ニュース
携帯型Androidゲーム機の決定版となるか。7型有機ELを搭載した「AYANEO Pocket EVO」の国内予約がスタート
AYANEO Pocket DMG
AYANEO Pocket DMGは,これまでにも4Gamer.netで何回か取り上げているが,AYANEOとして初となる縦型の携帯型ゲーム機だ。初代「ゲームボーイ」をモチーフとした筐体デザインを採用しており,約3.92インチサイズで解像度1240×1080ドットの有機ELを搭載している。
メインメモリ容量と内蔵ストレージ容量,本体のカラーバリエーションが異なる3モデルをラインナップしており,標準の税込価格と先行予約価格は以下のとおり。
- メインメモリ容量8GB,内蔵ストレージ容量128GB,ムーンホワイト/アークティックブラック,8万4800円(先行予約価格:8万560円),1月31日出荷予定
- メインメモリ容量16GB,内蔵ストレージ容量512GB,ムーンホワイト/アークティックブラック,10万9800円(先行予約価格:10万4310円),1月31日出荷予定
- メインメモリ容量16GB,内蔵ストレージ容量1TB,レトロパワー,12万4800円(先行予約価格:11万8560円),1月31日出荷予定
縦型の携帯型ゲーム機は,中国メーカーを中心にすでに数多く存在しており,AYANEO Pocket DMGは後発の立場だ。ただ,他社製品はどちらかというと,レトロゲーム向けでスペックが低めなものが多い。それに対して,AYANEO Pocket DMGは,Qualcomm製の携帯型ゲーム機向けSoC(System-on-a-chip)「Snapdragon G3x Gen 2」を採用するなど,高いスペックを特徴としている。
Arthur氏は「AYANEOは,優れたハイエンド市場向け製品をゲーマーに提供するのを使命としている。AYANEO Pocket DMGは,他社が追いつけないようなスペックと製品デザインを採用した。昨今は景気の問題で,ゲーム機に予算をかけにくい状況だが,いいものに対する需要はあると考えている」と話す。
AYANEO Pocket DMGは,ゲームパッドを含む操作系にも力を入れている。とくにユニークなのは,D-Padと[A/B/X/Y]ボタンに備えたアナログスティックとタッチパッドだろう。Arthur氏によると「縦型ゲーム機でアナログスティックが左右に並ぶのは,良いデザインとは言えない」として,こうしたデザインに収まったそうだ。
タッチパッドについては,2023年に登場した携帯型ゲームPC「AYANEO KUN」で採用しており,この技術をもとにAYANEO Pocket DMGへ実装したとのこと。右アナログスティックとして動作し,タッチパッドの押込みも可能だ。さらに,切り替えスイッチでマウスモードを有効化すると,画面上のマウスポインタを操作できる。
左アナログスティックは,AYANEO製品として初めて軸が短めのスティックを採用したという。
また,Arthur氏がこだわったポイントとして紹介したのは,左側面にあるスクロールキーである。初代ゲームボーイには,ディスプレイのコントラストを調整するダイヤルを備えていたが,AYANEO Pocket DMGのスクロールキーは,画面の明るさ調整やスクロールアップ,スクロールダウンなど複数の機能がそなわっている。操作の切り替えは,ホイールを長押しすると表示される設定メニューから行う。
AYANEO Pocket DMGの左側面 |
AYANEO Pocket DMGの右側面 |
Arthur氏は,ソニー製品のファンでもあり,かつてソニーのウォークマンやノートPC,PDAに採用していたホイールにインスピレーションを受けたそうだ。
[インタビュー]ゲーミングハンドヘルドの先駆け「AYANEO」のCEOが語る,今までとこれから――「過去の製品の作り直しじゃ,何も挑戦がないから」
ガジェットが好きで好きで,好きが高じて,AYANEOを会社ごと買ってしまったのが,CEOであるArthur Zhang氏だ。単なる道楽者ではない,氏の設計方針や仕事の思想を,ちょっとだけ聞いてみよう。
Arthur氏は,「感覚的には似ているように思えるけど,同じ形にはしない。リスペクトをもってオマージュするが,模倣はしない」と製品開発にかける思いを語った。
AYANEO Pocket EVO
もう1つの新製品であるAYANEO Pocket EVOのラインナップと標準の税込価格,先行予約価格は以下のとおり。
- メインメモリ容量8GB,内蔵ストレージ容量128GB,スカイホワイト,8万9800円(先行予約価格:8万5310円),2月7日出荷予定
- メインメモリ容量12GB,内蔵ストレージ容量256GB,スカイホワイト/スターリーブラック,10万4800円(先行予約価格:9万9560円),2月7日出荷予定
- メインメモリ容量16GB,内蔵ストレージ容量512GB,スカイホワイト/スターリーブラック,11万9800円(先行予約価格:11万3810円),2月7日出荷予定
AYANEO Pocket EVOは,7インチサイズのディスプレイを搭載する製品で,公称本体サイズが260.5(W)×100(D)×17〜33.9(H)mm,公称本体重量が約478gと,携帯型Androidゲーム機としては大きな部類と言えるだろう。
ディスプレイパネルは,解像度1920×1080ドットで,最大リフレッシュレート165Hz,HDR表示対応の有機ELパネルで,携帯型Androidゲーム機としてはかなり高いスペックを備えている。
筐体サイズを生かして,ゲームパッドに大きめのアナログスティックやボタンを採用したのもポイントだ。AYANEO Pocket EVOに先行して販売中の「AYANEO Pocket S」は,筐体に合わせてゲームパッドも小型だった。背の高いスティックのほうが微調整しやすいという人は,AYANEO Pocket EVOのほうが合っているかもしれない。手にしてみると,AYANEO Pocket EVOのゲームパッドは余裕を持って操作できた。
