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[キャリアクエスト]「ヘブンバーンズレッド」3Dアートディレクターにインタビュー。“ゲーム会社に入ること”を目標にしないように【PR】
本記事ではこちらのイベントにあわせて,実際に現場で働いている方に質問を投げかけた“ゲーム業界を目指す学生のためのインタビュー”をお届けします。
今回のインタビューのお相手は,「株式会社WFS」で働く3Dアートディレクター・菊池景伍さん。「WFS」はグリー株式会社(以下,「グリー」)の完全子会社であり,運営するゲームブランド「ライトフライヤースタジオ」において,『消滅都市』『アナザーエデン 時空を超える猫』『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか〜メモリア・フレーゼ〜』『ヘブンバーンズレッド』など心が震える物語体験ができるRPGを中心に手掛けるゲーム開発会社です。
なお,本記事は4GamerとGame*Sparkによって共同制作された連載記事となります。
ゲーム業界就活イベント「キャリアクエスト」公式サイト
WFSで積み重ねた経験・技術が『ヘブンバーンズレッド』に繋がった
Game*Spark:
自己紹介をお願いします。入社年度,部署,入社するまでの経歴についてもお聞かせください。
菊池氏:
入社したのは2018年で,第2スタジオ Art 2グループにて『ヘブンバーンズレッド』を担当しています。私は多摩美術大学の大学院まで進んでいて,その就職活動中にグリーのインターンに参加させていただくことになりました。そこで「グリーグループのモノづくりの雰囲気,いいな」と感じて入社しました。
Game*Spark:
『ヘブンバーンズレッド』では,どのような業務を担当されていますか?
菊池氏:
3Dアートディレクターを担当しています。少し前まで背景班のマネージャーをやっていましたが,今は後任の方に引き継いだ上でアートディレクターに専念しています。
Game*Spark:
“入社したきっかけ”についてお聞かせください。
菊池氏:
入社のきっかけは,やはりインターンで感じたグリーグループの“モノづくり”に向かう姿勢ですね。今だから言えますが,実は当時,グリーやグループ会社が何を作っているのかよく分かっていなかったのです(笑)。
他のゲーム会社にもアプローチしていて,内定をいただける段階まで進んでいたのですが,そちらでは3D背景とコンセプトアートのどちらかを選ばなければならなかったんです。
当時は「できれば両方やってみたい」と思っていて,グリーグループのライトフライヤースタジオが3Dを含めたプロダクトを次々と立ち上げているタイミングだったことも理由に絡みます。また,インターン時のメンターがアートディレクターを担当している方で『アナザーエデン 時空を超える猫』のフィールドのすべてを監修したとも聞き,「ここだったら自分が思うように,幅広い活動ができる」と感じ,入社を決意しました。
Game*Spark:
入社した直後に感じたWFSの印象についてお教えください。
菊池氏:
入社前に感じた「幅広い活動ができそう」というポジティブな印象は変わりませんでした! ただ,いろんな分野が発展していく途上でもあったので,「自分で行動しないと作れない」「常にその分野に先達がいるわけではない」という状況でもありました。
良く言えば「いろいろなことに挑戦できた」と思いますね。背景担当で入社しているものの,最初はプランナーのようなことにもトライできましたし,試しに背景ではなく自分でエフェクトを作ってみたりと「ヒトやモノが揃っていない環境だからこそ挑戦できたこと」が多かったと思います!
