インタビュー
「真・女神転生」シリーズ25周年企画――アトラスサウンドチームの4名に“メガテンサウンド”への思いや制作エピソードを聞いた
真・女神転生シリーズ作品との出会いや,アトラスに入ったきっかけ,制作時のエピソード,メガテンサウンドに対する思い,10月26日に発売される「真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY」の初回生産限定版に同梱される「真・女神転生 レアサントラ&メモリアルアレンジトラックス」などの話をたっぷり聞いてきたので,その模様をお届けしよう。
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「真・女神転生」シリーズ25周年特設サイト
真・女神転生シリーズとの出会い,
サウンドチームの一員になったきっかけは
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
まずは自己紹介として,アトラスに入社したきっかけや,どのような作品に関わってきたか,これまで担当した「真・女神転生」シリーズ作品を教えてください。
1996年に新卒でアトラスに入社しました。アトラスに入ったきっかけですが,僕が就職を考えていた時代って,PlayStationやセガサターンが発売されて以降,ゲーム機自体の技術進歩によって音楽の表現も凄く広がっていたころだったんです。
それで「ゲーム音楽のサウンドコンポーザーになりたい」と思って何十社も面接に足を運んだんですが,これがなかなか大変で。そんな僕をアトラスが拾ってくれました(笑)。
4Gamer:
(笑)。目黒さんといえば「ペルソナ3」(以下,「P3」)以降のペルソナシリーズの音楽のイメージが強いと思いますが,アトラスに入って最初のころは,どのような作品に携わったのでしょう。
目黒氏:
最初に担当したのは,真・女神転生シリーズの派生作品となる「女神異聞録ペルソナ」(以下,「ペルソナ」)や「デビルサマナー ソウルハッカーズ」(以下,「ソウルハッカーズ」)ですね。
“メガテン”となると「真・女神転生III-NOCTURNE」(以下,「真III」)を担当したのが最初で,ほかに「真・女神転生 STRANGE JOUNEY」(以下「SJ」)と,そのリメイクとなる「真・女神転生 DEEP STRANGE JOUNEY」(以下,「DSJ」)です。
4Gamer:
ありがとうございます。それでは次に小塚さんお願いします。
僕は新卒ではなく「ゲーム音楽制作の仕事がしたい」と自分で探していたところ,運が良かったのかちょうどアトラスが募集をしていたんです。それで2008年にサウンドチームに入りました。
4Gamer:
入社後はどんな作品を担当されたのでしょう。
小塚氏:
「ペルソナ4」(以下,「P4」)の完成間近というタイミングだったので,そのまま楽曲のアレンジを1,2曲任されたり,SEの手伝いをしたり,あとは「ジュネスのテーマ」の作曲を担当しました。
真・女神転生シリーズだと,「真・女神転生IV」(以下,「真IV」)と「真・女神転生IV FINAL」(以下,「真4F」)ですね。
4Gamer:
続いて小西さんお願いします。
小西利樹氏(以下,小西氏):
僕の場合,どこから話していいか難しいですね。まず,サウンドチームに所属する前の2001年に,デバッガーとしてアルバイトをしていました。
4Gamer:
最初からサウンドチームに所属していたわけではないのですね。
小西氏:
はい。その後,2005年だったと思うんですが,「P3」を制作しているときにプランナーとして入社し,2010年にサウンドチームの一員となってPSP版の「ペルソナ2 罪/罰」の楽曲制作に関わる……といった感じです。
4Gamer:
面白い経歴ですね。デバッガーとしてアルバイトしたというのは,もともとアトラスのゲームが好きだったんですか?
そうですね。真・女神転生シリーズが好きで,ファミコンの「デジタル・デビル物語 女神転生」(以下,「女神転生」)もプレイしていました。音楽好きだったのもあって,早い段階から「アトラスのサウンドチームに入りたい」と考えていましたね。
4Gamer:
なぜデバッガーからスタートされたんですか?
小西氏:
当時は上手に曲が作れるわけでもなく,サウンドチームに入るにはどんな知識が必要かも分からなかったんですが,「どんな形であれ,まずアトラスに入れたら,どこかでつながるだろう」と,何の当てもなく三重から出てきたんです。偶然ですがそのタイミングでデバッガーの募集があったんで,やってみようと。
4Gamer:
念願叶ってサウンドチーム入りして,最初に任された真・女神転生シリーズ作品は何だったのでしょうか。
小西氏:
「真IV」のときに,小塚君のヘルプとして関わったのが最初で,今回の「DSJ」では新規楽曲の制作を担当しました。
4Gamer:
最新作となる「DSJ」の話は,ぜひこのあと掘り下げたいですね。では,土屋さんお願いします。
私は目黒さんの1年前,1995年に入社しました。
ゲーム業界は狭き門なので,いろんな会社を受けましたが,僕も「女神転生」や真・女神転生シリーズが好きで,アトラスは意識していましたね。
入社して初めて任されたのが「ペルソナ」で,真・女神転生シリーズ作品だと,PS版の「真・女神転生」「真・女神転生II」「真・女神転生if...」(以下,「真I」「真II」「真if」)の移植を担当したのが最初です。
4Gamer:
ありがとうございました。続いて皆さんに,真・女神転生シリーズとの出会いについてうかがいたいと思います。
目黒氏:
残念ながら……というのは変ですけど,大ファンだったというわけではなかったので,ちゃんと触れたとなると,アトラスを受ける際に「真II」を買ってきてプレイしたときになりますね。
4Gamer:
RPG自体は好きだったんですか?
目黒氏:
8ビットパソコンで「ザ・ブラックオニキス」なんかを遊んできたので,好きではあるんですけど……飽きっぽい性格で最後まで進められない,みたいなのがあって(笑)。
「真II」をプレイしたときはもうPSやセガサターン出ていたので,レトロ感みたいなものは感じましたが,それこそ「ザ・ブラックオニキス」や,さらにおおもとにある「ウィザードリィ」の派生じゃないですけど,そんな印象はありましたね。
4Gamer:
小塚さんはいかがでしょうか。
小塚氏:
派生作品になってしまうんですが,アトラスのゲームは「真・女神転生デビルサマナー」と「ソウルハッカーズ」が入口でした。
ともかく凄い世界観だなと,なにかじわじわと得体のしれない魅力を感じてハマっていきました。それがアトラスに入りたいというきっかけにもなったかなと思います。
4Gamer:
真・女神転生シリーズ作品はプレイしていましたか?
小塚氏:
「真IV」を担当することになって,初めてプレイしたという感じですね。
実は子供のときに,雑誌でゲーム画面を見て「恐い!」ってなってしまって,食わず嫌いじゃないですけど触れてこなかったんです(笑)。
4Gamer:
ゲーム画面を見て恐くなってしまったというのは分かります(笑)。では,音楽面を意識したのは「真IV」からになるんですね。
小塚氏:
真・女神転生シリーズとなるとそうなんですが,プレイヤーとして「デビルサマナー」や「ソウルハッカーズ」を遊んでいたころから,アトラスのゲーム音楽が持つ魅力は感じていました。
4Gamer:
それはどのあたりにですか?
