インタビュー
キャラクターがペラペラになるTPS「Strinova」の開発者インタビューをお届け。ヒーローシューターと日本アニメは,勇気・協力・情熱のキーワードでつながる[TGS2024]
本作は,特殊能力を持ったキャラクターたちが,身体をペラペラな紙のように変化させる「弦化」を駆使して戦いを繰り広げるタクティカル系ヒーローシューターとなる。東京ゲームショウ2024で行われた対戦会では,早くもプレイヤーたちがこの独特なフィーチャーを使いこなして戦っていた。
「Strinova」デベロッパ交流会レポート。新ルールとマップ,部屋システムなど盛りだくさんの情報と,対抗戦で盛り上がった[TGS2024]【PR】
ペラペラな紙のような身体になって銃撃を回避するタクティカルTPS「Strinova」のイベント「デベロッパー交流会」が,TGS 2024の会場で行われた。同作プロデューサーのALAN氏も登場し,5対5の対抗戦に参加したり,ユーザーからの質問に答えたりした,イベントの様子をお伝えしていこう。
良いIPを生み出すには,点の一つ,水の一滴の積み重ねが必要――アニメ調TPS「Strinova」の会社の社長が目指すものは,世界に通用するIPを作りあげること[TGS2024]
東京ゲームショウで人気を博していた,5vs5のアニメ調TPS「Strinova」については,先んじてプロデューサーのインタビューを掲載したところだが,あのインタビューには続きがあって,その後社長にも話を聞いている。単なるアニメ調のシューティングゲームというだけでなく,「IP」を作ることを目指して作っているという社長の思想を,少しだけ聞いてみよう。
正式サービス前にもかかわらず日本のゲーマーから注目を集める本作について,iDreamSky 共同創設者兼CEOのMichael Chen氏と,プロデューサーであるALAN氏に話を聞いた。
Michael Chen氏 |
ALAN氏 |
ヒーローシューターと日本のアニメは
勇気・協力・情熱のキーワードで繋がる
4Gamer:
Strinovaの企画がスタートした経緯について教えてください。
ALAN氏:
Strinovaを立ち上げた理由は,2つあります。1つは,開発チームのメンバーが,子どものころからずっと日本のアニメ好きであったこと。「好きなことと仕事を融合できたら素晴らしいだろうな」と思ったわけです。
もう1つは,我々iDreamSkyが「グローバルへ飛躍したい」と考えたことにあります。弊社はずっと中国の国内に向けてゲームを作っていました。しかし,これからは国際化しなければならないと考えたんです。そこでKADOKAWAさんにお声がけして,Strinovaの構想がスタートしたわけですね。
4Gamer:
アニメへの愛とグローバル化したいという思いから,アニメ調のアートスタイルによるTPSを開発することにしたと。ちなみに,皆さんが好きなアニメは何ですか?
ALAN氏:
好きなアニメは数え切れないほどありますよ。強いて挙げるなら,昔は「NARUTO -ナルト-」,今は「鬼滅の刃」が好きです。
Michael Chen氏(以下,Chen氏):
私もNARUTOですね。週刊少年ジャンプの作品からすごく大きな影響を受けています(笑)。
4Gamer:
StrinovaのジャンルをTPSとしたのはなぜでしょう?
ALAN氏:
キャラクターを作っていくうえでは,想像力を刺激されるアニメのスタイルがピッタリでした。そのため,Strinovaではアニメ調のアートスタイルを選択し,ヒーロー的なスキルを取り入れ,ここに武器を組み合わせることで,スーパーヒーローのような存在を作り出していきました。こうした点は,ほかのシューティングとの差別化にもなりましたね。
4Gamer:
Strinovaの世界観やキャラクターづくりにおいて,気を付けている点はありますか?
ALAN氏:
我々は,Strinovaでキャラクターもストーリーも楽しめる世界観を作りたいと思いました。そこで,物体が3次元から2次元へと変化する「超弦理論」をベースに,シューティングゲームに必要な“複数勢力が対抗する戦い”が起こる架空世界を構築していったんです。
そして,あらゆるゲームプレイやシステム,武器は,キャラクターありきで作っています。そのうえで心がけているのは,「キャラクターはひと目見れば人となりが分かり,プレイしたい気持ちを掻き立てられる存在であって欲しい」ということです。プレイヤーのみなさんがキャラクターを使って遊びつつ,彼らが持つ能力の由来や,勢力に属することとなったいきさつを想像,探索していただけるような存在にしようと考えました。
4Gamer:
開発スタッフお気に入りのキャラクターは誰ですか?
ALAN氏:
Strinovaが現在のかたちになるまではたくさんのキャラクターを作り,その多くを没にしてきました。つまり,今は選りすぐりのキャラクターたちを見ていただいているわけですが,我々としては世に出せたものもだけでなく,没にしたものも気に入っています。それだけ,自分たちが作ったキャラクターたちを愛しているんです。
我々はキャラクターを重視しています。個人的にも,人気の低いキャラクターでプレイし,なぜそのような状態になっているのか,これからどのように改善すべきかを考える……という取り組みをしているところです。すべてのキャラクターが愛されている状態を目指して改善を進めていきたいですね。
4Gamer:
キャラクターへのこだわりは,シューティングゲーム……とくにPvPものとあまり相性が良くないようにも感じられます。キャラクターにこだわるほど,ゲームはシングルプレイものに近いものになると思いますが,開発チームとしてはPvP的な側面とキャラクターへのこだわり,どちらに主軸を置いているのでしょう?
