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[台北2024]本日開幕の台北ゲームショウ2024は,日本のタイトルの試遊台が激増。それでいてごった煮感も健在な,独特のイベントに
今年は参加企業が377社,出展タイトル300本以上となり,昨年を上回る規模だ(関連記事)。といっても,メインホールのサイズは変わっておらず,広さ自体は東京ゲームショウの半分もない。
ただし,その中に各社のプロモーションや試遊のためのブース,インディーゲームコーナー,さまざまな物販にアナログゲームコーナー(プレイスペースやインディーボードゲームの販売コーナーまである)などが,台北ゲームショウらしいごった煮具合で詰め込まれているので,通路は全体的にだいぶ狭い。台湾の学生は冬休みのシーズンらしく,開催初日は平日にもかかわらず非常に混雑していた。
台北ゲームショウと言えば,台湾市場の「スマホゲームは初速が重要」という特性を反映するように,サービス前のタイトルのプロモーションに全力を出すブースが見られるのが印象的だ。試遊台は一切なく,プレゼントやフォトスポット,事前登録の告知などをメインにしたブースが成立する。
今年は会場に入ってすぐにブースを構えていた「少女前線2」が目立っていたほか,日本からもコーエーテクモゲームスが「レスレリアーナのアトリエ 〜忘れられた錬金術と極夜の解放者〜」グローバル版のプロモーションをメインに出展していた。
もちろん,「Fate/Grand Order」や「ウマ娘 プリティーダービー」といったサービス中の日本のスマホゲームのプロモーションも行われている(ブースはKOMOE GAME)。Fate/Grand Orderに関しては,現在台湾では「水怪クライシス〜無垢なる者たちの浮島〜」のイベントが行われているようで,装飾をなんだか懐かしく感じてしまった。
昨年の会場との大きな違いとなるのが,日本のタイトルの試遊台の多さだ。
例えば今年で2回目の参加となる任天堂は,「スーパーマリオブラザーズワンダー」や「ピクミン4」などを用意した大きなブースで,かなりの存在感を放っていた。任天堂は東京ゲームショウには出展していないので,「任天堂ブース」自体が珍しく,さらに物販を併設してマリオやカービィのグッズも売っているなど,日本のファンから見ても羨ましい空間だと思う。
お隣にはバンダイナムコエンターテインメントが発売直前の「鉄拳8」をはじめ,「SAND LAND」「SYNDUALITY Echo of Ada」などを出展。面白いのは,台湾での販売を担う関係で,「FINAL FANTASY VII」関連もここにあることだ。バンダイナムコエンターテインメントの看板の下にクラウドやセフィロスがいたのは,ちょっと驚いた。
集英社ゲームズも日本から参戦し,「unVEIL the world アンベイル ザ ワールド」などを出展している。
そのほか,台湾のパブリッシャであるJUSTDANブースには「ドラゴンズドグマ2」などのカプコンタイトルがあり,Clouded Leopard Entertainmentブースには日本ファルコムの「イースX −NORDICS−」と「英雄伝説 黎の軌跡 for Nintendo Switch」がある。
初参加のアニプレックスは,アクワイアが開発する「Hookah Haze」を初出展し,東京ゲームショウでは体験できなかったタイトルも遊べた。
変な言い方だが,雰囲気的には「会場の半分が東京ゲームショウ」という感じで,昨年とは打って変わって,試遊に力の入ったイベントになっている気がする。
PCゲーム関連では,WemadeのMMORPG「NIGHT CROWS」や,Kuro Gameの「鳴潮(Wuthering Waves)」,HoYoverseの「ゼンレスゾーンゼロ」といった新作がプレイアブル出展となっていた。ゼンレスゾーンゼロは,東京ゲームショウ2023をはじめ各国のゲームイベントに出展されており,日本でクローズドβテストも昨年11月に行われるなど,ここ数か月で一気に動きを見せている。そろそろサービス開始の予定が気になるところだ。
会場で一番大きなブースは,昨年と同じくパズルアクション「神魔之塔」(英名:Tower of Saviors)だ。10周年を祝ってさまざまなコンテンツが用意されていた昨年と違い,今年はどでかいスペースにステージのみ。めちゃくちゃ割り切ったブースだったが,ステージイベントが始まるや否や,すぐに満員になっていた。台湾での人気の高さが凄まじい。
今年のブースで変わり種なのが,サウジアラビアの「Qiddiya」(キディヤ)ブースだろうか。これはゲームタイトルではなく,サウジアラビアのプロジェクトで,遊びに特化した街「キディヤ・シティ」の中に「ゲーミング&eスポーツ地区」を建設するのだという。そう言われると,ゲーマーとしては人生で一度は見てみたいものだが,なにせまだ建設中なので,今回のブースは「未来的でゲームがテーマの地区ができるんですよ」的なイメージを伝えるようなものになっていた。正直,現時点ではどうなるのかが分からなさすぎて「未来都市感あるなー,なんかすげーなー」と小学生並みの感想を漏らすしかないのだが。
今年が特殊なのか,来年も同様なのかは分からないが,台北ゲームショウ2024はずいぶんブースの様子が変わった印象を受ける。それでいて,例年通りのごちゃっとした感じ(なにせ会場のキャパは増えていないのに,ブースは増えている)は強化され,歩いていて楽しい会場となった。この時期,ほかの国で大きなゲームイベントがないこともあり,日本や中国,韓国などのタイトルの発信の場として,独自の立ち位置を築いているのではないだろうか。
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