イベント
[gamescom]イランでもモバイルゲームが大流行,テヘランゲームショウは大盛況。そんなイランの最新ゲーム事情を聞いてみた
Ahmad Ahmadi氏 |
そんな中から,本稿ではイランブースを紹介したい。「なぜイラン? ていうかイランでゲーム作ってるの?」と思われるかもしれないが,同国は東京ゲームショウ2012にも出展しており(関連記事),盛んにゲーム産業を推進している。
そこで今回は,現在までにイランのゲームシーンがどのような変化を遂げたのか,Iran National Foundation of Computer Games(イランにおけるコンピュータゲーム産業と文化の支援を目的として,2007年に設立されたNGO)のAhmad Ahmadi氏に聞いてみた。
なお,ブースでは2012年からイランの首都テヘランで毎年開催されているテヘランゲームショウの模様がビデオ上映されていたので,こちらも簡単に紹介しよう。
イランでも流行中のモバイルインディーズゲーム
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
まず最初に,2012年から現在までの3年間でイランにおけるゲーム開発のトレンドがどのように変化したのかを教えてください。
Ahmad Ahmadi氏(以下,Ahmadi氏):
この3年でイランのコンピュータゲームシーンは大きく変化しました。それは遊ぶ側も,作る側もです。
最も顕著な変化は,2012年の時点ではPCとコンソールが中心だったのに対し,現在では急激に成長したモバイルが中心となっていることです。イランのゲーマーは,今やそのほとんどがモバイルでゲームを楽しんでいると言ってもいいでしょう。モバイル端末やタッチパネルでの操作といった新しい体験に,ユーザーは大いに興味を惹かれています。
市場規模で見ると,PCやコンソールの市場が完全に衰退してしまったというわけではありませんが,その成長は小さなものか,若干の右肩下がりといえます。一方,モバイルゲーム市場の成長率は年間100%(つまり2倍)に達しています。
4Gamer:
世界的にはインディーズゲームが大きな成長を遂げています。イランでもそのような動きがあるのでしょうか。
Ahmadi氏:
モバイルゲーム市場の成長に伴い,インディーズゲームの開発者も急激に増加しました。新しくスタジオを立ち上げる開発者の多くは,モバイルゲーム市場をターゲットにしています。
モバイルゲームと言えども開発は容易ではありません。それでもPCやコンソールゲームに比べれば,インディーズゲームは小規模でも戦っていくことができます。
イラン国内には携帯電話のオペレーションを行う会社が3社ありますが,そのいずれもがモバイルでのインディーズゲーム開発をサポートしています。また,イランでは独自のApp Storeが展開していますが,こちらも同様のサポートを行っています。
イランにおけるゲーマー人口の成熟と拡大
4Gamer:
イランで人気のあるゲームのジャンルにも変化はあるのでしょうか。以前は「ウイニングイレブン」をはじめ,「Call of Duty」「Medal of Honor」「Age of Empire」といった世界的に有名なシリーズが,イランでも高い支持を集めているとのことでした。
ジャンルとしては,レースやストラテジー,RPG,FPSといったところが強いです。そこに,F2P(基本プレイ無料)のモバイルゲームが大きく食い込んできています。
それからPCのオンラインゲームでは,かつてはブラウザゲームが中心的な存在でしたが,いまでは3DのFPSなどの人気が高いです。ゲームの3D化が,より進んでいるという状況ですね。
ちなみに面白いデータとして,この3年でイランのゲーマーの平均年齢が2歳上がっているという数字が出ています。これはモバイルの普及などにより,今までゲームを遊んでいなかった中高年層が新たなゲーマーとして参入した結果です。実際,中高年層に受けるゲームという新しい「売れ筋」が成立しています。
4Gamer:
なるほど。
先ほどテヘランゲームショウの様子をビデオで拝見したところ,女性の参加者がかなり多いことに驚きました。イランでは,女性のゲーマーや開発者が増えているのでしょうか。
遊ぶ側においても,作る側においても,女性の存在が強くなってきていると言えますね。実際,イランのゲーマーの40%が女性なのです。
また,全社員が女性という開発会社が2社あります。そのほかの会社でも,平均1〜2名は女性社員がいるという統計が出ています。彼女達の職種としては,グラフィックスやアート関係のデザイン,あるいはプログラマーといったものが多いようです。
4Gamer:
興味深い話ですね。
本日はありがとうございました。
4Gamer「gamescom 2015」記事一覧
- この記事のURL: