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はじまりの街を自ら歩き,空間上のインタフェースに触れる。「ソードアート・オンライン・ザ・ビギニング Sponsored by IBM」は未来を見せるか
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印刷2016/03/17 18:54

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はじまりの街を自ら歩き,空間上のインタフェースに触れる。「ソードアート・オンライン・ザ・ビギニング Sponsored by IBM」は未来を見せるか

 2012年のテレビアニメ化を機に,ゲーム化やコミカライズといったマルチメディア展開で人気を博しているライトノベル「ソードアート・オンライン」(以下,SAO)。その作中で描かれるバーチャルリアリティゲームの世界に入ることができたとしたら?

 原作ファンのみならず,ゲームファンならば一度は抱いたことがあるバーチャルリアリティへの“ダイブ”という夢の実現に,日本アイ・ビー・エム(以下,IBM)が最新技術を用いて挑むプロジェクト「ソードアート・オンライン・ザ・ビギニング Sponsored by IBM」(以下,ザ・ビギニング)が,2016年3月18日から3月20日までの3日間,都内某所で開催される。今回は,そんなプロジェクトを一足早く体験できたので,その模様をお伝えしていこう。

さながら実験施設のような体験ブース
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SAO プロトタイプのαテスターとして“はじまりの街へ”


 原作のSAOは,茅場晶彦という一人の科学者が制作した同名“フルダイブ型VRMMOゲーム”の世界を旅する主人公キリトの物語を描いた作品だ。今回のザ・ビギニングは,そんなSAOの開発初期段階において,茅場とIBMが協力して創り上げたプロトタイプのαテストという位置付けになっている。このαテストを,現在のVR技術とIBMの最新技術で実際にやってみる,というのが今回のプロジェクトの試みだ。

 αテスターである参加者は,まず専用のブースで全身をスキャン。それを元にゲーム内で操作する自身のアバターが生成される。そして,VRブースにてナーヴギアを模したヘッドマウントディスプレイをかぶり,α版SAOの世界へとダイブすることになる。

ダイブ画面
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 VRブースではコントローラの類いは使わず,自らの身体を動かして,一人称でキャラクターを操作する。プレイヤーが左を向けば,キャラも左に,右を向けば右にといった具合だ。このあたりの感度はかなりよく,指を握る動作まで難なくできたのには驚いた。また,足の先にはセンサーが取り付けられ,足踏みをすることでキャラクターを歩かせることもできた。歩行に関しては,少し大げさに足を上げ下げしないと反応しない場面もあったが,この辺りは慣れもあるのだろう。

このヘッドマウントディスプレイはナーヴギアの試作機という設定。五感のうち,視覚と聴覚だけにアプローチする。ちなみに,中身は「Oculus Rift」である
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 αテスターが最初に降り立つのは,原作でもキリト達が初めに降り立ったあの“はじまりの街”だ。コグと呼ばれる疑似AIの誘導に従って,インタフェースや動作の確認をする。街の中は一定時間自由に歩き回ることができ,商店に近づくといった行動を取ると,コグが世界についての説明をしてくれることもある。パン屋では,あの“黒パン”を扱っているなど,原作ファンには嬉しい演出も多い。

はじまりの街。ここを案内してくれるコグのボイスは,声優の伊藤かな恵さんが務めている。ここでピンときた人は鋭い。実はこのコグ,SAOで後に実装される「メンタル・ヘルス・カウンセリング・プログラム」の原型になったと考えられているのだ
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 もちろん,MMORPGという設定なのでほかのプレイヤーもこの街にいる。今回は,同時に4人までしかプレイできない仕様だったが,3Dスキャンされたキャラクターのアバターは,街中や続くバトルシーンにたくさん配置されていた。
 ちなみに,この街でのプレイヤーの行動によってその後のテストバトルで使用できる武器が変わるようだ。筆者の場合は斧だったが,刀などもあるとのこと。

インタフェース(右)に注目してほしい。これはアニメ版SAOで描かれたインタフェースそのままであり,なんと使い方も同様である。実際に項目をタップすることで,反応が返ってくる。これはやってみると,なんというか,かなり興奮する
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 “はじまりの街”で操作を覚えたプレイヤーは最大4人でパーティを組み,バトルフィールドへ移動する。そこで待ち受けているのは,原作の74層にボスとして登場した“グリームアイズ”の原型となるモンスター“グリームアイズ・ジ・アンセスター”である。

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 プレイヤーはコグから受け取った武器を手に,腕を振り下ろす動作の攻撃と,両手を前に突き出す動作の防御を交えて戦っていく。そして,一定の条件を満たすと,キリトさながらの二刀流となり,さらにソードスキルが使用可能になる。このソードスキルはジェスチャーコマンドで発動する必殺技で,放つと戦闘が終わる仕組みになっていた。

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2022年に向けた第一歩としての「ザ・ビギニング」


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 さて,体験時間はおよそ20分ほどだった今回のプロジェクト「ザ・ビギニング」。原作者である川原 礫氏の監修による現実とライトノベルの世界を結び付けた導入は見事で,αテストという設定に基づく雰囲気作りは素晴らしいものだった。ゲームとして捉えてしまうと粗はあるのだが,VR体験という観点から見れば今回の内容はまさに最先端であり,充実したものだと言い切れる。

 IBMによれば,今回のプロジェクトはIBMをより広く知ってもらうためのものであり,今後の展開も,製品化も未定であるとのこと。これは当然といえばその通りで,現状ではアバターの生成にも,バーチャルリアリティへの“ダイブ”にも大がかりな装置が必要だ。

 しかし,今回体験した目の前の空間に浮いているインタフェースに触れる操作感や,バーチャルの自分と動きを共有する高揚感は,“フルダイブ型VRMMOゲーム”の片鱗を十分に感じられるものだった。多くのゲームファンが望んでいるであろう未来がやってくるのは,もうしばらく先になりそうだが,思ったよりもその日は遠くないのかもしれない。

「ソードアート・オンライン ザ・ビギニング Sponsored by IBM」
公式サイト

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