小塚氏:
「独自の世界観と音楽の一体感が凄い。完成されている」みたいなところですね。
「ソウルハッカーズ」は,3DS版リメイクの際にサウンド作業を担当させてもらうことになり,新たにオープニング曲を制作したのですが……完成されていると思っているタイトルだったので,かなり苦悩しましたね。まず「歌モノで」というオーダーだったので,その時点で「どうしよう!?」みたいな。
4Gamer:
お二人はアトラスに入って,あらためてメガテンやそのサウンドに向き合ったという感じなんですね。では,ファンだったという小西さんはいかがでしょう。
小西氏:
SFCの真・女神転生シリーズだと「真I」からですね。当時のRPGはだいたいレベル40くらいでクリアできたと思うんですけど,メガテンだとそれでは中盤の時点でも辛かったので,ほかのRPGと比べ物にならないくらい難しかったという印象がありました。
4Gamer:
はい。良く分かります。
小西氏:
さらに友達と「ラスボスが違う」みたいな会話になって,初めて分岐があることも知ったんです。「また一からやるのか……でも挑戦しよう」という感じで,ずっとやり込んでいました。
困難を乗り越えてクリアしたときに,何とも言えない感じ,ハッピーエンドとは違う,何か考えさせられるものがありましたね。
4Gamer:
音楽面ではどんな印象を受けたのでしょう。
小西氏:
初めて聴いたときは,「メロディらしいメロディがなく,ずっと同じフレーズが繰り返しで鳴っているのに,聴いているとなんだか癖になる音楽だな」と思いました。
当時は中学生だったと思いますが,これはどんなジャンルの音楽になるんだろうと考えていましたね。
4Gamer:
音楽好きでもあったということですが,すでにご自分で楽器を演奏していたんですか?
小西氏:
はい。もともと楽器の演奏が好きで吹奏楽部に入っていたんですけど,「真I」の音楽に触れたあたりからバンドサウンドにも興味を持つようになり,ギターを購入して演奏するようになりました。
あと,サントラCDのライナーノーツにある増子 司さん(※)の解説で,例えば「これはプログレで〜」みたいなことが書いてあれば,「プレグレってなんだろう」とCDを買ってきて,「プログレッシブ・ロックとはこういう音楽か。なるほど」みたいに,幅広いジャンルの音楽を聴くようになりましたね。
※ゲーム音楽の作曲家。アトラス在籍時代にFC版「デジタル・デビル物語 女神転生」2作品やSFCの真・女神転生シリーズ作品の楽曲を担当し,その音楽のイメージや方向性を確立した
4Gamer:
では同じく,いちプレイヤーとして真・女神転生シリーズ作品に触れていた土屋さんはいかがでしょう。
土屋氏:
SFCの真・女神転生シリーズの前にまず「女神転生」をプレイしていました。どっちが先かちょっと記憶が定かじゃないんですが,PCの日本テレネット版もFC版も好きでしたね。
4Gamer:
その時点で音楽面も意識されていましたか?
土屋氏:
はい。日本テレネットは,なるけみちこさんをはじめ著名なゲームサウンドクリエイターが数多く所属していた会社で,音楽が本当に素晴らしいんですよ。
FC版は音源の使いこなしが凄くて,「FCの音源でもこんなに音を鳴らせるんだ」という,テクニカルな部分にも驚かされましたね。
4Gamer:
真・女神転生シリーズの音楽の印象はいかがでしたか。
土屋氏:
「真I」や「真II」などが出たころのRPGって,メロディアスでカッコいい音楽が流れる中を冒険するという作品が多かったと思うんです。でも増子さんが手掛けた音楽は,比較的ドライというか,環境音のような空気感があって。そんな音楽を聴きながらあの世界をさまようというのが,虚無感というか妙な雰囲気があって魅了されましたね。
それぞれの“メガテンサウンド”との向き合い方を聞く
4Gamer:
それではサウンドチームの一員となり,初めてメガテンサウンドを任されたときの心境について聞かせてください。
目黒氏:
「真III」は制作に長い年月が掛かっていたタイトルで,チームや体制の変更があって僕と土屋さん,田崎さん(※)が音楽を任されることになったんですね。
そういった理由もあって,音楽単体のことよりもまず制作チームの一員として「ゲームを完成させないといけない」という気持ちの方が大きかったですね。
※ゲーム音楽作曲家の田崎寿子氏。アトラス在籍時は「真III」のほか,派生作品である「ペルソナ」や「デビルサマナー」シリーズの楽曲制作に携わる
4Gamer:
「アトラスの看板シリーズ作品を任された」みたいなプレッシャーはありましたか?
目黒氏:
あまりなかったですね。それよりも,大きなタイトルを任されたことへのやりがいの方が大きかったと思います。
土屋氏:
サウンドチームはもともと少人数なので,メガテンみたいな大きなタイトルだと,ベテランも新人も関係なく投入されるんですよ。なので,「看板タイトルだから,キャリアのある君が担当しなさい」とか「若手の君にはまだ早い」みたいな配置ではなくて。
とはいえ「次はこれですか,ハイ,分かりました。ああっ,メガテンか」みたいなことはありますけどね。
4Gamer:
どういうことですか?
真・女神転生シリーズって,想像の余地がとてもあるシリーズ作品だと思うんです。なので,ファンやプレイヤーの皆さんそれぞれ思い描いているイメージや大事にしている部分があって,それも人によって違うものなんですね。
“多くの人に納得してもらう曲を作ればいい”というものではない,何とも言えない難しさというのがあるんです。
4Gamer:
なるほど。良く分かります。
小塚さんはいかがでしょう。「真IV」で初めてメガテンを任されて,「どうしたらいいんだろう」みたいに悩んだことはありますか。
小塚氏:
「真IV」は,自分が参加した段階で,すでにシナリオやアート面がかなり出来上がっていて,インスピレーションが得られるものがたくさんあったんです。
もちろん「歴史のあるゲームだからしっかり取り組まなくちゃ」というのはあったんですけど,深く考え込まずに作っちゃおうという感じでした。苦労したこともありますが,楽しんで取り組めたと思います。
土屋さんがサウンドディレクターとして,とてもやりやすい環境を整えてくれたというのも大きかったですね。
土屋氏:
いやいや,そんな大したことはしていないですよ(笑)。
4Gamer:
小西さんもこの「真IV」で,初めて真・女神転生シリーズ作品に関わったとのことですが,やはりファンとしても感慨深いものがあったのではないでしょうか。
小西氏:
声を掛けられた時は単純に嬉しかったですね。僕もプレッシャーはなかったんですけど,自分の中にシリーズへの思い入れがある分,「ここはこうしたい。こうしないといけない」というのと向き合いましたね。
4Gamer:
いちファンとしてのこだわりみたいなのがあったのでしょうか。
小西氏:
そうかもしれないですね。今では「あのころの自分が出来る限界みたいなところはちゃんと出し切れたな」という達成感はあるんですが,当時は理想に到達するまでの技術がなくて「もっとこうしたいのに……」という悔しい思いをしていたことを覚えています。
4Gamer:
土屋さんはサウンドチームの先輩として,初めてメガテンに関わる若手二人に何かアドバイスしたり,相談に答えたりってなかったんですか?
土屋氏:
そういうのはとくになかったですよね?
小西氏:
そうですね。
小塚氏:
でも,後になって「あの時いろいろ聞いておけばよかったなあ」と思うことはありますよ。
土屋氏:
そうなんだ(笑)。メガテンに限らずですが,アドバイスみたいなのってなくはないですけど,作っている最中に横からアレコレ言ったり,作りかけの段階でダメ出ししたりっていうのは基本やらないですね。
4Gamer:
こうやって複数のメンバーで一つの作品に取り掛かるとき,楽曲と効果音の割り振りって一体どのように決めているんですか。
土屋氏:
作品にもよるので説明は難しいんですけど,比較的そのあたりはゆるいというか,「どうしようか」って話しているうちにぬるっと始まることが多いかなと思います。
4Gamer:
「真IV」のときはどうだったのでしょう。
土屋氏:
最初に小塚君が作ってきた曲を聴いて「独特の世界観がある不思議な音楽だな。凄いの持ってきたぞ」って思いました。
それで「この雰囲気でまとめたほうが上手くいきそうだぞ」となって,楽曲は小塚君中心でいこうと決まった……みたいな流れでしたね。
4Gamer:
各々が作曲に取り掛かる前に,皆で集まってコンセプト会議みたいなのを開いたり,出来上がった曲をチームで集まって確認したりというのはないのですか?
