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マウスソールの買い替えで快適なマウスを取り戻せ。1製品に3か月かけてガラス製とPTFE製の滑り具合や耐久性を比較してみた
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印刷2024/01/31 08:00

テストレポート

マウスソールの買い替えで快適なマウスを取り戻せ。1製品に3か月かけてガラス製とPTFE製の滑り具合や耐久性を比較してみた

 日々のゲームを中心に,なにかと酷使することが多いゲーマー向けマウス。筆者もご多分に漏れず,毎日10時間以上は操作しているので,それだけ使っていると接触面となるマウスソールが摩耗し,購入当初に比べると快適さが落ちてくる。

 筆者は,2020年に発売されたLogitech International(日本ではロジクール)の「PRO X SUPERLIGHT Wireless Gaming Mouse」(国内製品名:PRO X SUPERLIGHT ワイヤレス ゲーミングマウス,以下 PRO X)を今も使い続けているのだが,さすがに2年以上使い続けると,マウスソールも耐えられなかったようだ。
 実際に4Gamerのレビューで使用した時の写真と,現在のソールの写真を比べてみるとその差は一目瞭然。マウスソールの表面が摩耗して薄くなってしまい,黒色の両面テープが見えてしまっている状態だ。

4Gamerでレビューしたときのマウスソールの状態。新品なのでソールは綺麗で,厚みがある
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横倒しで若干暗いが,2年間使い倒した状態。摩耗して黒色の両面テープが透けて見えてしまっている。というか粘着部分にゴミが詰まり汚いなぁ
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 ソールが削れてしまうと,当然,マウス操作時の滑り具合は悪くなる。それでもマウスとして使えはするが,直さずに酷使し続ければパフォーマンスは悪化する一方だ。「そこまで誇張しなくても」と思うかもしれないが,性能を発揮できない道具を使い続けたら,ゲームのスコアにも影響するというもの。根本的な解決策として問題点を治療する必要がある。

 幸い,人体の故障と違って,マウスソールは張り替えが可能なパーツでできている。ただ,残念なことに,PRO Xの発売元であるロジクールは張り替え用のマウスソールを販売しておらず,サードパーティ製のものを使用するしかない。
 そこで今回は,筆者がAmazonで選んだ3つのマウスソールを実際に3か月ほど使い込んで,どれくらい滑り具合が変わるのかを映像を交えながら紹介したいと思う。


選んだマウスソール3種類はこれだ!


 まずは,筆者がオリジナルのマウスソールの代替品として選んだ,3つのサードパーティ製マウスソールを紹介していこう。
 1つ目は「Hotline Games 3.0 PLUS ラウンドエッジ ソール」(Amazonアソシエイト)だ。
 100%フッ素樹脂のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製で,PRO Xのオリジナルのマウスソールに極力近いものとなっている。

製品ボックスと内容物。マウスソール×2セット,マウスクリーナー×2,クロース×1,ピンセット×1,カタログという盛りだくさんな内容だ
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 こちらの製品は,マウスソールが2セット付属しているだけでなく,クリーニング用のウェットシートとクロースまで入った,至れり尽くせりな内容だ。
 普通,これだけ入っていると2000円以上するのかなと思ってしまうが,なんと税込1380円(セール時では1250円のときもあった)と超リーズナブル! 
 肝心な操作感はどうかというと,オリジナルのマウスソールに近いような気もするのだが,なにぶん,新品状態のオリジナルを触ったのは2年も前のことなので断言はできず。とはいえ,滑りはかなり取り戻したように思える。

PRO Xに貼り付けてみた状態。摩耗していたオリジナルのマウスソールよりも厚みがあり,色も健康的に見えるような気がしないでもない
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 2つ目は,TALONGAMESが展開する「Super Smooth Glide」(Amazonアソシエイト,以下 Super Smooth)のPRO X用マウスソールだ。こちらはアルミノケイ酸ガラスでできた,いわゆるガラス製ソールで,高強度かつ耐スクラッチ性に優れた製品となっている。

