イベント
「ROOMMANIA#203」25周年イベント「ルーマニア★マニアNight」レポート。開発者や出演者,ファンが同窓会ムードで盛り上がる
![]() |
タイトルで分かるように,本イベントは「ROOMMANIA#203」(以下,ルーマニア),「ニュールーマニア ポロリ青春」(以下,ポロリ)にまつわるトーク&DJを楽しめるもの。
トークパートでは開発スタッフや出演者が登場し,当時を知る者だから話せる出来事から,今だから明かせるエピソードまでを赤裸々に披露。DJタイムには,ルーマニアには欠かせない架空アーティスト「セラニポージ」の楽曲をふんだんに用いたプレイが行われた。
![]() |
“他人の生活をのぞき見て,ちょっとだけ介入する”という,ほかに類を見ないゲームであるルーマニア。こうしたイベントがあると「すわ,なにか新情報が!?」という気になりがちだが,MCを担当したセガの西村ケンサク氏は,開演前に「新作ゲームやリメイクの話題は一切ありません」と説明。
いささか「えー!」の声は上がったものの,ファンも心得たもので,前半のトークはまったりほのぼのなムードで進んでいった。
トークパートの出演者は,牧野幸文氏(プロデューサー),ササキトモコ氏(原案,サウンドデザイン),かがわの水割さん(清水 聖さん:ネジタイヘイ役),幡谷尚史氏(サウンドデザイン)の4名。ゲームを骨格から作り上げていったコアメンバーが集まっただけに,濃密なトークが展開された。
![]() |
2025年が,ルーマニア発売から25周年イヤーということで開催された本イベント。最初のトークテーマは「ルーマニア誕生まで」だ。
そもそものきっかけは,当時のセガ社長からのひと声だと牧野氏は語る。牧野氏,ササキ氏,幡谷氏は当時サウンド制作を受け持つデジタルメディア制作部に所属していたが,「キミ達も音楽だけではなくゲームの企画をしてみたらどうだ」と命じられ,企画を検討し始めたという。
時代はサターン末期,ドリームキャスト発売の足音が聞こえてきた頃である。
“指揮者になろう”“ナイトピアンの世界観を使ったシミュレーション”といった企画が集まった中で,牧野氏の目を引いたのが,ササキ氏が用意した「Room」。
「24時間ずっと人の部屋を配信しているライブカメラを見るのに当時ハマっていて」というササキ氏によって書き上げられた企画書には,すでにゲームコンセプトやアイデアの雛形が事細かに綴られていた。
![]() |
それを見た牧野氏は「すごいゲームを作る人はたくさんいるけれど,その人たちが考えつかない,作らないようなタイトルなら僕ら(デジタルメディア制作部)がやる意義がある」と,社内プレゼンにかけることにしたのだという。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
とはいったものの,コンセプトの目新しさに比べてゲームの形としては「手探りでしたね」(牧野氏)ということもあり,アイデアだけで押し切ろうと挑んだプレゼンの結果は惨敗。
そこでの議事録の抜粋が披露されたが,かなり辛らつな言葉が並んでいた。
![]() |
![]() |
これだけ厳しい言葉が並んだだけに,ボツになるかと思いきや,結論としては「長い時間をかけてもだめだから,早いうちにチーム内で決めて1週間後ぐらいまでにもう一回おいで」という2度目のチャンスだった。
![]() |
プレゼンの反応を受けて牧野氏は,社内での“根回し”に奔走。当時の副会長やコンシューマー開発本部長に「この企画おもしろいでしょ?」と吹き込み,良い反応を得たのであった。
また,クリエイティブ部分を受け持つ幡谷氏らは「お話が面白くなっていかないと(ゲームとして)成り立たないよね」という指摘だったと判断。ゲームをドラマチックなものにするべく,シナリオプロット作りに着手した。
そうしたもろもろを経て臨んだ2度目のプレゼンの場は,社長や取締役らが居並ぶ最高経営会議。
そこで広大なオープンワールドのゲームを作っていたクリエイター氏による,「え,これひと部屋なの? 僕の作っているゲームは3000部屋あるんだけど」との無慈悲な一言により,企画はお蔵入りの危機を迎えるのであった。
