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[TGS 2018]漂うアロマがゲームを彩る。京都生まれの香りデバイス「アロマシューター」体験レポート
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印刷2018/09/21 13:23

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[TGS 2018]漂うアロマがゲームを彩る。京都生まれの香りデバイス「アロマシューター」体験レポート

 千葉・幕張メッセで開催されている東京ゲームショウ2018。毎年ユニークなデバイスが登場するTGSだが,今年はゲームと香りを連動させる「アロマシューター」が出展されていた。京都で生まれたこの香りデバイスについて,体験レポートとミニインタビューをお伝えしていこう。

アロマシューターと連動したクイズゲーム「ロマロマ〜愛の香り〜」。写真中央下の六角柱が「アロマシューター」で,クイズに正解するといろいろな香りが漂ってくる
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 アロマシューターはアロマジョインが発売している,掌の上に乗るくらいの大きさをした六角柱のデバイスだ。PCやスマートフォンなどのデバイスとは,USB,Bluetooth,RS-485といった規格で接続され,内蔵された6種類のアロマカートリッジからは,アプリやゲームの進行に合わせて異なる香りを出すことができる。ブースでは,デモ用ゲーム「ロマロマ〜愛の香り〜」と,動画に香りを付ける「Aroma Player」を体験できた。

2種類のアロマシューターは,それぞれUSB接続版(左写真)とBluetooth接続版(右写真)。ゆくゆくは1台でUSBとBluetoothに接続できる機種も出したいとのこと
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 「ロマロマ〜愛の香り〜」は,アロマとクイズを組み合わせたゲーム。カップルが世界を巡り,その土地の結婚や恋愛にまつわるクイズに正解すると,さまざまな香水が手に入るという内容だ。正解するたびにバラやラベンダーなど,いろいろな香りが漂うのはちょっと不思議で,なんというか“強く祝福されている感覚”があった。香りはアロマスティックやオイルなどを使って単体でも楽しめるが,ここにインタラクティブ性が加わり,正解のご褒美として提供されるからこそ,祝福感を味わえるのだ。

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 ゲームと香りの連動という意味では,サバイバル系のゲームで森や雨の香りがしたり,恋愛ゲームで彼女の香りが漂ったりすると,かなり臨場感がありそうだ。また,ミスしたときに特定の嫌な臭いがしたりすると,忘れたくても忘れられないゲームになるだろう。香りが残ったり混ざったりすることなく,すぐに切り替わるのも印象的で,場面転換の多いゲームにも対応できそうに感じられた。

 アロマシューターを制御するためのAPIは,Windows,iOS,Android,Java,NodeJS,Unity用が公開されており,デベロッパは自分のアプリやゲームに合わせて使うことができる。つまり,USBやBluetoothで接続できるデバイスであれば,PCに限らず,スマートフォンやタブレット,VR機器などとも接続が可能。Apple Watchや活動量計と連動させて,脈拍が上がると香りを流すなど,いろいろな応用ができそうだ。

公式サイトより。アロマシューターのフタを外すと,中にはカートリッジが入っている
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 ゲームや映像作品と香りを連動させるのはアロマシューターが初というわけではなく,コーエーテクモゲームスのアミューズメント施設用VR筐体「VR センス」や,体感型映画上映「4DX」といった例が存在している。ただ,これらは公共の施設に行かないと体験できないのに対し,アロマシューターは自宅で楽しむことができる。そのため,恋愛ゲームや感動系のノベルゲームなど,1人静かに楽しみたいジャンルと相性がいい。

 もう1つの「Aroma Player」では,動画に合わせて香りを流すことができる。コーヒーが出てくるパートではコーヒーの香りが漂い,草原ではふわりと爽やかな香りがする……といった具合だ。自分の操作で香りが変化するようなインタラクティブ性はないものの,“香りがいろいろなものを想起させる”という意味での臨場感は高く,人間の脳がいかに香りを重視しているかを改めて認識させられた。

 Aroma Playerは公式サイトで配布されており,使用する動画や,動画のどのタイミングでどんな香りを出すかを設定する「アロマタイムライン」をユーザーが自由に変更できる。こちらもいろいろな活用ができそうだ。

