プレイレポート
懐かしのMMORPG体験ツアー第1弾。初代「リネージュ」で,ままならぬクラシカルMMORPGを遊ぶ
「昔のMMORPGってやったことある?」
「もちろんないです」と答えると,「そうか。それはよかった」とにっこり微笑むボス。何か踏んではいけないものを踏んだんだな,ということだけは即座に理解できた。後日,筆者の机には日本オンラインゲーム協会(JOGA)が企画した「PC MMORPG 魅力再発見PTツアー」と題した,現在もサービスが続く4つのMMORPGをプレイするという内容の,楽しげな(?)“旅のしおり”(企画書)が置かれていた。あぁやっぱり……。
そんなわけで今回は,その第1弾として「リネージュ」を体験することになった。「リネージュ!? リネージュ2とか,リネージュMじゃなくて?」と思ってしまったが,「リネージュM」※(iOS/Android)が出た今だからこそ,初代「リネージュ」とはどんなゲームで,今はどうなっているのか,今どきのプレイヤーでも楽しめるのかを確かめてみよう……という企画なのだとか。
※「リネージュM」は2019年5月29日にリリースした「リネージュ」のスマホ向けリメイク作品(関連記事)。
リネージュ世代のMMORPGは,マゾかったりUIが不親切だったりするし,そもそもガチ勢ばかりで怖い世界なのだろうと勝手にイメージしている。キーボードの[W/A/S/D]移動もおぼつかないような筆者は,生まれたての小鹿のようにぶるぶると震えながら,初めての体験が待つエヌシージャパン本社へと単身で向かった……。
「リネージュ」公式サイト
「リネージュ M」公式サイト
「リネージュ」とはどんなゲームなのか
まず,「リネージュ」がどんなゲームなのかを簡単におさらいしておこう(全部エヌシージャパンの受け売りです)。
「リネージュ」は,漫画家シン・イルスク氏が描いた同タイトルの漫画を原作とした韓国産MMORPG。韓国では1998年にサービスが開始され,2002年にはエヌシージャパンにより国内版の正式サービスが始まった。
ゲームは2Dで原作の世界を再現しており,クォータービュー(斜め見下ろし型視点)が採用されている。血盟(クラン)システムを導入し,血盟単位で戦う大規模戦闘「攻城戦」が醍醐味の1つだ。今では数多くのゲームに採用されている「攻城戦」だが,このリネージュが元祖と言われている。
クラスチェンジできないの!?
リネージュ最大の特徴「変身」を体験
ここからは,エヌシージャパン本社で初めて「リネージュ」を体験したレポートをお届けしよう。今回はベテランスタッフによるマンツーマン指導の下,キャラクターを作るところからスタートした。
リネージュには現在8つのクラスが用意されている。今回はそのうち初心者でも扱いやすいナイト,君主,エルフをオススメしてもらった。ナイトは肉弾戦に特化した攻守ともに優れたクラス。エルフは弓を使用した遠距離攻撃がメインのクラス。君主は血盟というクランを作れるが,あまり戦闘には向かないクラスとのことだった。なお,現在では調整が入り,君主も以前よりはだいぶ強くなっているそうだ。
個人的には近接でゴリゴリ殴るのが好きなので,まずはナイトを選んでみた。「後から変えられますよね?」と聞いてみると,その質問を待ってましたと言わんばかりに「できないですよ(にっこり)」と食い気味に即答された。ああ,もうこの段階で自分の常識が通じないのだと悟る。
キャラクターを作り終え,ゲームを開始するとチュートリアルが始まった。いきなりフィールドに放り出されるものだと思っていたので,これはうれしい誤算だった。
ゲームの移動や攻撃はマウスのクリック操作で行う。動きたい方向をクリックするだけで良いのでとても簡単。とにかくキーボードをカチャカチャ言わせながら遊ぶ,難しいイメージが強かったので,それが払拭されてちょっと安心。
チュートリアルはとても親切で,次にやらなければいけないことや,選択すべきアイテムが,これでもかというぐらいに光ってアピールされる。おまけに,次の目的地まで一瞬で移動するので,ちょっと拍子抜けしてしまった。こんなに甘やかされて,今後この世界で生きていけるか心配になってしまう。
ゲームを少し進めると「変身スクロール」というアイテムが手に入る。このアイテムを使って行える「変身」は,リネージュ最大の特徴とも言えるシステムで,クラスは変えられないが,キャラクター性能や外見を変更することができるのだ。