小塚氏:
一つの作品に大勢が関わることになれば必要かなと思うんですけど,もとよりサウンドチームは小人数なので,会議みたいなことを仰々しくやる必要がないというのはあるかもしれないですね。
土屋氏:
簡単なミーティングみたいなものをやることはありますよ。でも作曲に関しては,基本は一人ひとりシナリオをしっかり読み込んで,ゲーム内容や世界観を把握したうえで作り上げていく感じですね。
メガテンでも何でも,シリーズ作品としてどうかという前に,まずはその作品に合うかどうかが大事ですから。
目黒氏:
そんな理由もあって,音楽について話し合う前のゲーム開発初期から,サウンドチームが制作チームに加わることが多いです。世界観を作り上げていく段階で参加して,その出来上がっていく流れを見ながら,イメージを膨らませていくんです。
小塚氏:
仕上がった楽曲を聴いてもらうときも,皆で聴くということはあまりないですね。基本は1対1です。
ほかの人達同士がどういうやりとりをしているか想像できないですし,今回のインタビューみたいなところで「凄く苦労した」みたいな話が出ても,「ああ,知らないところでそんなことがあったんだ」みたいになります(笑)。
土屋氏:
知らない間に出来上がっていた……という言い方は変ですけど,仕上がった楽曲がゲームに組み込まれているのをテストプレイで初めて聴いて「ああ,ここのシーンはもう曲入っているんだ。良い感じにできたんじゃないかな」みたいに確認することが多いですね。
小西氏:
不安になるときもありますよね(笑)。
小塚氏:
そうですね。これで大丈夫かなと思うときはあります(笑)。
4Gamer:
楽曲を仕上げる前の段階で,ほかの人に楽曲を聴いてもらうっていうことはないのですか?
目黒氏:
僕のところに「ちょっとこれ聴いてください」みたいに来るってことはないかなあ。
小塚氏:
いえいえ,ありますよ。メガテンではないですけど,「ペルソナ4 ダンシング・オールナイト」のときは,要所要所で聴いてもらいました。
目黒氏:
ああ,そうだ。「聴いてください」っていうの,けっこうありました(笑)。あのときはほぼ全曲聴いたね。
小西氏:
僕も「ペルソナ5」(以下,「P5」)のときは全部聴いていただきましたよ。アニメーションのイベントシーンに使用する劇伴を担当したのですが,初めてのことだったので,いろいろ相談しました。
目黒氏:
思い返すと,最近も「DSJ」のときに割とうるさいこと言ったよね。スイマセン……。
小西氏:
いえいえ,そこまで言われてはないですよ(笑)。
4Gamer:
ちょうど最新作の「DSJ」の名前も出たのでいろいろお聞きしたいのですが,今回もオリジナル版「SJ」に続いて,目黒さんがメインとなって楽曲制作をされているのでしょうか。
目黒氏:
新規の楽曲は小西君の方が多いですね。僕はオープニング曲や新キャラクターのアレックスに関する楽曲を作って,小西君が新ダンジョンや,制作からリクエストがあったところの楽曲を担当しました。
4Gamer:
新規楽曲は何曲くらいあるのでしょう。
小西氏:
8曲くらいですね。オリジナル版で使用した楽曲は基本そのままで,新規ルート用の楽曲などを追加しました。
4Gamer:
小西さんはオリジナル版をプレイされていましたか?
小西氏:
はい。
4Gamer:
では,ファンとしてこみ上げてくるものがあったかと思うのですが,いかがでしょう。
こみ上げてくる,ですか(笑)。うーん,そうですね……思い返すと,メガテンがというよりはオリジナル版となる「SJ」が持つ雰囲気に近づけるのに精いっぱいでした。サウンド自体が,自分の中にまったくなかったもの,作ったことがないものだったので。
4Gamer:
世界観はもちろん,クラシックが基調となっていたサウンドも,これまでの作品とは違うものですよね。
小西氏:
はい。なので,クラシック和声の本を買ってきて,それを読みながら実際に打ち込んでみて「なるほど,こんな風になるんだ」という感じで勉強しながら取り掛かりました。
普段は「困ったときには得意のギターサウンドで……」みたいなことがあるんですけど,今回はそれもできないので,そういったところでもかなりのチャレンジでしたね。
4Gamer:
目黒さんはなにかアドバイスされたのでしょうか。
目黒氏:
アドバイス……なんだろう。細かいことは言った気がする。
小西氏:
アドバイスとは違うんですけど,最初に出した曲は「これは俺っぽいからダメ」って言われました(笑)。
土屋氏:
俺っぽいからダメって,面白いなあ(笑)。
小西氏:
僕がオリジナル版の曲を意識し過ぎていたんですよね。その曲はボツになりましたが,そこから「オリジナル版の持つ空気を壊さないことも大事だけど,ちゃんと自分らしさも出さなきゃ」ということを自分なりに考えて取り掛かれるようになりました。
土屋氏:
新規楽曲が入った段階でゲームをプレイしましたけど,どっちが作った曲か分からなかったですよ。
小塚氏:
僕もそうでした。今回は分からなかったです。
4Gamer:
やはり「これは誰が作った曲だな」みたいなのって分かってしまうものなんでしょうか。
土屋氏:
サウンドチームの人なら大体分かりますよね。それぞれ癖もありますし。だけど「DSJ」は,「これは目黒さんっぽい。これは小西君だな」みたいに聴き分けられなかったです。
小塚氏:
ある楽曲を例に挙げると,目黒さんの曲だなと思って聴いていたら,目黒さんがやらなそうな要素が入っている……あとで話を聞くと,小西さんの曲だったということがありました。
土屋氏:
いい具合に二人の楽曲が「DSJ」の世界観に融合されていましたね。
小西氏:
そう言っていただけると嬉しいです。
目黒氏:
してやったりだね(笑)。
土屋氏:
(笑)。いやでも,本当に大成功だと思いますよ。
目黒氏:
土屋さんが言うとおり,誰が作ったというんじゃなくて,オリジナルの曲と新曲がちゃんと「DSJ」っぽくまとまったことは嬉しかったよね。
小西氏:
そうですね。大変でしたが,その分僕個人としても今後に生かせるものが得られましたし,担当できて本当に良かったなと思います。
4Gamer:
実際にゲーム内で聴ける日が楽しみです。
話が前後してしまいますが,オリジナルとなる「SJ」は,どういう経緯で目黒さんが担当することになったのでしょう。
まず,ディレクターの石田(※)から,「真・女神転生シリーズの面白さを手軽に遊びやすい形で伝える,外伝的な作品をDS向けに制作する」という話がきました。
そのとき「手軽に遊べる作品だから,制作期間も短めに終わる予定だ」みたいな話も聞いて,こんな言い方はあまり良くないですけど,「だったらそれほど大変じゃなさそうだな」と思いました。
ところがですね……。
※アトラスのゲーム開発者の石田栄司氏。「SJ」「DSJ」のディレクターや「真IV」のチーフデザイナーのほか,任天堂とのコラボ作品「幻影異聞録♯FE」のディレクター/チーフバトルデザイナーなどを務める
4Gamer:
手軽で遊びやすいゲームになるはずが,凶悪なダンジョンと悪魔達に苦しめられる,ガチガチの硬派なメガテンとなったわけですね。存じております(笑)。
目黒氏:
はい(笑)。ゲームのボリュームが増えた分制作期間も長くなりましたし,世界観も重厚になっていったので,音楽制作もなかなか大変でした。
でも,立ち上げのころから関わっていたこともあって,一緒にゲームを作り上げていく感覚というか,「大変だ」というより「よし頑張るぞ」という気持ちが強かったですね。
4Gamer:
音楽制作はどのように進んでいったのでしょう。
目黒氏:
世界観が固まってきた段階で,SFホラー映画の音楽みたいなイメージが出来上がっていました。
そのあと石田と,どういう音楽にしたいのか聞いてみると,石田も僕と同じく映画音楽をイメージしていたみたいで「いままでのメガテンと違う曲調にしたい」と,ハンス・ジマー(※)などの楽曲がいくつか見本として送られてきたんです。
※アカデミー作曲賞やグラミー賞などの音楽賞で,多くのノミネート及び受賞歴を持つ映画音楽の第一人者として知られる作曲家。「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2」などのゲーム音楽も手掛ける
4Gamer:
イメージが合致していたんですね。
目黒氏:
はい。それで「これ聴いたらそのまんまハンス・ジマーみたいになっちゃうかなあ」と思って,送られてきたCDは聴かず(笑),でも彼がリストアップした作曲家の名前や楽曲名を見てどんな方向性か分かったので,「どういう思考でこの作曲家達をピックアップしたのか」「どのような要素を求めているのか」を考えながら,「SJ」の世界観に合った音楽を制作しました。
目黒氏の楽曲は“どの曲調にもあるポップ要素”が魅力
サウンドチームのメンバーそれぞれのイメージは?