ALAN氏:
我々はNARUTOや「ONE PIECE」といった素晴らしい日本アニメを見て育ってきました。主人公たちは物語が始まったばかりの時点では弱いものの,勇気と意志をもって成長し,強くなる。こうした図式はPvPにも共通するものだと思っています。
プレイヤーは戦いの中で自分の弱さに直面する場面があるかもしれません。そこで,自ら努力するだけでなく,仲間たちと協力しながらスキルを磨いて強くなっていく。これも日本アニメの主人公たちと同じですね。
Chen氏:
我々がキャラクターを大事にするのは,IPを発展させるにはキャラクターが重要であると考えているからです。NARUTOやONE PIECEといった漫画にしろ,「Apex Legends」に「ウマ娘 プリティーダービー」といったゲームにしろ,ヒット作には勇気や情熱にあふれる良いキャラクターたちが必ずいて,それぞれ協力して物事に取り組んでいますよね。確かにStrinovaは,これらのIPと違ったタクティカルシューターです。ただこれは,ゲームジャンルが違うだけであり,IPとして発展させるにはキャラクターが重要であるという点は変わらないと思います。
ALAN氏:
PvEはストーリーと没入感が大事ですが,PvPにはこれにも増してソーシャル的な要素が重要になります。だから我々は,ゲームのコミュニティで好きなキャラクターのことを話して友だちになるといった雰囲気を大切にしていきたいです。
4Gamer:
PvPでは勇気を出してライバルたちに挑みつつ,コミュニティで得た同じ情熱を持った仲間と一緒に強くなる。日本アニメとPvPが,勇気や情熱,協力キーワードで似ているというのはとても面白い視点だと感じられますね。
ゲームのシステム面についても聞かせてください。キャラクターがペラペラになる「弦化」のシステムは,大きな特徴の一つだと思います。このユニークなシステムを思いついた経緯について教えていただけますか?
ALAN氏:
弦化は,アニメのヒーローたちが変身するところからインスピレーションを得ました。弦化という名前ではありますが,本質的には変身です。変身をシューティングゲームのシステムに合わせると,3Dから2Dへ身体を変化させる弦化のシステムになり,身体を平べったくして弾を避けるといった新しい戦略性が生まれました。
弦化することにより,キャラクターたちの物理的な性質も変化します。「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」において,草に火を点けると上昇気流が発生するように,弦化すれば身体が薄くなるので,グライディングで風にヒラヒラと舞いますし,壁に貼り付いて上下左右に動くこともできます。
4Gamer:
確かに,薄くなるだけでなくて,風に舞ったり壁に貼り付いたりするからこそ,二次元化しているという説得力が生まれていると思います。今年6月には「クォークテスト(クローズドβテスト)」が行われましたが,どんな課題が出てきましたか?
ALAN氏:
日本のユーザーさんからは好評をいただき,我々としても励みになっています。クォークテストの課題といえば,準備不足と日本語ローカライズがしっかりしていなかったことです。ローカライズについては,日本のプロフェッショナルを我々のチームに招いたので,さらに質を向上させたいと思います。
4Gamer:
今後はどのようなアップデートを行う予定でしょうか?
2024年10月10日〜10月22日に行われる「スーパーストリングステスト」では,従来よりも参加人数が多い7対7の新ルール「チームアリーナ」に加え,新マップや,キャラクターと交流できる「部屋」を実装します。我々は,プレイヤーの皆さんが好きなキャラクターをとおして,みんな友だちになってほしいと思っていますし,正式サービスに向けてより多くのキャラクターを追加していく予定です。
4Gamer:
楽しみにしています。正式サービスでは,新しいキャラクターをどうやって入手するのでしょう?
ALAN氏:
正式サービスではシーズン制を予定しています。プレイをとおしてさまざまな目標を達成することで「ドリームトークン」を入手し,キャラクターをアンロックする方式です。ただ,「すべてのキャラクターが欲しい」「時短したい」という方に向けて,課金でアンロックできる選択肢も用意します。
また,我々はStrinovaにおいて,ステータスが上がる課金アイテムを販売することはしません。課金したプレイヤーが有利になるのではなく,公平で公正な環境を作ってきます。
4Gamer:
すべてのプレイヤーが平等に戦えるゲームを目指していくわけですね。では,正式サービスを楽しみにしている日本のユーザーにメッセージをお願いできますか?
ALAN氏:
日本の皆さんがクォークテストで,Strinovaを愛してくださったことに,感謝の気持ちで一杯です。日本は我々にとって重要な地域です。皆さんと友だちになり,一緒にStrinovaのエコシステムを作っていきたいと思います。
Chen氏:
4Gamer:
ありがとうございました。
すでに大きな盛り上がりを見せるStrinova。気になる人は10月10日〜10月22日のスーパーストリングステストに参加してみよう。
Strinova公式サイト
東京ゲームショウ2024公式サイト
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