ちなみに,変身のバリエーションはレベル70以降増えていくとのこと。さっきまでの優しかったイメージが薄れて,昔のMMORPGらしいマゾさがチラチラと見えてきた。
序盤はチュートリアルでこと細かにクエストが用意され,レベル55までは簡単に上がるそうだ。現在のレベルキャップを尋ねると「いちおうレベル99になっています」と教えてもらった。この返事でなんだか自分の思っているレベルの概念と違うことに気付く。
筆者が知っているMMORPGは,レベルキャップに到達してからエンドコンテンツを楽しんで,その後のアップデートでレベルキャップがどんどん開放されていくものだった。しかし,現在の「リネージュ」では(サービスから17年が経っているのに)レベル99のプレイヤーが存在しないのだ。なにせ,レベル55を56に上げるためにレベル1からレベル55に上げるぐらいの経験値が必要なのだから。必要経験値をグラフ化したら,きっと断崖絶壁ができるのだろう。
ちなみに「リネージュM」では,変身がガチャでも入手できる。PCでは時間をかけて新しい変身を開放し,スマホではガチャで新しい変身を入手するわけだ。
それだけレベル上げが大変ということもあり,現在では経験値を元にしたランキングが用意されている。ランキング上位になると,ランカー専用の変身の権利が得られるようで,これは競争心がメラメラと燃えてくるシステムだ。でも,今から始めてもランキング上位って目指すの厳しいですよね? と聞いてみると「言い方は悪いですが,不人気のクラスなら……」とのことだった。なるほど。
期間限定でレベルアップが楽になるキャンペーンなども開催されているそうだ。
モンスターの強さは殴ればわかる
アイテムの効果は使えばわかる
チュートリアルをしばらく進め,通常フィールドでモンスターの狩りをすることになった。先ほどまでは初心者用にわんさかモンスターが用意されていたのだが,通常フィールドに出た途端,ぱったりとモンスターがわかなくなった……。モンスターはフィールドを自由に徘徊しているので,どこかに固まっているか,ほかのプレイヤーに狩られたのだろう。ここまで見つからないのも珍しいらしく,この辺りから筆者は運のなさを露呈していくことになる。
モンスターは名前だけ表示されていて,レベルや体力などの表示は一切ない。「こ,こいつ殴って大丈夫ですか? 強くないですか?」とビビりながら進める初心者に,先人たちは必ずこう言い放つ「殴ればわかる」。
序盤のフィールドに初見殺しは用意されていないようだが,「今後は出てくるんですよね? 殴ったら実は強いモンスターでした(笑)みたいな奴が」と聞くと,ベテランスタッフはにっこりと頷くのだった。
素の状態ではキャラクターの移動や攻撃スピードがとても遅いので,ポーションを飲んでバフをかけるのが基本になるらしい。さらに,体力を回復するのも基本はポーションで,ポーションをがぶ飲みしながら戦うそうだ。みんなポーションでお腹がたぷたぷにならないのか。
アイテムを補充しようと思い,アイテム画面やショップを眺めていて違和感に気付いた。アイテムの説明がなにもない。ベテランスタッフにも「そういえばそうですね(笑)」といった反応をされたので,慣れって怖いなと思うのだった。要するにここでも「使えばわかる」になるのか。
しばらくチュートリアルを進めていると,敵の数が多いせいか苦戦してくるようになった。さっきまでさんざん優しかったのに,何かがおかしい。よく見ると,アイテムの所持品一覧にプレゼントのようなBOXや,指輪っぽいものが入っている。「あ。それ装備してください」と教えられ,今までずっと初期装備で進めていたことが発覚した(もうレベル35ぐらいなんですけど……)。親切なようで,大事なことを教えてくれない,ちょっと抜けてるチュートリアルだと思った。
チュートリアルの中には,ダンジョンを探索するクエストも登場する。最近の1本道ばかりのダンジョンにすっかり慣れてしまったせいで,入り組んでいるダンジョンを見て思わず「えっ」と変な声が出た。
