インタビュー
「ラグナロクオンライン」,ビフロストアップデート第2弾プレイレポート&10周年を迎えるROの2012年の年間計画インタビュー
日本独自のクエストなどコンテンツに大きな手応え
2012年はそれを踏まえて,さらに攻城戦コンテンツの拡充を目指す
ビフロストアップデート第2弾のテストプレイ後,千葉亮一氏とRocca氏にも参加してもらい,2011年のROを振り返ってもらいつつ,ROが10周年を迎える2012年の展望と抱負について話してもらった。
4Gamer:
まずは,2011年を振り返ってみて,いかがだったでしょうか。
2011年はやはりイベントですね。5月の末ぐらいから,クエストなど日本独自のコンテンツを積み重ねていき,年末までに常に何かしらのイベントが起きている状態を作りあげることができました。
千葉亮一氏(以下,千葉氏):
季節イベントの場合は,季節的なものを感じつつ戦闘やクエストを,どんなレベルのキャラクターでも楽しめるような形にしてきました。
そのほかにも,例えば戦闘に特化した「DimensionDiver」や,逆に戦闘を一切行わない「オクトーバー釣りフェスト」など,エッジの効いたイベントをやってみたり,ゲーム内のイベントだけでなく生放送と絡めて楽しめるようにした「SUMMER NIGHT CARNIVAL!!」などを企画してみたりしましたね。
もちろん,これらだけではすべてのプレイヤーをフォローできてはおらず,賛否両論はありましたが,それを踏まえた上で2012年もイベントやコンテンツを提供していけたらなと思います。
4Gamer:
イベント以外では,討伐クエストの実装や,3次職実装後に行われたモンスターの経験値などの調整で,レベル上げが楽になった印象がありましたね。
千葉氏:
そうですね。討伐やモンスターの調整,配置変更については,ほぼ毎月何かしら必ずやってきました。ただモンスターを狩るだけではなく,数値で自分なりの小目標が見えるという意識付けができたと思います。
パーティーを組んで画面内であればキルカウントを共有することもできますので,一緒に遊ぶきっかけになってくれていればいいですね。現状,討伐クエストはBaseLv80から,最大討伐数が600体となってますが,もう少し細分化したり,もう少し下のレベルに開放したいなとも考えています。
4Gamer:
あとは,年末に行われたワールド対抗戦なども印象深かったです。
千葉氏:
年末にワールド対抗戦が行えたのは,我々としても非常に大きな収穫で,プレイヤーのみなさんから大きな反響をいただけました。
ワールド対抗戦をニコニコ生放送で放送して,直接参加できなくても楽しんでもらうことができ,その結果,公式サイトのスクリーンショットを見ただけでは分からない動くROを見て,まったくROを遊んだことがない人が「面白そうだな」と新規で登録してくれたりもしました。
4Gamer:
確かに,ROに直接接していない人からすると,動画でROを見る機会というのは,それほど多くはなかったですね。
Rocca氏:
RWC(Ragnarok World Championship)は,ニコニコ生放送さんやUstreamさんで生放送したんですが,トータルで約20万人に視聴してもらえました。ワールド対抗戦の決勝も夕方であるにもかかわらず,12万人以上の方々に見ていただくことができて,現役プレイヤーさん以外にも広がりがでてきたのかなと思っています。
ワールド対抗戦については,3年ぐらい前から私自身がやりたいと言ってまして,なんとか2011年にできてよかったなと思ってます。
4Gamer:
では,2012年はどのようなものに注力していこうと考えていますか。
初心者向けに冒険者アカデミーという導線は張ってありますが,BaseLv50ぐらいから一度切れてしまうんです。ですので,2012年に注力したいモノとして,その辺りをうまくカバーして,BaseLv70〜80,そして転生してもらうための導線を引き続き設置していきたいと考えています。
ストーリーを楽しみながら,小規模な目的の達成を繰り返していくことで,今となっては中レベルということになってしまいますが,転生を目指すことができるようなものにしていきたいですね。
新規プレイヤーを脱落させずにどう遊んでいただくかという命題は,日本だけでなく韓国や台湾を含めた全世界の課題となっていますので,グループ全体で取り組むべき課題として協力して行っています。
Rocca氏:
企画としては,2012年は2つの柱を中心に考えています。
1つ目の柱は10周年です。2012年の12月1日でサービスインからまる10年になりますので,10周年というキーワードを掲げて,1年かけて徐々に盛り上がりを作っていこうかと考えています。まだ詳細はお話しできませんが,ゲーム内のコンテンツもそうですし,これまで実施したことのないようなキャンペーンやコラボレーションなども予定しています。10周年という区切りだからこそできる大きいことをやっていきたいと,企画を進めている最中です。
4Gamer:
どのような内容になるのか楽しみです。2つめの柱はどんなものですか?