4Gamer:
せっかく集まっていただいたので,ちょっとした企画を用意しました。
例えば目黒さんに対して小塚さん,小西さん,土屋さんが……という風に,一人に対して3人で,人柄や楽曲のイメージ,仕事中の出来事などがあれば話していただきたいなと思います。
土屋氏:
なんだか恐ろしい企画だなあ……。
4Gamer:
ではまず,目黒さんの話から行きましょうか。
目黒氏:
えっ!? 最初に俺が集中攻撃にあうの?
4Gamer:
(笑)。どんな話題でもかまいませんよ。
小西氏:
では,楽曲についてですが,あのアイデアはどこから出るんだろうというのは毎回思いますね。「真III」のデスボイスや「SJ」の男性コーラスなんて,自分では絶対思いつかないです。
土屋氏:
メガテンの音楽って,やはり増子さんのイメージって大きいと思うんです。僕は割と,増子さんの楽曲を意識したものを作っているほうなんですが,目黒さんはそこに縛られ過ぎることなく,作品の世界観にあった楽曲を作ることができるんですよ。
「このゲームにはこういう音楽だ」ということを,新たにキックスタートできる。良い意味で過去のシリーズ作品を気にせず,毎回その作品ならではの世界観を作り上げていくところが凄いなと思いますね。
小塚氏:
これはメガテンに限らず,目黒さんが作曲された楽曲の全体的なイメージなんですけど,明るい曲からダークな曲まで,どれにもポップな要素が含まれていて,気持ちよく聴けるんですよ。
どんな曲調でも,ポップさとエッジの立った部分が常に両立しているのが凄いなと感じます。
小西氏:
あっ,楽曲と関係ない話になっちゃうんですけどいいですか?
4Gamer:
ぜひお願いします。
小西氏:
昔,一緒に東京湾でメバルを釣りに行ったことがあるんです。それで,釣れた魚を目黒さんの家で鍋にしようとなったんですが,釣った場所が悪かったのか魚が臭くて食べられそうになかったんですよ。
目黒氏:
ああ,あったあった。僕はそのとき,小西君の包丁の使えなさが恐くて見ていられなかったんですよ。魚を捌けないっていうレベルじゃなくて,「包丁持ったことないだろう!」って(笑)。
小西氏:
(笑)。それで,僕だったらここで諦めるんですけど,目黒さんは鰹節をたくさん入れたり,醤油を入れたりして「臭くて食べられないメバルをどうにかしよう」といろいろ挑戦していたんです。
これは僕の勝手なイメージなんですけど,この「とりあえずやってみる」「いろんなことを試してみる」というスタンスが,凄いアイデアや楽曲を生み出すところにつながっているのかなと思います。
4Gamer:
ちゃんと音楽制作の話に着地しましたね(笑)。目黒さんはいかがでしたか? こんな話って普段はしないと思いますが。
目黒氏:
そうですね。ホントに恐ろしい企画ですよ,これは……。
“不思議な空気感”を持つ小塚氏が生み出す“不思議な世界観”の音楽
4Gamer:
ここからは,恐ろしい会話を「する」側としてご参加ください(笑)。では続いて,小塚さんについてお願いします。
土屋氏:
ついこの間も喜多條君(※)とそんな話になったんですけど,どう作曲してあの楽曲が出来上がるのかが想像つかないですね。後ろから眺めてみたいってよく思います。
※アトラスサウンドチーム所属の喜多條敦志氏。「HOSPITAL. 6人の医師」や「キャサリン」のほか,「ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ」「ペルソナQ シャドウ オブ ザラビリンス」「ペルソナ5」といった多くのペルソナシリーズ作品に携わる
目黒氏:
これはサウンドチーム全員が一致する意見ですよ。不思議な人なんです。
4Gamer:
目黒さんはどの段階で,不思議な人だと思ったんですか?
目黒氏:
僕はデモテープを聴いたときからですね。
小塚氏:
そんな前からだったんですか(笑)。それは初耳です。
目黒氏:
送られてくるデモテープって,「これ何だろう」っていうものがけっこうな割り合いであるんです。その中には「なんだかなあ……」っていうのもたくさんあるんですが,良い意味での「これ何だろう」っていうのが彼の楽曲だったんですよ。
あの時の「何だろう」のまま,ずーっときてますね(笑)。未だに謎です。
4Gamer:
具体的にどのあたりが謎なんでしょう。
土屋氏:
一般的な曲の作り方って,例えばコード進行が決まって,そこからメロディが出来上がってきて……みたいに何通りかあると思うんですけど,小塚君はそもそも,どこから始めているのかが分からないんですよ。
さらに「どんな発想をすれば,ここにこの音を入れることを思いつくんだろう」みたいな経緯も割と分からないまま,一人で黙々と楽曲を作っているんです。
目黒氏:
小塚君といえば“孤独耐性”が高いですね。
4Gamer:
孤独耐性,ですか。
土屋氏:
開発サイクルのタイミングといったような,巡り合わせみたいなのもあるんですが,小塚君は一人で長い期間,孤独に作業するプロジェクトに関わることがけっこうあるんです。
目黒氏:
僕はサウンドセクションをまとめる立場なので,「一人で任せちゃっているけど大丈夫かな。病んだりしないかな」って,常に心の片隅で思っているんですけど,長いこと放置しちゃうことが多くて。でも面談すると,割と元気にやっているんですよ。
4Gamer:
小塚さんとしては実際どうなんでしょうか。
小塚氏:
慣れちゃった感はありますね。
目黒氏:
最初は辛かった?
小塚氏:
いえ,それもなかったですよ。
4Gamer:
「俺,ほったらかしにされている」だとか,「一人でここまで進めちゃったけどいいのかな」みたいな不安はないんですか?
