連載
COSIO氏とオーテク「サウンドバーガー」でアナログレコードを回そう。1980年代から甦った携帯型プレイヤー(「買い物Surfer」第13回)
人類史上,「音楽を聴く」にあたって今ほど便利な時代は他にない。
今やCDやMDといった物理的な音楽ソフトウェアが手元に無くとも,スマートフォンやDAPで高音質の音源を楽しめる。YouTube MusicやAmazon Musicなどのストリーミングサービスを用いれば内蔵ストレージにデータを持つ必要も無い。Spotifyのようなサブスクリプションサービスならば「音源を買う」ことすら無い。しかも世界中の人が作った多種多様な音楽をたやすく聴ける。
この環境を活用し,例えば筆者もバンダイナムコエンターテインメントの「電音部」ナンバーをYouTube Musicでヘビロテするなどしている。なおハコで流すならEDMスタイルのSHIBUYAだと思っているが,普段のリスニングはハウス&シティポップのAZABUがメインだ。ゲッチャゲチャマニ。
しかし「音楽を聴く」ことと「音楽体験をする」ことは別だ。例えば1990年代に流行りのJ-POPシングルを買うにしても,そこにあったのは単に「B'zや安室奈美恵のCDを買う」ことだけではない。音楽番組や雑誌などで新譜を知り,レコードショップに足を運び,店頭ディスプレイを見るなどして,レジに商品を持っていき,財布から現金を取り出し,後生大事にレコードショップの袋を抱えて帰路に着く。それらも踏まえて「音楽体験をする」ことだったはずだ。その体験は,CDをプレイヤーにセットする前からすでに始まっていた――不便で無駄で,しかし心沸き立つ時間が。
音楽体験というものは今や利便性と引き換えに薄まってしまっているが,一度得た利便性を手放すことは難しい。情緒があるからと言って,光回線をテレホーダイのダイヤルアップに巻き戻すことはできないし,Windows 11をWindows Meに戻したくはないし,擦り傷に赤チンを塗ろうにも「塗らねーよ!」「はーっ?」(うまぴょい うまぴょい)だ。
その一方で,アナログレコードが近年人気を博している。ゲームのサウンドトラックもアナログ盤が続々リリースされていることをご存知の人は多いだろう。
なぜアナログレコードなどという,ハイレゾの音質など望むべくもなく,原音100%マッチの回転速度を実現するのも難しく,針を落とすたびに少なからず盤が劣化し,やたらと嵩張る,不便で面倒なレガシーメディアで音楽を聴きたがる人が増えているのか? それは、本連載の第8回で「業務用基板でのゲームプレイがベスト」であるとしながら,そこに実利は無いと述べたのと同様,そっちの方が“雰囲気に優れる”ため――薄まってしまった,不便かつ無駄にして心沸き立つ「音楽体験をする」ことを,それでこそ楽しめるからだ。電音部がCDやデジタルリリースだけに留まらず,11月13日に発表された新ユニット・真新宿GR学園の1stシングルをアナログのEP盤でリリースするのも同様のはずだ(曲数に対する製品単価を上げられるなどもあるだろうが)。
ゲームも音楽も,あるいは他の諸々も本気で無駄をやるからこそ面白い。今ではゲームプレイですら有意義な利益や社会貢献につながることもあるが,「そうでなければやらないのか」と問えば大抵の人がNOと答えるはずだ。逆に,社会貢献につながりでもしない限りはやりたくない「Desert Bus」耐久プレイでも,わざわざ「Desert Bus」がセレクトされているのは,それをプレイするという“本気で無駄”ぶりが人々の心を惹きつけるからだろう。
そして何より「ゲームや音楽くらい,損得でなく自分の意思で楽しめばいい」ということだ。「ゲーミングお嬢様」の祥龍院隆子様だって,「きっとこの世になんのプラスももたらさない そんなことで命(タマ)を張って何になるのか…ッッ そんなものッ!! 面白えからですわッッ!!」と言っておりましてよ。「ダークナイト」のアルフレッド様は,ジョーカー様の犯行動機を指して「“楽しい”と思ったからです。世の中にはお金や理屈では片付かない相手もいます。そんな相手には買収も説得も交渉も不可能です。この世界を破壊したいだけなのです」と述べていましたが,格ゲーもシューティングもロックもEDMも同じ手合ですわ。逆に,惰弱に無駄を甘受したり実利へ本気になったりするのは「冷蔵庫のドアを開けていると中が冷えない」のと同じくらいに,少なくとも言及の価値というものを欠いておりますわね。
閑話休題(おじょうさまはさておきつ)。そんなこんなで巻き起こっているアナログレコードブームの中,オーディオテクニカが11月7日に創業60周年記念製品を送り出した。ポータブルレコードプレイヤー「サウンドバーガー」の復刻版だ。というわけで今回は,以前「ターンテーブルを買った」という話を聞いたことのある,とあるアナログ好きなVGMコンポーザと共にサウンドバーガーを見てみよう。
例によって“編集部員が買った物を紹介する”という「買い物Surfer」の企画趣旨とは無関係のゲスト! COSIOさん,チィィイイーーーーーーッス!