さっきまで「操作が直感的で簡単じゃん」などと余裕をぶっこいていた筆者だが,すでに操作が怪しい。しかも,モンスターのPOPがかなり早く,倒しても倒してもモンスターが襲い掛かってくる。これだけ群がられると,どこをクリックすればいいのか,そもそも自分のキャラクターがどこにいるのかもわからない。
自分のキャラクターってどうやって見分ければ良いですか? とアドバイスを求めると「キャラクター頭上のHPバーを見てください。あとは頑張って目を凝らして」と教えてもらった。それはつまり,解決策はないということか。
デスペナルティがあるので,死ぬと経験値をロストしてしまう。ただし,レベル55までは死んでもペナルティがないので,その間は勉強だと思っていくらでも無茶なプレイができる。
運のなさを発揮するエンチャントチャレンジ
パーティプレイもやってみた
チュートリアルもだいぶ進み,ゲームにも慣れてきたので,ここからは事前に用意してもらったキャラクターを操作して,実践的な遊びを体験することになった。
まずは,まともに戦えるように用意してもらった「真デスナイトパッケージ」を開封し,入っていたアイテムを装備していく。「リネージュ」ではアップデートのタイミングなどに,こういったパッケージ装備が期間限定で販売され,レンタルという形で強化された装備と変身を使用できる。新規だったり,久々に復帰したプレイヤーにとってはかなり便利なアイテムだろう。
次に,このパッケージのありがたさを実感するためにも,装備の強化を自分でしてみましょうと「クリスタルショートソード」という剣を10本渡された。真デスナイトパッケージに入っている剣は「クリスタルショートソード+8」であり,つまり8回強化されているものなのだ。
武器を強化するには「エンチャント」を行う。エンチャントに成功した場合は,強化値が+1され,失敗すると武器が消滅する。最近のゲームだと“武器が消滅する”なんて文面そうそう見ないぞ……。
自分の育てたキャラクターではないので,そこそこ気が楽ではあるが,ドキドキしながらエンチャントの成功率を聞いてみると「半々ぐらいかな?」と返ってきた。ゲームには成功率なんて書かれていないし,正式な確率は公表されていないらしいが,5割くらいなのだろうか。
エンチャント方法はとても簡単で,「エンチャントスクロール」というアイテムを選択して,強化したい武器をクリックするだけ。このたった2回の選択だけで強化できたり,武器が消えたりするのだから恐ろしい。
今回試しに使った「クリスタルショートソード」は+6までは確定で成功するらしく,+6以降が「5割ぐらいかな?」の世界となっている。結果から言うと,10本中+7になったのが2本,+8になったのが0本だった。本当に5割ですか? と聞いても「5割“ぐらい”ですよ」と返され,ああこれが黎明期のMMORPGかと思い知らされるのだった(おおむね予想通りではあるのだが)。
装備のありがたさを実感したところで,ベテランスタッフとパーティを組んでインスタンスダンジョンの探索とフィールドでの狩りに出かけてみた。
最初は何もわからないまま「簡単だから行けるでしょ」とインスタンスダンジョンに連れていってもらった。たしかに,入口のNPCにも「難易度 易」って書いてあるし,簡単なのだろうと信じ切っていたが,それはすぐさま裏切られた。
今回突入したインスタンスダンジョンは,続々と登場してくるモンスターを倒していくというものだったが,目の前の敵を普通に攻撃するだけでは,モンスターを捌ききれずにあっという間に囲まれて全滅してしまうのだ。
今回は時間がなかったため,スキルの使用など教わっている暇がなかったのも敗因だが,「リネージュ」にはクラスごとの役割があり,それを理解しておく必要もあるようだ。
まず,ヘイトの概念があるため,筆者が使っているナイトのような耐久性の高いクラスが攻撃して,敵を引き付けなければならない。エルフのような遠隔攻撃メインのクラスは打たれ弱く,狙われるとすぐ死んでしまうのだ。回復支援ができるクラスもあるので,できればパーティに入れておきたかったが,今回は最初にオススメされたナイト,君主,エルフの3人PTだったので,高レベルキャラでもポーションを2,300個ほど抱えて進んで行くしかないのだ。
次はフィールドに出て狩りを体験してみる。今度はしっかりパーティプレイを意識して,1体の敵を囲んで殴ることにしたのだが,またもや何か違和感を感じる。取り囲んで殴りたいのだが,何かが邪魔をしている。
わかった! スタッフ(目の前の君主)が邪魔なんだ! プレイヤーキャラクターが重なるなんて当たり前のように感じていたが,「リネージュ」ではキャラクターを重ねたり,すり抜けたりできないので,横にずれて立ち回らなければならない。これが今日1番の衝撃だった。
これがリネージュの醍醐味「攻城戦」だ
激しい攻防を見学してきた
体験ツアーの最後には,「リネージュ」の目玉コンテンツ“攻城戦”を見学することになった。ちなみに,今回お邪魔したのは「Deporoju」ワールドだ。
17年以上サービスしているゲームなのだから,プレイヤーも落ち着いているのだろうと勝手に思っていたのだが,予想以上の賑わいに驚かされた。ワールド統合を行ってから,1つのワールドに人が集まっていて,この「Deporoju」ワールドは比較的人が多いとのこと。
攻城戦は,城の所有権を懸けた血盟単位で行う大規模な戦闘で,毎週日曜日の22時から23時の1時間限定で行われる。城はギラン城,ケント城,オークの要塞の3か所あり,君主が布告をして所有権を奪いに行く。
城の所有権を獲得した血盟はさまざまな特典が得られるほか,所有する領土の税率を自由に調整し,税金を受け取ることができる。なので,NPCが販売しているアイテムは城主によって金額が異なるのだ。
攻城戦のルールはシンプルで,城内にあるガーディアンタワーを君主が倒すと城の所有権が移る。それを踏まえたうえで,勝利条件は3つ存在する。
- 前週の攻城戦に勝利した血盟が,22時から22時50分まで所有権を防衛する
- 攻城側の血盟が22時から22時40分までの間に所有権を獲得し,それを20分間維持する
- 上記2つの条件が満たされなかった場合は,23時時点で所有権を持っている
50分所有権を維持するのは難しいようで,今回見学した戦いも奪い奪われの激しい攻防が繰り返されていた。ガーディアンタワーが倒され,城の所有権が移ると城の状態がリセットされ,攻城側になったプレイヤーは強制転送されて城門を攻めるところから再スタートとなる。見学している間に何回も城外へ飛ばされたので「あ。また所有権が移ったんだな」というのはすぐにわかった。
たぶんここの2つの血盟は結託しているんだろうとか,遠巻きに見ている血盟はギリギリになってから攻めてくるのかもしれないとか,ベテランスタッフによる解説を交えつつの見学は,わからないなりにも見ていて面白かった。
個人的に注目したのが,「赤き騎士団」というNPCをリーダーとする第三勢力が存在していること。「赤き騎士団」にはプレイヤーも加入することが可能で,普段は血盟に加入していなかったりソロ専のプレイヤーも,この血盟に入れば気軽に攻城戦を楽しめるというわけだ。見学しに行った前週にはギラン城を「赤き騎士団」が所有していたので,あながち馬鹿にできない戦力なのだろう。
この攻城戦はまだ「リネージュM」には入っていないとのことだが,果たしてこれがスマホでできるのだろうか……。キャラクターの表示や操作がかなり大変そうだが,これだけ盛り上がるコンテンツなのだから今後の導入に期待したいところだ。
今回のリネージュ体験は5時間ほどしかプレイできなかったが,夢中になりすぎて最初の2時間はあっという間だった。スタッフに「少し休憩しましょう」と止められなかったら,おそらく5時間ぶっ通しでやっていたかもしれない。ずぶの素人でもこれだけ楽しめるのだから,そりゃスマホ版が出たと大騒ぎになるのもよくわかる。
今ではチュートリアルがしっかり整備され,まったくの初心者でもゲーム序盤で困ることや,理解が追い付かないというようなことはほぼなかった。もちろん,チュートリアルから先が本番であり,そこから「リネージュ」本来の厳しさが見えてくるのだろうが,全体的に現代のプレイスタイルに合わせて,システムの簡略化や時短化はされており,“昔のゲーム”といったクセの強さはそれほど感じなかった。
「リネージュ」の体験は以上になるが,今回JOGAが企画したツアーにはあと3つのMMORPG体験が残されている。また,知らないダンジョンに放り込まれ,幾度となく死ぬことになるのだろう……。筆者にとって武者修行のような体験ツアーは続く。
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