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Web3はWeb2.0へのカウンターカルチャー? けんすう氏や家入一真氏が登壇した「Web2とWeb3は共存共栄できるのか?」[WebX]
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印刷2024/08/30 12:57

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Web3はWeb2.0へのカウンターカルチャー? けんすう氏や家入一真氏が登壇した「Web2とWeb3は共存共栄できるのか?」[WebX]

 Web3カンファレンス「WebX」の2日目(2024年8月29日),「Web2とWeb3は共存共栄できるのか?」と題したセッションが行われたので,そのレポートをお送りしよう。

左から,けんすう(古川健介)氏,家入一真氏,設楽悠介氏
画像集 No.001のサムネイル画像 / Web3はWeb2.0へのカウンターカルチャー? けんすう氏や家入一真氏が登壇した「Web2とWeb3は共存共栄できるのか?」[WebX]

 登壇者は,アル CEOのけんすう(古川健介)氏と,CAMPFIRE CEOの家入一真氏だ。モデレーターは幻冬舎で「あたらしい経済」の編集長を務める設楽悠介氏が担当した。

 トークは「2人の考えるWeb3の定義とは?」という質問から始まった。これにけんすう氏は「Web2.0へのカウンターカルチャーなのではないか」と答える。具体的には,GAFAのような競争優位性が強すぎる巨大企業に対して,根本の仕組みを壊して対抗するための手段だと述べた。

けんすう(古川健介)氏の見解は,「中央集権的になっている現状に対して,仕組みを壊して対抗するカルチャーこそがWeb3ではないか」
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 また,現状は中央集権的なWeb2.0と比べると,Web3は分散的で民主的であるとけんすう氏は言う。

 氏が手がけるWeb3プロジェクト「FiNANCiE」では,ユーザー同士が「〇〇というプロジェクトを盛り上げるため,△△というキャラクターを作ります」などと話題が挙がると,周りの人たちが応援としてトークンを渡し,クリエイティブを促進する働きが見られるという。

 こうした「プロジェクトを盛り上げるためにみんなでがんばる」という動機で動くコミュニティはWeb2.0では難しいのではないか,というのがけんすう氏の考えだ。また,クラウドファンディングなどもあるにはあるが,Web3ではプロジェクト自体が盛り上がることでトークン価値も上がるという点が,従来とは異なるとも述べた。

 一方,家入氏は「昔はWeb2.0も民主的であった」と主張する。
 黎明期からインターネットに触れていた家入氏は,匿名で交流することで自分の居場所を形成していった原体験があり,そこから「個人が声を挙げられるサービス」を作ることをとりわけ意識してきたという。

 家入氏は「個人が声を挙げることは,インターネット以前だとなかなかできなかった」として,あらゆることを民主化していくのがインターネットであったとも話す。また「革命を起こすのがテクノロジーの本質であり,“あらゆるものを解体して,個人の手に自分たちの権利を取り戻していく”という点では,Web2.0もWeb3.0もやってきたことはそこまで変わらないのではないか」と結論づける。

家入一真氏は「学生時代は引きこもりだったが,インターネットで居場所を見つけることで救われた」と語る
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 話題はWeb2.0の話に移る。Web2.0時代,けんすう氏はリクルートに勤めており(2006年〜2009年),その潮流に危機感を覚えていたようだ。

 というのも,当時のWeb2.0は民主的な流れがあり,「食べログ」のようなユーザーが評価するタイプのレビューサイトが盛り上がってきた時代であった。それを見て,リクルートのサービスでも口コミを導入するなど,明確に「Web2.0化するぞ」といった意識を持って仕事に携わり,リクルートのサービスのAPIを公開したりしていたそうだ。

 Web2.0が出始めたばかりの時代は,それが「会社が考えたものではなく,自由にやったらどうなるか」的なユーザー主体の流れだったとけんすう氏は話す。Web2.0自体は2004年くらいからの動きで,とくに大きな影響を与えたのは2005年2月に登場したYouTubeであると氏は振り返った。

 対して家入氏は,Web2.0を振り返るなかで,自身がCEOを務めたpaperboy&co.のブログサービス「JUGEM」について触れた。
 いわく「当時のブログ事業者はインターネットに幻想を抱いていて,これからはユーザーがメディアを作っていくんだと信じていた」そうだ。しかし,最終的にはアメーバブログの芸能人ブログ以外は下火となり,もともと有名な人の発信にしか価値がなくなったことに落胆したという。

 けんすう氏によれば,強いものがより強くなる,という流れはここ数年,顕著に見られるとのこと。
 ゼロ年代(※)は日本人が日本のサービスを使っていたが,ここ数年はスマホの1ページ目に表示されるアプリの“8割くらいが外国産”になってしまっていると氏は指摘する。それを踏まえて,「このような強いところへの集積が起きている状況だからこそ,Web3が期待されている側面があるのでは」という自身の予見を述べた。

※西暦2000年から2009年までの10年間を指すカテゴリ

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 終盤の話題は,Web3の技術がどのように流行していくのか。
 けんすう氏は,「アメリカのような覇権国の衰退で国際情勢が不安定になるなかで,Web3の技術が有効活用されることは,可能性としてあるのではないか」と先の見通しを語る。
 例えば,「もしインターネットが国によって管理されるようになったとき,それに対抗するために分散的なWeb3のニーズが高まることで,その流行が起きるのでは」というのがけんすう氏の展望だ。

 一方,家入氏は「クラウドファンディングがはやった背景には,新型コロナウイルスの流行があった」と触れ,外部要因がサービスの状況を大きく変えると指摘する。さらに「結局のところ,がんばってなにかを作り出しても,世界的な情勢が味方しないと流行しない」と自虐的に漏らす。
 それを受けて,けんすう氏は「サービスがなにかのきっかけで突然伸びる時期はあるので,Web3の事業者さんは今はつらいけど,いずれ突然伸びる可能性もあるかも」と返答した。

 本セッションは主題にとらわれず,さまざまなテーマに話題が及んでいった。家入氏は「事業者は,自分が作りたい世界を10年でも20年でも諦めずに信じ続けられるかどうか」が重要だとしたが,果たしてWeb3がはやるような大きな潮流はやってくるのか。今後も注目したい。

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