 ガラス製のマウスソールは,PTFE製と比べて摩擦が小さいため,滑らせやすいうえに耐久性も高く,パフォーマンスを維持しやすい。しかし,PTFEと比べて「滑りすぎる」と感じる人も少なからずいて,マウス操作時の止めがやりにくいという意見もある。まぁ,人によっては合わないケースも有るってことで。

製品ボックスと内容物。マウスソール×1セット,ステッカー×1,クリーニングツール(シートタイプ)×2,ソール剥がしツール×1が同梱されている
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 製品ボックスを開けて気付いたが,筆者が購入したSuper Smoothは,センサーホールの外周を覆うように貼り付ける「O」型のマウスソールが含まれていない(※O型ソールが含まれる製品もある,Amazonアソシエイト)。
 となると,この部分はオリジナルのソールを継続して使用しなければならないので,本製品を使う場合は間違って剥がさないように注意が必要だ。
 また同梱されている専用剥がしツールは,ギターピックを少し太くしたような形状で,元から貼られている粘着性の高いテープを剥がすのにもってこい。ソールと両面テープが剥離すると手間なので,こちらを使って剥がすといいだろう。
 気になるお値段は税込1980円と,PTFE素材のソールより高いものの手頃な価格と言える。

実際に貼り付けた様子。普段見ない底面部だが,ブラックに赤色のソールはオシャレ感があってカッコいいぜ!
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 3つ目は,Pulsar Gaming Gearsの「Superglide For Logicool Gpro X Superlight」(Amazonアソシエイト,以下 Superglide)だ。こちらもSuper Smoothと同様に,アルミノケイ酸ガラスで作られた,摩擦の小さいガラス製ソールとなっている。

製品ボックスと内容物。説明書×1,ソール×1セット,ロゴの書かれた紙×1とシンプル
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 こちらもセンサーホール用のマウスソールはセットに含まれておらず,クリーニングシートなどのお手入れセット的なものも入っていない。そのうえで価格は税込2790円と若干高めなので,他社製品より手が出しにくいかもしれない。

マウスに貼り付けた様子。真っ黒なソールにSuperglideのロゴと,マウスの移動を想起させる矢印がデザインされている
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本当に滑りが製品ごとに違うのか,布製マウスパッドでテスト


 さて,ここからはそれぞれのマウスソールの滑り具合はどの程度違うのか,テストを行ってみる。テスト方法は大変単純で,4Gamerのマウスレビューでは何かとお世話になっているARTISAN製の布製マウスパッド「ARTISAN 飛燕 MID L」の新品を,傾斜の付けた箱の上に敷き,その滑り具合を見てみるという感じだ。

飛燕 MIDのパッケージ
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 ちなみに傾斜は約9度と,強めにしてみた。というのも,用意した飛燕 MIDは急制動に強く止めやすいタイプのマウスパッドだ。ゆえに緩い角度だと,そもそも滑らないのである。

 最初は,使い込んで摩耗してしまった標準のPTFE製ソールを滑らせてみる。滑り出しはやや遅い印象だ。滑走時にマウスパッドの端に近づくと一気に減速しているので,もしかすると,どこかたわみが発生していて減速したのだろうか。これだけでも,このまま使い続けて安定した操作ができるか怪しいものだ。


 続いてはHotline GamesのPTFE製ソール。こちらもやや重い滑り出しであるが,新品ということもあり,使い込んだPTFEよりやや滑りがいいのが分かる。


 3つ目はSuper Smoothのガラス製ソール。こちらはマウスから手を離した瞬間から,結構な速度で滑り出しており,マウスパッドを超えてダンボールの上に達しても,止まらず滑り続けるほど。ガラス製マウスパッドは良く滑るということは確かだ。