Game*Spark:
「最初の一年間」ではどのような教育を受け,知識や技術を身につけられましたか。
菊池氏:
最初は『消滅都市』の部署に配属されました。既に運営中のプロダクトということもあり,広告バナーやスチルなどに取り組みましたね。そこで「リリースできるクオリティのモノ」を作る経験を積み,その後に新規プロダクトに移動して,マップ設計を担当しました。
そうして担当業務をしつつも,「3Dゲームをゼロから開発していく」「人を動かしていく」という機会を多くもらえました。これは今の自分を形作るための糧になったなと強く思います。
Game*Spark:
ライトフライヤースタジオが手掛けたゲームの中で,特に思い入れがあるタイトルとその理由についてお聞かせください。
菊池氏:
やはり,今携わっている『ヘブンバーンズレッド』ですね!『ヘブンバーンズレッド』へ至るまでに『消滅都市』やペンディングしたプロダクトなどに複数携わらせてもらって,そこでの失敗を振り返ったり改善を重ねたりしてきました。入社してから積み上げてきた経験を踏まえてリリースできたので,『ヘブンバーンズレッド』には特に強い思い入れがありますね。
Game*Spark:
入社後から現在に至るまでで,最も印象に残った「ゲーム業界のお仕事」に関するエピソードをお聞かせください。
菊池氏:
自分は背景の担当として入りましたし,「マップを作る仕事」が好きなので,やはり“レベルデザイン”ですかね。会社によっては広く伝わっていない言葉ですが,いわゆる“マップ設計”のことです。これが難しくて,未だに納得いくものがあんまりできていません。やっぱりゲームにおいて「歩くこと」は基本的には面倒な要素なんです。
それを「楽しい体験」として構築することは非常に難しいと感じています。マップの途中にアイテムを置くとか,シナリオを入れるとか,さらには敵をどう配置するか,なども考えます。時には,景観をよくするだけでも“優れたゲーム体験”を作れたりします。
そういった作業には,試行錯誤のやりがいがあるんですよね。自分は入社して5,6年になるのですが,マップ制作という仕事は未だに限界が見えなくて,面白いなと感じています。
Game*Spark:
入社後に初めて感じた「困難」についてお聞かせください。
菊池氏:
入社1年目に携わってペンディングしたプロダクトは「困難しかない!」と思いましたね。でもこれはどちらかというと,新人としての困難というよりも“ゲームを作る難しさ”の話かもしれません。
菊池氏:
企画を立て「こういうモノが作りたい」と皆に動いてもらっても,面白いゲームにはならない。カットシーンを入れてみたり,マップを変えて挑戦してみても良くならない。「ゲームとして上手くまとまらない」という困難が常に立ちはだかっていて,ペンディングしてしまったんですよね。
でも『ヘブンバーンズレッド』を開発することになったときには,そうした失敗経験を糧にして,かつて上手く出来なかったところを乗り越えられました。ゲームとして成立させるために「ゲーム体験として踏み込まない箇所」「どこを体験のメインにするか」を決めたので,そこを軸に周りを固めていきました。
子どものころから変わらない“ゲームに対する姿勢”と,「好きを仕事にする」ということ
Game*Spark:
いつ頃から「ゲーム業界で働きたい」と思われていたのでしょうか?
菊池氏:
人生において「ゲーム業界で働きたい!」と思ったタイミングは何回かあって,まず初めは小学生か中学生くらいですね。そのときからゲームのマップを描くような子どもだったのですけど,この時期は,皆がどこかしらで現実を見て「もっと一般的な職業に就こう」と思いますよね。でも,絵を描く仕事はしたかったので美大に進んで,そこでまたいろいろと行く先に迷うことになります。
「絵を描く仕事」はイラストレーターに漫画家と様々な選択肢があるわけですが,その中で「ゲーム」を選んだのは,「自分が能動的に干渉できるインタラクティブ的なモノ」を作りたかったためです。「自分が作りたいものは,平面的な世界では完結しない」と考えたのでゲーム業界に行くことを決めました。
Game*Spark:
「絵を作ること」と「ゲームを作ること」の根本的な違いについて,どのように考えられていますか?
菊池氏:
絵の良いところは「どういう人に見てほしいか」という目的がはっきりしているところだと思います。ひとつの絵で,その目的が完結するわけですね。
しかし,自分は複数の絵を繋げたときに生まれる「絵と絵を並べた時にある余白」に違和感を覚えていました。鑑賞者によって受け取り方が違うので,“一連の体験”としてコントロールできないんです。
そこをシームレスに繋いで能動的に干渉できる作品が「ゲーム」なのではないかと考えました。もちろんゲームでも「どういう人に届けたいのか」などは固めなければならないですが,様々な要素が含まれている世界なので“一連の体験”として繋げやすいんです。そこが「絵」と「ゲーム」の違いだと思います。
Game*Spark:
職場環境について,どのような印象を持たれていますか。
菊池氏:
「結構,自由だな」と感じましたね。基本的にはタスクがあって,決められた労働時間があって,その中で取り組んでいくのですが,ゲーム会社は割とくだけた感じで仕事を進められます。創作的なことしかしないので,そこが良いところですね!