Rocca氏:
先ほどのワールド対抗戦にも繋がりますが,毎週日曜日に行われている攻城戦というコンテンツです。
現状のROの中のコンテンツでも到達点の1つである攻城戦ですが,実装されてから結構経っていまして,正直なところ戦う相手が毎週それほど変わりません。そんな中,ワールド対抗戦でワールドの垣根を越えた戦いは,ローカルルールや戦法の違いが刺激的だったようで,プレイヤーのみなさんからは好評でした。
そこで2012年は,現在の攻城戦を中心として,その上のコンテンツとしてワールド対抗戦を2回ほど開催したいと考えています。
千葉氏:
ワールド対抗戦のファーストステージとセカンドステージのチャンピオンによるNo.1対決などを,ア二バーサリーイベントの一環として10周年記念への流れに組み込めればと思います。通常の攻城戦の最強ギルドを決める! という形にも持っていけたらといいですね。
4Gamer:
それは面白そうですね。ただ攻城戦は,かなりの装備とレベル,経験とお金(Zeny)が必要となります。また,ずっと攻城戦を続けているプレイヤーは当然強いわけで,新しく参加しようにも難しいのですよね。
Rocca氏:
そうですね。そこで,攻城戦の下のコンテンツとして,導線になるような「プレ攻城戦(仮)」といったものを考えています。
4Gamer:
それは,どういったものになりますか?
Rocca氏:
プレ攻城戦(仮)は,既存の攻城戦の雰囲気を知るための手段になるものです。まだ詳細はお知らせできませんが,例えば参加は上位2次職までと制限をかけたり,最低限必要な装備をレンタルできたり,この中でしか使えない消耗品を安価に販売,または提供したりして,元手があまりなくてもギルド攻城戦が楽しめるように考えています。もちろん,プレ攻城戦(仮)用の新しい神器や特典も設定したいと思っています。
また,攻城戦に参加してみたいと考えている初心者だけではなく,現在攻城戦をプレイしているプレイヤーにも低レベル帯のキャラクターで参加してもらい,対人戦の知識を伝えたり,コミュニティ拡大の役に立てばと思います。
4Gamer:
なるほど。その際にネックとなるのがギルドだと思います。攻城戦がやりたいと思っても,初心者の中には特定のギルドに入っていない人もいるでしょうし,そもそも攻城戦で戦える人数が揃えられるかも分かりません。
Rocca氏:
攻城戦に参加するためのギルドにどうやって所属するかですが,例えばいままでの初心者向けイベントのように,キャストキャラクターのようなモノを立てて,そのキャラクターのギルドに所属してもらって,攻城戦を楽しんでもらう。一定期間後はそのまま所属してもいいし離れてもいいというものなど,施策として考えていきたいです。
千葉氏:
帰属意識が高い,最小単位のコミュニティってギルドなんですよ。人海戦術で誘導するようなタイプにしますと人員的にも厳しいところがあるので,ギルドに対する誘導方法をシステム的にできないかと開発と検討しているところです。
ギルドに所属する魅力――最終的には攻城戦を楽しんでもらいたいですが,別のベクトルでギルドを盛り上げるですとか,先ほどのキャストキャラクターじゃありませんが,NPCギルドに所属してみるとか,システム的にサポートする方法がないかというところを検討しています。
まずはギルドに参加していただく。そうしないと,低レベル帯とはいえプレ攻城戦(仮)も難しいので,そこを含めてやっていきたいなと思います。
Rocca氏:
ただ,その一方で「攻城戦に参加しなくちゃダメ」という空気にはしたくはありません。
4Gamer:
そもそも対人戦は嫌だというプレイヤーは少なくないですよね。
Rocca氏:
そうです。ですので,そういったプレイヤーには無理に攻城戦に参加してもらうのではなく,別の形で攻城戦に興味を持ってもらえるような「ギルドサポーターシステム(仮)」の実装を予定しています。
4Gamer:
それはどういったシステムですか。
例えばサッカーのサポーターのように,参戦するのではなく,応援する側になってもらうというもので,RO SNSと連動して攻城戦の参加表明をしたギルドに,一口いくら(Zeny)という形で投資できたりします。そして,投資したギルドが勝てばリターンが得られます。攻城戦そのものには興味がなくても,自分が張ったギルドは応援したくなりますよね。
リターンの内容はまだ検討中ですが,単にZenyというのでは面白くないので,特別なダンジョンへ入れるようにするとか,ポイント制にして何かと交換できるようにするといったものを考えています。
攻城戦出場ギルドの戦績などは,RO SNSで閲覧できるようしますので,いろいろな立場のプレイヤーが攻城戦を通して,ギルドとのコミュニケーションの場として活用してもらえればと期待しています。
4Gamer:
プレイヤーに対人戦の楽しさを伝える方法として,こうした大規模な攻城戦ではなく,例えば個人で楽しめるような小規模な対人戦などはどうなのでしょうか。
千葉氏:
RJC(Ragnarok Online Japan Championship)のような,少人数での対戦にもすそ野を広げてはいきたいですね。ただ,RO内でそれを回そうとすると専用サーバーを立てる必要があり,難しいところです。ですので,今は動画などによるプロモーションで,アプローチしていければと思っています。
未実装の要素は今度どうなるのか?
