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中級以下のプレイヤーも楽しめる新エリア導入:「リネージュ クロスランカー」エピソード4開発者インタビュー
4Gamerではこの機会に,エピソード4の見どころや,開発側としてぜひとも実現したかった事柄,つまりキモの部分を聞いてみるべく,インタビューを行った。アップデート当日である本日(11月22日),そこで聞けた話をお届けしよう。
■中級プレイヤー向けの地上エリアも追加される
本日はよろしくお願いします。まずはお三方の,開発における担当分野を簡単に教えてください。
Yue,Hyung Uck氏:
魔法とアイテムの企画を担当しています。
Kim,Kyu Ho氏:
ゲーム内でのイベントとクエストが担当です。
Shim,Min Kyu氏:
ユーザーインタフェースと,クライアントプログラム全般の開発が主な仕事です。
4Gamer:
日本では間もなくエピソード4が実装されますが,お三方がそれぞれエピソード4の開発で苦労したところを教えてください。
Yue,Hyung Uck氏(魔法/アイテム):
難しかったところとしては,システム面とコンテンツ面がありますが,コンテンツ面でいうと,いままでラスタバドやディアド要塞が,多くのプレイヤーにとってハイレベルすぎて,やや近寄りがたかったという経緯があります。これを,どうプレイしやすくしていくかが課題ですね。
Kim,Kyu Ho氏(イベント/クエスト):
エピソード4には「地下大空洞」という地域が登場し,そこには「魔族の神殿」や「巨人の遺跡」などが存在しますが,そこに,なぜラスタバドが現在のようになったかというストーリーが隠されています。また,リネージュ クロスランカーはこれまで,地下へ,そのまた下へとエリアを展開してきましたが,今回は地上でプレイできる「海賊島」などのエリアを取り入れています。
そうした,いままでのものと性格の違うエリアを工夫することには,それなりに苦心しました。
4Gamer:
ダンジョンの続きではなくて,今度は地上のエリアに出られるわけですね?
Kim,Kyu Ho氏(イベント/クエスト):
海賊島から,さらにダンジョンがあったりはしますけどね(笑)。海賊島については展開が前半と後半に分かれていまして,後半部分についてはまだ明かせないのですが,前半には新しいクエスト,ストーリーがあって,対象レベル帯があまり高くないクエストが用意されています。
4Gamer:
ところで,ラスタバド城(ダークエルフの本拠地)は,通常の城のようにプレイヤーの血盟が所有できるのでしょうか?
Kim,Kyu Ho氏(イベント/クエスト):
現段階で所有することはできません。実は,ラスタバドについて詳しく解明されるのは,エピソード5のタイミングです。いままでなかった新しい概念の狩り場と考えていただければと思います。
4Gamer:
敵の城,ということですか。今後所有できるようになったりするのでしょうか,それとも,そういった概念自体ないのでしょうか?
Kim,Kyu Ho氏(イベント/クエスト):
ええ。プレイヤーにはそもそも所有できない場所になっています。
4Gamer:
なるほど……ところで,ラスタバドとダークエルフ,また地下にある巨人の遺跡との関係などは,エピソード4のクエストで明かされていくのですか?
Kim,Kyu Ho氏(イベント/クエスト):
実はエピソード4,5,6は一連のストーリーになっていまして,エピソード6までいけば,一つのパートが完結して,すべての謎が解明される予定です。
■上級プレイヤー向けの「魔族の神殿」と開放/閉鎖可能なケント城のダンジョン
エピソード6で一区切りですか。さすがにエピソード6の話は今お聞きできないと思いますので,当面のエピソード4について(笑)。新たに加わったエリアそれぞれの特徴について,ひととおり教えてください。どんなモンスターが出現し,どういったストーリー要素が秘められ,また,どのような新アイテムが手にはいるか,お聞きできればと思います。
Yue,Hyung Uck氏(魔法/アイテム):
新エリアは七つありますが,まず「地底湖」と「精霊の墓」からいきます。ここでは2〜3人の小規模パーティで狩りができ,新しいモンスター--巨大なウサギの「マンボラビット」とかですね--が登場し,もちろん新しいアイテムも手に入ります。
それに対して「魔族の神殿」は,大人数のパーティによる冒険に向いたエリアです。デザインは“地獄”をイメージしています。韓国ですでに導入されている仕様でも,登場するモンスターの平均レベル帯は53と,かなり高めです。
海賊島と「海賊島のダンジョン」については,低レベルから中レベルまでのプレイヤーが楽しめる狩り場として用意しました。先ほども述べたとおり,クロスランカー パート2は全般に暗かったので,逆に明るくして,気軽に遊べる場所にしたわけです。
地下大空洞と巨人の遺跡については,狩り場というよりもストーリー性に力点があります。とくに巨人の遺跡は,今後魔族の神殿につながるストーリー展開が予定されています。一方の地下大空洞は,エピソード4段階ではとくに明かされる話はないのですが,エピソード5でラスタバドと関連してくる,重要な場所になります。
4Gamer:
なるほど。それぞれの地域で手に入るアイテムについてはどうですか?
