インタビュー
中国新規スマホタイトル「ガンダム争鋒対決」の正体とは。プロデューサーの白陸周佑氏に直接聞いてみた
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では,このゲームは何なのか。追加取材として本作のプロデューサー・白陸周佑氏にインタビューを実施し,タイトルに関する詳細や今後の展開について聞いてみた。
白陸氏を通じて「ガンダム争鋒対決」というタイトルの正体が明らかになったので,今回はその内容をお届けしよう。
バンダイナムコ上海で開発を行う
スマートフォン向けアプリの完全新作
4Gamer:
先走った記事を上げてしまって申し訳ありませんでした……とはいえ,スクリーンショットや動画を見たガンダムゲームファンであれば,「じゃあこのゲームは何なの?」と誰もが気になるはずです。さっそくですが,ゲームの開発経緯からお聞かせください。
バンダイナムコエンターテインメントの子会社としてバンダイナムコ上海が約2年半前に立ち上がり(関連記事),そこではガンダムも含めたさまざまなIPでゲーム開発をスタートしています。今回の「ガンダム争鋒対決」というタイトルもその1つで,中国の開発会社さんとバンダイナムコ上海が協力し,中国市場に向けた完全新作として開発中です。
4Gamer:
完全新作ということは,「ガンダム争鋒対決」と「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス」シリーズはまったく関連性のないものなんですね。開発期間についても約2年半と考えていいんでしょうか。
白陸氏:
いえ,開発期間自体は約1年ですね。
4Gamer:
えっ!? 今回のプレイアブルバージョンを通じて初めて作品に触れましたが,そんな短い期間で開発されたとは思いませんでした。
白陸氏:
実際に関わっている私自身も,中国の開発スピードには驚かされています。
4Gamer:
開発のエンジンは何をベースにされているんでしょうか。
白陸氏:
Unityベースでいくつかカスタマイズを加えて開発しています。
4Gamer:
月並みな質問ですが,開発で苦労されているポイントはどういったところでしょうか。
白陸氏:
アクションゲームをスムーズに動作するように設計しているので,やはり通信関係には時間を費やしています。
4Gamer:
操作性の構築についてはいかがでしょうか。スマホの画面でこのアクションは操作が複雑そうだと,日本人なら真っ先に考えると思います。
白陸氏:
中国はPCゲーム文化から流れてきているユーザーが非常に多いので,どんなに操作性が高くとも,皆さんすぐに慣れてしまいます。中国市場ではPCゲームをスマホ向けにしたタイトルが主流なので,慣れやすい環境にあるんだとも思います。
4Gamer:
操作感に関してはどんなゲームを参考に開発されているんでしょうか。
白陸氏:
弊社で中国展開をしているアクションゲームはもちろん,プラットフォームを問わず中国市場のアクションゲームを広く参考にしていますね。ダッシュのキャンセルや,攻撃におけるコンボ系の仕様,そしてボタンの数も含めて中国市場に馴染みのある形にしています。
すでに「2対2」までは可能
気になる日本展開を含めた今後の予定は?
4Gamer:
今回のプレイアブルバージョンは1対1を楽しめる形でしたが,ゲームの全容についてもお聞かせください。
今回バンダイナムコ上海のブースでゲーム大会を実施することもあって,プレイアブルでは対戦モードを出展させてもらいましたが,本作のメインは原作のストーリーを追体験できるPvEコンテンツになります。
すでに中国では今年5月にクローズドβテストを実施し,そのときはPvEコンテンツと,2対2まで可能なPvPコンテンツの基本機能を遊べる形にしていました。
4Gamer:
1対1で驚いていたのに,ゲームとしてはすでに2対2もできる状況でしたか。クローズドβテストでは,どういった内容のフィードバックが多かったんですか?
白陸氏:
もっとも多かったのは「遊ばせてほしい」という要望です(笑)。CBTなので人数は制限されていましたから。
4Gamer:
なるほど。同じ立場なら私でも言いますね。
白陸氏:
CBTの1か月前,今年4月に本作の発表会を実施し,そこで声優の古谷 徹さんをゲストとして招待したんですが,とても大きな反響を得られました。それからCBTを待ち望んでいた人が大変多かったんだと思います。
4Gamer:
声優さんといえば,ゲーム中のボイスは日本語でしたが,中国でのサービス後も日本語のままなんでしょうか。
白陸氏:
そのままです。昨今の中国市場において,ボイスが日本語なのは珍しくありません。
4Gamer:
それだけ日本の声優さんが中国でも人気を集めているということですね。原作のガンダムシリーズとして一番人気なのはどれになるんでしょうか。
白陸氏:
機動戦士ガンダム,いわゆるファーストガンダムが圧倒的ですね。
4Gamer:
当然アニメをきっかけにガンダムを知る人が多いと思うんですが,中国の人達はどういった形でガンダムに触れているんでしょうか。
白陸氏:
中国ではアニメの正規配信がインターネット上で行われていて,日本のアニメは大体リアルタイムで正規視聴できます。機動戦士ガンダムシリーズも最新作を含めて,日本とほぼ同じタイミングで見て,原作も声優も知っているという方が多いですね。
4Gamer:
ゲームに関する今後の展開についても可能な範囲で教えてください。
白陸氏:
クローズドβテスト第2回の日程を近日発表し,実施したいと考えています。次回のCBTではストーリーモード以外のPvEコンテンツとして,3人のフレンドとリアルタイムで協力して「ビグ・ザム」などの強敵と戦える要素を入れること,そしてPvPコンテンツにも少し趣向を変えた機能を盛り込むことを考えています。
4Gamer:
リリースはいつ頃を予定されているんでしょうか。
白陸氏:
年内を予定しています。
4Gamer:
リリース後は定期的なアップデートも行うと思いますが,そちらの予定はいかがでしょうか。
白陸氏:
2か月に一度はアップデートを行い,さまざまな要素を追加したいと考えています。その中に新機体や,PvEコンテンツの追加,PvPコンテンツの新ルールも含まれますね。
4Gamer:
3対3や4対4など,PvPコンテンツにおける参加人数が増える可能性はありますか。
白陸氏:
まだ技術的に検証中の段階なので,確定事項ではありませんが,増やしていきたいとは思っています。
4Gamer:
期待値が高まる一方ですが,日本でもリリースされるか否かも教えてください。
白陸氏:
現状の予定にはありません。
4Gamer:
それは大変残念な情報です……。
(会議室のドアがノックされる音を聞きつつ)もうお時間のようなので最後の質問です。バンダイナムコ上海の設立からプロデューサーという立場で中国市場に関わった2年半を振り返ってみて,現状の心境はいかがでしょうか。
日本に居た頃より印象がだいぶ変わりました。とくにゲームにおける技術面やクオリティは,私が中国にいる2年半という期間ですら,すごいスピードで進化しています。
中国に来たばかりの頃,開発は2Dベースでしたが,1年であっという間に3Dベースになって通信環境も整備されました。いろんなタイトルがリアルタイムで動作するというのが現在の中国市場で,かなりカルチャーショックを受けた部分でもありましたね。
あと,開発メンバーの規模感は日本と変わらないんですが,ほとんどが20代で全体的に「若いな」とは感じます。
4Gamer:
本日はありがとうございました。もし日本での展開が決まったら,すぐに連絡をください。
「ガンダム争鋒対決」公式サイト(中国語)
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