3次職スキルテストも状況が改善し次第,再開する予定
4Gamer:
2011年は数多くのイベントが実施され,それを楽しんだプレイヤーも多いと思います。その一方で,実装が発表されたものの,未実装の要素が多々ありました。
大変お待たせしてしまっています。これらは韓国で実装済みのものを発表したのですが,大がかりなシステム調整が必要なものや,実際に動作確認をしたところ,そのまま導入すると問題があるものが多かったことが遅れている要因です。
これまでその調整に奔走していまして,いくつかの要素に関しては実装のメドが立ってきました。これらを,2012年の早い段階で順次実装できればと考えています。
4Gamer:
具体的には,どのような要素を実装できそうですか?
千葉氏:
まず,「パーティーマッチングシステム(仮)」に関してはメドが立っていて,現在準備中です。モンスター変身システムや騎乗システムも準備を進めていますが,一斉にという物量ではないので,ビフロスト第2弾以降に順次アップデートしていけたらなと思います。イズルード海底神殿深層や生体工学研究所4階,マランアイランドも順次スケジュールには乗せている状態ですので調整しながら入れていきたいですね
一方,露店検索システムと墓標システムは実装を見送っている状態です。スキル自動習得システムも,現状の仕様上では危険な状態になっていまして,メドが立たず見送り中です。
4Gamer:
もう一つ大きなものとして,中断されたままの3次職のスキルテストがあります。
千葉氏:
はい。こちらも大変お待たせしてしまって申し訳ありません。あのとき,サーバーキャンセル(サーバーに接続できない状態)が大量に発生しまして,サーバー側のプログラムがダウンしたという現象がありました。また,修正した3次職のスキルを大人数で使ったときに問題がないかというテストの内容もありましたが,我々がやりたかった3次職のスキル変更以外の変更点が紛れ込んでしまい,テストにならない状況になっていました。我々としても,正しいテスト結果を吸い上げることができないと判断し,テストを中断させていただきました。
4Gamer:
なぜ,そのような状況になったのでしょうか。
千葉氏:
当時の経緯を申し上げますと,3次職のスキル調整自体,弊社としては重要なものから順次と考えていたのですが,開発元であるグラヴィティのほうから,ある程度まとめて一度に調整したいという話が出てきまして。時間もかかるし検証などの問題も出るので難しいとは思ったのですが,最終的には両社で企画から調整を行い,体制も整えてやろうということでスタートしました。ただ結果的には,いまお話ししたような問題が起きて中断という形になってしまいました。
4Gamer:
再開に向けた作業は,現在も進められているんですか。
千葉氏:
はい。現在は,開発元と協力して修正作業を行っています。再開時には,同じ間違いはできませんので,前回とはやり方を変えて弊社側で3次職スキル調整部分のデバッグを慎重に行っているところです。その分,お時間をいただいてしまっているのですが,ここで計算式など問題ないと判断できましたら,改めてテストを再開したいと考えています。
4Gamer:
サーバーキャンセルが大量発生していた点は,解消のメドが立ったのでしょうか。
千葉氏:
単なる負荷の問題なのか,それとも精霊システムやホムンクルスSなど新しいシステムが問題なのか,まだ原因が特定し切れていません。そこを確認するためにスキルテストと同時に行うのは難しいので,別途負荷テストという形で行おうかと検討しています。そして第1クォーターか第2クォーターあたりにテストが再開できればと考えています。
4Gamer:
分かりました。ちなみに,今後行われるテストでは,前回のテストに参加したプレイヤーはそのまま参加できるんですか?
千葉氏:
はい,テストに参加したプレイヤーさんのアカウントは保持していますので,準備が整い次第,改めてテストの協力をお願いさせていただく予定です。
いよいよ10周年! 今年のROからは目が離せない?
4Gamer:
最後に,4Gamer読者へのメッセージをお願いします。
千葉氏:
2012年は,ROの10周年という大きな1年になります。既存のプレイヤーさんにとっても10周年という集大成的なところがあると思いますし,オンラインゲームの中でも10年続いているタイトルはそんなに数が多くなく,長く続いている安心感もあります。
しかし,安心感だけならいいですが,価値観の違う新しいプレイヤーさんからすると「10年前のゲームって果たして面白いのか?」というところもあり,10年という言葉が必ずしも好印象になるわけではないと思います。
我々としては10周年,そして今後20周年30周年と提供していけるタイトルです,安心して豊富なコンテンツで楽しめるコンテンツですと,新規のプレイヤーさんはもちろん,現在遊んでいる方や休止している方にも向けて,10周年というキーワードを中心に多方面で展開,提示していこうと思っていますので,ぜひご期待ください。
Rocca氏:
ROが10周年を向かえることができるのは,ここまでさまざまな形で愛していただいたプレイヤーのみなさんのおかげです。本当にありがとうございます。
ずっと続けていらっしゃる方も最近遊び始めた方も,そしていまは休止している方々も,延べ人数で見ればかなりの数になります。いま遊んで楽しい,そしてこれからも楽しく遊んでいけるコンテンツとして,今後もわくわくするような提案をさせていただきたいと思ってますので,これからもよろしくお願い致します。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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