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ブロックチェーンゲームの発展に必要な要素とは。理想のトークノミクスやWeb3業界の未来が語られたセッションをレポート[WebX]
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印刷2024/08/29 15:42

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ブロックチェーンゲームの発展に必要な要素とは。理想のトークノミクスやWeb3業界の未来が語られたセッションをレポート[WebX]

 Web3カンファレンス「WebX 2024」の初日(2024年8月28日),J-CAMブースで「ブロックチェーンゲームの発展に必要な要素と求められるトークノミクスとは?」と題したセッションが行われた。セッションには,BLOCKSMITH&Co.の代表取締役社長 CEOである真田哲弥氏,WLF PROJECTの代表であるKAZU氏,ソーシャルサービス「Yay!」を展開するナナメウエの石濱嵩博氏の3名が登壇し,ブロックチェーンゲームの今後の発展に必要な要素などを語った。

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 まずは,KAZU氏が「今後のブロックチェーンゲームの発展に必要な要素」について語ることに。
 同氏はスマートフォンアプリ「人狼ゲーム 〜牢獄の悪夢〜」の作者であり,昨今の人狼ゲームブームに大きく貢献した人物だ。現在は人狼ゲームとブロックチェーンを組み合わせたWLF PROJECTを展開している。

 KAZU氏は,既存のブロックチェーンゲームは単純なものが多く,現在の状況はスマホゲームの歴史における「パズル&ドラゴンズ」以前の黎明期に近いと指摘。これから,本当に面白いゲームが出てくるのではないかと予想した。

真田哲弥氏
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 一方,真田氏は「ブロックチェーンゲームでは,ゲームそのものの面白さに注力すべきではない」という持論を展開した。開発費の高騰によって,これまでと同じようなゲームの作り方では利益を出せないという主張だ。こちらについては,IVS Cryptoでの取材記事(関連記事)が詳しいので,参照してほしい。

 石濱氏は真田氏に同意する形で,Web3ゲームのプレイヤーは従来のゲーマーとは層が違うので,ギャンブル性や騰落要素が求められているという認識を語った。石濱氏が展開する「Yay!」は,もともとWeb2のSNSだが,これをそのままWeb3化してもうまくいかないので,ユーザーの体験と投資家の体験を完全に分ける工夫をしているそうだ。

 続いてのテーマは「ブロックチェーンゲームのUI/UX」だ。
 真田氏の狙いはWeb2.5であり,まずはWeb2ゲームとして遊んでもらい,気がついたらWeb3の要素に興味が出てくるような,シームレスな移行を目指しているという。
 同氏が開発中のクイズゲーム「QAQA」は,最初はポイ活のような体験だが,アプリストア決済,クレジットカード決済,トークン決済と段階的な決済手段を用意しており,よりハードルの高い決済手段を使うと,より稼げるような仕組みでWeb3への移行を促進しているとのこと。
 
KAZU氏
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 KAZU氏もまた,Web2の要素とWeb3の要素を分けており,Web2向けの施策として,WLF PROJECTではコンテンツ制作者に「WLFトークン」を投資している。コンテンツ制作者は新しいビジネスで利益を生み,それが「WLFトークン」の価値につながっていくそうだ。
 人狼ゲームには,タレントがプレイしやすいという特性があり,YouTubeなどで多くの番組が配信されている状況が背景として語られた。

 また,Web3向けには「WLF LAST GENERATION」というゲームを展開しているとのこと。これは,1ETH(約36万円)の高額NFTの保有者が500人でプレイするゲームであり,「時間のないクリプト民」に向けてアプローチしているという。


 続いては「理想のトークノミクス」というテーマでトークが繰り広げられた。
 KAZU氏は「本来は共有的な思想であるWeb3と,投資をして早くリターンを得たいという考え」の間に矛盾を感じていると話す。共有的な人々によるコミュニティと,自己中心的な人々によるコミュニティでは,前者のほうがうまくいくのではないかと指摘した。

 WLF PROJECTでは「共有」をとくに重視しており,これは人狼ゲームが「相手を信頼し,相手に信頼してもらう」ゲームであることとも関連しているそうだ。

 真田氏は,「トークンの値段が持続的に上がり続ける」ことが重要だとした。それには,ゲームの人気が高まるにつれて,トークンの需要も増えるような設計にする必要があり,これを実現するために「QAQA」では,トークンを使ってゲームに広告を出稿できる仕組みになっている。

石濱嵩博氏
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 石濱氏の「Yay!」では,買い圧と売り圧のバランスのほかに,投資家がもたらす流動性も意識しているという。ゲーム業界の人はアプリ内の要素に注目しがちだが,アプリ外で投資家を巻き込んでいくことも考えなければならないと石濱氏は提言した。

 最後のテーマは「Web3業界の未来」だ。
 真田氏は,Web3にはリアルを重視したものと,バーチャルを重視したものがあるが,これから成長していくのは前者ではないかと予想した。また,Web3の「非中央集権化」という思想がゲームに必要かどうかは疑わしいと指摘し,「換金性」のようなゲームと相性のいい要素を重視すべきだとした。また,「極端に低予算のゲーム」にも注目していると話し,TON版の「キャプテン翼 -RIVALS-」を200万円で作ろうとしていると明かした。

 低予算に関連して,「人狼ゲーム 〜牢獄の悪夢〜」を個人で開発したKAZU氏は,「ゲーム内の絵よりも,それをプレイするタレントの顔が面白かった」ことが同作のヒットにつながったというエピソードを披露した。
 現在制作中の新しいオンライン人狼ゲームでは,タレントのワイプが出て,YouTubeで配信されることを前提としてゲーム画面を設計し,開発費を抑えても楽しいゲームになるよう工夫しているそうだ。

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