業界動向
「荒野行動」「Identity V」のNetEase,2019年第三四半期の売り上げは2257億円で,1213億円の利益
网易三季度营收146亿元 持续经营净利润47亿元
中国では今でも「フリーメールの会社」というイメージ(日本ならYahoo!が似た印象になるだろうか)の強いNetEaseだが,2001年にオンラインゲームに注力をはじめ,いまでは中国最大の「ゲーム専業会社」と呼んでも差し支えないだろう。昨今の日本ではスマホゲームの会社として認識されているが,そもそもはPCゲームの会社であり,PCオンラインゲームにおいても存在感が大きい。
ふんだんなキャッシュを武器に,ゲームにおいてもあらゆる会社に投資をかけてグループ化して,巨大化になっていくTencentとは違い,いくつものチームやスタジオを内部に抱えて,割と正面からゲームに向き合っている会社だといえる。
※以下はすべて,2019年11月21日のレート,1元=15.42 円で計算している
そんなNetEaseの2019年Q3(第三四半期)の総売り上げは,146.36億元(約2257億円)で,YoY+11.2%という好調さだ。比較するものでもないが,売り上げの規模を数字感として見せると,ざっくりスクウェア・エニックスの2倍,任天堂の半分くらいのところにある。。
売り上げ総利益としては78.7億元(約1214億円)が計上されており,こちらのYoYは+8.9%だ。やはり好調である。
総売り上げ2257億円のうち,80%近い約1780億円(115.35億元)を「オンラインゲーム」が叩き出しており,NetEaseの業態が完全にゲーム会社であることはここからもうかがえる。ざっくりした概要しか公開されていないので,このうち日本での売り上げが占める割合がどれくらいかなどは分からないのだが,ハイライトとして
・「荒野行動」が日本で高パフォーマンスを維持中。何度もダウンロードランキングに入っている
・「Identity V」が,9月に日本のApp Storeで,初めてダウンロードランキング1位を獲得
など日本での成果が強調されてるあたり,なかなかの貢献度合いなのだろうという推測はできる。余談だがゲームのところに
・中国大陸で「World of Warcraft Classic」をローンチして好評
という表現があるのだが,これはいわゆるPatch1.12当時の状況のWoWを楽しむものだ(NetEaseは,中国でのBlizzard作品運営会社だ)。
関連記事:登場当時の姿が楽しめる「World of Warcraft Classic」の正式サービスは,2019年8月27日にスタート
ちなみに,残り20%は何で出来ているのかというと,
・Youdao売上 3.46億元(約53.4億円) YoY+98.4%
・イノベーションおよびその他事業売上 27.55億元(約424.8億円) YoY+4.5%
というのがすべてだ。
2019年9月に,自社で抱える越境ECサイトの大手「コアラ」(網易考拉)をアリババに売却し,音楽配信サービスにもアリババの資本を受け入れるなど,2019年のNetEaseは,ゲーム事業以外での動きが割と派手だ。本丸たるゲーム事業においても,ポケモンやMarvel,ハリー・ポッターのIPを使ったゲームをローンチしたり(しかもまだ隠し玉があるらしい),“あの”Diabloのスマホ版の開発を手がけたり,攻勢の手を緩める気配はない。
以上の概況から見えるとおり,NetEaseは中国国内で規制が厳しくなるこのタイミングで,あえてゲーム事業への注力を(事実上)表明しているわけで,来年こそが重要な年になるに違いない。動向は注意深く追っていきたい。
Youdao(中国語サイト)
外部サイト:中国のオンライン教育企業「Youdao」がニューヨーク市場で上場
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