プレイレポート
修道院にはハイレベル向けデーモン/アンデッドがうようよ。「ラグナロクオンライン」,「名もなき島」アップデートレポート
このアップデートの概要は,先日のプレスカンファレンスの記事でもお伝えしているものの,今回あらためてガンホーを訪問し,一足先にテストプレイをさせてもらった。案内役は, RO 制作担当 野呂 彰氏と大岸秀典氏である。
なお,下記で紹介するアイテムの効果や数値,ゲームバランスなどはあくまで取材時のものであり,アップデート実施までには変更の可能性があること,また一部表記が実際と異なることを,あらかじめご了承いただきたい。
二つの顔を持つ,謎めいた孤島「名もなき島」と「修道院」
このクエスト自体,最低ベースレベル80からという制限がつく予定であり,そもそも中級以上のプレイヤーに向けられたエリアといえる。
昼間の島を訪れると,簡素な農家といくばくかのカボチャ畑が見えるだけ。ひととおり島を探索してみても,NPCの姿すら見当たらない寂しい場所である。ところが,クエストを進めることで島に夜が訪れると様子は一変し,小さな名もなき島は「バンシー」や「ゾンビスローター」など,不死系/悪魔系モンスターが跋扈する場所となる。
名もなき島は,メインとなるダンジョンの「修道院」をはじめ,宗教国家「アルナベルツ教国」と「フレイヤ」信仰の影響を感じさせる建物が多く見られる土地だ。しかし,夜が訪れて開放された修道院には,不死系のモンスターばかりが出現する。聖なる修道院に,どうしてとりわけ邪悪な彼らが現れるのか? 昼間誰も島にいないのはなぜか? 謎の答えはクエストを通じて明らかになると思われるが,残念ながら今回のアップデートで,そのすべては解き明かされないとのことだ。
修道院は地下に向かって三つの階層で構成されている。中世ヨーロッパの修道院をモチーフにしているのか,建物内部には書庫やワイン蔵,農園(ハーブ園?)の跡地が見られ,いずれも狭く見通しの利かない通路でつながっている。
そのため視点や角度を変えても視線は壁にさえぎられやすく,うかつに飛び込むとモンスターの溜まり場になっていたりして,往生することもある。前衛/後衛のメンバー同士が分断されぬよう,慎重に行動すべきだろう。
修道院01は地上と同じく,バンシー,ゾンビスローター,フレームスカル,グールらが多数徘徊している。バンシーを除けばウィザードの範囲魔法が効果的なので,パーティメンバーが対不死系/悪魔系装備を備え,「念」属性のフレームスカル対策を忘れなければ,割と経験値収入の“おいしい”狩場になっている。
フレイヤ大神殿に似た建物だが,中には捕らわれた乙女の装飾も。もしやひそかに,異なる宗教を崇めているのだろうか? |
ワイン蔵や書庫はいかにも中世の修道院らしい雰囲気。クエストでは映画「薔薇の名前」のような事件が起こることを期待してしまう |
ハーブの代わりに(?)なぜかカボチャ農園を発見。いや,自給自足が修道院の原則ですから,これはこれで正しいのですが |
また,修道院02から出現する「ネクロマンサー」は,取巻きとしてゾンビスローターを連れているうえに,強力なスキル攻撃を連発してくる。経験値が“おいしい”からといって,トレイン行為はくれぐれも控えめに。
ここでは,さらに新たなMVPボスモンスター「堕ちた大神官ヒバム」が登場する。バンシーをおおぜい引き連れており,ほかのMVPボスモンスターと同じく,中途半端に取巻きを倒しても,何度でも再召喚してくる。また,バンシーは「呪い」の状態異常攻撃を頻繁にかけてくるので,プリーストは回復に支援にと,相変らず忙しい立ち回りが要求されそうだ。
ネクロマンサーのスキル攻撃には,十分な装備でもかなりダメージを受ける |
美しい床のモザイクとは裏腹に,両脇に並ぶ彫像はすべて首が切り落とされているようだ |
必死の思いで取得したモンスター情報。これをもとに,名もなき島実装までに読者のみなさんが,大神官ヒバム対策を立ててくれれば本望だ |
修道院エリア紹介の最後に,プレスカンファレンスでも紹介された,“蝿の王”であるMVPボスモンスター「ヴェルゼブブ」の姿をお目にかけよう。ヴェルゼブブのグラフィックスは砂漠エリアでよく見る緑のハエ,「スチールチョンチョン」のようで,取巻きに「ハンターフライ」を連れているように見えるのだが……中身の強さは言うまでもなくケタ違い。水先案内を務めてくれたキャラクター,ハイプリーストとハイウィザードはROゲーム内でも,相当入手困難な装備品で身を固めているということだったが,HPバーが減るというより,蒸発するかのように消えていった。
