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「デジモンワールド」のムゲンドラモンがついに立体化! 回転式∞キャノンの再現を喜びつつ,“究極最強デジモン”のルーツを語りたい(「買い物Surfer」第20回)
今から約半年ほど前の2023年7月末,メガハウスが展開するフィギュアシリーズ「Precious G.E.M.」にて衝撃的な商品が発表された。それが今回筆者が購入した「Precious G.E.M.シリーズ デジモンワールド ムゲンドラモン」だ。
ムゲンドラモンはバンダイが展開する「デジタルモンスター」シリーズに登場するデジモンの1体だ。ゲームやアニメでの活躍も相まってファンの間でも人気は高く,これまでもソフビフィギュアやプラモデルなど,何度か立体化の機会に恵まれている。
かくいう筆者も「ムゲンドラモンが一番好きなデジモン」と胸を張って言えるくらいのファンで,ゲームでムゲンドラモンが登場するタイトルでは,必ずと言っていいほどパートナーとして連れ歩いていた。
そんなムゲンドラモン推しの筆者が今回のフィギュアのどこに衝撃を受けたのかというと,ズバリ造形のベースが「デジモンワールド」準拠であるということに尽きる。公式イラストやこれまでのフィギュアと比較してみると分かるのだが,今回のPrecious G.E.M.版のムゲンドラモンはディティールやギミックが異なるのだ。
興味のない人からすれば「全部同じじゃないですか!?」と思うかもしれないが,これに限っては「これだからしろうとはダメだ! もっとよく見ろ!」と言わせてほしい。
というわけで,編集部員が購入したアイテムを好き勝手に語る不定期連載「買い物Surfer」の第20回では,「Precious G.E.M.シリーズ デジモンワールド ムゲンドラモン」がどうしてここまで筆者に刺さったのかをムゲンドラモンのルーツと共に語っていきたい。
ムゲンドラモンの起源は「デジモンワールド」にあり。ラスボスとして現れた“究極最強デジモン”の衝撃
熱心なデジモンファンならご存じだろうが,ムゲンドラモンが初めて登場した作品は1999年1月に発売されたPlayStation用ソフト「デジモンワールド」である。
同じく1999年に放送されたTVアニメ「デジモンアドベンチャー」では,最終盤に立ちはだかる強敵ダークマスターズの一角として登場していたので,そちらの印象が強い人も多いかもしれない。
デジモンワールドにおけるムゲンドラモンは,ムゲンマウンテンの最奥に待ち構えるラスボスのアナログマンが使役するデジモンとして登場する。ムゲンドラモンのボディは,メタルグレイモン,メタルマメモン,アンドロモンなどさまざまな完全体デジモンのパーツで構成されている。劇中では“究極最強デジモン”と呼称されているが,まさにその貫禄を持つデジモンだ。
当時小学生だった筆者にとって,このムゲンドラモンとのラストバトルは衝撃的だった。どの液晶玩具にも出ていない,今まで見たこともないカッコいいデジモンが,突如ラスボスとして目の前に立ちはだかったのだ。
中でも一際目を奪われたのが,必殺技「∞(ムゲン)キャノン」だ。これは背中にある2門の大砲からエネルギー波を放つ技なのだが,この動きがまあカッコイイ。尻尾と身体を地面と平行にして準備体勢に入ると,普段は後ろ向きに収納されている砲身が前にクルリと回転,敵めがけてムゲンキャノンを発射するのである。
しかしこの回転ギミックは,公式イラストが描き起こされた際にデザイン変更され,その後「デジモンワールド」のポリゴンが使われた一部のタイトル以外には登場しなくなってしまった。
筆者としては,あの回転式のムゲンキャノンがあってこそのムゲンドラモンだと思っていたので,非常に残念に思ったものだ。
その後,筆者はことあるごとにデジモンワールド版ムゲンドラモンの幻影を追っていた。デジモンを知る友達が集まった際には,いかにデジモンワールドのムゲンドラモンが魅力的なデザインかを語りまくることもあったし,メディアでムゲンドラモンが出るたびに「今回はどっちのデザインだ?」とチェックしていた。
そして今回,25年の月日を経てついに立体化が発表された「Precious G.E.M.シリーズデジモンワールド ムゲンドラモン」は,まさに自分のような幻影を追い続けていたデジモンファンを狙い撃ちする商品だったというわけだ。
さて,前置きが長くなってしまったが,ここからはデジモンワールド準拠の「Precious G.E.M.」版のムゲンドラモンの再現度を確認していこう。また,公式イラスト&アニメ版との違いを見るために「ダイナモーション デジモンアドベンチャー ムゲンドラモン」との比較もしていく。
大きく分けてデザインが異なるのは,「全体の配色」「肩」「脚」「尻尾」「大砲」の6つだ。
まず全体の配色だが,Precious G.E.M.版は暗めのシルバーを基調とした陰影のかかった塗装が施されている。デジモンワールドのカラーはもっと明るい銀色なので,ゲームの忠実な再現というわけではないが,あのままのカラーリングだとかなりのっぺりした印象になるのは想像に難くない。重厚感を増す意味でも暗めに塗装したのは正解だと感じる。
続いて(個人的に)メインの大砲部分を見ていこう。Precious G.E.M.版では,デジモンワールドで大きなインパクトを残した大砲の回転ギミックがバッチリ再現されている。砲身のサイズもかなり大きく存在感は抜群。フィギュアが取っている前傾姿勢のポーズも,砲身を前面に回転させて,ゲーム中の必殺技モーションに近い体勢を再現できるため,満足度が高い。「デジモンワールド」のムゲンドラモンを待ちわびた自分としては,もう感涙モノである。
ちなみにデジモンパートナーズに掲載されている企画開発スタッフへのインタビューによると,当初は砲身を前面かつ固定されている状態で開発されていたという。監修の際にバンダイナムコエンターテインメントから「デジモンワールドのムゲンドラモンの最大の特徴は後ろ向きの砲身だ」と指摘があり,実現したのだそう(記事リンク)。この再現がなければ自分は購入していなかったので,指摘した方にも企画開発スタッフにも,ただただ感謝しかない,本当にありがとうございます!
大砲といった大きな部分だけでなく,「肩」「脚」「尻尾」という再現も力が入っている。右肩に入ったドクロのエンブレム,スラっと伸びた尻尾,角ばった脚と膝小僧部分に当たるドクロの形など,「デジモンワールド」のムゲンドラモンに見られた特徴をキチンと拾っている。開発担当の方曰く,ゲームを何度もプレイして公式イラストの違いを洗い出したそう。こうした細かい部分も見落とすことなく立体化していることからも,本気度合いを感じる。
以上のように,Precious G.E.M.版のムゲンドラモンは,デジモンワールド版の立体化製品として非常に高いクオリティを誇っている。また,G.E.M.シリーズはこれまで「デジモンアドベンチャー」や「デジモンテイマーズ」といったアニメ出展の立体物のみをリリースしていたが,今回初めてゲームタイトル由来のフィギュアが登場したことになる。
デジモンゲームで育ったいちファンとしては,こうした立体化は純粋にうれしいし,今後ムゲンドラモン以外にも,ゲーム出展のデジモンを立体化してほしい欲が出てしまう。仮に「デジモンワールド2」のカオスロードや「デジモンワールド リ:デジタイズ デコード」のラストティラノモンが立体化したら泣いて喜ぶ。
そんな妄想を抱きつつ,ムゲンドラモンを眺めてニヤニヤする日々を堪能したいと思う。最後に,改めてこのムゲンドラモンを現代に蘇らせてくれた方々に感謝を述べたい。本当にありがとうございます。
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