業界動向
超巨大企業テンセントの2019年第三四半期は,1.5兆円の売り上げで3800億円の利益
Tencent(テンセント)の2019年第三四半期(7月〜9月)業績報告が公開されたので,いくつかのトピックを抜粋してみよう。
ご存知のとおりだがテンセントは,フィンテック+SNSを代表するかのようなアプリ「WeChat」や「QQ」,ゲーム業界的には「王者栄耀」※で有名な会社だ。中国での「Nintendo Switch」の代理店でもあり,日本では先ごろ「爆走ドリフターズ」(iOS / Android)のサービスをスタートしている。
※そのグローバル版が日本語になったのが,DeNAが配信している「伝説対決 -Arena of Valor-」(iOS / Android)だ
腾讯Q3总收入972.36亿元,云业务增长80%,国际化亮眼
売り上げ高で「世界最大のゲーム会社」であるばかりか,Activision Blizzard,Ubisoft,Epic Games,Riot Games,Supercell,Bluehole,Netmarbleなど,そうそうたる顔ぶれのゲーム会社の「株主」ないし「親会社」でもある。もちろんゲームのみならずエンターテイメント全般に広く進出しており,ターミネーターの最新作「ターミネーター:ニュー・フェイト」も,事実上テンセントが大きく制作に絡んでいる。
さてそんなテンセントの2019年Q3(第三四半期)の総売り上げは,972.36億元(約1.5052兆円)。YoYで+21%という弾けっぷりだ。四半期売り上げが1.5兆円……。そして非米国会計基準なので,シンプルに他社との比較はできないものの,Q3の利益は244.12億元(約3779億円)という数字が出ている。こちらもYoYで+24%という大幅増だ。四半期利益が3800億円……。
※レートはすべて,2019年11月14日の数値で計算しています(1元=15.48円)
ここは4Gamerなので,ゲームについてちょっと詳しく見てみると,
・スマホゲーム売上 243億元(約3761.6億円) YoY+25%
・PCゲーム売上 115億元(約1780.2億円) YoYー7%
となっている。総額で358億元(約5542億円)。つまり,テンセントグループ全体の売り上げの,3分の1はゲームなのだ。そのゲーム関連でのトピックといえば……
・PUBG Mobile(iOS / Android)の海外ユーザーMAUが,前年同期と比べて倍に
・Call of Duty Mobile(iOS / Android)が,リリースから1か月以内にダウンロード数が1億超え
というあたりだろうか(そうCoD Mobileは,テンセントのTimi Studioが開発しているのだ。Activision Blizzardの大株主でもあるわけで,ちょっと考えてみればおかしなことでもないが……)。
ちなみにほかのジャンルを見てみると,
・フィンテックおよび企業サービス売上 268億元(約4148.6億円)
・インターネット広告売上 184億元(約2848.3億円)
・SNS広告及びその他売上 147億元(約2275.6億円)
・BtoBクラウドサービス売上 47億元(約727.6億円)
となっている。このうちフィンテック(WeChatペイなど)の売り上げは,前年同期比で+36%という伸び方を記録しており,すっかり普及してると思える中国でも,フィンテック周りにまだまだ伸びしろがあることを感じさせる。
・QQのMAU 7.31億人
・WeChatのMAU 11.51億人
という数字が公開されている(参考までに日本のTwitterアクティブアカウントが約4500万人,LINEの国内MAUが約8100万人だ)。
BtoBのクラウドサービスも,YoY+80%というかなりの伸び方だ。中国のクラウドは,圧倒的No.1のシェアをAlibaba Cloudが握っており(中国国内の約半分を占める),その牙城をどこまで崩せるのかに注目だ。
以上のように,ちょっと桁の違う数字を叩き出しているテンセントの今四半期。中国のユニコーン企業のほとんどに投資していることもあり,このあともさらなる発展を遂げていくに違いない。
とはいえ,ゲームだけでも四半期で5542億円の売り上げを叩き出す,世界ランクTop5に入るこの会社といえど,国家の規制からは逃れられない。このあとのテンセントのゲーム事業がどのように動いていくのか,いろいろな意味で注目したい。
テンセント2019Q3財務報告書:TENCENT ANNOUNCES 2019 THIRD QUARTER RESULTS
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