AYANEO Pocket EVOの搭載SoCは,AYANEO Pocket DMGと同じQualcommのSnapdragon G3x Gen 2だ。「Snapdragon 8」シリーズといったスマートフォン向けSoCではなく,ゲーム機向けのSnapdragon G3xを採用する理由として,Arthur氏は「Snapdragon G3xのほうがTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)を引き上げられるので,より高い処理能力が求められるアプリで,その性能を生かしやすい」と話す。AYANEO Pocket EVOでは,TDPを最大15Wまで上げられるそうだ。
このほかの特徴として,筐体内部の振動用モーターに大型のリニアモーターを採用したのもポイントだ。ゲームのプレイ中に筐体やゲームパッドのボタンが震える振動機能や,ゲームや動画などの音声を自動で解析して,音に合わせて筐体を振動させる「SoundTAPMagic」機能を利用できるという。
AYANEO Pocket Sのカラーバリエーションに新色が加わる
また,AYANEO Pocket Sの新たなカラーバリエーションとして,さくらピンクとレトロパワーの追加も発表となった。
こちらもすでに予約の受付を開始しており,標準の税込価格と先行予約価格は以下のとおり。
- メインメモリ容量12GB,内蔵ストレージ容量128GB,8万9800円(先行予約価格:8万820円),1月31日出荷予定
- メインメモリ容量12GB,内蔵ストレージ容量512GB,11万4800円(先行予約価格:10万3320円),1月31日出荷予定
- メインメモリ容量16GB,内蔵ストレージ容量1TB,11万9800円(先行予約価格:10万7820円),1月31日出荷予定
さくらピンクはその名のとおり,桜色を基調としたカラーバリエーションだ。表面のUV加工を変更しており,既存のAYANEO Pocket Sと比べて,さらっとした手触りとなった。加えて,耐摩耗せと抗汚性も向上したそうだ。また,[A/B/X/Y]ボタンが無刻印に変更となったのも目に付く違いと言えようか。
一方のレトロパワーは,AYANEO製品ではおなじみの限定カラーで,レトロゲーム機をモチーフとしたカラーリングとなっている。
初代MacintoshモチーフのミニPCにディスプレイが追加
つづいてArthur氏は,今後登場予定の製品として,小型PCの「AYANEO Retro Mini PC AM01S」と,外付けGPUボックス「AYANEO Starship Graphics Dock AG01」を紹介した。
いずれの製品も,AYANEOが歴史的なデジタル機器をオマージュして開発する「AYANEO REMAKE」シリーズに属する製品だ。
AYANEO Retro Mini PC AM01Sは,2023年11月に発表となった小型PC「AYANEO Retro Mini PC AM01」の上位モデルで,初代Macintoshをオマージュした筐体を採用する点は変わらないが,新たに映像表示が可能な4インチサイズのディスプレイを搭載したのが見どころだ。このディスプレイは,Windowsからはセカンダリのディスプレイとして認識されるとのこと。
搭載SoCは,AMDのノートPC向けAPU「Ryzen 8000HS」シリーズを採用する。2基の空冷ファンからなる冷却機構によって,TDPは最大65Wまで引き上げられるという。また,2基のUSB4や2.5G LANポートを備えるのもポイントだ。
一方のAYANEO Starship Graphics Dock AG01は,AYANEO初となる外付けGPUボックスで,内部にAMDのノートPC向けGPU「Radeon RX 7600M XT」を搭載している。
他社製の外付けGPUボックスには,上位クラスの「Radeon RX 7800M」を搭載する製品もあるものの,Arthur氏は「Radeon RX 7600M XTを採用することで,価格対スペック比に優れた製品になっている」とアピールする。
AYANEO Starship Graphics Dock AG01で最も特徴的なのは,SF作品に登場する宇宙船をモチーフとしたデザインだ。Arthur氏自身,SF作品のファンで,AYANEO Starship Graphics Dock AG01のデザインには,未知なる宇宙を探索するロマンを表現したという。
また,豊富なインタフェースを備えているのもポイントで,USB4×1やUSB 3.2 Gen 2 Type-A×1,HDMI 2.1×2,DisplayPort 2.0×2,OCLink,有線LANポートを搭載しており,PC用のドッキングステーションとしても利用可能だ。さらに本体内部にM.2スロットを備えており,ストレージも増設できる。
次世代フラグシップのAYANEO 3
Arthur氏によると,現在のAYANEOは,REMAKEシリーズを手掛けるチームと,AYANEO Pocket EVOやAYANEO Pocket Sなどを開発するチームがあるという。後者が注力しているのが携帯型ゲームPCの「AYANEO 3」だ。
AYANEO 3は,「AYANEO 2」や「AYANEO 2S」の後継となるフラグシップ製品である。
7インチサイズのディスプレイを搭載し,高リフレッシュレートの液晶パネルと有機ELパネルをそれぞれ搭載した製品をラインアップするという。搭載SoCもAMDの「Ryzen 7 8840U」と「Ryzen AI9 HX 370」から選べるとのこと。
AYANEO 3では,トリガーボタンのロック機能や新形状の背面ボタンなど,ゲームパッドも改良されるほか,フロント面にスピーカーを備え音響面の改善にも取り組むそうだ。Arthur氏は「近日中にAYANEO 3のさらなる情報公開を行う予定」だという。
Arthur氏によると「AYANEO 3は,2年ものあいだにわたって開発を続けてきた」とのこと。AYANEOが考える新時代の携帯型ゲームPCがどのような製品になるのか期待して続報を待ちたい。
AYANEO Pocket DMG製品情報ページ
AYANEO Pocket EVO製品情報ページ
AYANEO Pocket EVO製品情報ページ
- 関連タイトル:
AYA NEO
- この記事のURL: