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手塚治虫作品のNFTプロジェクトの歩みを振り返る。“IP × NFT”をテーマとしたアニメ・ゲームサミット 2022 Summerの講演をレポート
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印刷2022/09/10 12:40

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手塚治虫作品のNFTプロジェクトの歩みを振り返る。“IP × NFT”をテーマとしたアニメ・ゲームサミット 2022 Summerの講演をレポート

 2022年8月31日から9月2日まで開催された,DMM.comのオンライン展示会「アニメ・ゲームサミット 2022 Summer」では,アニメやゲーム,コンテンツビジネスなどに関わる多種多様な講演が行われていた。
 そのうちの一つ,「double jump.tokyo × 手塚プロダクション 鉄腕アトムNFTから見えてきた『IP × NFT』の未来」の聴講レポートをお届けしよう。

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 同講演は,漫画の神様こと手塚治虫氏の作品のデジタルアートNFTのプロジェクト「From the Fragments of Tezuka Osamu」(手塚治虫のかけらたちより)をテーマに行われた。手塚プロダクションの日高 海氏と,ブロックチューンゲーム「My Crypto Heroes」を手がけるdouble jump.tokyoの高宮孝治氏が登壇。プロジェクトの立ち上げやこれまでの展開が対談形式で語られた。

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手塚プロダクション クリエイティブ部プランナー 日高 海氏
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double jump.tokyo NFTプロデューサー 高宮 孝治氏

アニメ・ゲームサミット 2022 Summer


※画像は配信をキャプチャしたものを,主催のDMMオンライン展示会の許諾を得て掲載している

日本のNFTのフラッグ役に。“手塚治虫作品 × NFT”の取り組みのこれまで


 From the Fragments of Tezuka Osamuは,手塚治虫氏の作品から鉄腕アトムやブラックジャックなど約8万枚の原稿をピックアップしてモザイクアートを制作し,そのモザイクアートをNFT(非代替性トークン)として取引するプロジェクトだ。

モザイクアートNFTの背景で使用されているカラーイラストの一部。紹介に使われているイラストはすべて「鉄腕アトム」のものだが,実際はあらゆる手塚作品のカラーイラストが使われている
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From the Fragments of Tezuka Osamu 公式サイト


 2019年にブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」で手塚プロダクションコラボを行っていた縁から,double jump.tokyoが2021年の春ごろにオファーを出したことで始まった。そこから手塚プロダクションから提供された漫画原稿を用いたモザイクアートNFTや,ジェネレーティブアートNFTを発行していくことが固まっていったという。

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モザイクアート部分には主にモノクロ原稿が使われている。double jump.tokyoが今回のNFTプロジェクト用に開発したモザイクアート制作ツールで原稿画像を裁断していき,鉄腕アトムやブラックジャック,火の鳥を形作っていく
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NFTとして発行されたモザイクアート。いずれも世界にひとつしかない1点もののアートで,オークションで販売された。ちなみに最も高値で取引された鉄腕アトムのモザイクアートの価格,120ETHは当時のレートで現金に換算すると約5600万円だったという
ジェネレーティブアートNFTの概要。モザイクアートNFTと比べるとはるかに安価かつ固定価格で売り出されたため,1000点が即座に完売した
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 From the Fragments of Tezuka Osamuで取り扱ったNFTの紹介が終わると,日高氏より手塚プロダクションがNFTを取り扱おうと決めた理由について語られた。
 手塚プロダクションが重視していたのは,NFTで発生した利益の一部を国内外に寄付することや,手塚治虫が残した原稿を新しい形で世に広めていくこと。また,NFTとして取り扱うコンテンツは,模倣が難しく国内外でブランド力が高いものが望まれている背景から,「(手塚治虫作品というブランドが)日本のNFTのフラッグ役,トップバッターになれれば嬉しい」という思いもあり,NFTへの参入を決めたようだ。

手塚プロダクションが得たNFTの売上の一部(約20%)は,国内外の子どもを支援する取り組みへと寄付されている
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「手塚治虫の原稿は売り物ではない」という会社としての信条を持つ手塚プロダクション。一方,原稿を用いた創作物(モザイクアート,ジェネレーティブアート)のような新たな価値観を生み出す取り組みには,こだわりを持って進めていきたいと考えているようだ
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「手塚治虫が常に新しいことを開拓してきたように,手塚プロダクション自体も新しいものを開拓していく必要がある」という考えが,NFTへの参入の原動力になったようだ。コンテンツホルダーとしては,NFTとして取り扱うことで作品の希少性が担保できるのも魅力と語る
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 手塚治虫ブランドの力を示す一例として,高宮氏からは今回のNFTプロジェクトで起こったユニークな市場のリアクションが紹介された。
 それは多くのユーザーが購入したNFTを転売することなく,手元に置いているということ。モザイクアートNFTは高額かつイーサリアム(ETH)の設定(事実上の売却不可)がある点が大きく,またジェネレーティブアートNFTは手塚治虫作品のコレクターアイテムとして確保されており,二次流通で持ち主が動いている数は半分ほどだという。

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アトムや手塚治虫自身の生年月日が価格に設定されているモザイクアートNFT。高宮氏,日高氏ともに,「きちんとファンに届いたことが嬉しい」と笑顔で語っていた
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ジェネレーティブアートNFTの価格の動き。手塚治虫作品が好きでNFTを買った層が多いため変動は少なめだが,新たなニュースや新規のNFTが追加発行されると取引が活発に
講演の最後には手塚プロダクションとdouble jump.tokyoが今後予定しているNFT関連の事業が紹介された。画像は手塚プロダクションがJTBグループと取り組んでいる「ASTROBOY×JAPAN(ご当地アトム)NFT」
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 ライセンサーとしてIPを提供した側の日高氏は,モザイクアートNFTやジェネレーティブアートNFTが手塚治虫ファンに届いたことを歓迎しつつ,「double jump.tokyoと手塚プロダクション,NFTに対する立場がまったく異なるにも関わらず,2社の目的が一致したNFTビジネスを築けたことが成功の秘訣だったのでは」と分析。今後も「NFTを利用した展開をご提案してほしい」とdouble jump.tokyoへの感謝と期待を述べ,講演を締めくくった。

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アニメ作品や手塚プロダクション公認の二次創作を活用したNFTの展開も予定されている。2019年から手塚プロダクションが運用に参加しているブロックチェーンシステム,OPEN POSTにもあらためて注力していくとのこと
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こちらはdouble jump.tokyoのが進めているプロジェクト。さまざまなジャンルのIPを活用したブロックチェーンゲーム&NFTプロジェクト「IPs into Web3」を複数進行させつつ,IPホルダーのWeb3参入を支援するサービスを拡充させていく
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手塚プロダクション 公式サイト

doublejump.tokyo 公式サイト


アニメ・ゲームサミット 2022 Summer

  • 関連タイトル:

    My Crypto Heroes

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