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ブロックチェーンゲームに参入したきっかけとは。「ゲーム産業の未来:新興技術活用の可能性と課題」聴講レポート[WebX]
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印刷2024/08/29 16:00

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ブロックチェーンゲームに参入したきっかけとは。「ゲーム産業の未来:新興技術活用の可能性と課題」聴講レポート[WebX]

 Web3カンファレンス「WebX 2024」の初日(2024年8月28日),「ゲーム産業の未来:新興技術活用の可能性と課題」と題したセッションが行われた。

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 登壇者は,グリー web3事業開発責任者の村田卓優氏,KONAMI web3事業部長の金友 健氏,Oasys Director in Techの満足 亮氏,BLOCKSMITH&Co. 代表取締役社長 CEOの真田哲弥氏だ。モデレーターはdouble jump.tokyo 代表取締役の上野広伸氏が務めた。

グリーの村田氏
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 最初のトークテーマは「Web3に参入した際の期待」だ。村田氏はグリーとしてブロックチェーン事業を始めたのは2022年だが,2021年ごろから「NBA Top Shot」などの台頭に期待を寄せていたという。

 一方,KONAMIの金友氏が影響を受けたのは「CryptoKitties」とのこと。同作が登場するまでゲームアイテムのRMTは,不正やトラブルを防止するために禁止することが一般的な風潮であったが,ブロックチェーン技術を使うことで安全な取引が可能となり,「できないものができるようになった」ことに衝撃を受けたと語る。

Oasysの満足氏
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 Oasysの満足氏は「既存のパブリックチェーンに一工夫を加えないとゲームを広めにくい」という思いから,約3年前にゲーム特化型ブロックチェーン「Oasys」を構想し始めたと述べる。
 以降は現在に至るまで,ゲーム産業の一部としてブロックチェーンが活用されていくことに期待し,取り組んできたそうだ。

 BLOCKSMITH&Co.でショート動画クイズアプリ「QAQA」を開発している真田氏は,“稼ぐ”というユーザー体験に期待を寄せていた。きっかけはこちらも「NBA Top Shot」などの影響があるそうだが,当時のゲームはトークノミクスがいまいちだったことで,「改善の余地がある」と思い参入を決意したとのこと。

 登壇者らの話を受けた上野氏は,ブロックチェーンゲームに参入するきっかけは皆似たようなものだが,「NBA Top Shot」や「CryptoKitties」のほうが,「Axie Infinity」や「STEPN」よりも名前を多く挙げられたことが面白いとコメントした。そして新たな議題として「参入当初の期待と,現在の状況に違いがあるか」と尋ねる。

 村田氏は,バリデーション事業でそれなりに利益を出せているものの,大作はまだ生めていないとし,「もうかってはいるけれど,もっともうけたかった」と返す。当初は大規模タイトルの開発を夢見たが,現状はプレイヤー側がついてきていないため,開発費の回収も難しいという判断からキャンセルになり,今は小規模なタイトルで様子見中だという。

KONAMIの金友氏
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 金友氏は,当初の想定と比べるとうまくはいかなかったが,やがてマスアダプションが訪れると考えており,そのときまでやり続けていることが重要だと語った。また,これまでうまくいかなかった理由としては「利益を重視する人々の参入によって,ファン作りがないがしろになっていたから」と分析していた。

 満足氏は,「Oasysはブロックチェーン基盤の立場であり,自らコンテンツを生み出すのは難しい」としたうえで,Oasysからキラータイトルが出てくることはもちろんだが,それ以前にもっと多くのゲームタイトルが出てきてほしいと望みを口にする。

BLOCKSMITH&Co.の真田氏
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 真田氏は「ガートナーのハイプ・サイクル」を例に挙げて,あらゆる技術は黎明期,過度な期待期,幻滅期,啓発期,安定期を経て定着するという理論に照らし合わせ,「今のブロックチェーンゲームは幻滅期が終わり,啓発期に差しかかっている」と指摘する。

 また上野氏が「重要なのはプレイヤー数か」と質問すると,真田氏は「プレイヤー数と収益のどちらも重要」だと答えた。一例として「STEPN」は70万人しかプレイしていなかったが,客単価が10万円近かったため,ビジネスとして成り立っていたと解説する。これは,モバイルゲームとコンシューマゲームの関係性にも似ているそうだ。

 さらに上野氏は「マスアダプション後のブロックチェーンゲームの客単価はどうなるか」と話を振り,村田氏が「遊んでいる人の財布は変わらないので,そこまで変わらないのではないか」と応じた。
 しかし一方で,グリー初のブロックチェーンゲーム「クリプトキャッチ!釣り★スタ」を今年2024年6月にリリースしたところ,これまでのモバイルゲームと違い,リリース後にだんだんとプレイヤーが増えていく動向に驚き,マーケットの違いを実感しているという。

 金友氏によると,運営型ゲームで使用するLTV(顧客生涯価値)のような指標はWeb3ゲームにも適用できるが,二次流通市場の存在が大きな違いになるとのこと。また,Web3ではプレイヤーがデータを保有するため,それを使った新たなマネタイズも模索できるのではないかと語る。

 続けて真田氏が「Web3では高い客単価を狙わないとダメだ」と熱弁し,ブロックチェーンゲームのメリットは「換金性」や「二次流通市場」にこそあるとした。これを受けた金友氏は,トレーダーやコレクターなど,プレイヤー以外のユーザー属性が増えることで,結果として客単価が上がるのではないかと返事をする。

 最後に上野氏が「これだけ真剣に取り組んでいる人たちがいるのだから,マスアダプションは近いだろう」と本セッションを総括した。

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