![]() |
![]() |
しかし牧野氏はそこでもめげない。「当時のセガの規定だと総予算が1億円を超える場合は最高経営会議で承認を得る必要があったが,それ以下だと社長決済だけで進められる」という規定に沿うべく,そろばんを弾き直し,「1億円に収まるように見せかけて」(牧野氏)から直接社長の元へと赴き,プロジェクト開始の承認を得たのだという。いやはや執念である。
![]() |
プロジェクトにゴーがかかり,次に議題に上ったのがタイトル名。企画名の「Room」や主人公の名前を活かした候補が上がり,最終的に選ばれたのが「ROOMMANIA#203」。これには営業チームからの提案もあったとのことだ。
ちなみに主人公の苗字がネジとなった理由は「(当時セガ本社のあった大鳥居への)出勤時に電車の中から見た看板が印象に残って」(ササキ氏)のことだという。大田区にある,たくさんの町工場に感謝を捧げたいエピソードだ。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
続いてのテーマは「主人公ネジタイヘイ」。
キャラクター造形についてササキ氏は,「ネジタイヘイはとにかく平均的。何の取り柄もない。だからみんな(プレイヤー)が人生をコントロールしてあげないと,その部屋でそのままおじいちゃんになってしまう」と説明する。
![]() |
一方,ネジに魂を吹き込む役割を担ったかがわの水割さんは,「最初はモーションが先。知り合いツテで役者を探しているという話が来て」と,キャスティングにいたった経緯を説明。
収録スタート時は「まだフワッとしていて」,モーションキャプチャー用のケーブルを引きずりながら(当時はまだワイヤレスでなかった),歩幅を測るための方眼紙上を歩かされたといった苦労話を披露。
どんなゲームなのか説明もないままに,「歩いてください」「弁当を食べてください」といった指示をこなしていたため,非常に困惑したと語り,来場者の笑いを誘っていた。
ネジのCVに関しては,モーション収録時には決まっておらず,「だったら自分が」と名乗りを上げたのだと,かがわの水割さんは振り返る。
平凡な青年というキャラクター造形であったため,淡々とローテンションでしゃべらねばならず,収録時はそのことを意識していても「(本名の)清水が出てるよ!」と注意されることがよくあったそうだ。
![]() |
プレイ中の,のぞき見感を印象付ける“ネジの独り言”については,「舞台がネジの部屋だけなので,彼の人間性といった奥行きを感じさせるために」必要だったと幡谷氏は説明。
また,ゲーム的な興ざめを感じさせないために「普通の独り言よりも多いけど,そこでプレイヤーの想像力を膨らませて人間性を感じさせるように」と,膨大な量の独り言を収録したとも語った。
さらに,ナチュラルさを求めるためにアドリブでの演技も含まれているそうで,簡単なお題だけが用意され「はい,じゃあしゃべってくださーい」というノリだったと,かがわの水割さんも当時を振り返る。
トーク中に流された独り言シーンを見ると,確かに調子外れの独り言が多々あり,場内からはクスクスと笑い声が。ビールを飲むシーンでは,かがわの水割さんは実は下戸なのだと自ら暴露していた。
![]() |
次のテーマは「シナリオについて」。
登壇者の好きなシナリオは,幡谷氏が「誰かいる!?」,かがわの水割さんが「1/永遠」,ササキ氏が「鏡の中にあるが如く」。牧野氏は自分の軽口から実装された,マヨネーズおじさん,そして地蔵のサブシナリオが思い出深いと語った。
複数のスタッフが手分けして手掛けているシナリオについては,「最初は社内のシナリオ担当者が書いていたが,バリエーションを出すために社外のシナリオライターにお願いした」とのこと。ちなみに,最初に作られたシナリオは「ワンダーウォール」だそう。
![]() |
そしてなんと,ゲームに実装されていない幻のシナリオがあると明かされるサプライズが!