また,ヴェルゼブブに一定以上のダメージを与えてHPを削ると,本来の姿を現して,より強力な攻撃を繰り出してくる。変態後は範囲魔法を無効化するスキル「ランドプロテクター」まで使ってくるという,なんともいやらしいボスモンスターだ。
ヴェルゼブブは前回実施されたEpisode6.0第2弾「ベインスアップデート」のイフリートにも匹敵する存在だ。単純に能力値だけを比べるとイフリートのほうが強力だが,ヴェルゼブブの特徴は「念」属性であること。既存のボス討伐であれば高い与ダメージを出せた,「アシッドデモンストレーション」や「阿修羅覇凰拳」が通用しないとあって,ダメージディーラーをどうするかが課題になりそうだ。1パーティで美味しくいただこう,などと無茶なことは考えず,ギルド単位,複数パーティで戦術を練ってから挑戦してほしい。
中古市場が再び賑わうか? 豊富な新カードと新装備アイテム
では,最近プレイを始めたばかりの人は,さらにレベルを上げ,アイテムをある程度揃えるまで,このアップデートを楽しめないのか? その問題を解決してくれるかもしれないのが,新たな14種のカードと各種装備品の追加である。ベインスアップデートの際にも大岸氏から「新カードの実装により既存カードを装着したアイテムが,いわば中古品として安い価格で出回るなど,初/中級者の方にとっても,意味のあるアップデートになる」との話があったわけだが,その狙いは今回も同じであるようだ。
実装される武器/防具の種類も,対象となる職業も,ベインスアップデートのときよりもはるかに豊富だ。ジプシー用の鞭やクラウン用の楽器も含めて幅広く用意されているので,楽しみに待っていてほしい。いよいよ上位2次職専用のアイテムも登場したので,古参プレイヤーには垂涎ものだろう。
そのほか,精錬値が高くなるほどに追加ダメージやデバフ発動確率の上がるアイテムもあるのが,一つの注目ポイントだ。GvGに毎回参加するような上級プレイヤーにもなると,身に着ける装備品も精錬値は安全圏の+4以上なのは当たり前。お金(ゲーム内通貨)に糸目はつけず,+7から+10という高級品で固めている強者もいるのが現状である。
新しい装備品,新しいカードでより高い効果を得るために,スロット付きの装備アイテムと精錬用素材の需要が高まり,ゲーム内経済は少なからず本アップデートの影響を受けるだろう。とはいえ,今回追加実装されるアイテム類は,ほぼすべてモンスターからのドロップ品であり,一部はMVPボスモンスターからのドロップに限られるなど,入手条件は予想どおり厳しいものだ。高レベルプレイヤーが新アイテムを手に入れてこそ,余剰の中古品が市場に放出されることを考えると,新規プレイヤーがこの恩恵に与れるのは,もう少しだけ先の話かもしれない。
さて,現時点での情報を知りたい読者のために,できる限りのアイテムをここで紹介しておこう。各種装備アイテムの性能などは,今後変更される可能性がある点だけは注意してほしい。
タナトスの苦悩カード |
スケゴルカード |
ペクソジンカード |
スフィンクスダンジョンが「アヌビス」でお色直し
Episode6.0第3弾の新要素の中で最も簡単に見られるのが,スフィンクスダンジョンB4F,B5Fに追加された新モンスター「アヌビス」だ。過去数回行われたモンスター再配置とは異なり,この2マップだけに新モンスターが用意された形である。
出現数はミノタウロスに比べて少ないが,サイズが大型とあって騎士系キャラクターの育成に向いているかも? そろそろスフィンクスダンジョンは卒業か,というプレイヤーも,アヌビス実装後に改めて見直してみてはいかがだろうか。
「名もなき島」へ渡るための前提クエストとは別に,ラヘルアップデートから続くアルナベルツ教国を舞台としたメインストーリーのクエストが,今回でいったん完結する。そして,新たに名もなき島の謎に迫るクエストが,今後のアップデートで徐々に追加されていく予定だ。また,首都プロンテラでは謎の3人組「Z団」による事件をめぐるシナリオも展開される。
最近のアップデートではよく感じることだが,新規エリアがオープンしても前提クエストを設定したり,サブシナリオのクエストを同時に用意したりと,従来のように必ずしもマップの広さを目玉に目新しさを演出するのではなく,コンテンツに厚みを持たせる形になっている。クエストのためと言ってしまっては味気ないが,いまではベテランプレイヤーがめったに訪れなくなった街やダンジョンを,新旧プレイヤーが一緒に楽しめる工夫は,今後もぜひ続けてほしい。
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