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「ゼルダの伝説」の名曲がおなじみの楽器やオーケストラで奏でられた「ゼルダの伝説 コンサート 2018」の初日公演をレポート
1986年2月にファミリーコンピュータ ディスクシステムで第1作が発売されて以来,長きにわたり多くのファンから愛され続けている「ゼルダの伝説」シリーズは,タイトルによってさまざまな楽器が重要な要素として登場することはファンならおなじみだろう。
今回のコンサートではオカリナ,ハープ,アコーディオンという3つの楽器にフォーカスを当て,竹本泰蔵氏の指揮と東京フィルハーモニー交響楽団による演奏で歴代ゼルダシリーズの名曲が奏でられた。本稿でその模様をレポートしよう。
なお記事内では,演奏楽曲や演出の詳細にも触れているので,12月14日の最終公演(東京)を観賞予定の人はぜひ終演後にご一読いただきたい。
■「ゼルダの伝説 コンサート 2018」曲目一覧
M1 ブレス オブ ザ ワイルドより「メインテーマ」
M2 ブレス オブ ザ ワイルド メドレー -ハイラルの大地-
M3 ゼルダ姫のテーマ
M4 組曲オカリナメロディー2018
M5 ボス戦闘曲メドレー 2018
M6 神々のトライフォース 2&3銃士メドレー
M7 ブレス オブ ザ ワイルド 英傑メドレー
M8 夢をみる島メドレー
M9 ブレス オブ ザ ワイルド カッシーワメドレー
M10 競馬
M11 ゼルダの伝説 〜ハープの調べ〜
M12 ブレス オブ ザ ワイルド メドレー -決戦-
M13 ゼルダの伝説メインテーマ
「ゼルダの伝説 CONCERT 2018」
シリーズ最新作「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」(以下,「ブレス オブ ザ ワイルド」)の「メインテーマ」で始まったコンサートは,開幕早々,同作品のプレイヤーなら自身の冒険の始まりを思い出させるような嬉しい演出もあった。
アコーディオン奏者の津花幸嗣氏による「馬宿」で始まるM2「ブレス オブ ザ ワイルド メドレー -ハイラルの大地-」では,各地の映像とともにその土地の楽曲が次々と演奏され,中盤ではリンクがマスターソード(退魔の剣)と出会うことになるコログの森とデクの樹様のシーンの楽曲が披露された。
このように,今回のコンサートはスクリーンに投影される映像と演奏のシンクロが非常に注目すべきポイントとなっており,映像の切れ目と演奏の終止感がぴたりと合致したステージは目を見張るものがあった。
M3は「ゼルダ姫のテーマ」。冒頭の映像では「ゼルダの伝説 時のオカリナ」(以下,「時のオカリナ」)からハイラル城で初めてゼルダ姫に会うシーンが再生され,その後は「ゼルダの伝説 風のタクト」「ゼルダの伝説 スカイウォードソード」(以下,「スカイウォードソード」)などそれぞれのシリーズのゼルダ姫との出会いや別れの映像が,美しい弦楽器の調べとともにステージを彩った。筆者も,「時のオカリナ」でゼルダ姫に会う直前の衛兵との隠れんぼを思い出しつつ,各シーンを懐かしみながら眺めていた。
また映像だけではなく,ステージライトもシーンに合わせて色調が変わるため,耳だけでなく目でも楽しませたいという思いが伝わってくる。
M4は「組曲オカリナメロディー2018」。ここでは全編をとおしてホンヤミカコ氏によるオカリナがフィーチャーされ,「時の歌」「嵐の歌」「サリアの歌」などの主旋律をオカリナが演奏したのち,オーケストラの重厚な演奏が追随する流れで楽曲が進行した。Voces Tokyoによる合唱も含めた最大編成で演奏された色あせない名曲と当時の映像に,思わず涙腺が緩んでしまう。
M5「ボス戦闘曲メドレー 2018」では,さまざまなシリーズ作品のボス戦楽曲が次々に演奏された。勇壮なブラスセクションと弦楽器隊の早いパッセージが目まぐるしく続くなか,映像と演奏のタイミングもばっちりと合致していたのが印象的で,ギラヒムなど特徴的なボスの散り際とオーケストラ演奏の終止感が紐付いており,高い演奏レベルが伺える一幕となった。
M6は「神々のトライフォース 2&3銃士メドレー」。冒頭はユガとの邂逅に始まり,ヒルダ姫のテーマが演奏された。ゲーム序盤,助けを求めるゼルダ姫と出会うシーンが描かれるなど全体をとおしてストーリー仕立てとなっており,各種ダンジョンからメダマーゴやデグテールなど「ゼルダの伝説 トライフォース3銃士」に登場するボスとの戦闘曲,そして最後はメインテーマへとつながっていく。
