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インディーゲームイベント「TOKYO SANDBOX 2024」レポート。会場は展示や試遊だけでなく,作品や開発者の売り込みの場にも
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印刷2024/06/27 17:15

イベント

インディーゲームイベント「TOKYO SANDBOX 2024」レポート。会場は展示や試遊だけでなく,作品や開発者の売り込みの場にも

 インディーゲームイベント「TOKYO SANDBOX 2024」が,2024年6月22日に東京にあるベルサール秋葉原で開催された。

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 「TOKYO SANDBOX」は,2015年に実施された「東京インディーゲームフェス」の後継として,2017年にスタートしたイベントだ。新型コロナウイルス感染症の影響で2020年と2021年は休止されたが,2022年に復活し,今年はパブリッシャであるBeep Japanの協力によりリニューアルしての開催となった。

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Beep Japanが7月25日に配信を予定している,Nintendo Switch版の「Undying」。ゾンビに噛まれた母親が,自分がゾンビになってしまう前に息子に生き延びる術を教えるという作品だ。PC版は,2021年にリリースされている

 今回のイベントには,100タイトル以上のインディーゲームが出展されていた。Steamのサイトには,本イベントの特集ページが設けられているので,本稿と合わせて確認してほしい。

Steam「TOKYO SANDBOX 2024」特設ページ

「TOKYO SANDBOX」公式サイト


 インディーゲームの展示をメインとする「TOKYO SANDBOX」だが,デベロッパとパブリッシャを結ぶ「出会いの場」としての一面も持つ。それもあってか,会場を回っていると出展者側の「作品やチームを売りこもう」という意気込みが強く感じられた。
 また作品の開発規模も,個人制作や数人のチーム,中小規模の会社など幅があり,それが展示作品のバラエティ感として表れている印象だ。

 すでにリリースされている作品も数多く展示されており,インティ・クリエイツの「九魂の久遠」PC / PS5 / Xbox Series X|S / Nintendo Switch / PS4 / Xbox One),ストロマトソフトの「ウィッチ・アンド・リリィズ」,Wonderland Kazakiriの「Cassette Boy」,リイカの「Q REMASTERED」Switch / PC)「Q2 HUMANITY」など,4Gamerでも何度か扱っている作品群は多くの人を集めていた。
 これらの作品は,一定の知名度があるとはいえ,まだまだ知らない人もいる。より多くの人たちに作品を届けるには,このように継続して出展していく必要もあるのだろう。

インティ・クリエイツのブースには,10月24日に発売予定しているカードバトルRPG「カルドアンシェル」も出展されていた
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ダンジョン探索RPG「ウィッチ・アンド・リリィズ」は,5月24日のリリース後も,バグフィックスおよびプレイの快適性を上げるアップデートを続けている

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物理演算パズルの「Q REMASTERED」「Q2 HUMANITY」は,2015年にスマホアプリとして登場し,一世を風靡した「Q」の続編だ

 そんな「メジャー路線」の中でもひときわ印象的だったのが,年内の発売が予定されている,RPG「CASSETTE BOY」のブース。Steam DeckやNintendo Switchなど全6台の試遊機がフル稼働しており,プレイヤーはみな熱心にプレイを楽しんでいた。

「CASSETTE BOY」は,3Dフィールドをさまざまな角度から見つつ,謎解きや戦闘をこなして先に進むアクションアドベンチャーだ。マップを回転させることによって「隠れて見えなくなったオブジェクトは実際に存在しなくなる」シュレディンガーシステムが面白い
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 小規模開発ならではの先鋭的な作品にいち早く触れられるのも,こうしたイベントの魅力だろう。

 Gentle Giantsが出展していた「MeloMisterio -play your melody-」は,ジャンプで足場を渡っていくタイプの3Dのアクションなのだが,ダッシュやジャンプなどの効果音によって「曲」を奏でられることが特徴だ。
 この効果音は,同じ動作であっても一定ではなく,ボタンを押し分けることで音程を上げたり下げたりできる。操作に慣れてくれば,BGMのリズムに音を乗せてメロディを奏でることも可能で,「ゲーム」と「楽器」を兼ねたような楽しさが生まれていた。

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当日はステージをクリアするので精いっぱいだったが,上達すればものすごいグルーヴを感じられそう

 この作品と同様に,物語やキャラクターにフォーカスするのではなく,世界観とプレイヤーの体験に重きを置いた“刺さる人には深く刺さる”作品は,ほかにもいくつか出展されていた。

 モダニズム建築が生み出す魅力と恐怖を堪能できるアドベンチャーで,futurala(フツララ)氏が,ほぼひとりで開発しているという「CultureHouse」や,XYimage氏による「軍艦島探訪記 -ある写真家の記録-」などが,その代表といえるだろう。

少しづつ完成に近づいてきた「CultureHouse」。この少女は,自分が外界を「汚染する」ことを恐れて自らガスマスクを着けているという。なんともシュールな設定である
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無人の状態で写真だけが展示されていた「軍艦島探訪記 -ある写真家の記録-」のブース。展示方法そのものが廃墟っぽい(たまたま留守だったのかもしれないが……)