オーディオテクニカの「サウンドバーガー」製品ページ
23世紀には 運が向いてくるはず
4Gamer:
それで電音部なんですが,3月に行われた2nd Liveでは昼公演と夜公演で真逆のストーリーテリングをするという試みがあってですね。
COSIO氏:
違いますよね? サウンドバーガーですよね?
4Gamer:
うん? あー……そう言えばそうでした。11月7日にオーディオテクニカのショッピングサイトで発売されて,503エラーや504エラーが多発したんですけど,30分粘ってどうにか買えたんですよ。
COSIO氏:
僕も買おうと思っていたんですが,逃してしまって……12月1日の二次受注を狙っています。
※取材は11月中旬に実施しました。
4Gamer:
このサウンドバーガー,オリジナル版(AT727)が発売されたのは1982年だそうですが,当時だとCOSIOさんって何歳ですか?
COSIO氏:
僕は2歳ですね。だから「懐かしい」とかじゃなくて,後から「こんなのが出てたんだな」って知ったんですよ。
4Gamer:
私にとっては生年の数年前で,同じような話です。今回の復刻モデルはオーディオテクニカの60周年を記念した製品のひとつとしてリリースされたわけですが,オーディオテクニカに関する思い出などはありますか。
COSIO氏:
大学生の頃,オーディオテクニカのイヤフォンを使っていたんですよ。当時,イヤフォンって基本的に1000円以下で,数千円出したら「いいの買ったね」と言われるようなものだったんです。音楽を手軽に聴くためのものであって,高級イヤフォンというカテゴリ自体が存在しなかったんですよね。
イヤフォンで良い音を聴きたいと思って探したら,オーディオテクニカが1万3000〜4000円くらいのイヤフォンを出していて。今は数万円とか10万円超えのイヤフォンが普通に販売されていますけど,そういった高級イヤフォンの“はしり”がオーディオテクニカだったかと。
4Gamer:
確かに,そういった新しいカテゴリに早めに手を付ける印象があります。
COSIO氏:
当時,DJ用ヘッドフォンってだいたいオーディオテクニカかパイオニアが使われていたんですよ。言ってしまうとドンシャリなんですけど,それがクラブだと聴きやすくて。イヤフォンもドンシャリだったら嫌だなと思ったりもしましたが,その傾向は多少ありつつも,ハイファイな音がしてヘッドフォンで聴いているような音質でした。
あと,オーディオテクニカは安い製品が多いので,ケーブルやプラグはよく買っています。
4Gamer:
私はノイズキャンセリングヘッドホンが一般的になってきた頃に,オーバーイヤー型で出音が比較的素直で,そして何より低価格帯のもの……と探していたら,マッチしたのがオーディオテクニカの製品(ATH-ANC7)だったんですよ。そういったコスパの良さはオーディオテクニカ製品の魅力ですね。
COSIO氏:
それで言えば,オーディオテクニカのA/DコンバータやD/Aコンバータも使っていました。当時はCDプレイヤー等のデジタル出力も普及し始めていたんですが,まだ機材が高価だったんですよね。今は海外製の安いものがありますけど,当時だと一番安かったのがオーディオテクニカで,その次はソニーみたいな感じでした。光ファイバーのケーブルもすごく安くて助かりましたよ。
4Gamer:
手が届きやすくて親しみやすい,「みんなのともだち オーディオテクニカ」みたいなところがありますね。
COSIO氏:
そう言えば,オーディオテクニカって寿司メーカー(寿司用のシャリを握ったり,海苔巻きを巻いたりする機械)でもけっこうなシェアを持っているんですよ。
4Gamer:
ああ,そうでした。聞くところでは機構にターンテーブルの製造技術が用いられているとか。
COSIO氏:
そういった「みんなが食べている回転寿司も,オーディオテクニカの製品が作っているんだぞ!」というのも声を大にして言っていきたいですね。
オーディオテクニカのすしロボット・食品加工機器 公式サイト
サウンドバーガーはターンテーブルの中では小さいとはいえ,寸法は100(W)x290(D)x70(H)mm。体積的には1リットルのペットボトル以上,1.5リットルのペットボトル未満といったサイズ感だ。ターンテーブルをしばしば使っているCOSIO氏は「すごく小さい」という見方のようだが,それほどではない筆者からすれば「カバより小さいからコビトカバつっても余裕でヒトよりデカいじゃん」みたいな感じである。ソニーの初代ネットワークウォークマン・NW-MS7(初期の呼称はメモリースティックウォークマン)が発売されたのすら20年以上前(1999年)という現在からすれば,「Flappy Bird」すら遊べない携帯電話を肩からぶら下げていた時代はやっぱスゴいな〜という気分だ。
復刻版サウンドバーガーは,電源が単2乾電池x3ではなく内蔵リチウムイオンバッテリーとなるなど,“復刻”を謳いつつもモダナイズが行われている。音声出力も変わっており,オリジナル版では3.5mmステレオミニプラグx2+RCA出力(L/R)だったそうだが,復刻版は3.5mmステレオミニプラグx1+Bluetoothとなっている。なお復刻版に本体のボリュームスイッチは無いので,ミニプラグを使う場合はポータブルアンプなどが欲しいところだ(基本的にはBluetoothデバイスとの連携が想定されているのだろう)。
試聴にあたって、COSIO氏が持参してくれたのがJDSound(2020年に事業停止・破産)のフルデジタルスピーカー「OVO」だ。いわく,ボリュームコントロールスイッチが底面にあるため,音量を調整しながら使うときはひっくり返して置かないといけないものの,携帯型としては非常に優れたスピーカーだという。実際,サイズからすると意外なほどの音量を出せるし,「ヘッドフォンで聴いたときよりアナログ特有のノイズが目立つな……」と思わされるくらいに音の解像度も高かった。
「Rez」のアルバムを取り出すCOSIO氏。なお写真に2セット写っているのは,同じものを筆者も持ってきていたため |
挟み込むように盤をセットする。これが“バーガー”という製品名の由縁 |
サウンドバーガーとOVOを接続するCOSIO氏 |
アームを引き出すと,自動で盤の回転が始まる。針を落とせば,そこから再生スタートだ |
アナログレコードの出音は当然ながらクリアなものは望むべくもないが,その分だけ曲を構成するトラックの親和性が高まっていると感じられる。下手なマスタリングだとトラックごとの一体感を欠いて「音が乗っているだけ」や「音が喧嘩している」などと呼ばれる状態になるが,アナログでプレスされた音源は,その逆方向に向かうベクトルを得られると言えるだろう。CDやデジタルでリリースされた音源でも,アナログでは一種の“味変”が起きているため(シンプルな話,アナログ向けの異なるマスタリングが行われている場合もある),その意味でも聴き応えがある。
4Gamer:
COSIOさんは,アナログレコードの魅力はどういうところにあると思いますか。
COSIO氏:
そうですね……アナログレコードの魅力というと,よく「CDは制約上20kHzまでしか音が出せないけど,アナログは無制限に出せる」というのが言われますよね。
でも正直,人間に聞こえるのは結局20kHzまでなんだし,そこから先の音が出てるって言われてもねえ……って思っているんですよ(笑)。
4Gamer:
あるあるですね。個人的には,それ系の話には「可聴範囲外が出れば良い音ってならコウモリは美声ってことか〜〜〜?」と言ったりしてます。
COSIO氏:
単純にアナログ盤とCD,どっちの音質が良いかって言ったら,そりゃあCDなんです。アナログの魅力っていうのはそこではなくて,よく言われるのは「音質に暖かみがある」とか,あまりハイファイでない,柔らかい音が出るということですね。
たまらなく良いのは,針を落としたときのフォノのノイズですよ。それに,CDだと急に曲が始まりますけど,アナログだとチリチリってノイズが出るじゃないですか。その「来るぞ……来るぞ!」感も好きです。最近,Hiphop系のトラックを作ったんですけど,それにもプラグインでアナログっぽい加工を入れました。
4Gamer:
そういう「雑味があったほうがうまい」みたいなのはありますよね。あまり綺麗すぎる音はつまらないですから。
COSIO氏:
それに,アナログって手の操作と出る音が一致してるじゃないですか。DJで再生位置を戻すときも手でやらなければいけないのが,大変なんですけど「音楽を操ってる」感じがするんですよね。
4Gamer:
音という実体の無いものに対して手応えを得られる,と。
COSIO氏:
だから機会があればアナログ盤もDJプレイで使っていきたいと思っているんです。ただ,ターンテーブルってデカいので取り回しが大変なんですが,サウンドバーガーは小さくて軽いから良いですよね。今はターンテーブルの無いクラブもありますから。
1曲やったれ カッコいいやつ
さて「普通に」使う分には上々だ。しかし,多少普通でない使い方をしたらどうなるだろうか。そんなわけで,かつて日本ソフトバンクが刊行していたゲーム雑誌「Beep」の付録ソノシートも用意してみた。
ソノシートの素材は柔らかく成形も薄い(レコードプレイヤーで回すこと自体,あまりよろしくない)ため,針を落とす位置で盤が宙に浮いているサウンドバーガーでは,針とアームの重量がソノシートを歪めてしまい、再生に難を来すのではないだろうか。
4Gamer:
他の盤を土台にするとか……ですかねえ。
COSIO氏:
いえ,たぶん大丈夫ですよ。(セッティング)……鳴りました!
4Gamer:
おー,すげー。でも心なしか音が頼りない……ああ,でも針が中央に寄ってくると盤が耐えるのでマシになりますね。普通のレコードとは逆だ。
サウンドバーガー,ソノシートを鳴らせる。恐らく旧ソビエト連邦のアングラで流通していたX線フィルムを用いた簡易レコード・肋骨レコードも鳴らせるだろう。
※ただしオーディオテクニカのサポート範囲外であり,4Gamerとしても推奨するものではありません。
ちょっと違った盤を使うのでなく,サウンドバーガー自体でちょっと違う使い方をするのはどうだろうか。
COSIO氏:
肩に担いで回すのをやってみたいんですよ。なんかそういうのをやっている写真をどこかで見たので。
4Gamer:
それは……無理じゃね? このアームだと原理的に無理じゃね?
COSIO氏:
いや,なんか見たんですって。こうやって……。
サウンドバーガー:
ギョッヴォォオオゥン!!(針が盤面を滑る音)
COSIO氏:
無理でした(笑)
4Gamer:
でしょうね!
※アナログレコードおよび悪ノリに慣れた人達が行っています。通常の使用では真似しないでください。
COSIO氏,縦置きできるソニーのPS-F9か日本コロムビアのGP-3Rとイメージが混ざっているのではないだろうか。ちなみにGP-3Rと姉妹製品のミキサー・GMX-3も,太知ホールディングスから「GP-N3R」および「GMX-N3」として復刻されており,それにはサウンドバーガーと同型のオーディオテクニカ製カートリッジ(大雑把に言うとエレキギターのピックアップ的な部品)が採用されている。こういった部分も,オーディオテクニカの"みんなのともだち”的な雰囲気を感じるところだ。
ヘチマもチクワも 関係ないわよ
4Gamer:
サウンドバーガーを触ってみての感想はいかがでしょうか。
COSIO氏:
こう言っては何ですが,「見た目以上にしっかりしてる」という印象を受けました。実は,もっと不安定なのかなと思っていたんですよ。ターンテーブルって針圧を調整しないと盤によってはうまく鳴らなかったりするんですけど,今回試してみたものはソノシートまで普通に再生できましたし。
出音も良かったですね。サイズだけでなく使い勝手も手軽で,これとスピーカーさえあれば,皆でレコードを持ち寄ってちょっとパーティをするってことも全然できますよね。すごく欲しくなりました……って言うか,絶対ポチります!
4Gamer:
頑張ってください(笑)。
COSIO氏:
一次受注は速攻完売したって話ですけど,これはレコードを所有しているなら持っておいた方が良いですよ。使ってみたら絶対に欲しくなります。
4Gamer:
そこまで推しますか!
COSIO氏:
推しますね。ピュアオーディオってこだわり始めたらキリが無いですけど,普通に聴いて楽しむ分には,これとBluetoothのイヤフォンかスピーカーがあれば,それだけで十分ですから。
とくにOVOとの組み合わせは最高ですよ。サウンドバーガーとOVOで1つのセットと言いたいくらいです。電源も同じところから取れますし……まあ,もう売ってないんですけど(笑)。
ただ,ちょっと残念だったのは担いで回せなかったことですね。若干そこに期待していたんですけど。
4Gamer:
まあ,縦置きや壁掛けに対応しているタイプじゃないですからねえ。
COSIO氏:
それに,サウンドバーガーって価格がそんなに高くないんですよね。
4Gamer:
2万3800円(税込)ですね。
COSIO氏::
ちゃんとしたターンテーブルを買うと,中古でも5,6万円して,ものによっては10万円以上もざらなので,手軽にレコードを楽しむにはすごく良いデバイスだと思いますよ。
というわけで復刻版サウンドバーガーは,単なる懐古アイテムではなく,現代のアナログレコード再生デバイスとして優れた性能を発揮する逸品だと言える。OVOに匹敵する価格・性能のスピーカーを探すのはなかなか大変だが(オーディオテクニカにしても,ヘッドフォンはバラエティ豊富だがスピーカーのラインナップは弱いと言わざるを得ない),そこもまた「組み合わせを探す面白さ」を味わえるのではないだろうか。
■■早苗月 ハンバーグ食べ男(4Gamer編集部ではない)■■
編集部ではなく「オケカツ!」とかをやってる方の部署に所属しているもののアイドルも管弦楽もよく分かっていない,棒で叩くと音が出る系ヒューマンビートボックス。最近はナードコアやSKWEEEに一瞬転んでみたり,ライセンスお借りして電音部のバイナルとかリミックス盤とか作って売れねえかなーと虚空に言ったり,「ぼっち・ざ・ろっく!」で初めてきららアニメを観たり,初めてKRコミックスを買ったり,初めてスパムバーガーを食べたりしている。好きなロックバンドはSum 41。期待の電音部はゴアトランスのパナジエリア電音部(カレー味)。弱点はコンクリートミキサー車(轢かれると死ぬ)。
〜自宅スタジオのDJセットにサウンドバーガーを組み合わせてみた〜
さて,ここからは私・COSIOがサウンドバーガーのポテンシャルをもっと深掘りするべく,実機をお借りして自宅スタジオのDJセットに組み込んで試してみたぞ!
