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[NDC19]新規ユーザーと復帰ユーザーの違いについて,NEXON Korea UX分析チームのパートリーダーが事例をもとに解説
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印刷2019/04/26 11:58

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[NDC19]新規ユーザーと復帰ユーザーの違いについて,NEXON Korea UX分析チームのパートリーダーが事例をもとに解説

 韓国最大規模のゲーム開発者向けイベント・Nexon Developers Conference 19(NDC19)の2日目となった2019年4月25日に,「それが知りたい : 復帰ユーザーと新規ユーザーはどのように違うか」というお題のセッションが行われた。スピーカーは,NEXON KoreaのUX(User Experience)分析チームでパートリーダーを務めるキム・スルギ氏だ。

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NEXON Korea UX分析チーム パートリーダー キム・スルギ氏

 NEXON KoreaのUX分析チームは,フォーカスグループテストやフォーカスグループインタビュー,深層インタビュー,そしてユーザビリティテストといった手法により,ユーザーの心や立場について分析しているという。今回キム氏は,お題にあるとおり新規ユーザーと復帰ユーザーの違いについて,ユーザビリティテストの事例をもとに聴講者に解説した。その内容をお届けしよう。

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 キム氏はまず,新規ユーザーと復帰ユーザーをそれぞれ定義する。新規ユーザーは「(対象のゲームを)初めてプレイする人」で,復帰ユーザーは「プレイの経験がある人」だ。

 紹介された最初の事例はPC用オンラインアクションRPG「アラド戦記」のもので,各属性のユーザーにゲームをプレイしてもらい,どのようにゲームを進めていくかを観察するというものだった。

 アラド戦記でまず行うのはキャラクター選択だ。新規ユーザーは,イラストやスキルエフェクトを参考にして使用キャラを選ぶ一方,復帰ユーザーは,かつて遊んでいたキャラを再び選ぶことが多いという結果となった。

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 次の事例はスマートフォン向けアプリ「HIT」iOS / Android)で,同作の場合,新規ユーザーがイラストやスキルエフェクトをもとに使用キャラを選ぶという点に変わりはなかったが,復帰ユーザーはアラド戦記の事例とは異なる結果となった。かつて遊んでいたからという理由で,体験したことのないキャラを選ぶ傾向にあったのだ。

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 2つの事例では復帰ユーザーの動きが異なる結果となったが,キム氏は共通点を探し出せたと説明する。新規ユーザーは,イラストやスキルエフェクトといった視覚情報をもとに選択するが,復帰ユーザーは,自身の経験をもとに思考し,そのうえで選択するということである。

 では,この違いは実際にゲームにどのような影響を及ぼすのか。ここで,キム氏はアラド戦記の事例を紹介した。

 アラド戦記には,キャラクターのスキルの割り振りを自動で行えるボタンがある。また,スキルリセットは無料で何度でも可能だ。

 新規ユーザーは,スキルガイドを丁寧に読み込んで,それぞれのスキルの使用感を実際に試した。スキルの割り振りを自動で行うボタンも使用した。

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 一方の復帰ユーザーは,スキルガイドにまったく目をとおさず,わずらわしく思っている様子だった。“自動ボタン”は一切使う様子がなく,各スキルを手動で丁寧に習得する。人によっては,何種類もあるスキルを一つずつインターネットで調べて,習得に膨大な時間をかけていた。

 キム氏は,復帰ユーザーの上記の行動について,かつてアラド戦記はスキルの割り振りを失敗できないゲーム設計であったこと,そしてスキルリセットが有料だったことなどを,考えられる理由として挙げていた。

 HITの場合はどうか。
 HITは“REBOOT”という大規模アップデートが行われ,これまでにないシステムの新たなスキルを発動できるようになった。復帰ユーザーであればすぐにこのシステムを理解して使いこなすだろうと思われたが,結果はそうではなかった。新しく追加されたスキルと既存のスキルを区別すらできていなかったのである。

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 これらの事例で分かるのは,復帰ユーザーは自身における過去の経験をもとに判断するため,新たに学習させるのが難しいことだとキム氏は語る。

 アラド戦記を使ったほかの事例も紹介された。ゲームの難度について,新規ユーザーと復帰ユーザーはそれぞれどのように感じるかを調べるという内容だ。調査時,プレイの進行を助ける強力なヘルプNPCが同行するという新機能が実装されたばかりだった。

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 調査の結果,どちらからも「簡単で遊びやすい」といった類いの似たような意見が出た。しかし,復帰ユーザーはこれに「でも退屈」という愚痴を付け足したうえ,ヘルプNPCにすべて任せてプレイヤーキャラクターの操作をほぼ放置した。復帰ユーザーは,ゲームの経験をもとに判断するので,新規ユーザーと似ていても実は内容の異なる感想を抱くというわけだ。

 HITを使った同様の事例が続けて紹介された。REBOOTで追加された新たなステージを復帰ユーザーに遊ばせた場合,その難度に不満を漏らし,さらに「使っているキャラクターが弱い」と判断したのだという。

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 キム氏は,これらの事例を踏まえて,復帰ユーザーがどのような感想を抱くかは「ゲームメーカーとして注意しなければならない」とした。また,復帰ユーザーの過去の経験を正確に把握できれば,適切なゲームバランスを提供し,新規ユーザーだけでなく,復帰ユーザーも満足させられるだろうとも語っていた。

 最後にキム氏は,あくまで例として,新規ユーザーと復帰ユーザーには別のチュートリアルを用意するといいだろうと意見を述べていた。丁寧なガイドは新規ユーザー向けに,変更点だけをまとめた内容を復帰ユーザー向けに,それぞれ提供するというわけである。新規ユーザーと復帰ユーザーの性質はゲームごとに異なるので,必ずしも正確に区分けできるわけではない。しかし両者を正しく把握することで,ライブサービスを大いに発展させられるはずだとし,講演を締めくくった。

「アラド戦記」公式サイト


「HIT 〜Heroes of Incredible Tales〜」公式サイト

「HIT 〜Heroes of Incredible Tales〜」ダウンロードページ

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