16歳でPeter Molyneux(ピーター・モリニュー)に見い出され,「テーマパーク」を作り上げたゲーム業界随一の天才青年Demis Hassabis(デミス・ハサビス)。1998年に独立してElixir Studios社を設立。その処女作となるのが,
旧ソビエト連邦崩壊をテーマにしたリアルタイム戦略ストラテジー「Republic:The Revolution」だ。ついにプレスの前に姿を現した。
Republicでは,プレイヤーは政治家,ビジネスマン,軍事司令官,宗教活動家,マフィアの団長,の5種の中から自分の好みのクラスを一つ選択し,独立間もないノヴィストラーナ共和国(仮想の国)の民意を掌握し,
周辺国家を統一して大国の元首となるのが目的となる。デモで確認できたのは,ノヴィストラーナ以外にも四つの国家が存在し,それぞれ四つずつの都市が存在するということだ。今回は,ノヴィストラーナ国のブレジナと名付けられた工業都市でのデモとなった。
Republicでの一番の注目点は,なんといってもハサビスの知力を詰め込んだ,
脅威の性能を誇るゲームエンジンだ。
Republicにはポリゴン表示数に上限が存在しない。兵士の持つタバコにさえ数百ポリゴンが使用されているだけでなく,ゲーム全体では億単位のポリゴン数をリアルタイムでレンダリングすることができる。これは,独自に開発したLODシステムの恩恵で,遠くに見えるオブジェクトやキャラクターのポリゴン数を自在に省略することで可能にしている。
カメラをどれだけズームインしようが,ズームアウトして都市全体を眺めようが,すべては64MBメモリに入るサイズに調整されるという。
このゲームエンジンにより,1体につき数十万ポリゴン単位のキャラクターが,ゲーム上で1都市につき最大15万人,全体では100万人程度生活している。AIが強化されており,それぞれの人民に日々の仕事や家庭といった行動パターンが備えられているのに加え,その国に対する考え方を持っている。
会場で行われたデモでは,広場で別の組織に属す宗教活動家が演説しており,このキャラクターをクリックすれば,名前や性別といったパラメータに加えて,彼がどういう思想でどの宗教グループに属しているかという情報を引き出すことができる。その演説の様子も圧巻で,彼の演説を聞くために通行人が立ち止まり,時間が経つに連れ人垣ができていく。素通りする人もいるが,拍手をして共感している様子の人もいる。プレイヤーは,人民の思想を統一するためにも,この状況に対処しなければならない。この宗教家がどれだけ自分の組織に忠実かによってもやり方は変わってくるのだが,彼を人目のつかない場所にを呼び出し,マフィアの人間を雇って賄賂を送ったり,暴力を行使して黙らせる必要などもあるかもしれない。
もっとも,Republicに要求されるのは,このような影の活動ばかりでなく,チャリティに参加したり,マスコミを利用して民意を操作することも重要だ。基本的には自分の政党や組織の幹部を使って,これらの行動を指示していくのがRepublicのゲームプレイだ。リアルタイムで数10に及ぶイベントが発生するため,見やすいプルダウン方式のマルチウィンドウで,イベントの起こっている場所に飛ぶことができる。
マネージメント要素が多いだけでなく,1ゲームも長くなることが予想されるため,
Republicはシングルプレイ専用ゲームとなる予定。技術の高さで圧倒させられる作品であるうえに,AIの精度が高められ,さらにゲームらしくなっている印象を受けた。Eidos Interactiveから,2002年の春頃には発売されそうだ。
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