インタビュー
[インタビュー]公開迫る,映画「バイオハザード:デスアイランド」制作陣に聞く。最新作のテーマに「ジルの再生」を選んだ理由とは
最新作の舞台は,監獄島として知られるアルカトラズ。この地にジルやクリス,レオン,クレア,レベッカといった人気キャラクターが集結し,まさにオールスターの競演が繰り広げられる。とくにジルは,CG映画シリーズ初出演ということもあり,注目しているファンは多いはずだ。
今回,4Gamerでは「バイオハザード:デスアイランド」の監督を務めた羽住英一郎氏,脚本の深見 真氏,カプコンのゲームプロデューサー/スーパーバイザー川田将央氏にインタビューを実施し,新作のテーマや見どころを聞いてきた。ぜひ本稿を読んで,劇場公開まで期待を高めてほしい。
「バイオハザード:デスアイランド」公式サイト
ジルをフォーカスした理由
4Gamer:
よろしくお願いします。さっそくですが,「デスアイランド」制作の経緯から聞かせてください。
深見氏:
「ヴェンデッタ」の制作後,しばらく経ってから「続きを作ろう」という話が出たんですね。その当初から「オールスターでいこう! そしてジルも出そう」という内容でした。
4Gamer:
最初から「ジルを推すぞ!」という話だったと?
そうですね。自分もジルは好きなキャラクターだったので,これはちょうどいいなと。
4Gamer:
新作はオールスターの勢揃いに目を奪われがちですが,ジルの内面に焦点を当てて丁寧に描いているとも感じました。その点も最初から決まっていたんですか。
深見氏:
主人公たちの心理的な成長が見られると,映画的に「気持ちいいな」って思いますよね。壁を乗り越える描写といいますか。これまでの作品では,レオンもクリスも悩んできています。そこで今回は,ジルにその役目を担ってもらうことになったんです。
4Gamer:
確かに,ジルの再起や成長の物語が強く印象に残っています。
深見氏:
「ヴェンデッタ」の制作時に,「どうやったらゾンビと戦う者たちに観客が共感してくれるんだろう」と考えたんです。そこで,レオンとクリスを仕事で疲れている人間にしようと。仕事で疲れている人間の気持ちは,誰しもが共感できますよね。
4Gamer:
すごく分かります。
深見氏:
今回の作品が「ジルの再生」の物語になったのは,彼女も仕事で大変な思いをして,過去には失敗もしてしまったけれど,そういう部分に観てくれる方が共感してくれると思ったからなんです。
川田氏:
そう聞くと,サラリーマンとしても非常に共感を持てますね。
一同:
(笑)。
羽住氏:
「デスアイランド」はジルが立ち直っていく物語ではありますが,彼女は周りが思っているほどブレてないんだなと思いました。「バイオハザード5」では敵に洗脳されて仲間を襲ったことがあります。でも,だからといって引き金を引けなくなるとか,そういうことはなく,強さを持った女性ですよね。
アクションに意識したのは「実写感」
4Gamer:
今回の舞台は監獄島・アルカトラズです。この地を選んだ理由は何でしょうか。
深見氏:
CGを作る時に「ロケーションがあちこちに移るのはちょっと……」という意見がスタッフからあったので,「だったら舞台を固定しようじゃないか」と。候補として,豪華客船という意見もあったんですが,「バイオハザード リベレーションズ」で使われています。そのほかには「飛行機の中だけ」という案もありましたね。
4Gamer:
過去の作品に使われているロケーションは選びにくいですね。
深見氏:
いろいろ話し合った結果,「島がいいんじゃないか」と。それもただの島じゃなくて,監獄島のアルカトラズだったら,映画のカラーも決まるのではないかと考えました。
4Gamer:
アクションの演出面でこだわったところを教えてください。
「インフィニット ダークネス」の制作時も同様だったんですが,なるべく生身の人間のような実写感を出したいと思っています。当時もカプコンさんから「レオンはトム・クルーズが演じられるアクションは全部できると思っていいです」と言われていました。CGなのでやらせようと思えば,もっと派手なアクションでも何でもできてしまうけれども,そこをあえて抑えることで,生身の人間らしさを表現しています。
4Gamer:
今回の作品はアクションシーンに見どころが多かったと感じました。
深見氏:
この5人(レオン,クリス,ジル,クレア,レベッカ)が揃ったら,怖いものなんてありませんよね(笑)。
羽住氏:
そこはやっぱり,お祭り感を出したかったというのはあります。せっかくこの5人が出ていることですし,派手なアクションは外せません。
深見氏:
ホラーの要素と言えば,「この人,死んじゃうのかな……」という恐怖や驚きだと思いますが,この5人だったらほとんどのことにビックリしないですよね。
川田氏:
ゲーム「バイオハザード」にはゾンビが現れたら逃げるという選択肢もありますが,映画ではそういうことは一切なく,大群のゾンビに対しても,真っ向から挑んでいきますからね。もちろん,ゲームでも手練のプレイヤーは我先にと,ゾンビに向かっていく傾向がありますが(笑),いや,バイオらしいという意味ではファンの方にも喜んでいただける内容に仕上がっていると思います。
リッカーとの遭遇は原作ゲームの設定が活きている
4Gamer:
ゾンビはもちろんですが,リッカーも登場します。今回,クリーチャーの見せ方でこだわったところを教えてください。
深見氏:
クリーチャーに関しては,カプコン側に監修してもらいました。「これは出していい」「こういう風にしてほしい」とアドバイスをいただいて,すごく打ち合わせ甲斐がありましたね。
今回,リッカーと戦うのはレオンとジルです。あの2人は過去にリッカーと遭遇しているので,どういう風に対処すればいいのかが分かっているんですよ。原作の設定もしっかり吟味されたシナリオになっていると思います。
4Gamer:
キャラクターの衣装はいかがでしょう。
羽住氏:
レオンは革ジャン,クレアは赤っぽいといった,よく知られているイメージに沿って決めていきました。クリスがアロハシャツを着ているのは珍しいと思いますが,アルカトラズには旅行客に扮して来ているため,銃を隠せるようなデザインにしています。
4Gamer:
羽住さんは「インフィニット ダークネス」に続き,「デスアイランド」でもCG作品の監督を担当されました。実写作品との違いについて,あらためて実感した部分はありますか。
羽住氏:
「インフィニット ダークネス」の時は初めてのCG作品ということもあって,ビックリすることばかりでした。実写では簡単にできることが,CGだと大変だったりもしましたし,逆に実写ではできないことが,CGだと簡単に実現できたりもする。今回は2回目だったので,前回の経験を踏まえつつ,「CGなら何でもできる」という部分をあえて抑えめにしています。CGではあるものの,実写を意識した画作りを心がけたということです。
4Gamer:
劇中にはレオンの「泣けるぜ」というセリフをはじめ,ゲームファンが喜びそうなポイントがいくつかありました。最初から意識していたのでしょうか。
深見氏:
やはりファンの皆さんには,喜んでほしいですよ。本当はもっと多かったんですけどね(笑)。むしろ,「あまり拾いすぎないでください」とカプコンさんに言われたので,制作段階で削っています。
川田氏:
最終的には,ちょうどいいバランスになりましたね(笑)。
4Gamer:
それでは,4Gamer読者にメッセージをお願いできますか。
川田氏:
ついに,ジルが登場するCG映画「バイオハザード」ができました。ゲームファンの方も楽しめる内容に仕上がっていますので,ぜひ期待してください。
羽住氏:
まさしくゲームファンの方も,CG映画だけは観たことがあるという方も,「バイオハザード」の名前だけを知っている方も,きっと楽しめる映画になっています。ゲームや前作の映画の知識を知らなくても大丈夫です。アミューズメントパークのアトラクションのような感覚で足を運んでほしいですね。
深見氏:
クライマックスには,打ち上げ花火がバンバン上がるお祭りみたいなラストバトルが待っています。前半のサスペンス色の強い展開から,「ここまで行くんだ」と驚かれるかもしれません。そのメリハリを感じてもらえると嬉しいです。大画面が映える映像,いい音響で聴きたくなる効果音が素晴らしいので,ぜひ劇場でご覧ください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「バイオハザード:デスアイランド」公式サイト
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