Game*Spark:
多摩美術大学に在籍されていた時などで,チームやグループでひとつのモノを創作する経験はされていましたか? やはり,ゲーム制作とは大きく異なるのでしょうか。
菊池氏:
グループ制作はありましたね。大学生がグループで創作や展示をすると,各々の制作の目的を揃えるのも難しく,作品の質を上げることに集中できないことも多いと感じていました。それぞれにやりたいことがあって,その中で平均を取るように展示するから,アンバランスな制作になることもよくあるんですよね。ですが,ゲーム制作では,チームの目的を揃えた上で一つの作品を作り込もうという意識が強いと感じました。そこがゲーム制作の良いところかなと思います。
Game*Spark:
プライベートの時間ではゲームをプレイされますか?
菊池氏:
流行っているスマホゲームは一通りプレイしています。個人的に好きなのは,3Dのオープンワールドです。ジャンルとしてはサバイバルクラフトが好きですね。
Game*Spark:
ゲーム以外にご趣味はありますか?
菊池氏:
ゲーム以外では漫画やアニメを観たりしていますね。絵を描くのが好きなので,プライベートで描いたりもしています。あとは家の改造とかですね。実は,DIYをしたくて家を買いました。基本的には,創作に関わることが好きですね!
Game*Spark:
ゲーム業界に勤めるようになってから,趣味でゲームをプレイする機会は増えましたか? また「好きなモノを仕事にすること」について,どのように考えられているでしょうか。
菊池氏:
ゲーム業界に勤めるようになってから,ゲームをプレイする頻度は増えました。同時に,興味のないジャンルでも遊ぶようにはなりましたね。意識的にインプットしないとネタがどんどん無くなっていって枯れていく感覚を覚えるので,なるべく幅広く触れるようにしています。
そうして意識しながらプレイしているものの,「ゲーム業界に入ってゲームが苦手になった」ということはないですね。かつて持っていた「ゲームを遊んで膨らませた想像を,授業中にイラストとして描き起こす」みたいな感覚は,今もずっと変わりません。今でも「このゲームはここが良かったから,参考にしてみようかな!」など考えながらプレイしています。
Game*Spark:
今後,社内での業務を通じて,チャレンジしていきたいことなどはありますか?
菊池氏:
これからも「自分たちが作ってきたものをさらに良くしていく」という挑戦を続けていきたいです。「次にこういうのを作ったら楽しいんじゃないか」ということを常に考えて仕事していますので,それを普段のアウトプットに出していきたいですね。
このインタビューの初めに「入社直後は“発展している途上”に感じた」という話をしましたが,今でもそうだと思っています。人が増えていけば作れるものも多くなっていくので,「チームとしての経験値」を増やしたいですね。『ヘブンバーンズレッド』を2年ぐらい運営して様々な経験がたまってきたので,『ヘブンバーンズレッド』はもちろん,他のゲームなどにもアウトプットして大きなチャレンジをしていきたいです。
Game*Spark:
最後に,ゲーム業界での就職を志す学生に向けてアドバイスをお願いします。
菊池氏:
「ゲーム会社に入ること」をゴールとせず,「ゲーム会社に入ってどういうことを表現したいか」,という軸を持つことが大事だと思っています。
自分にも「大きな目標としてやりたいこと」があって,その手段としてゲーム業界を選んでいるところがあります。こういう考え方のほうがゲーム制作には向いているのではないでしょうか。「ゲーム会社でこういう仕事がしたい」だけでなく「こういう表現がしたい」「こういう体験を作りたい」といった大きな目的の中で,興味や分野を広げていくのがベストだと思います。
Game*Spark:
ありがとうございました!
ゲーム業界就活イベント「キャリアクエスト」公式サイト
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