 「いやいや,もっと一般的なゲーム好きにも刺さるような,かわいいキャラクターとかが出るゲームはないですか?」という声が聞こえてきた気がしたので,そちら方面もフォローしよう。もちろん,筆者だってそういうタイトルも好きである。

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 まずは,見目麗しい姫君が騎士団を率い,巨大な敵と戦うアクションゲーム「星の守護騎士 - Celestial Vanguard: The Princess Knight」を紹介しよう。PaPiPuGamesが手掛ける本作は,走力ゲージを上手くやりくりし,スピードの乗ったランスチャージで敵を倒していくアクションRPGだ。主人公と味方は槍騎兵で,スピードが高いほど与えられるダメージもアップ! どうです,「刺さる」感じでしょう?(槍だけに)。

2人の家臣がいい味を出していたが,これは仮のビジュアルとのこと
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 そして騎兵といえば,やはりポーランドである(ユサールで検索)。そのポーランドに拠点を持つ,デベロッパのInky Dreamsは,ビジュアルノベル&シューティングの「Kamikaze Lassplanes」(カミカゼ・ラスプレーン)を出展していた。

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 こちらは,ライフ制の横スクロールシューティングと,CGを楽しむ系のちょっと懐かしいノベルゲームが組み合わさったようなゲームなのだが,戦闘機に変身するヒロイン「ラスプレーン」たちが,なかなかに個性的なのである。
 そのひとりの「ハンナ・ブランデンブルグ」は,少々露出の多い軍服のような衣装に身を包んだ女性。上官のような雰囲気を持っており,遊んでいてどこか身が引き締まる思いだった。

変身した機体は,空冷式のレシプロ戦闘爆撃機といったところ
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 もうひとりのラスプレーン「アルバ・トロッセ」は,明るく無邪気な食いしん坊とのこと。こちらは,パイロットゴーグルを付けた王道主人公タイプだが,やはり露出度は高め。
 キャラクターの立ち絵やイベントシーンからは,俗にいうギャルゲーの印象も受けるが,シューティング部分はなかなかに硬派のようで,発売が楽しみである。



 かわいいといえば,動物たちが登場するゲームも忘れてはいけない。人気の高いカテゴリーで,ジェットマンの「ネコミン」や,Studio Work3の「サル☆カニパニック」,ヨシオゲームズの「Lily in DreamWorld」のブースなどは,多くの人が足を止めてゲームをプレイしていた。

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Nintendo SwitchのJoy-Conで画面をポインティングし,ネコチャンたちをゴール(ブラックホール)に導く「ネコミン」

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ファミコンやその互換機で動作する「サル☆カニパニック」。独特な操作でキャラクターを制御するタイプのゲームで,まさにパニック必至

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作りがまだ荒削だったが,ミニチュアダックスのリリーちゃんの可愛さで一点突破していたアクションゲーム「Lily in DreamWorld」




 動物が出ているといえば,VR IMAGINATORSが出展していたAI異世界料理VRゲーム「ソードビストロVR」が,かなり異質な雰囲気を放っていた。

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 プレイヤーの役割は,次々に出て来る食材をまとめ切りし(VRゴーグルでプレイするリズムゲームに近いイメージ),あとは料理の完成を待つだけ。うまく切ることができた食材に応じて,生成AIが料理名とどんな料理なのかの説明を自動生成してくれるのだが,なにぶんAIが考えた文章なので,どこかヘンなのはご愛敬らしい。
 こうした自由すぎる作品に触れると,元気を分けてもらえるような気がするのは筆者だけではないはずだ。

「ソードビストロVR」のPRのお手伝いをしていたコスプレイヤーの七海あくあさん
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「紙がない!」「酔っぱライジング」に続く,宮澤卓宏氏の最新体感ゲーム「声マネキング」も出展されていた

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90年代後半から2000年代ぐらいの腐女子コミュニティを再現し,ブログ作成やチャットを追体験できる「TERRANOVA」。Studio Terranovaの意欲作で,デスクトップ画面もウィンドウズXPっぽく,すでにエモい



 小規模開発ならではの自由で尖った作品や,ワンアイディアを気軽に楽しめる作品など,さまざまな作品が出展されていた「TOKYO SANDBOX 2024」。来場者は昨年取材で訪れたときよりも大幅に増えており,インディーゲームへの注目がより一層集まっていることが感じられた。

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けっこうな人口密度

 筆者が立ち寄ったブースで,出展者たちに「TOKYO SANDBOX 2024」の感触を聞いてみたところ,ゲーム開発者やメディア関係者がゲームを試遊してくれることが比較的多かったそうだ。
 異口同音にそうした声を聞くことができたので,自分のゲームを「ある程度見識がある人」にテストプレイしてもらい,意見を参考にしたい人にとってはいい機会となっていたようである。

 また今回は,ストリーマーのフェイ氏を公式インフルエンサーに任命し,8時間に及ぶ配信を行うなど,情報の届け方に関しても模索を続けているようであった。“SANDBOX”だけに,今後どのような姿に変わっていくのかにも注目したい。


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重機のようなマシンを操縦し,惑星を開発していくサンドボックス系PvEゲーム「TerraTech Worlds」も人気を集めていた。開発はPayload Studios,パブリッシャはPayload Studiosと4Divinityで,Steamストアではアーリーアクセスが始まっている



「TOKYO SANDBOX」公式サイト

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