写真の通り,僕の家には既にレコード再生用のターンテーブル「Technics SL-1200MK5」がある。
DJプレイ用のターンテーブルとしては申し分のない性能だが,とにかくデカくて(幅453x高さ162x奥行353mm),重い(11.7kg)。最近はCDJでのプレイが主流になりつつあり,ターンテーブルを置いてない(もしくは別途レンタル料がかかる)クラブも増えてきたので,レコードでプレイしたい場合はターンテーブルを持ち込むことになることもあるのだが,SL-1200はとてもじゃないが背負って電車で運べるレベルではない。
その点,サウンドバーガーは気軽に運べる大きさで,思ったよりも軽い(900g)。大きめのリュックならレコードを数枚入れても十分に収まるレベルだ。
さらにDJ目線で見てみよう。
まずは何はともあれ接続だ。一般的にレコードの再生音にはフォノイコライザによる補正がかかっているため、その影響を打ち消すためにミキサーやアンプのPhono端子につなぐ必要がある。しかし、サウンドバーガーの場合は恐らく内部でその補正を打ち消しているのでLINE端子に繋ぐだけでOKだ。
またターンテーブルは電源ノイズの影響を受け易いためGND端子にも接続をする必要があるが、サウンドバーガーにはそれも不要だ。そうなると電源ノイズの影響が気になるが,僕が確認した限りとてもクリーンな出音だ。フォノイコライザと同様に内部で処理されているのかもしれない。
つまりクラブに持ち込んだらミキサーのLINE端子に接続するだけで準備OK。しかもバッテリーも内蔵してるので短時間のプレイなら電源すら不要だ! 手軽に運べるだけでなく持ち込んですぐに使えるのもサウンドバーガーの大きなポイント。もはやクラブに持ち込まない理由がない(笑)。
とはいえ,実際にプレイで使ってみると多少の注意が必要になりそうな点も出てきた。まず,注意したいのは針だ。サウンドバーガーの針は専用カートリッジとの一体型になっており,ターンテーブル用の交換針は使えない。もし破損した場合は専用品(ATN3600L)を注文する必要があり,楽器屋さんなどで代用の針をすぐに調達というわけにはいかない。
サウンドバーガーはターンテーブルと同様にスクラッチも可能だが,上記のことを考えるとあまり多用はオススメできない。
また,ターンテーブルの場合は電源のON/OFFにかかわらず針が読み取った信号を出力するので,再生開始時にギュルン,停止時にシュルンといったいわゆる“レコードっぽい”再生/停止ができる。一方サウンドバーガーの場合は電源を入れてから少し間があって再生音が出力され,また電源を切った瞬間に出音もOFFになってしまう。そこもDJ用のターンテーブルと挙動が違うので注意が必要だ。
サウンドバーガーには電源のLEDと回転数のLEDしか搭載されていないためクラブの薄暗い環境では回転数は視覚的に分かるが、レコードの再生位置などは分かりづらい。マグライトのような補助的なライトがあると良いだろう。スマホのライトでも代用できるがマグライトの方がカッコいいぞ!(笑)
言わずもがなだが,サウンドバーガーにはDJ用のターンテーブルにあるようなピッチコントロールは存在しない。まあ最近はピッチを変えず原曲をそのままプレイするDJも多いので大きな問題にはならないかもしれないが,ピッチコントロールがあるだけでプレイの幅は大きく広がるのも事実だ。
ここはぜひ次世代機で対応いただきたいところ。オーディオテクニカさん! お願いします!
さて、ここまでクラブでのDJプレイと目線でサウンドバーガーを見てきた。色々と注意する点はあるがともかく手軽に運べてすぐに接続でき、クリーンな音でレコードを再生できるのは大きな魅力だ。もしあなたがクラブでDJをすることになり、LPレコードをプレイしたくなったら、ぜひサウンドバーガーを担いで行こう! ただしマグライトを忘れずにね!
オーディオテクニカの創業60周年特設ページ
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