 4つ目はSuperglideのガラス製ソール。映像がややボヤケてしまっていて申し訳ない。本製品は,Super Smoothと同じくアルミノケイ酸ガラス製だが,Super Smoothよりも滑りがいい印象がある。どれぐらい滑りやすいのがいいかは,完全に使用者の好みなので,どちらが上という話ではない。だが,ガラス製ソールでも,製品によって使い心地は変わってくるだろう。


 最後に,手を離すタイミングをほぼ統一して,4本の動画を1つにまとめてみた。ガラス製ソールの滑りはPTFE製のものより優れており,一気に画面外へと飛んでいっている。
 なお,このテストはあくまでも筆者の環境でのテストであり,マウスパッドやマウスソールのロットなどによって差が出ることがある。なので本テストはあくまでも参考程度に見てもらえれば幸いだ。



ガラス製ソールは慣れれば快適だが弱点も


 各マウスソールの特性を動画で確認してもらったところで,使い比べた印象について言及していこう。筆者は今回の記事のために。それぞれを3か月弱ほど使用している。マウスソールの比較は感覚的な部分も大きく,ちゃんとコメントしようと思ったら,想定以上に時間がかかってしまった……。

 率直に言って,やはりガラス製とPTFE製は,性質が大きく異なるという印象を受けた。
 まずガラス製ソールは低摩擦ということで,どちらの製品もよく滑る。とくに,マウスを動かすときの初動の滑り出しが本当に軽く,慣れていないと最初は戸惑ってしまうレベルだ。滑らかなエイミングを,かなり軽い負荷で行えるのは非常に大きなメリットと言えるだろう。

 ただし,ガラス製ソールにも弱点はある。それは止めにくいという点だ。滑りすぎるマウスソールの場合,フリックショットのようなズバッと素早くカーソル(照準)を移動させ,ターゲットの上でビタッと止めて撃つような動作をするとズレやすいのだ。
 対処法としては,単純に慣れるか,止める動作に入ったときにマウスをマウスパッドに押し付けるよう,下方向へ力をかけるといった方法はあるが,これが逆にプレイパフォーマンスの低下を招く恐れはある。
 まさにピーキーなマウスソールといった感じだが,扱えるようになればかなりのアドバンテージを得られるのではないだろうか。

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 ではPTFE製ソールはどうかというと,ガラス製ソールよりも控えめな滑り具合で,その分,動かすためにやや力が必要だ。しかし,ガラス製ソールよりもビタ止めしやすい。
 ただ,このPTFE製ソールの滑りにはデメリットがあり,動き回るターゲットにエイムを合わせ続けようとするときに,摩擦が滑りを阻害して,カクカクと詰まったようなエイミングになりやすい。

 少し値段が高いものの,圧倒的な滑りでピーキーなガラス製と,安価かつコントロールしやすいが重い動作のPTFE製。対極的な性能を持つマウスソールと言えそうだ。

 ちなみに,ガラス製ソールでよく言われることとして「耐久性は高いが,マウスパッドに与えるダメージが高い」というものがある。これについては,今回それぞれで新品のマウスパッドを用いて使い比べた限り,事実であるように感じた。
 ガラス製ソールは,PTFE製ソールに比べて硬度があり,頑丈だ。しかし,それをマウスパッド上で擦り続けるため,ソール表面の微細な凹凸がマウスパッド表面を削ってしまいやすい。筆者の体感で言えば,使い始めて2〜3週間ぐらいで,明らかに最初の頃よりも滑り具合が悪くなったのを感じた。2か月が経過したあたりで,別途用意した新品のマウスパッドと交換してみたところ,快適な操作性が復活したことも実感したので,ガラス製ソールによるマウスパッドのダメージは,無視できないレベルだと思われる。ガラス製ソールを使っていて「あれ,なんか滑らないな」と思うようになったら,マウスパッドのほうを疑ってみるべきだろう。