小塚氏:
最初はあったのかもしれないですけど……どちらかというと,一人暮らしを始めたときみたいな開放感がありました(笑)。
とはいえ一人でゲームを作るわけじゃないんで,あくまで作曲作業をしている間は孤独というだけで,制作チームの人と話すこともありますから。当たり前ですが(笑)。
目黒氏:
小塚君が入社してきて2,3年くらいだったと思うんだけど,「友達出来なくて会社来なくなったらどうしよう」って不安になって,面談で「友達出来た?」って聞いた記憶がある(笑)。
今はほかの人と話すことって,週にどれくらいあるの?
4Gamer:
面談みたいになりましたね(笑)。
小塚氏:
(笑)。なんだかんだでありますよ。誰とも会わない日もありますけど,でも,ひたすら手を動かす期間というか,会社来て誰とも話さず,一言も発せずに帰る日が続く,みたいなことって誰でもありますよね?
小西氏:
ありますね。コンビニ行って,1日で声を出したのが「温めますか」に対して「ハイ。お願いします」と返事したときだけ,みたいな。第一声が出ないし,どういうボリュームで返事していいか分からなくなる(笑)。
土屋氏:
なんか話がずれてきちゃいましたね(笑)。小塚君は不思議な世界観を持った,魅力的な楽曲を作る人なんですが,本人自体も謎というか,不思議な空気感を持っているんです。
優れたギターテクを持つ小西氏は“皆に愛されるサウンドマン”
4Gamer:
それでは続いて小西さんの話に行きましょう。
土屋氏:
彼は“歌って踊れる開発者”ですよ(笑)。
4Gamer:
どういうことですか?
土屋氏:
デバッグができてプランナーができるっていう作曲家です。
ゲーム制作のプロセスを分かったうえで楽曲制作が出来る人なので,サウンドチームにとっても制作チームにとってもありがたい人なんですよ。サウンドチームにいるのに,プランナーの仕事をお願いされたこともあったよね?
小西氏:
ありましたね。とあるゲームでバトルのバランス調整を手伝いました。
小塚氏:
それでいてミュージシャンとしてのスキルが凄く高いです。
4Gamer:
それは作曲家としてだけではなく,奏者としてもということですか。
土屋氏:
とくにギターが凄いんですよ。サウンドチームに入る前から,ギターの音が欲しいときに弾いてもらっていました。
小西氏:
「ギターの音が欲しいときは声を掛けてください」と,土屋さんや小塚君のお手伝いをしていました。そうやってサウンドチームとのつながりもできたのかなと思います。
土屋氏:
僕はギターを弾けないし,「カッコいいフレーズはこう作る」「エフェクターをどう使ったらこんな音になる」みたいな知識もないので,それを知っている人がいてとても助かりました。
それまでギターの音が欲しいときは,ギターを床に置いて鳴らしていたんで。
小塚氏:
床に置いて鳴らすっていうのも,それはそれで凄いですよね。
4Gamer:
琴のようにギターを弾いている姿が目に浮かびます(笑)。
土屋氏:
普通に持っても,不器用すぎてフレットを押さえられないですから(笑)。なので床に置いて,欲しい音を鳴らしてそれをサンプリングするっていうことをやっていたんですが,そこに小西君が来てくれたんです。
4Gamer:
いつごろ小西さんのことを知ったんですか?
土屋氏:
ギターが弾けるという話になる前から,小西君はとある出来事によって,「音楽的に凄いデバッガーがいる」って知られていたんですよ。
4Gamer:
とある出来事ですか。気になりますね。
土屋氏:
PS版「真II」の移植作業をしていたときですが,デバッガーさんが発見したバグを報告するシートに「この楽曲のこの音が間違っています」という指摘が,楽譜とともに書かれていたんです。
当時のゲーム音源は音程が不安定な部分もあり,半音の違いが微妙に聴き取りにくかったり,メモリの関係でちょっと音痴になったりしていたんですが,その微妙な違いに気付いたデバッガーがいると。これは「おおっ」ってなりました。
小西氏:
「真II」の音楽はアタマに入っていたんで,デバッグしていたときに聴いていて何か違和感があったんですよ。
開発中のゲームを家に持って帰るわけにはいかないから,どんな音がどう鳴っていたか覚えて帰って,それを家で打ち込んで鳴らしてみて,また会社で聴いて確かめて……というのを何回か繰り返して,どの音がどうずれているかを渡したんです。
土屋氏:
あのデバッグシートって,結局どうなったんだっけ?
小西氏:
デバッグチームの人達が「これは伝説のデバッグシートだ」みたいに言って,一時期デバッグルームに飾ってありました(笑)。
4Gamer:
良い話ですね。今もそのデバッグシートは残っているんですか。
小西氏:
もうないかもしれないですね。会社の引っ越しのとき,捨てちゃったと思います。
4Gamer:
もったいないですね。ぜひ見たかったので,せめてスキャンして残して欲しかったです。
小西氏:
サウンドチームに入るきっかけにもなるかなとも思っていましたが,あれから「デバッガーの小西です」って話をしたら,「ああ,あの」みたいな感じにはなりましたね(笑)。
4Gamer:
サウンドチーム入りしてからだと,皆さんはどんな印象を持っていたのでしょう。
目黒氏:
さっき「小塚君はどう作曲しているか理解できないタイプ」って話をしましたが,小西君はその逆で,まっとうな作曲をする人……って言うと変な表現だけど(笑),僕と同じ系統だなって印象ですね。
4Gamer:
それは仕事や作業の進め方みたいなところですか?
目黒氏:
そうですね。作曲法も僕が理解できるものというか,「ああ,今ここか。じゃあ次はこれくらいになるかな」みたいに,サウンドの育ち具合が分かるんです。呑み込みも凄く早くて,「これを任せたらこれくらいのスキルが付くかな」というのを割と早めに乗り越えて,思っている以上のペースでスキルアップしていきました。
そして,「自分らしさを持ちながら,こういう風に作って欲しいな。そして最終系として,このくらいの完成度とクオリティに到達して欲しいな」というのを100%やってくる。僕がこんな言い方するのはおこがましいですが,凄く優秀なサウンドマンです。
小西氏:
いえいえ,ありがとうございます。
土屋氏:
小西君は劇伴が上手いんですよ。先ほどちょっと「P5」の話が出ましたが,アニメの劇伴って,アニメ自体の流れがあるんで難しいんですけど,それが見事な仕上がりでした。
目黒氏:
うまい。でも,最初は苦労してたよね。
小西氏:
はい。劇伴にちゃんと取り組むのは初めてだったので,最初任されたときは大変でしたね。「こういうことかな」というのを何回か目黒さんに見てもらったんですが,なかなか良い返事がもらえなかったのを覚えています。
4Gamer:
目黒さんや土屋さんは,小西さんのどのあたりが上手いと感じたのでしょう。
土屋氏:
ここまでは音楽にして,ここには効果音を入れて……みたいなバランスが凄く良いんですよ。効果音の出入りまで考えて楽曲を作ったというのが聴いていて分かったので,凄く巧みなことをするなあと思いました。
目黒氏:
あれは小西君主導で,このカットにこういう効果音が入ると想定しながら,楽曲を入れていったんだよね。
小西氏:
はい。効果音は得意というか,音を入れる前にアニメを観ている段階で,カットごとに「ここはこんな音だな」みたいなのが頭の中で鳴っているんです。
その自分の中にあるものを軸に,楽曲を入れていくイメージですね。「曲を入れないでみたけど,無音が続くなあ。大丈夫かな……」みたいな不安はあったんですけど,効果音を入れてみると,うまく隙間が埋まって良かったという感じでした。
小塚氏:
「曲を作り込んだけど,思いきって使わないでもらった部分もある」っていう話も聞いたんですけど,その決断って大変だったんじゃないかなと思います。
長い期間作り込んだものを,いざMA(※)の現場で「やっぱりここはいらない」ってできる判断力は凄いですよ。
※Multi track Audio,またはMulti Audioの略。映像に音楽や効果音,ナレーションなどを加えてサウンド面を仕上げる作業
小西氏:
自分としては,ここは曲を盛りすぎたかなとか,ちゃんとコントロールできなかったかなという部分も反省点としてあるんですけどね。
ただ,「ここはもうちょっと引いていいんだ」みたいな発見もあったので,「次の段階に進めたかな」という充実感も得られました。
土屋氏:
そういえば「SJ」のとき,「レッドスプライト号」がワープするシーンで,「音楽にするべきか,それとも効果音で行くべきか」で目黒さんと仕事の押し付け合……もみ合いになったことがあって(笑)。
目黒氏:
ああ,あったあった。もみ合いって言うと大げさだけど(笑)。
土屋氏:
劇伴ではこういった“バナナはおやつに含まれるか”的な問題が発生するんです(笑)。何が言いたいかというと,小西さんは,その選択や配分が早い段階から出来る人で。これは本当に凄いことなんです。
目黒氏:
あと,人柄的に,小西君は凄く良いヤツです。ナイスガイですね(笑)。
4Gamer:
ナイスガイですか(笑)。でも今回お話してみて,とてもよく分かります。
目黒氏:
学校や職場で,特別目立つわけじゃないけど皆から愛されている,周りに人が集まってくるみたいな空気を持っている人っていると思うんですけど,アトラスだとそれが小西君なんです。
娘が生まれたときに,妻とどんな人間に育って欲しいかって話した時にも顔が浮かんだし,皆で遊びにいこうみたいな時に「まずは声掛けなくちゃ」みたいなのがあるんですよ。皆,小西君が好きなんです(笑)。
小西氏:
凄く照れくさいですね(笑)。
深い音楽知識とメロディセンスを持った“イノベーター”土屋氏
4Gamer:
では,恐ろしい企画とおっしゃっていた土屋さんにまいりましょう。
土屋氏:
いやいや,僕はやらなくてもいいですよ……。
4Gamer:
ぜひお付き合いいただきたいと(笑)。目黒さんは何かありますか。
目黒氏:
土屋さんは凄くポップ魂がある人です。僕はペルソナシリーズのイメージがあるから,キャッチーな楽曲を作る人って印象を持つ人も多いと思うんですけど,僕なんかよりも土屋さんの方がキャッチーですよ。
4Gamer:
目黒さんはもう20年以上,サウンドチームのメンバーとして共に作業されてきていますよね。土屋さんの楽曲は,どのあたりに魅力があると感じていますか。
目黒氏:
彼の作る楽曲はもう僕の中では空気的な存在というか,当たり前にあるものなので,どこがどう魅力的かってあらためて表現するのは難しいですが……ペルソナ20周年やメガテン25周年があって,最近昔の曲を聴き返すことが多かったんですが,土屋さんの楽曲のメロディってともかく昔から凄いんです。
当時はそんなに気付いてなかったんですけど,「ペルソナ」の「雪の女王」をあらためて聴いたとき,「23歳くらいのときに,ここまでのメロディセンスを持っていたんだ」って,あらためて驚かされました。
小西氏:
ルーツが分からないですよね。どんな音楽を聴いてきて,ああいう楽曲が生み出されるのかという。
土屋氏:
音楽的なルーツを聞かれると本当に困ってしまうんですが,たぶんゲーム音楽だけ聴いて育つとこういう感じになるんだろうと思います。
ゲーム音楽って基本的に雑食というか,このゲームはロック,このゲームはクラシックみたいに特定のジャンルではなく,いろんなジャンルの音楽のカッコいい要素が集まっているんです。
4Gamer:
最近はそれこそペルソナシリーズのように,その世界観に合わせた既存のジャンルの音楽を取り入れた作品も増えましたが。
小塚氏:
僕もゲームでの音楽の使い方をあちこち覗いてきて,一周したじゃないですけど“ゲーム音楽は純粋に密度が高くていいな”っていうのも最近あらためて感じていたんです。
そんな中,ちょうど土屋さんの作曲した「真III」の「邪教の館」を聴く機会があって,あらためて凄い曲だなと思いました。……偉そうにすみません。
土屋氏:
いえいえありがとうございます(笑)。しかし,本当に照れくさいなコレ……。
小塚氏:
あと,先ほど土屋さんは僕が作曲しているところを見てみたいって言ってましたけど,僕から言わせてもらえば,土屋さんこそどうやって曲を作っているのか見てみたいですよ!
4Gamer:
ギターを琴のように弾くみたいな話を聞いちゃうと,確かに気になりますね。
小西氏:
前に土屋さんが作業しているところを見たことがあるんですけど,迷うことなくマウスでMIDIノートに音を打ち込んでいくんです。
小塚氏:
鍵盤に触れずにですか?
土屋氏:
触れるも何も,そもそも僕は楽器が弾けないですから。音楽的になにか勉強したのかというとまったくの不勉強で。ピアノは子供のころに習ったことがあるんですが,先生が怖くて行かなくなったんです。ブラスバンド部にも在籍していたけど,打楽器担当だったから,音階が4つを超えると叩けない,みたいな(笑)。
古代祐三さんのゲーム音楽を聴いて育って,あんな楽曲を作りたい。でも楽器はできないし,キーボードや鍵盤楽器も持っていない。じゃあPCにヘッドホンをつないで,マウスもない時代だからいきなりカタカタとプログラミングしていこう……そうやって作曲を始めたから。
4Gamer:
直接PCに音を置いていくのが普通だと。
小塚氏:
音感的なところはどう養われたんですか? 僕には絶対無理な気がします(笑)。
土屋氏:
相対音感があれば,難しいことじゃないと思うんだけど,理系と文系みたいなところでの考え方の違いはありますよね。
目黒氏:
ありますね。僕はけっこう理解できるんですよ。
小西氏:
僕は分からないです。自分でギターを弾いてみて,「ここはこういう音が鳴っている」みたいに確認しないと音を置けないです。
土屋氏:
じゃあ作曲するとき,もしかしたら頭の中にギターのフレットを思い浮かべているのかもしれないね。
小西氏:
確かにそれはあるかもしれないです。ここを押さえるとこういう音が鳴るというのは,ギターだとイメージしやすいんですけど。
小塚氏:
僕も無意識に鍵盤を思い浮かべているのかもしれないです。なので,土屋さんの作曲方法って,異次元の手法という感じがありますよ。
小西氏:
あっ,土屋さんといえば,データがめちゃくちゃ綺麗なんです。5刻みでキッチリとベロシティ値が入力されているみたいな,ひと目で「これ土屋さんだ」っていうのが良く分かります(笑)。
小塚氏:
あとは,サウンドに関する情報には,常にアンテナを張っているなあと思います。レトロなものから最新の技術まで,知識量ももちろんその範囲もとても広いですよね。
土屋氏:
それは単に,僕がおっさんだからですよ。
目黒氏:
いやいや,僕が入社したときから,音楽的なこと以外の雑学なんかも含めて,まあともかく何でも知っていましたよ。
僕も「これは面白そう。流行りそうだぞ」みたいなものに触れるんですけど,土屋さんは僕が手に取った時点で全部知っているんですよ。あくまで僕はアーリーアダプターで,そんな新しもの好きな自分が恥ずかしくなるくらい,土屋さんは昔からイノベーターなんです。
土屋氏:
何を言い出すんですか(笑)。典型的なオタクってだけですよ。……これは本当に恥ずかしい。
4Gamer:
いちメガテンファンとして,そして音楽好きとして,サウンドチームの皆さんがどのような考えやスタイルで楽曲制作に取り組んでいらっしゃるか気になっていたのですが,たっぷりと貴重なお話をいただけました。お付き合いいただきありがとうございます。
アレンジャー達自らが語る
「メモリアルアレンジトラックス」の魅力
ここからは「DSJ」の初回生産限定版に同梱される「真・女神転生 レアサントラ&メモリアルアレンジトラックス」(※)に収録されている「真・女神転生 RE-Arrange」についてお聞きしたいと思います。
DISC6「Inside」では,目黒さん,小塚さん,小西さんがそれぞれ2曲ずつアレンジを担当されていますね。「真I」から「真IV」と「真4F」のナンバリング作品と「SJ」からそれぞれ1曲という風にバランスよく割り振られていますが,これはどのように決まったんですか?
