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アナログゲームの祭典「ゲームマーケット2021秋」全体レポート。“わざわざ行こう!”をスローガンに1万8000人が会場を賑わす
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印刷2021/11/24 11:37

イベント

アナログゲームの祭典「ゲームマーケット2021秋」全体レポート。“わざわざ行こう!”をスローガンに1万8000人が会場を賑わす

 2021年11月20日と21日の2日間,アークライトの主催によるアナログゲームの祭典「ゲームマーケット2021秋」が,東京ビッグサイトで開催された。

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「ゲームマーケット」公式サイト


 アナログゲームの振興とプレイヤー達の交流を目的とした本イベントでは,アナログゲームを扱う企業や専門店,またインディーズ作品を手がける個人やサークルが多数出展し,さまざまなジャンルのアナログゲーム――ボードゲームやカードゲーム,ウォーゲームにマーダーミステリー,テーブルトークRPGなどの展示や販売,頒布などが行われた。
 また会場では,よだかレコード主催による謎解きイベントや,2021年1月に逝去が報じられた鈴木銀一郎氏へのメッセージパネルが設置されたメモリアルブース,Kickstaterと提携する講談社が,クリエイターからの相談に応えるために設置した「講談社クリエイターズ ラボ」といった特設ブースも用意され,いずれも多数の来場者で賑わっていた。

よだかのレコード主催による恒例の謎解きイベント。今回は「ルールだらけのボドゲ城からの脱出」というタイトルで,会場全体を使った出題が行われた。各スポットには謎に挑むグループの姿が
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こちらは謎解きに詰まった人が駆け込む「ヒント屋」。初心者でも“クリアできない”状況にならないよう配慮されている
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 緊急事態宣言が解除されたとはいえ,感染症とのうまい付き合い方が求められる昨今,客足がどこまで戻るのかという懸念があったものの,公式発表による来場者数は2日間で1万8000人(20日が1万人,21日が8000人)と,蓋を開けてみれば2021年春の前回を大きく上回る結果に。
 もちろん入場前の検温や手指アルコール消毒,マスク着用の徹底,会場の定期的な換気といった感染症対策も合わせて実施されており,運営側の努力も見てとれる。イベントのカタログにも「わざわざ行こう!」というキャッチコピーが踊っていて,まだまだ探り探りの開催であることがうかがえる。

開場前の入場待機列の様子。初日は距離を開けながら最後尾は会場の外まで続き,朝8:00の段階で150人程度の列が出来ていた。活気を感じながらも移動には不自由しない,ある意味理想的な混み具合だったと言える
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 徐々に活気を取り戻しつつあるとはいえ,一般の出展ブースに試遊スペースが設けられていないなど,最盛期の盛り上がりにはまだもう一歩と感じた今回のゲームマーケット。運営側はその辺りをどう考えているのか。ゲームマーケット事務局の片岡大輔氏に印象を聞いてみた。

2020年1月に逝去された日本ボードゲーム界の父・鈴木銀一郎氏を偲ぶメモリアルブース。年表や過去の作品の展示が行われ,氏を忍ぶ追悼メッセージが多く貼り出されていた
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「やっぱりゲームマーケットがないとね」と思ってもらいたい――アークライト・片岡大輔氏ミニインタビュー


4Gamer:
 お時間をいただきありがとうございます。まだ1日目の最中ではありますが,現時点での印象をお聞かせください。

片岡大輔氏(以下,片岡氏):
 望外の来場者数に,我々としても喜んでいるところです。待機列も想定外のボリュームで,ビッグサイト側とも緊急で調整が必要なくらい。今回は2ホール合わせて1万人の収容が可能ですが,改めて体制を見直していきたいと思っています。

前回に引き続き,多くの来場者で賑わっていたStudio OZONによるマーダーミステリーブースの様子。商業作品とインディーズの分け隔てなく,多くの新作が販売されていた。ブース内のミニステージでは,さまざまな催しも開かれていた
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4Gamer:
 盛況の理由をどのようにお考えですか。

片岡氏:
 緊急事態宣言も明けて世の中が徐々に正常化されていく中で,そろそろ屋外に出かけたいフラストレーションが皆さんの中に溜まっていたのが大きいのではないかと思います。イベントカタログの売れ行きや事前チケットの販売も好調でしたし,「そろそろゲームマーケットに行ってみようか」という時期だったのかもしれないですね。