 ではPTFE製ソールはどうかというと,柔らかいのでマウスパッドよりも先にソール側が摩耗してしまい,なめされたような状態になった。マウスパッドへの影響は控えめで,1つの製品ボックスにソールが複数枚含まれている製品も多く,「ソールの耐久性は劣るのに,結果的にコストパフォーマンスはガラス製より高い」ということになりそうだ。
 それでも塵も積もればなんとやらで,筆者のように酷使したうえで買い替えていくなら,それなりにコストはかかっていくのだが……。

 以上,3つのマウスソールを使い比べてみた。それぞれをそれなりの期間,マウスパッドも取り換えながら比べる機会というのもなかなかないと思うので,参考にしてもらえるのではないだろうか。
 どのソールがいいかは完全に使用者の好みになるが,筆者は最終的に,お手頃なガラス製ソールのSuperglideを愛用している。ただ,やはりマウスパッドの摩耗が顕著で,今後は違和感を覚え次第,買い替えることなりそうだ。


余談:ソールをデジタル顕微鏡でチェックしてみたが……


 ここからは余談になる。今回,筆者は「ガラス製ソールの耐久性は本当に高いのか」を調べる実験の一環で,何年も前に購入していたデジタル顕微鏡を押入れから引っ張り出し,ガラス製ソールの表面が摩耗するかどうかを観察してみた。ここからはただの愚痴なので,読み飛ばしてもらっても大丈夫だ。
 結論から言うと,3か月程度では目立った摩耗をまったく確認できなかった。

 で,本来なら綺麗な表面の画像をここで掲載したいところなのだが,デジタル顕微鏡にHDMI出力がなく,USB接続でPCカメラとして認識させると本来の解像度である1080Pではなく720Pになり,かつ勝手に明度を調整(しかも改悪)するためにブロックノイズが酷いという,端的に言えば残念な画像になってしまった。掲載できるレベルの画像とは言い難いが,テスト結果なのであえて掲載してみようと思う。

もうなんとも言えないダメ画像
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 もっと綺麗に撮影できないものか? と思案していたところ,microSDカードに対応していたことを思い出し,ぶっ刺してみたところ無事認識。が,撮影ボタンを押すと動画・画像関係なくデジタル顕微鏡が落ちて再起動してしまう。いやー,なんで俺はコレを買ったんだろう。当時3万くらいだった気がするんだよなぁ……。

 じゃあデジタル顕微鏡に搭載されているディスプレイを直撮りすればいいじゃないか! と思って撮影してみた。こちらは一応肉眼では確認できない細かな表面の凹凸がなんとか認識できるのだが,LCDディスプレイのアミアミ具合と,ディスプレイの不具合で表示されている謎の横線で,だいぶガッカリな具合である。この手の検証をしたければ,もっと新しく性能がいいデジタル顕微鏡が必要そうだ……。

右上から左下方向にある表面の凹凸が見えるが,撮影を撮影しているという本末転倒感
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 ガラス製ソールの状態だけでなく,今回のテストを通してやってみたくなったのが,マウスパッドへのダメージの視覚化だ。こちらも調査して結果を掲載したいなと,思い付きでこんなものを用意してみた。

レコードプレイヤーにマウスを乗せているイカれた感じがなんか好きだ
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 これはハードオフで見つけたジャンクのターンテーブルなのだが,回転数が仕様上最高である78rpm(1分間での回転数)を軽く超え,100rpm以上の爆速で大回転するブッ壊れプレイヤーである(お値段は約980円!)。
 こいつに手を加えて,中央の回転軸とケーブルタイで固定したトーンアームを使って,マウス本体を一定の位置で維持しつつ,レコード代わりにカットしたマウスパッドを敷き回転させるといったシロモノだ。

 これを動かして長時間放置すれば,マウスパッドの摩耗具合が見えてくるのではないかと考えている。もっとも,マウス本体をしっかり固定できていないと比較にならないし,何よりもっとマシなデジタル顕微鏡を導入する必要もあるので,もうちょっと考える必要があるのだが。いずれ環境が整えば……ということで。

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