Yue,Hyung Uck氏(魔法/アイテム):
全体の傾向で言うと,特定のエリアで新アイテムが集中的に手に入るというのでなく,新規のエリアが増えたことに応じて,バランスよく配置するようにしました。
4Gamer:
新エリアとしてはもう一つ,「ケント城の隠されたダンジョン」というのがありますが,これについては何か特別な仕掛けがあるのでしょうか?
Yue,Hyung Uck氏(魔法/アイテム):
ケント城の隠されたダンジョンについては,当初,城主血盟専用ダンジョンとアナウンスされたのですが,これは少しニュアンスが違います。というのも,城主が城門を開けば,血盟員だけでなく誰にでも公開できるからです。
いままで城を手に入れる/維持するのは主に経済的な行為だったわけですが,今回からは政治的な意味合いを取り入れています。また,今後ケント城以外の城にもダンジョンを用意していきます。
4Gamer:
なるほど。ケント城に限らず今後,城主でいることによってコントロールできる事柄の幅が広がるわけですね。ところで城主血盟にとって,城門を開放するメリットは何なのでしょうか?
Yue,Hyung Uck氏(魔法/アイテム):
ダンジョンに入る前には,多額のアデナ(ゲーム内通貨)を払わなければならないので,それが城主血盟の収入になるということです。先ほども述べたとおり,単に収入になるだけでなく,城主の判断で開放/閉鎖できるのも,ゲーム上の大きなポイントです。
4Gamer:
“入場料”の額は任意に設定できるのでしょうか?
Yue,Hyung Uck氏(魔法/アイテム):
金額は変えられません。あくまで開閉のみですね。サーバーごとにFIXされた金額がありますので,多くのプレイヤーの意見がまとまれば,また違ってきますが。
4Gamer:
ケント城ダンジョンではレアなもの,“使える”ものが手に入るのですか,それとも金銭的な実入りが大きいのでしょうか?
Yue,Hyung Uck氏(魔法/アイテム):
両方ですね。経験値/アデナ収入が大きいですし,ここでしか手に入らないアイテムもあります。また,まだ詳細は明かせないのですが,ユニークなアイテムを作ってくれるNPCも,今後配置される予定です。
■PvP向けのステータス変更アイテムと,新武器「カトラス」
エピソード4では,新しい魔法/スキルが何点か追加されると聞きました。これについて教えてください。
Yue,Hyung Uck氏(魔法/アイテム):
エピソード4で主に追加されるのは「精霊の魔法」ですね。また,ドラゴンをはじめ,各モンスターが使う魔法の画面エフェクトも新しくなります。
4Gamer:
新しいアイテムも240種類ほど追加されるそうですね。とくに,キャラクターのステータスを変更する(HPを下げてほかのステータスをアップさせるなど)アイテムも含まれていると聞きました。プレイバランスに与える影響が大きいだけに,実装はさぞ大変だろうと思うのですが。
Yue,Hyung Uck氏(魔法/アイテム):
ええ。例えば実はキャラクターのステータスを大きく変える,一連の「リング」アイテムがあります。これについてはテストサーバーでさまざまに試したのですが,韓国でも結果として本サービスのサーバーにはほとんど導入しませんでした。変化が緩やかなアイテムについては,予定どおり導入できたんですけどね。
リングについては,STR,CONなど6種類のキャラクターステータスに応じて種類が存在します。その中でもINTのリング,これを使うことで値が±2されるのですが,これがほかの能力値に与える影響があまりに大きかったので,NGになってしまいました。
4Gamer:
やはり相当苦労したということですね。そのあたり,プログラマーのShimさんとしてはいかがでしたか?
Shim,Min Kyu氏(クライアント/インタフェース):
ええ。新しい魔法や,スキルシステムを既存のシステムに追加して,正常に機能させるのには本当に苦労しました。
4Gamer:
プログラマーの領分として,エピソード4でほかに盛り込んだ新要素などはありますか?
Shim,Min Kyu氏(クライアント/インタフェース):
キャラクター選択画面で,選ばれたキャラクターがポーズを取ったり,アニメーション表示されたりするように,クライアントを改良したというのがありますね。
4Gamer:
なるほどなるほど。プレイ内容そのものではないですが,プレイヤーの印象として重要な部分ですね。そのほかに「ここは工夫した」というポイントはありますか?