4Gamer:
 今回は11:00に入場できる先行入場チケット(20日のみ/一般チケットは12:00入場)が1500枚限定で販売され,実質的な2段階入場となっていました。この狙いはなんでしょうか。

片岡氏:
 2020年は午前/午後の入れ替え制という形で感染症対策を行っていましたが,今回から早期入場チケット方式を採用することになりました。「限定品がどうしても欲しい」「目当てのゲームを早く購入したい」という層と,会場をゆっくり見て回りたい層では買い物への熱量に違いがあるのは常々感じていましたし,1500円多く支払っても早く入りたいという人には,メリットを感じてもらえたのではないかと思っています。
 また運営側としても列の混乱を防ぐ効果があるので,この方式は今後も続けたいと思っています。

アークライトブースで先行販売されていた新作「テインテッド・グレイル:アヴァロンの崩壊」。ダークファンタジーな世界観が魅力の1〜4人用協力プレイゲームで,全15章からなるシナリオが用意されている。1章あたりのプレイ時間は約2時間という重量級タイトルで,会場価格は税込2万円(一般販売は2万2000円予定)となっていた
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4Gamer:
 確かに開場と同時に入場した人達が,持ちきれない箱を抱えてレジに並んでいる光景を目にしました。では,以前の活気をかなり取り戻してきたという認識でしょうか。

片岡氏:
 ええ。とはいえ新型コロナ禍の前は2日間で3万人くらいの来場がありましたし,比較するとまだまだですね。ただ今回の会場規模では,混雑しすぎない丁度いいラインだと思います。

4Gamer:
 最盛期に及ばないというのは,会場を歩いていて自分も感じたところです。大手企業やサークルの欠席が目立ちますし,ブースの規模も以前に比べて抑え目に感じました。場内で行列を作っているような場面に出くわすことも少なかったです。

片岡氏:
 どこも苦労されているのだと思います。我々も入場料・出展料共に大幅に値上げせざるを得ませんでしたし,企業さんは施工費もかかるので,ひとまず様子見されているのかもしれません。
 また以前は各地でよく開かれていた事前のゲーム会(発売前のタイトルをお披露目する場)なども行われないので,新作タイトルの情報もあまり出回らない。そういった現状を反映した部分もあるかもしれないです。

商業作品のみならず,ワンオフのインディーズ作品との出会いもゲームマーケットの魅力の一つ。写真は9つの香りを使った嗅覚人狼「WOLFUME -香水人狼-」。仲間の香りを嗅ぎ分けて村の防衛を目指すという内容で,多くのバリエーションが存在する人狼ゲームの中でもかなり尖ったタイトルとなっている
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4Gamer:
 分かりました。最後にアナログゲームファンに向けたメッセージをいただけますか。

片岡氏:
 前回は来場者数が微減でしたので,値上げした今回が盛り上がらなかったら「ゲームマーケット終わったな」なんて思われてしまう可能性もありました。ですが幸いにもそうはなりませんでした。各ブースの売上げも好調と聞いていますし,「やっぱりゲームマーケットがないとね」と思ってもらえるんじゃないかと期待しています。
 アークライトはいちボードゲームメーカーではありますが,このイベントを通して市場が広がり,業界の活性化を牽引していけたらと思っています。アナログゲームの文化が日本に根付くことに貢献できるよう,大事に育てて火を消さないようにしたいと思っています。

4Gamer:
 お忙しいなか,本日はありがとうございました。



 新作タイトルの販売のみならず,イベントとしての活気を取り戻しつつあるゲームマーケット。個人的にはキャッチコピーどおり「わざわざ行く」価値が十二分にあるイベントであったと感じられた。2022年2月6日には「ゲームマーケット2022大阪」も開催予定で,全国的な感染者数がこのまま落ち着くのなら,さらなる盛り上がりが期待できそうだ。とくに関西圏のアナログゲームファンは期待しておこう。

テーブルトークRPGを扱った特設ブース「Role&Roll TRPGギルド」。インディーズ作品では対面でプレイする機会が減ってもオンラインで遊ばれ続ける「クトゥルフ神話TRPG」や,怪異との遭遇を描いた「エモクロアTRPG」のシナリオ集が人気を集めていた
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