動画に任意の香りを付けられる「Aroma Player」。画面下が香りを設定する「アロマタイムライン」
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 気になる価格はUSB版が19万2000円(税抜),Bluetooth版が24万円(税抜),アロマカートリッジが各6095円(税抜)からと,なかなかに高価だ。ただし,現時点では本格的な量産が行われていないとのことなので,量産体制が確立すれば値段も変わってくるかもしれない。

 会場では,アロマジョインのマーケティング&戦略マネージャーである,ケラン・ニコラ氏に,アロマジョインの成り立ちや性能,そしてペンダント型の「アロマシューターミニ」などの話を聞くことができた。

アロマジョインのマーケティング&戦略マネージャー,ケラン・ニコラ氏
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4Gamer:
 よろしくお願いします。香りとゲームを結びつけるアイデア自体はこれまでにも存在しましたが,アロマシューターは個人で所有できるデバイスである点が面白いと感じました。アロマシューターとほかのアロマ製品の違いは,どういったところにありますか?

ケラン・ニコラ氏(以下,ニコラ氏):
 従来のアロマ製品は,水と液体香料を使ったミスト式のものが多いです。この方式ですと,空間全体に広がった香りが数十分単位で残ってしまうため,充分に間隔を開けないと香りが混ざってしまいます。一方,アロマシューターの香料は固形で,空気を使って香りの分子だけを飛ばすので,香りを変更する間隔が短くても香りが混ざらず,瞬間的に別の香りにするようなこともできるんです。

4Gamer:
 現時点では何種類の香りがありますか?

ニコラ氏:
 柑橘系やハーブ系,樹木系など100種類以上が存在しています。お客様からのご依頼に合わせ,香料メーカーとやり取りして新しい香りを作ることもできますよ。例えば,ゲーム用に作るのであれば「ゾンビの香り」とかでしょうか(笑)。

4Gamer:
 アロマシューターには何種類の香りをセッティングできるのですか?

ニコラ氏:
 最大で6種類ですね。複数の香りを混ぜ合わせるようなこともできます。例えば,ミントの香りとチョコの香りでチョコミントになるといった感じですね。

4Gamer:
 APIの使用に費用はかかりますか?

ニコラ氏:
 Windows,iOS,Android用は無料です。ゆくゆくはすべてのAPIを無料提供したいと考えています。

4Gamer:
 USBやBluetoothを搭載したデバイスであれば,どんなものとも接続できるのでしょうか。

ニコラ氏:
 はい,種類は問いません。光センサーや温度センサーと組み合わせて,お客様の来店や気温の変化に合わせて香りを出すようなこともできます。バイタルサインをトリガーにすることも可能です。

4Gamer:
 アロマシューターを開発するきっかけは何だったのでしょうか。

ニコラ氏:
 弊社の社長が小さい頃にカラーテレビの放送が始まったのですが,そのときに母親が「テレビに色が付くなら,いつかは香りが出るようにもなるかもね」と言っていたことがきっかけです。この言葉をきっかけに社長は香りを研究する道へ進みました。そして,京都にあるNICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)で香りについての技術を開発し,2012年に独立してアロマジョインを立ち上げたのです。

4Gamer:
 なるほど。では今回,ロマンスゲームコーナーという乙女ゲーム関連で出展されたのはなぜですか?

ニコラ氏:
 我々は香りを扱う会社です。女性は香水や良い香りが好きですし,女性にアプローチできるのは乙女ゲーム関連のブースだろうということですね。

4Gamer:
 では,これからはゲーム会社との協業なども検討していると。

ニコラ氏:
 そうですね。名前は出せませんが,すでにいくつかのお話をいただいています。

4Gamer:
 今後,アロマシューターのモデルチェンジなどは行われますか?

ニコラ氏:
 モデルチェンジではありませんが,2019年に「アロマシューターミニ」というペンダント型のウェアラブルなものを出す予定です。こちらは2種類のカートリッジを内蔵でき,スマートフォンから制御する形になります。

ウェアラブルなペンダント型デバイス「アロマシューターミニ」
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4Gamer:
 ペンダント型になると,より個人所有という属性が強くなり,さらに応用の幅が広がりそうですね。楽しみにしています。

アロマジョイン公式サイト

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