のGMを用意しており,それぞれ上海とレイキャビックのオフィスで働いています。今後,さらに2名を雇用するつもりで,今のスタッフ同様に上海とレイキャビックに常駐してもらう予定です。また,GMだけでなく日本語ローカライズ用の品質管理スタッフや,コミュニティースタッフなども募集します。そういった求人情報を公式サイトに載せているので,興味のある人は確認してみてください。
4Gamer:
日本語マニュアル付きのパッケージ版を用意するというお話を以前されていましたが,現在もその予定はありますか。
Petursson氏:
今はその予定はありません。ただ,日本人プレイヤーからの要望が多いようなら,あらためて検討します。
4Gamer:
ローカライズ(日本語化)の範囲を教えてください。例えばアイテム名などが日本語(カタカナ)になってしまうと,ほかの国のプレイヤーと意思の疎通が取りづらくなってしまう可能性もあります。
Petursson氏:
最終的にどこまで日本語にするのかというところは,まだ決めていません。EVE Onlineの日本人コミュニティと話し合いながら,ベストな対応をとるつもりです。
4Gamer:
EVE Onlineを楽しむためには,ゲームの遊び方だけでなく,ゲーム内の経済情報なども必要になります。そういった情報を日本語にする予定はありますか。
Petursson氏:
EVE Gateと呼ばれるEVE Online用のSNSを日本語化し,日本語の公式フォーラムを設置するつもりです。もちろん日本語の公式サイトも用意しますので,基本情報はそこで確認できるでしょう。
また,EVE Onlineには電話帳ぐらい分厚い「ISK Guide」と呼ばれるガイドブックがあります。これはもともとハンガリー人のプレイヤーがハンガリー語で書いたものですが,プレイヤー達によって英語と韓国語に翻訳されています。そして,多くの国のプレイヤーがそれぞれの言語に翻訳しているようです。私達がビジネスとしてガイドブックを翻訳する予定はありませんが,日本人プレイヤーの中から,ISK Guideを日本語化する人が現れることを願っています。
現実的なところとしては,日本語で書かれているファンサイトなどを見ていただいたり,公式ではありませんが,日本語のチャンネルもありますので,そこを通じてベテラン日本人プレイヤーの助けを借りるといったことで情報を得ていけると思います。
4Gamer:
パッチノートを日本語にする予定はありますか。
Petursson氏:
パッチノートはすぐに提示しないと意味がないので,今のところドイツ語とロシア語版は用意していません。ですが,日本のサポートを強化したいので,日本語のパッチノートが用意できるかどうかを検討しているところです。
4Gamer:
拡張パックの実装方法についてお聞きします。現在は,英語,ドイツ語,ロシア語を同時にアップデートしており,そこに日本語も加わると聞きました。例えば日本語の翻訳が間に合わなかった場合,アップデートの実装自体を遅らせるのでしょうか。もしくは日本語だけあとから追加するのでしょうか。
Petursson氏:
日本語を正式にサポートしたあとは,拡張パックも日本語化してから実装します。拡張パックは全言語の翻訳が完了してから実装するので,1つの言語だけ遅れるということはありません。
4Gamer:
ありがとうございました。
「EVE Online」公式サイト
「EVE Online」日本語ティザーサイト
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