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プレイヤーと視聴者の垣根は薄くなり「参加者」として融合する。「インタラクティブ・ストリーミングとメディアの未来」聴講レポート
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印刷2019/07/12 19:43

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プレイヤーと視聴者の垣根は薄くなり「参加者」として融合する。「インタラクティブ・ストリーミングとメディアの未来」聴講レポート

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 2019年7月12日,東京・秋葉原で行われたアプリ・ゲーム開発者向けカンファレンス「GameTools&MiddlewareForum2019」(GTMF 2019)で,「インタラクティブ・ストリーミングとメディアの未来」と題された講演が行われた(関連記事)。

「インタラクティブ・ストリーミングとメディアの未来」に登壇したGenvid Technologiesのジョンソン裕子氏
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「Genvid SDK」の活用事例を中心に,ゲームとメディアが融合し,プレイヤーと視聴者の垣根が薄くなって「参加者」としてコンテンツを楽しむ……という未来が語られた講演の模様をお伝えしたい。

 Genvid Technologiesは,インタラクティブ・ストリーミングエンジンを開発するベンチャー企業だ。インタラクティブ・ストリーミングとは,インタラクティブなゲームと,受動的に観賞するメディアが融合したエンターテイメントの新しいカテゴリーとのこと。こうしたゲームとメディアの融合は,例えばeスポーツという形ですでに始まっており,これを推し進めるのがGenvidの提供する「Genvid SDK」となる。

「Genvid Technologies」公式サイト


 エンターテイメントには,ユーザーが没入する「Lean-In」型と,くつろいで眺める「Lean Back」型に分類できると,登壇したGenvid Technologiesのジョンソン裕子氏は指摘した。この分類に従うと,ゲームやVR,MR,ARはLean-In型で,映画やテレビ,eスポーツ観賞はLean Back型に分けられる。形態としてはまったく異なる両者だが,余暇の時間を奪い合うという点ではライバルだ。
 Lean Back型の典型である動画配信サービスのNetflixが2018年第4四半期の業績報告で「我々が戦っているのはケーブルテレビのHBOではなく,『フォートナイト』である」と述べたのは,そのためだ。そのNetflixは,新たにインタラクティブ性のあるドラマ「ブラック・ミラー:バンダースナッチ」を配信している。これは,アドベンチャーゲームのように選択肢が表示され,視聴者が望むように物語が分岐するという内容で,Lean Back型のフィールドからLean-Inへのアプローチを試みているわけだ。

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 こうした状況下,ゲーム業界には大きなチャンスがあるとジョンソン氏は言う。これまでのゲーム業界はプレイヤー数の拡大を考えていたが,自分ではプレイしない層にアプローチする手段を持たなかった。ゲームをやり込む時間がない人や,うまい人のプレイを見ることを好む層は確実に存在しており,そうした人々をGenvid SDKのインタラクティブ・ストリーミングによって「参加者」という形でとして取り込むことで,ゲームビジネスのさらなる拡大が望めるというのだ。

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 ここでジョンソン氏がGenvid SDKの活用例として紹介したのが,「Counter-Strike: Global Offensive」「Space Sweeper」「CHKN Arena」「Project Eleusis」の4タイトルだ。


「Counter-Strike: Global Offensive」


 FPS「Counter-Strike: Global Offensive」の大会である「FACEIT London Major」「Intel Extreme Masters Katowice 2019」では,配信映像を受動的に眺めるだけではなく,画面に詳細なマップやスコアボードを表示したり,好きな選手の視点で試合を見たりできる。
 また,選手を有料/無料で応援することも可能で,有料の応援は派手なエフェクトが表示されるのに加え,「どの選手が応援されているのか」のデータが運営側にリアルタイムで送られるため,これを実況で取り上げることなどで,さらに応援が盛り上がったという。言うまでもなく,有料の応援者が増えれば収益につながるため,eスポーツイベントに与える影響も大きい。
 「eスポーツの視聴者は高い承認欲求を持っている」とジョンソン氏は指摘するが,こうしたニーズに応えた形の活用と呼べるだろう。

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「Space Sweeper」


 アクションゲームの「Space Sweeper」では,視聴者がTwitchで配信されるゲーム実況に影響を与えられる。プレイヤーが敵を倒したときに現れる「怒りポイント」を集めて,ゲーム内にアイテムや敵キャラクターなどを送れるのだ。上の事例では,「応援」が数として集計されたが,Space Sweeperでは,参加者の意志をより具体的に表現できる。
 インディーズゲームイベント「BitSummit」に出展したところ,来場者に好評を博したとのこと。友達が会場でプレイしているゲームに対して会場に設置されているPCからTwitchにアクセスし,そのゲームにある意味で参加するという光景が見られたそうだ。

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「CHKN Arena」


 クリーチャーを育てる「CHKN」にGenvid SDKを組み合わせたのがCHKN Arenaだ。参加者はTwitchで「どのクリーチャーを戦わせるか」に投票し,クリーチャーにTwitchのポイントであるBitsを使って買った餌を与えたり,クリックで応援したりできるのだ。
 敵が必殺技を出してきたときでも,応援が多ければ回避できるなど,参加者が戦いに影響を与えることができる。クリーチャー達は自動で戦うため,プレイヤーが存在しないことも大きなポイントだ。

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「Project Eleusis」


 「Project Eleusis」は,無人島に送られた10人が生きる様子を見守るという,リアリティ番組を思わせるゲームだ。彼らの様子を見守ることに加えて,投票で決めた物資を送り込むことで視聴者がゲーム世界に影響を及ぼせる。
 それぞれのキャラクターはAIによって操作され,「秘密基地の扉が見つかる」などのイベントが突発的に発生するため,ゲーム展開はプレイのたびに変化する,といった要素の導入を計画しているそうだ。キャラクター達の間で何か感動的な出来事が起き,その場に参加者として立ち会えることができれば,視聴者は大きな満足を得られるだろう。

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 すべての視聴者がゲームの参加者となり,プレイや応援など,さまざまなレベルでゲームに関われるのがインタラクティブ・ストリーミングだ。新しいジャンルだけに従来とは異なるゲームデザインが求められ,それによって,これまでにはなかった課題も浮き彫りになると思うが,新たなコンテンツの可能性があると,ジョンソン氏は語り,講演を締めくくった。

「Genvid SDK」は公式サイトで公開中
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「Genvid Technologies」公式サイト

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