[COMPUTEX 2006#08]Intel,965チップセット発表会を開催 「Core 2 Duoはこの星で一番速い」
世界一高いビル,台北101には,Core 2 DuoとIntel 965 Expressチップセットの広告が
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Intelは次世代CPU,Core 2 Duoに対応した新チップセット「Intel 965 Express」シリーズを,COMPUTEX TAIPEI 2006会場に隣接した世界一高い高層ビル「台北101」(台北国際金融センター)の84階で開催した。台北101は,ショッピングモールやレジャー施設などを擁する,台北の人気観光スポットだ。発表会の題目を「Scaling New Heights」(“高さ”を新しく定義する)としたIntelは,もちろん台北101という会場も込みで考えていたに違いない。
■3タイプからなるIntel 965 Expressシリーズ
さて,発表会で壇上に立った,Intelの副社長兼チップセットグループゼネラルマネージャ Richard Malinowski(リチャード・マリノウスキー)氏は,「Core 2 DuoとIntel 965 Expressの組み合わせは,地球上最速のPCプラットフォームだ」と豪語。そして,Intel 965 Expressシリーズには「P965」「G965」「Q965」の3モデルがあると明らかにした。 Intel P965 Expressは「パフォーマンスクラス」,Intel Q965 Expressが「ビジネスクラス」,Intel G965 Expressが「コンシューマクラス」とされている。
左:965Expressは3タイプ。Core 2 Duoのほか,LGA775版のPentium 4/D,Celeron Dにも対応する
右:Intel 965 Expressは300mmウェハから取られるということで,300mmウェハの現物を公開
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複雑なアウトオブオーダー式のメモリアクセスを可能にするFast Memory Access
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Intel 965 Expressシリーズにおいて,強く訴求されるのが,「Fast Memory Access」だ。 Fast Memory Accessは,メモリアクセスを司るMCH(Memory Controller Hub,ノースブリッジ)が,CPUやGPU(グラフィックスチップ,ICH(I/O Controller Hub,サウスブリッジ)などから生じたメモリアクセスリクエストを取りまとめ,アクセス対象のメモリバンクなどに着目して,アウトオブオーダー式にリクエストの時系列を並び替えて最適化するもの。これにより,メモリアクセス時のレイテンシ低減と,メモリ帯域消費の高効率化を図るという。
Intel 965 Express(正確にはIntel P965 Express)のブロックダイアグラム
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なお,Intel 965 Expressでは,PC2-6400(DDR2 800)仕様のDDR2 SDRAMモジュールでデュアルチャネル構成が可能になっており,メモリ帯域幅は12.8GB/sとなる。また,最大メモリ搭載量は,Intel 945 Expressの2〜4GBから8GBに拡張された。 細かい拡張点としては,Intel 965 Expressにおいて,ICHのサポートするPCI Expressレーン数が従来の4から6に,Serial ATAポートも同じく4から6へと増加(ICH=サウスブリッジレベルでのパラレルATAサポートは終了)。余談だが,さすがに実際のマザーボードレベルでパラレルATAをサポートしないと,ほとんどの光学ドライブが利用できなくなってしまうため,別途コントローラを搭載することで,パラレルATAをサポートしている製品が多かった。なお,USB 2.0は従来の8から10ポートに拡張されている。
■Intel G965 Expressのグラフィックスコアは3Dゲームに堪える?
こういった基本的な仕様をすべて備え,シリーズのベースとなるのが,Intel P965 Expressだ。同製品はグラフィックス機能を持たず,別途グラフィックスカードの搭載が必要となる。
対してIntel G965 Expressは,Intelの最新3Dグラフィックスコア「Intel Graphics Media Accelerator X3000」(以下GMA X3000)を内蔵する,いわゆる「グラフィックス統合型チップセット」になる。 GMA X3000のコアクロックは667MHz。内蔵グラフィックスコアとしては,史上最も高い動作クロックだ。
GMA X3000は,DirectX 9.0c世代のプログラマブルシェーダ3.0仕様に対応し,OpenGL 1.5もサポート。Intel 915G/945G Expressが内蔵していたGMA 900/950では,頂点シェーダユニットを持たず,ジオメトリ処理をCPUの助けを借りる形で実行していたが,GMA X3000ではこの部分も,ハードウェアで処理されることになった。
GMA X3000に内包されるシェーダユニットは汎用性の高い浮動小数点SIMD型プロセッサとされ,その活用形態はドライバ側で自在に変更可能な,ユニークなアーキテクチャだと,Malinowski氏。この説明を聞く限り,DirectX 10世代,つまりプログラマブルシェーダ4.0仕様対応のコモンシェーダアーキテクチャ(統合型シェーダアーキテクチャ)を彷彿とさせる。ちなみに,別途話を聞いたIntelの担当者によれば,ドライバのアップデートによって,DirectX 10世代で新設される第3のプログラマブルシェーダ「ジオメトリシェーダ」にも対応可能とのことだった。
GMA X3000が持つグラフィックスパイプラインのデモ。抽象的すぎて,よく分からないのだが
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残念ながら,GMA X3000については「提供される機能説明」しかなく,内部アーキテクチャは一切公開されていなかった。この点はいずれ取材などによって明らかにしていく必要があると感じたが,いずれにせよ現時点で,「Windows Vista Premium」のロゴ認証は取れているとのこと。Aeroを活用するのには申し分のない性能を有しているとはいえそうだ。 Intel提供の資料にいわく「現存する(ATI TechnologiesやNVIDIAの)ミドルクラスグラフィックスチップ相当の性能はある」。これはあくまでIntelの言い分だが,「3Dゲームプレイにも申し分ない」とのことである。
そしてGMA X3000にはプログラマブルシェーダパイプラインだけではなく,専用のプログラマブルビデオプロセッサも搭載され,Avivo TechnologyやPureVideoとよく似た「Clear Video」が提供される。これについては改めて報告したい。
Clear Videoテクノロジー。他の画面に影響なく色を補正するデモ
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内蔵グラフィックスコアについて解説するスライド。「GMA 3000」と説明されている
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残るIntel Q965 Expressは,ビジネス向けのチップセットで,4Gamer的には無関係といっていい製品だが,実はこのIntel Q965 Expressが内蔵するグラフィックスコアは「GMA 3000」とされている。「X」がないわけだが,これは3Dグラフィックスやビデオ再生支援機能が省かれているとのこと。ただし,Windows Vista Premiumロゴ認証は取得済みだそうだ。 なお,Intel Q965 Expressの下位には,PCI Express x16スロットが省略され,ほかにもいくつか機能が省かれた廉価版「Intel Q963 Express」があるが,これはもっと無関係なので,詳細な解説は省略する。
■本気のIntelが見せる最新製品はもう間もなく
「発表」「出荷」は,「発売」とイコールではないので気をつけたい
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こうして見てくると,Intel 965 Expressチップセットは,「Core 2 Duoに対応してみました」というレベルではなく,Intelの本気度をかなり感じさせるものになっていると感じる。ヘビーゲーマーにとってみると,Fast Memory Accessはなかなか魅力的だし,Intel G965 Expressは(Intelの言葉を信じるなら),ノートPCや小型のPC,あるいは廉価なPCの3Dパフォーマンスを大幅に引き上げてくれるだろう。 なお,Intel 965 Expressはすでに出荷が始まっている(発売ではないので注意)とのこと。「地球上最速のプラットフォーム」の発売は,もう間もなくだ。(トライゼット 西川善司)
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