M7は「英傑メドレー」。木管が旋律を奏でる「ミファーのテーマ」から始まり,続く「ダルケルのテーマ」では,弦楽器とピアノによる切ない旋律から一転,トロンボーンによる軽快なフレーズが演奏されていく。また「ウルボザのテーマ」では,エキゾチックな旋律を勇壮なブラスセクションで聴かせてくれた。
「リーバルのテーマ」では,リト族と言えばアコーディオンということで,冒頭のメロディを津花氏が担当。最後は4人の英傑たちとリンク,ゼルダに関する印象深いイベントシーンが投影され,辺りには涙を流す観客も目立っていた。余談だが,筆者がクリアした順番と英傑の登場順が同じだったので,個人的にもかなり感情移入して聴くことができた。
20分の休憩ののち,後半はM8「夢をみる島メドレー」からスタート。「ゼルダの伝説 夢をみる島」版のメインテーマがオーケストラで披露された。
シリーズファンであれば,同作のBGMはこのメインテーマをアレンジした楽曲が多いことはご存じのことだろう。トロンボーンやチューバが勇壮なメロディを演奏した,シリーズ屈指の人気曲「タルタル山脈」やボス戦闘曲,コンサートマスターによる独奏から始まった,オリジナル版の単音の旋律が頭にうかぶ「エンディングテーマ」,そこから再びメインテーマへと帰結し,M8全編をとおして素晴らしい展開を見せてくれた。
カッシーワはリト族の吟遊詩人であり,「ブレス オブ ザ ワイルド」ではコンサーティーナに似た楽器を手に世界各地に登場するキャラクターで,プレイヤーのリクエストに応じて各地に伝わる歌を演奏してくれる。津花氏もこれに習い,アコーディオン一本での演奏で観客を魅了した。
M10は「競馬」。「時のオカリナ」ではロンロン牧場にて「賭けレース」「障害物レース」が行えるが,その時に使用されている軽快な楽曲だ。イヤなヤツだがなんだかにくめないインゴーとの勝負や,好成績を残すと牛がもらえる障害物レースなど,ダークな世界観の同作の中で牧場でのイベントには心が和んだという人は少なくないはず。そんな気持ちを思い出すような陽気かつ爽快なメロディで,観客を大いに盛り上げていた。
M11は「ゼルダの伝説 〜ハープの調べ〜」。序盤はシリーズを代表する楽曲「大妖精のテーマ」を爪弾き,その後はフルートが重なり,合唱団から弦楽器隊と徐々に編成が拡大し,神秘的な雰囲気を醸し出していく。続いて原作でもハープの音色が特徴的だった「シークのテーマ」,そして「スカイウォードソード」からは「女神の詩」が演奏された。
M12はガノンとの決戦を描いた「ブレス オブ ザ ワイルド メドレー -決戦-」。ガノンは他シリーズ作品と同様,形態が変わるごとに楽曲が変化するが,第1形態から合唱を含めた重厚な演奏が披露された。途中,ピアノによるゼルダのテーマのモティーフを介しつつ,続けざまに再び激しい旋律が演奏されていく。「ブレス オブ ザ ワイルド」はフィールド曲などピアノがフィーチャーされた楽曲が多いが,「魔獣ガノン戦」でもピアニストのCHIAKi氏による勢いのあるプレイングが見どころとなった。
最後の楽曲となるM13は「ゼルダの伝説メインテーマ」。これまでに登場したホンヤ氏,津花氏,山宮氏3名を含め,最大編成で演奏されたメインテーマは圧巻だった。
冒頭はアコーディオン,ハープが伴奏を奏でる中,オカリナがリードを担当するという切なげな雰囲気でスタート。スクリーンにさまざまな映像が投影されるなか,「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」のオープニング,トライフォースが揃うタイミングで楽曲のピークが来るような演出は胸が熱くなった。
アンコールの2曲目は,1曲目とは打って変わって,再びフルオーケストラによる演奏となった。最終公演を控えているので詳細は伏せるが,オーケストラらしい壮大な編成と,静かなピアノのメロディのコントラストが美しい楽曲が最後を彩り,万雷の拍手包まれながらコンサートは幕を閉じた。
11月25日に行われた大阪公演に続き,12月14日には最終公演となる東京公演がオーチャードホールで再び開催される。すでにチケットは完売となっているが,ニコニコ生放送での有料配信も予定されている(配信ページ)ので,気になる人は配信での観賞も検討してみよう。
「ゼルダの伝説 CONCERT 2018」
「ゼルダの伝説」シリーズ ポータルサイト
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