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NFTという言葉をあえて使わないのがはやり? パネルディスカッション「NFTの実世界への進出と展望」
最初の話題は「注目しているNFTの実世界での動き」について。Hirayama氏は,海外でNFTが実体のあるもの(フィジカル)と掛け合わせる例が増えてきていることに注目しているという。とくにファッションでその事例が多く,スニーカーやTシャツにNFTを融合させたものが増えてきているそうだ。
ちなみに,フィジカルとデジタルを組み合わせたものを「フィジタル」と呼び,そういった取り組みはNFTを採用する例が多い。
中村氏は,大企業が参入してきていることに注目しているそうで,NIKEやAdidas,Louis Vuitton,TIFFANYなど,誰もが知るブランドもNFTを活用しているという。
続いて話題は,NFTの課題へと移った。中村氏は,NFTの最大の課題としてイメージが悪いことを指摘。今後はあえてNFTという言葉を使わずに,NFTを活用したサービスが増えていくのではないかと予想した。
また中村氏は,NFTがブロックチェーン技術を利用しているため,NFTだけの課題というよりは,ブロックチェーン技術に関連した,ウォレットなどの使いづらさなどが問題となっていると考えているという。
その発言を受けyou425氏は,KDDIが発表した「αU wallet」が優れていると紹介した。通常のウォレットはリカバリーフレーズなどを忘れてしまうと,最悪,ウォレット内の資産を失ってしまう可能性もあり,完全に自己責任の世界になっている。だが,αU walletはリカバリーフレーズをユーザーを記憶しないという選択肢が用意されている。その場合は,KDDIが子会社などを使い,分散管理することになり,以前からウォレットを使っている人達からしてみれば,「自分で管理しろよ」と突っ込みたくなるサービスになっているそうだ。だが,別の選択肢をユーザーに与えるという点を称賛していた。
Hirayama氏も共感しており,Web3本来の概念からは離れるかもしれないが,そういった選択肢をユーザーに用意し,ハードルを下げることが重要だとコメントした。
you425氏はNFTがプログラム可能な資産であり,さまざまなことができるが,いろいろできてしまうために,場合によっては法律とバッティングしてしまうことも課題だと語った。たとえばNFTの機能でなにかの契約を結ぶことはできるが,契約内容によっては法に触れてしまうという。
その発言を受け,中村氏は「バンバン裁判をやってほしい」とコメントし,その理由を,判例ができれば,それを一つのガイドラインとし,どこまでならやっていいのかなどを事業者側も判断しやすくなると語った。
続いて話題は,NFTを利用したビジネスの展望へと移った。you425氏に,「好きなアイドルに関連した活用方法は?」と問われた中村氏は,「課金の証明に使いたい」と返答した。
ブロックチェーンの利点の一つに,自分が何にお金を使ったのかを証明しやすい点があるのだという。you425氏も共感し,NFTは画像と紐付けることで,それまでにどういうことをやってきたのかというのを他人に伝えやすくなり,自己顕示欲を満たすのに向いているのではないかとコメントした。
また,NFTの直接的な利用方法ではないが,Hirayama氏はNFTに関わっていたことで,アート業界に進出しやすくなったという自らの経験を語っていた。NFTをやらずに最初からアート業界に進出しようと思ったら,実績などがないために,門前払いになっていた可能性が高いが,先にNFTである程度の実績を作っていたことで,アート業界から声をかけられるようになったという。
NFTに対する一般的な認識とその実態が乖離しており,そういった面も普及を妨げる要因となっているようだ。また,なんだかんだでNFTやブロックチェーンなど,いわゆるWeb3関連には独自の概念,独自用語が多く,素人はなかなか手を出しづらい。パネルディスカッションでも指摘されていたように,あえてNFTという言葉を使わない取り組みも増えているそうで,まだ時間はかかるだろうが,徐々に我々の生活にNFTなども絡んでくるのだろう。
浄水場でどのような技術が利用され,どのようなシステムで水道が管理されているのかまったく理解していなくても,蛇口をひねれば水が出る。NFTやブロックチェーン技術なども似たようなもので,例に出ていたαU walletなどのように,多くの人が使いやすいサービスが登場し,我々の生活に徐々に浸透していくかもしれない。
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