小塚氏:
アレンジを担当したい楽曲を,それぞれCCに入れてメールを送る形で希望を出したんですが,多少の調整はありましたけど,基本的に被ることなく,割とすんなり決まりましたね。
4Gamer:
それぞれ担当した曲についてお聞かせください。目黒さんは,小塚さん作曲による「真IV」の「東京」と,ご自身が作曲された「真III」の「大マップ〜現実世界〜」のアレンジを担当されていますね。
アレンジの際は何かテーマなどを持って取り掛かったのでしょうか。
目黒氏:
はい。「P5」の開発期間が長かったこともあり,最近はなかなか音楽の流行や技術的な進化をキャッチアップできていなくて,「最新の流行みたいなリミックスはできないなあ。さてどうしよう」と考えたんです。
それで,自分が最近担当した作品の方向性に合わせてみたら面白いかなって思って,「東京」を「P5」のアシッドジャズ,「大マップ〜現実世界〜」を「DSJ」のオーケストラという風にそれぞれお題を用意してアレンジしました。
4Gamer:
小塚さんは,「真4F」の「錦糸町地下街」と,「SJ」の「カオスのテーマ」を担当されていますね。
小塚氏:
はい。自分が作曲した「錦糸町地下街」は,3DS向けに作った楽曲をSFCっぽい音で作ってみたらどうなるんだろうと思ってアレンジしてみました。
SFCのゲーム音楽を聴き返してみると,音源の制約といったところから生まれる“いびつさ”みたいなものがカッコいいんですよ。その“いびつさをあえて強調したレトロ感があるもの”を出発点に,「でもあまり当時の音源を厳密にシミュレートするのも違うかな」と思いつつ,多少脱線させながら仕上げました。
4Gamer:
「カオスのテーマ」はどのようなテーマがあったのでしょうか。
小塚氏:
「SJ」の楽曲の中でもかなり好きな曲で,「コーラスパートはそのままにして,それ以外の音は原曲のイメージと違うものをぶつけてみよう」と思って制作しました。それでオーケストラではなく「真IV」「真4F」で作ったような音を組み合わせてみて,あとは気の向くままに好きにやらせていただいたという感じですね。
4Gamer:
小西さんは「真I」と「真II」の楽曲をアレンジされていますね。いちプレイヤーとしても思うところもあったのではと思うのですが,いかがでしょう。
小西氏:
「真I」の「Ending」と「真II」の「3D:地下世界」を担当したのですが,どちらも思い入れの深い楽曲ですね。
「Ending」は,今でも楽曲のメロディやどんな音が鳴っているかなどが,ゲームをクリアしたときの印象とともに残っているんです。今回アレンジの話をもらったときに「この曲にしよう」というのは決まっていて,最初はいろんな楽器を使ってみたんですけど,自分らしくないなと思って,結局,最初から最後までギターで弾き切りました。
4Gamer:
「3D:地下世界」はいかがでしたか。
小西氏:
初めて聴いたとき,ともかく“恐い”という印象があったんですね。寝るときも思い出してゾワゾワするくらいで,音楽を聴いて恐いと思ったのは,この楽曲と映画「バタリアン」のオープニング曲くらいです(笑)。
それくらい印象的な曲だったので,当時自分が感じた恐さを出そうと思って,あえてあまりアレンジを加えず,原曲が持つ空気感を守りながら仕上げました。
4Gamer:
DISC5の「Outside」では,アトラス外部の著名なコンポーザー10名によるアレンジ楽曲が収録されています。皆さんこちらは聴かれましたか?
土屋氏:
僕は発売まで,あえてどちらもあまり聴かずにいるんですけど,古代祐三さんがアレンジされた「真III」の「邪教の館(煌天)」は聴きました。
僕は1作めの「イース」で古代先生の楽曲を聴いてから30年来のファンで,YK-2さん(※)が発表するプログラムを打ち込んで,ゲーム音楽の作曲を学んできたんです。
その古代先生に,僕の作曲した曲をアレンジしていだけるなんて,こんな日がきちゃいましたかと。ただただ感動ですし,ネオクラシカルメタルなアレンジも凄く良かったです。
※古代氏の別名義。同名義で作曲活動のほか,ライターとしての活動やPC雑誌上でゲーム音楽のプログラムの発表なども行っている
4Gamer:
目黒さんはいかがですか。「Outside」「Inside」どちらも聴かれましたか。
目黒氏:
はい。「Outside」だと,サカモト教授がアレンジされた「真III」の「通常戦闘〜街〜」が今のお気に入りです。自分でアレンジした「東京」もそうなんですけど,ノリがいい曲で,僕が今聴きたい,好きなジャンルの音楽に合致していて好きなんです。
あとは高田雅史さんの「神殺し」(真4F)が,とても丁寧に「アトラスのサウンド」に向き合っていただいているなという印象で,「本当にありがとうございます」って思いました。最後の展開も凄く良かったです。
小塚氏:
僕も「神殺し」は好きで,あと,柴田徹也さんがアレンジされた「市ヶ谷駐屯地」(真IV)もお気に入りです。
自分が作った曲をアレンジしていただいて感激しているというのもあるんですが,それを抜きにしても,この2曲は個人的な好みとしてもめちゃくちゃカッコ良いなと思っています。
小西氏:
細江慎治さんの「カテドラル」(真I)は,昔の自分が聴いたら凄く喜ぶだろうなというアレンジでしたね。メガテンサウンドのいろんな要素が混ざっていて,ファンのツボを押さえているなと思いました。「自分もこうすればよかったな。やられちゃったな」とも感じましたね(笑)。
小塚氏:
いろんな楽曲がストーリー仕立てのように構成されていますよね。マスタリングに立ち会ったんですが,初めて聴いたときは衝撃的でした。音のセンスがとにかく凄くて。
小西氏:
目黒さんの「東京」は,“小塚感”を一切感じさせないアレンジでしたよね。「ここまで自分の個性を出せるんだ。自分がやったらこうはならないだろうな」と思いました。
目黒氏:
えっ,そう? コード進行はそのままだし,変えたのはリズムくらいなんだけどなあ。
コード進行も自分にはないものだから,何度練習してもなかなかうまくいかなくて。「小塚君凄いな」って感心しながら曲と向き合っていましたね。
小塚氏:
確かにこのバージョンの「東京」は,実質目黒さんの楽曲というくらい目黒さんカラ―が出ているのが凄いですよね。
「大マップ〜現実世界〜」も,ポップではあるけど,その明るさの中に少しダークな面を感じさせる“異物感”があり,それがカッコいいんです。
4Gamer:
2曲とも,先ほども少しお話いただいた,目黒さんの楽曲の魅力があふれたものとなっているんですね。
小塚氏:
そうですね。DISC6「Inside」は,その目黒さんの「東京」で始まり,同じく目黒さんの「大マップ〜現実世界〜」で終わるのですが,これもよい構成だなと思いました。
メガテンとしては意外性のあるポップな導入から,途中ダークな方向へ行って,最後にまた光が差すような雰囲気で締めるという。
4Gamer:
目黒さんは「Inside」のほうで気になる楽曲はありますか。
目黒氏:
小塚君の「錦糸町地下街」のアレンジが凝っているなあって……あの曲の最後のメロディって,何を使ってあの音を作ったの?