「死者の飲む水」と題されたそのシナリオでは,冒頭からネジが亡くなっているという衝撃展開。ボツとなった理由として,ササキ氏は「主人公に続き,ほかの人物も次々と死んでいくから」と回答(そりゃそうだ)。しかもシナリオが進むとネジが幽霊となって出てくるというのだから,なんともホラーなノリであったようだ。
![]() |
![]() |
サウンドスタッフがコアメンバーであることもあって,シナリオと結びついた音楽が用意されたルーマニア。その中の一曲「アウトオブザミラー」は「何テイクも収録して,いろいろいじってもらってあの仕上がりなんです!」(かがわの水割さん)と申し訳なさをにじませる。
だったらここで無修正版の「アウトオブザミラー」を今一度聞いてみようという流れとなり,慌てるかがわの水割さんをよそに曲がスタート。
すると流れてきたのは,シャーク松本が歌うバージョン。さらに追い打ちをかけるようにステージにシャーク松本こと光吉猛修氏が歌いながら姿を現すと,場内からは大きな拍手が沸き起こった。
![]() |
トークパート最後のテーマとなったのは「セラニポージ」(以下,セラニ)。
![]() |
ゲーム内架空アーティストというセラニが生まれたきっかけについて,ササキ氏は「平凡なネジタイヘイ唯一の個性がセラニポージが好き」であることを説明。
そのため企画書にも,セラニの名前はもちろん,ゲームと連動したCDのリリースやプロモーション展開といった水平展開についての記述があるのだからオドロキだ。
![]() |
近年ショート動画に使われたことで人気が再燃したセラニではあるが,ササキ氏はあくまで「現在冬眠中」だと説明。ただし,人気の再燃を受けて「活動はしないまでも,起きざるを得ない状況」だともコメントした。
![]() |
ササキ氏が手掛ける歌詞の独創性については,「セラニはアンドロイドという裏設定があって,歌詞は人ごとでセラニ自身の本心を出さないキャラクター作りをしていた」と説明。
ネジの「やっぱセラニだよなぁ」に代表されるよう,仕組まれた流行であったことに罪悪感を感じていたが,ゲーム外から好きになってくれる人が出てきたことで,それが解消されたとも胸の内を語っていた。
![]() |
そうしてゲームから独り歩きを始めたセラニは,現在まで4枚のアルバムをリリース。一部楽曲はTikTokのBGMとして大バズリするなど,現在進行形で愛されるようになった。
今後についてあらためて問われると,「再び冬眠しようか悩んでるけど前には進んでいます」とササキ氏。新曲はある(!)が,歌い手がいない状況とのことなので,我こそはセラニポージだという歌い手が現れれば……と期待を見せていた。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
貴重な話題が連発したトークライブが終わると,お待ちかねRAM RIDERさんによるDJタイムに突入。
4Gamerでも連載をしているRAM RIDERさんは,2003年に西村氏がオーガナイズしたクラブイベント「kitchen」にて,セラニポージと共演したことからササキ氏と面識を持ったという。そのときにRAM RIDERさんが渡したデモテープを,ササキ氏は一時期ヘビロテしていたそうである。
![]() |
![]() |
「僕のマシュ…」を皮切りに,「ぴぽぴぽ」「スマイリーを探して」「ラビットパニック」とルーマニアを彩った名曲の数々が次々とスピーカーを揺らす。合間に,取越デパートのジングルを挟むなどニヤリとさせる遊び心もあり,そのゴキゲンなセレクションにオーディエンスは体を委ねていた。
![]() |
盛り上がりが最高潮に達したところで流れたのは,「スペースチャンネル5 パート2」の「THIS IS MY HAPPINESS」と「NiGHTS」の「Dreams Dreams」のトラックを使ったミックス。
いずれもササキ氏や幡谷氏が深く関わった作品であり,サターン後期→ドリームキャスト時代のセガを体験した人達にとってたまらないチョイスに,会場のあちこちから歓喜の声が湧き上がった。
![]() |
![]() |
北天ブラザーズ「リトル スター」に,しんみりチルく締めくくり……かと思いきや,突如ヒットしたのは「ハロハロナリヤンス音頭」だ。そこにネジに扮した,かがわの水割さんがステージに登場して生パフォーマンスを披露。その姿を目にしたオーディエンス達は,大合唱で盛り上がっていた。
■プレイリスト
1 僕のマシュ…
2 ハッピーエンドがやってきた
3 さかな男の物語
4 ぴぽぴぽ
5 スマイリーを探して
6 マイニーウィボン
7 ラビットパニック
8 胸にアイタ穴
9 15秒
10 ふたごの恋
11 取越デパートテーマソング
12 まなもぉん
13 spiral_da-hi
14 This is My Happiness x DREAMS DREAMS
15 リトルスター RAM RIDER REMIX
16 ハロハロナリヤンス音頭
![]() |
![]() |
まさに「踊って飛んで騒ごうぜ!」な一夜となった本イベント。最後にササキ氏が「ルーマニアが好きな人達の同窓会みたいで,みんなで盛り上がれて本当に楽しかったです」と語ったように,会場全体が温かな空気に包まれた一夜であった。
![]() |
![]() |
![]() |
- この記事のURL:




























































