[GDC07#11]自動生成ツール「ProFX」とは何か
GDC 2007のスポンサーセッションでは,先ほど紹介したゲームエンジン「Frostbite」に続いて,AMD(ATI)関連のプロシージャル技術に関する講演が連続して行われた。 実は,この時間帯にはAMDのDirectX 10対応ハードウェアを使った新作デモの話が行われるはずだったのだが,(正式なアナウンスはないものの)次世代チップの延期によりキャンセルとなってしまったようだ。次世代Radeon正式発表前に映像が見られるチャンスだったのだが,惜しいこととなってしまった。
さて,この講演は,先の記事で紹介した,AMDのプロシージャルに対する取り組みの具体例といった位置付けとなっている。その一つは,雪や氷の表現を自動化するというもので,もう一つはさまざまな自動生成ツールをまとめたミドルウェア「ProFX」の概要だ。雪や氷の表現の自動化に関しては,下記にスライドを紹介するにとどめ,以降,ProFXのほうを紹介していこう。
AllegorithmicのDr. Sebastien Deguy氏の講演によると,ProFXは同社が開発しており,Unreal Engine 3やPhysXのプラグインとして使用できるようになっている。Unreal Engine 3を用いた作品では,「RoboBlitz」で全面的に採用されているという。
生成例を見てみよう。
こういうものが簡単に生成できるなら,自動化したいと思うのではないだろうか。テクスチャだけでなく,簡単なオブジェクトも自動生成して使用できるのも特徴の一つだ。講演では,草や木の自動生成例が挙げられていた。 問題は,プロシージャル化によってどれくらい負荷が軽減されるのか,である。上述のRoboBlitzの場合の数字が示されているので,見てみよう。512MBのテクスチャを読み込む場合,HD-DVDで112秒,BluRayで113.7秒,8倍速DVDで48.4秒,ネットワークから読み込むと64秒かかる。これが自動生成では25秒で済むという。巨大なテクスチャは,読み込むより自動生成したほうが速いということである。
RoboBlitzでは,73種類の材質(188枚のマッピング)を使用しており,その2/3でαチャンネルが使用されているという。ほとんどは256×256ドットの大きさで,総容量は80MBだ。そしてこれを,280KBに圧縮されたデータから,4秒で生成できる。
GPUの強大なパワーを用いることで,いろいろなことができる。テクスチャやオブジェクトの自動生成に関する研究は今後も進んでいくだろう。なお,ProFXでは高速なDXT変換もサポートしているのだが,現在はCPU版のみで,GPU版については開発が進んでいるものの,内容は「極秘」だそうだ。新GPUの早期の登場に期待しよう。(aueki)
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