小塚氏:
SFCっぽい音を増幅した感じにしようと思って,チープなギターの音をベースに,エフェクトをしっかりめに掛けて作りました。
目黒氏:
なるほど,そうなんだ。レトロ感を感じさせつつ,音圧もしっかりあるから凄いなって思って。……あとでもうちょっと詳しく聞かせてね(笑)。
小西氏:
よくある会話の流れになりましたね(笑)。
4Gamer:
そうなんですか?
土屋氏:
小塚君とは,割と日常的に「あれ何の音? どうやって作ったの?」みたいな会話になります(笑)。
4Gamer:
そうなんですね(笑)。なんだか1曲ごとに語れてしまうというか,話し出すとキリがなさそうですね。
小西氏:
はい。どの楽曲も本当に素晴らしいものばかりで,選ぶとなると難しいです。
小塚氏:
その時の心境や気分でも変わると思うので,別の日に同じことを聞かれたら,違う楽曲の話になるかもしれません。
■真・女神転生 RE-Arrange トラックリスト
[DISC5]「真・女神転生 RE-Arrange Outside」 1真・女神転生「カテドラル」 BY 細江慎治(株式会社スーパースィープ) 2真・女神転生IVFINAL「神殺し」BY 高田雅史(サウンドプレステージ合同会社) 3UNDERPASS (SHIBUYA 2 GINZA mix) BY 並木 学 4真・女神転生III-NOCTURNE「邪教(煌天)」 BY 古代祐三(株式会社エインシャント) 5真・女神転生II「戦闘」 BY 坂本英城(株式会社ノイジークローク ) 6真・女神転生IV「市ヶ谷駐屯地」BY 柴田徹也(株式会社ユニークノート) 7真・女神転生「銀座」BY なるけみちこ 8真・女神転生ストレンジジャーニー「敬虔な恐れ」BY伊藤賢治 9真・女神転生if…「アキラ編戦闘BGM」 BY 岩田匡治(ベイシスケイプ) 10真・女神転生III-NOCTURNE「通常戦闘〜街〜」 BY サカモト教授
[DISC6]「真・女神転生 RE-Arrange Inside」 1真・女神転生IV「東京」 BY 目黒将司 2真・女神転生「Ending」 BY 小西利樹 3真・女神転生IVFINAL「錦糸町地下街」 BY 小塚良太 4真・女神転生II「3D:地下世界」 BY 小西利樹 5真・女神転生 STRANGE JOURNEY「カオスのテーマ」 BY 小塚良太 6真・女神転生III-NOCTURNE「大マップ〜現実世界〜」 BY 目黒将司
作品ごとに世界観が変わる真・女神転生シリーズ
気になる作品があればまず触れてみて欲しい
良い時間となってしまいました。この記事が掲載されるころに,オーケストラコンサート「GAME SYMPHONY JAPAN 25th CONCERT『真・女神転生』生誕25周年祭 -LAW SIDE-」と,その対となるバンドライブイベント「『真・女神転生』生誕25周年LIVE -CHAOS SIDE-」が開催されます。
メガテンでは初の単独となる音楽イベントですが,締めの言葉をいただく前にこちらについてお話をいただけますか。
目黒氏:
そうですね。前からやっていておかしくないのに,今回が初めてというのは,何だか不思議な感じがあります。どちらもどんな演奏になるのか,お客さんの一人としても純粋に楽しみですね。
小塚氏:
シリーズ楽曲の中には,演奏しやすそうなものもあれば,ジャンル的にこれは難しそうだなというものまでさまざまあるので,果たしてどうなるのか期待が高まります。
小西氏:
ファンとしては「やっとか!」みたいな気持ちはあります(笑)。オーケストラアレンジももちろんですけど,メガテンの楽曲はバンド向きの曲も多くて演奏映えすると思うので,CHAOS SIDEはとても気になりますね。
土屋氏:
かつてのメガテンのイメージだと,黒ミサみたいなライブになるのかなって思うんですけど,どうなんでしょうね(笑)。LAWとCHAOSで分かれているし,それぞれどんな趣向になるのかそのあたりも期待です。
4Gamer:
では最後に読者やファンに向けてのメッセージを,真・女神転生シリーズ25周年の思いと合わせていただけますでしょうか。
目黒氏:
25年間で4までしかナンバリングタイトルが進んでいない,もの凄く歩みが遅いシリーズ作品で,今後も早くなるかどうか分かりませんが(笑),これからもアトラスは地道に良いものを凝縮した作品を作り続けていきます。
サウンドチームも,新しい血を入れながら魅力的なメガテンサウンドを作っていくと思うので,皆さんご期待ください。
小塚氏:
そうですね……自分にとっては子供のころから続いているシリーズですし,その長い歴史の中でほんの数年関らせていただいた程度ですから,なんだか恐れ多いというか,気軽に自分の思いを言いづらい感じはありますね。
ここまで続いているのは,昔からプレイされている人から最近触れたという人まで,皆さんのおかげだと思います。今後もサウンドチームの皆で,ファンの皆さんの期待に応える楽曲を作り続けていきたいです。
小西氏:
僕は真・女神転生シリーズがなければ,こういった場所に居なかったと言えるくらい大きな影響を受けた人間です。本当に感謝ですね。
ただ,今の僕が作った曲を,アトラスの音楽に触れた当時の自分に聴かせて「メガテンサウンドって凄い。アトラス入りたいな」って思わせられるかっていったら,まだまだだと思うんです。“恩返し”じゃないですけど,昔の自分のような人が「音楽をやってみたい」と心を動かせるような楽曲を作りたいと思います。
土屋氏:
小西君みたいに「メガテンがなければいまの自分はなかった」という体験したっていう声をたくさんいただけるくらい,本当に衝撃的で革命的な作品だと思うんです。
そういうファンの皆さんに支えられてメガテンが続いてきましたが,そのメガテンがなければ今のアトラスだってなかったわけですよ。そんな風に支えてくれたファンの皆さんへの恩返しになる作品を,これからも皆で作っていきたいと思います。
あっ,あともう一ついいですか?
4Gamer:
ぜひお願いします。
土屋氏:
真・女神転生シリーズって,「マニアックなゲームで難しそう」みたいなイメージがあって,なかなか足を踏み入れられないっていう人もいると思うんです。でも,作品ごとに世界観は変わっているので,どこから始めても楽しめるようになっています。なので,気になる作品があればまず触れてみてほしいですね。
あと「SJ」って,外伝的な立ち位置もあって例外的に語られることが多いのですが,僕は「メガテンってこういうゲームだよね」というエッセンスが詰まっている作品だと思っているんです。なので,今度発売される「DSJ」は初めてメガテンに触れるという人にも良い作品だと思います。ぜひお願いします。
4Gamer:
たっぷりとお時間をいただきありがとうございました。真・女神転生シリーズの今後の展開や,さらに進化するメガテンサウンドを期待しています!
「真・女神転生」シリーズ25周年特設サイト
「真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY」公式サイト
- 関連タイトル:
真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY
- 関連タイトル:
真・女神転生IV FINAL
- 関連タイトル:
真・女神転生IV
- 関連タイトル:
真・女神転生 STRANGE JOURNEY
- 関連タイトル:
真・女神転生V
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