Yue,Hyung Uck氏(魔法/アイテム):
工夫したものといえば,海賊島で手に入る剣「カトラス」がありますね。というのも,現在剣といえば「ツルギ」(日本刀)がメジャーなのですが,これに代わる選択肢を用意したいということなのです。
また従来,剣といえば短剣など片手剣がメインでしたが,斧や槍に新規のアイテムを付けられるようにして,活躍できるようにしています。そのほかにも,気絶,昏睡,金縛りといった状態異常を引き起こすアイテムや,それをレジスト/解除するアイテムを大量に追加しています。
そして,こうしたアイテムはエピソード5,エピソード6でも引き続き追加していきます。
4Gamer:
だとすると,カトラスにはそれなりのメリットが付与されていることと思いますが,それはどのようなものでしょうか?
Yue,Hyung Uck氏(魔法/アイテム):
カトラスは既存の「ダマスカスソード」と「シルバーソード」の能力を兼ね備えています。シルバーの属性を持ちながら,壊れないのがポイントですね。
4Gamer:
ツルギと対置されることを考えると,カトラスは誰か特定のNPCに作ってもらう形になるのですか?
Yue,Hyung Uck氏(魔法/アイテム):
いいえ,海賊島でのドロップアイテムです。エピソード4ではカトラス以外にも,「オリハルコンダガー」や「ミスリルダガー」,「クリムゾンランス」や「デーモンアックス」など,いろいろな新武器が手に入ります。
■リニューアルされたドラゴンにからむ新クエストも
そのほかにレアなアイテムが手に入る機会としては,ドルーガ家のクエストというのがあります。クリアするにはゲームに登場する四匹の竜すべてを倒す必要があるのですが,そこでは今までに見たことがないような,高性能かつユニークなアイテムが手に入ります。
そうそう,面白いアイテムとして「無限の矢箱」というのもあります。これは,(ゲーム内時間でなく実時間で)1日1回ランダムでいろいろな種類の矢が出てくるというものです。今回追加される「オリハルコンの矢」や「ミスリルの矢」も登場しますが,ごく普通の矢のときもあります。
4Gamer:
うーん,1日1回となると実用性は微妙な気もしますが,確かに,くじ引きみたいで面白いアイデアですね。話は少し戻りますが,ステータス変更アイテムの主たる用途は,やはりPvPですか?
Yue,Hyung Uck氏(魔法/アイテム):
ええ,主にPvPを想定して企画しました。とくにリングはレベル50以上でないと装備できない設定です。もっとも,先刻申し上げたとおり,リングはまだほとんど実装されていませんが。
4Gamer:
PvPに関連してお聞きしたいのですが,リネージュ クロスランカーのプレイヤーは,国内では戦争,PvPに大きな関心を持っています。韓国でもそういう傾向がありますか? それとも,新しいエリアの冒険をメインにプレイしている人も,それなりに多いのでしょうか?
Kim,Kyu Ho氏(イベント/クエスト):
韓国でも以前はPvPが中心でしたが,最近はエリアが拡張されたためもあって,半々くらいだと思います。
4Gamer:
なるほど。では最後に,お三方それぞれから日本のプレイヤーに,ぜひメッセージをお願いします。
Yue,Hyung Uck氏(魔法/アイテム):
日本国内でリネージュ クロスランカーをプレイしてくれている方に感謝の言葉を申し上げます。今後もみなさんに楽しさを提供するためにがんばっていきますので,よろしくお願いします。
Kim,Kyu Ho氏(イベント/クエスト):
今まで全体のアップデートの担当でしたが,今回さまざまなコンテンツやクエストを担当して,さまざまな要素を追加してきました。今後とも,いままでみなさんが体験していない新しいクエストなどを盛り込んでいきますので,リネージュ クロスランカーを末永く楽しんでいただけたらと思います。
Shim,Min Kyu氏(クライアント/インタフェース):
いままでリネージュを運営する中で,実際にいくつかのバグが生じてきてしまいましたが,今後そうしたことでプレイヤーが苦しむことのないよう,バグのないリネージュ クロスランカーをみなさまにプレイしてもらえるよう努力しますので,今後ともよろしくお願いします。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
ダンジョンの深奥,押しも押されぬ上級プレイヤー向けエリアの「魔族の神殿」から,レベル20未満でも楽しめる地上エリア「海賊島」まで,広汎なエリアを含むエピソード4。もちろん新しい武器や,いささかトリッキーなステータス変更アイテムも忘れてはならない。
広いレベル帯のプレイヤーをターゲットにしていることは,インタビューでまさに言及されているとおりだが,それにも増して,一時期PvPに収斂しつつあった韓国のプレイヤーが,フィールドでの冒険に帰ってきているというのが興味深い。エピソード4の懐の深さを,いわば裏書きする動向といえようか。
国内でも本日導入されたエピソード4。このところ,新しいプレイのトピックが見つからなかったというプレイヤーには,まさに打って付けの新要素だ。地下に広がる「大空洞」の奥に,ダークエルフ誕生の謎を求めて,踏み入ってみてはいかがだろうか。(Text by Guevarista,Photo by 市原達也)
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