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印刷2014/12/18 09:00

テストレポート

ついに配信開始となるPC版「METAL GEAR SOLID V:GROUND ZEROES」テストレポート。グラフィックス品質はPS4より上で,「最も美しいMGSV」に

 2015年の発売が予定されているメタルギアシリーズの最新作「METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN」(PC / PlayStation 4 / PlayStation 3 / Xbox One / Xbox 360)。そのプロローグとなる「METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES」(以下,MGSVGZ)が,2014年3月にPlayStation 4(以下,PS4)とPlayStation 3Xbox 360に向けて発売になったことは,記憶に新しい。
 その後,国内のXbox One発売に合わせて,9月にはXbox One版も登場したが,かねてより予告されていたPC版も,ついに米国太平洋時間12月18日10:00(日本時間19日3:00)から全世界に向けてSteamで配信されることとなった。発売時の価格は2362円(税別)で,日本から購入可能。しかも日本語音声対応だ。

 KONAMIは以前から,PC版の展開にあたって,日本よりも欧米市場を優先する姿勢をとってきた。それだけに,今回,MGSVGZのPC版が,海外市場と同じタイミングで国内でも配信開始となるのは大きなニュースといえる。

PC版MGSVGZより。PC版MSGVGZは,一度購入すると,日本語版と英語版の両方をいつでも好みのものに切り替えてプレイできる。ただし,セーブデータは片方の言語のものしか保持されない(※切り替えると削除される)ので,この点は要注意だ。詳細はKONAMI公式Webサイトを参照してほしい
画像集#002のサムネイル/ついに配信開始となるPC版「METAL GEAR SOLID V:GROUND ZEROES」テストレポート。グラフィックス品質はPS4より上で,「最も美しいMGSV」に

 では,このPC版MGSVGZは,家庭用ゲーム機版と何が違うのだろうか。今回は,PC用のβ版を一足早く入手できたので,それを,発売済みのPS4版と比較してみたいと思う。
 それに先だってお断りしておくと,今回入手したバージョンは12月12日にリリースされたβビルドで,「製品版に極めて近い」とされている。ただ,それでもβ版はβ版だ。配信日初日にリリースされるバージョンとは多少なりとも異なる可能性が否定できないので,その点はご了承のほどを。


PC版MGSVGZのグラフィックス設定


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 MGSVGZが採用するゲームエンジンは,KONAMI独自の「FOX ENGINE」だ(関連記事)。もともとマルチプラットフォームを念頭に置いて開発されたエンジンなので,PC版が出てくること自体は不思議でもなんでもない。

 さて,そんなPC版MGSVGZだが,ゲームを起動し,「OPTIONS」メニューを開いてみると,PS4版との違いを確認できた。PC版には「グラフィック設定」と「キーアサイン設定」が追加され,前者では画質調整,後者ではゲームパッド以外に,マウスとキーボードで操作するための設定を行えるようになっている。

PS4版(左)とPC版(右)の「OPTIONS」メニュー。PS4版では不要だが,PC版では必須となる項目が2つ追加された
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 なかでも,PC版ならではのポイントとなるのが「グラフィック設定」だ。
 その設定項目は下に示したスクリーンショットのとおりで,基本的には,PCゲームのグラフィックス設定でよく見るものばかりといった雰囲気である。

「グラフィック設定」メニュー。デフォルト設定は画面のとおりだった
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 ただ,チェックしてみると,ユニークな挙動を示すものがあった。それが「垂直同期」と「フレームレート」で,前者の選択肢は「有効」「無効」,後者の選択肢は「自動」「30fps固定」。「垂直同期」を「無効」とし,「フレームレート」を「自動」にすると,GPUによるフレーム(≒映像)送出タイミングと,ディスプレイデバイス側でのリフレッシュ(≒Vsync)タイミングが同期しなくなる(※VsyncとGPUの関係については西川善司氏による解説が詳しい)。
 と,ここまでは一般的なPCゲームと同じだが,MGSVGZでは,この設定を行っても,フレームレートの上限は60fpsとなり,それを大きく上回ることはない。「Fraps」(Version 3.5.99)から確認してみても,時折64fps程度を示すことはありこそすれ,それ以上には上がらない。要は,60fpsでキャップがかかっているのだ。

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 そのため,PC版MGSVGZでは,「グラフィックス設定を大きく落としてフレームレートを稼ぐ」という選択肢のメリットがあまりない。描画負荷をいくら下げても,フレームレートの上限は60fps程度になるため,60fpsを割り込まないように,リッチな画質を設定するのがオススメという感じになる。また,60fpsにまったく届かない場合は,「垂直同期」から「30fps固定」を選択して,フレームレートを安定させるのが次善の策となるだろう。
 ユーザーが自分でその設定を追い込むのはやや面倒なので,多くの場合は,NVIDIAの「GeForce Experience」やAMDの「Gaming Evolved App」任せということになるのではなかろうか。

 ちなみに,いま述べた「リッチな画質」関連の設定項目は,「モデルディティール」から「エフェクト」までの8項目が用意されている。「テクスチャフィルタリング」だと「Medium」「High」「Extra High」の3段階,「スクリーンスペースアンビエントオクルージョン」は「OFF」「High」「Extra High」の3段階で,残る6項目はいずれも「Low」「Medium」「High」「Extra High」の4段階から指定できるようになっていた。


フルHD解像度でPS4版と比較


 以上を踏まえつつ,PS4版とPC版とで画質を比較してみることにしよう。
 MGSVGZは起動時にNVIDIAの「The Way It's Meant to be Played」ロゴが出たので,今回は「GeForce GTX 980」(以下,GTX 980)が中心となるPCを,のとおり用意した。

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最高画質設定。すべてのパラメータを一番上にした状態だ
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 テストにあたって,PC版のグラフィックス設定は,前出のデフォルト設定(以下,標準画質設定)に加え,「モデルディティール」以下の8項目をすべて「Extra High」に設定した,MGSVGZで望みうる最高の設定(以下,最高画質設定)の2パターンを用意。ディスプレイの解像度は,PS4に合わせてひとまず1920×1080ドットとしている。

 さて,まずはゲームスタート直後のシーンで比較してみよう。下に示したのは上から順番にPS4,標準画質設定,最高画質設定だが,一見して分かるのは,PS4,そして標準画質設定と比べて,最高画質設定の情報量が多いということである。
 具体的には,プレイヤーの目の前で広がる基地内における光源の数が異なっており,また,最高画質設定ではライトとともに環境光の表現がある程度行われている。おそらくスクリーンスペースアンビエントオクルージョンの強度が上がった効果だろう。

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PS4
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標準画質設定
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最高画質設定

 明るいシーンを使って,プレイヤーキャラクターである「スネーク」の衣装に寄ってみた結果が下の3枚だ。サムネイルでは全体から衣装部分のみを切り出し,4倍に拡大させている。
 見比べてみると,アンチエイリアシングの滑らかさはPS4のほうがPCの標準画質設定より良好だ。サンプリング方法もしくはサンプリング数に違いがあるのではなかろうか。ただ,PS4では衣装のディテールが若干失われている。
 PCの最高画質設定では,ディテールは失われず,かつ,アンチエイリアシングがきれいにかかっている。これはテクスチャフィルタリングの効果だろう。

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PS4
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標準画質設定
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最高画質設定

 エフェクトでは,PS4とPC版の標準画質設定とで,ほぼ共通の傾向があるようだ。
 たとえば下に3枚並べたスクリーンショットのように,「地面の水たまりにオブジェクトが映り込む反射表現」に注目すると,PS4と標準画質設定にはそれがないのに対し,最高画質設定では,水たまりに,その隣のコンクリートブロックが映り込む描写が見られる。

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PS4
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標準画質設定
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最高画質設定

 一方,オブジェクトの数に着目すると,PS4と標準画質設定の間には,決定的な違いがあった。
 下に3枚並べたスクリーンショットは,建物の上から基地内を見渡しているところだが,PS4ではただの土の道にしか見えないところに,PC版の標準画質設定では土の上に敷かれた渡し板と,それを囲む土嚢が現れるのだ。
 ちなみに最高画質設定では,その奥にある金網製の柵を囲むところにも土嚢が現れ,さらにその奥の丘に樹木が増えている。

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PS4
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標準画質設定
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最高画質設定

 PC版でもグラフィックス設定を標準画質設定よりさらに低くすると土嚢の数は減るのだが,PC版では,どこまで下げても,渡し板と土嚢は消えなかった。要するにPC版は,「グラフィック設定」以前の話として,PS4版よりリッチなグラフィックス表現が実現されているというわけである。

PC版のグラフィックス設定を選択しうる最低に設定した状態。それでも渡し板と土嚢は描画されている
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PC版ならではの超高解像度設定も試す


 前段では1920×1080ドット解像度で比較したが,PC版ではそれ以上の解像度も,もちろん設定できる。MGSVGZにはより高い解像度設定に対応したテクスチャが用意されているようで,PC版では,解像度が上がるほど,テクスチャの詳細感が上がっていく。

左から順に,1920×1080ドット,2560×1440ドット,3840×2160ドット表示時のテクスチャ。サムネイルでは解像度を揃えたうえで,岩肌をクローズアップしているが,精細感が変わって見栄えにも違いが生じていると分かる
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 もっとも,3840×2160ドットのような,俗にいう4K解像度に対応したディスプレイデバイスを所持するゲーマーは,まだそれほど多くはないだろう。そのため,最近のグラフィックスカードでは,ドライバ側でディスプレイデバイスのネイティブ解像度を超えた解像度でレンダリングを行い,画面出力時に縮小して,最終的に表示される画質を引き上げる,ドライバレベルのスーパーサンプリング対応が始まっている。
 先鞭をつけたのはNVIDIAの「Dynamic Super Resolution」(以下,DSR)で,12月になってAMDも対抗機能「Virtual Super Resolution」としてドライバに実装してきた(関連記事)。2014年におけるホットな機能の1つなのだ。
 これらと対応GPUを利用すれば,ネイティブ解像度が1920×1080ドットであっても,2560×1440ドットや3840×2160ドットといった,より高い解像度で得られる精細感の一端を味わえるようになる。

今回はNVIDIAコントロールパネルからDSRの設定を行った。なお,「DSR - Smoothness」というのは,ディスプレイのネイティブ解像度まで縮小処理するときにどの程度のガウスぼかしを適用するかを設定するもの。詳細はテストレポートを参照してほしい
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 今回はGPUにGTX 980を用いているので,テストに使うのはDSRということになるが,DSRのテストレポートでお伝えしているとおり,DSRはGeForce ExperienceもしくはNVIDIAコントロールパネルから有効化できる。MGSVGZのプロファイルがGeForce Experienceへ登録されれば,そちらから有効化できるようになるはずだ。
 しかし,今回は発売前ということで,GeForce ExperienceはMGSVGZに未対応。そこで,NVIDIAコントロールパネルの「3D設定の管理」に用意された「DSR - Factors」から設定することになった。

1920×1080ドット解像度のディスプレイデバイスと接続している状態でDSRを有効化すると,MGSVGZからは解像度を3840×2160ドットまで選択できるようになった
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 DSR - Factorsは標準だと「Off」だが,プルダウンメニューを開くと,「スクリーン解像度に対して何倍でレンダリングを行うか」を選択できるようになる。選択肢は1.20/1.50/1.78/2.00/2.25/3.00/4.00倍の7通りだ。この中から1つ,もしくは複数の倍率を選択すると,選択した倍率に応じた解像度を,ゲーム側から選択できるようになる。
 MGSVGZの場合は,「OPTIONS」−「グラフィック設定」にある「解像度」に,選択済み倍率に応じた解像度設定が表示されるはずだ。1920×1080ドット解像度のディスプレイデバイスと接続している場合,4.00倍設定時の解像度は3840×2160ドットとなる。

 なおこのDSR,現時点では「SLI構成時にはサポートされない」という制限があるのだが,ここにはちょっとした補足がある。そのあたりは後段で触れることにしよう。

 では,1920×1080ドット解像度の液晶ディスプレイを持っている人がDSRを有効化すると,MGSVGZではどういった画面が得られるのか。今回はDSR - Factorsを2.25倍にした2880×1620ドット設定と,4.00倍にした3840×2160ドット設定の2種類で,標準画質設定および最高画質設定を行ってみることにした。

 下に示した3枚のスクリーンショットは,標準画質設定時のものだ。上から順にDSR無効,2.25倍設定のDSR有効,4.00倍設定のDSR有効となっているが,比較すると面白いことが分かる。前段で触れたとおり,標準画質設定では最高画質設定と比べてオブジェクト数が減るのだが,DSRの解像度を上げると,遠方の草木や土嚢の量が増えるのである。どうやらPC版MGSVGZでは,画質設定だけでなく,解像度によっても,画面内に表示されるオブジェクトの数を変えているようだ。
 つまり,標準画質設定でもDSRを使ってレンダリング解像度を上げれば,失われているディテールの一部を取り戻せるということになる。

画像集#032のサムネイル/ついに配信開始となるPC版「METAL GEAR SOLID V:GROUND ZEROES」テストレポート。グラフィックス品質はPS4より上で,「最も美しいMGSV」に
標準画質設定+DSR無効
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標準画質設定+DSR 2880×1620ドット
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標準画質設定+DSR 3840×2160ドット

 もっとも,標準画質設定と最高画質設定とで比べると,やはり最高画質設定のほうが描画されるオブジェクトの数は多いということも,最高画質設定で取得した下のスクリーンショットを見れば分かる。
 面白いのは,最高画質設定の場合,DSR解像度を上げても,草木や土嚢の数に変化は生じないこと。最高画質設定を選択した時点で,オブジェクト数は上限に設定されているのだろう。

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最高画質設定+DSR無効
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最高画質設定+DSR 2880×1620ドット
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最高画質設定+DSR 3840×2160ドット

 標準画質設定と最高画質設定で共通して見られるのは,DSRの有効化によって向上する草のシャープさだ。プレイ中にゲームを中断して,ゲーム側の解像度設定を上げてゲームに戻ると,画面がさっとシャープになることが分かるほどなので,これはインパクトが大きい。
 また,アンチエイリアシングも,DSRによって滑らかになるようだ。スネークの背中に寄ってみると分かりやすいのだが,DSRを有効化すると,帯などのエッジがキレイになる。ただ,2.25倍設定と4.00倍設定とで,アンチエイリアシングの滑らかさには,それほど大きな違いは認められなかった。

 ちなみに,MGSVGZをプレイしたことのある読者なら,冒頭に長いカットシーンがあることを覚えていると思うが,実はあのカットシーン,プリレンダであらかじめ用意されているムービーではなく,リアルタイムレンダリングによるものだ。そこで,PS4版と解像度1920×1080ドットにおけるPCの標準画質設設定,PCの最高画質設定,DSRで3840×2160ドットを設定した最高画質設定の4パターンを並べ,ムービーで見栄えを比較してみることにした。
 結果が下のムービーである。4Kムービーになっているため“重い”点は注意してほしいが,見比べてもらうと,静止画とは別の違いに気づくはずだ。

分割ファイル1(196MB),分割ファイル2(196MB),分割ファイル3(196MB),分割ファイル4(39.7MB)をダウンロードのうえ,「141218_MGSVGZ_comparison.part1.exe」を実行すると,YouTubeへアップロードする前のファイル「141218_MGSVGZ_comparison.mp4」を生成できます。4Kムービーなので,再生するには相応のPCスペックが必要です。


4K解像度ではSLI構成が現実的な選択肢か


 前段でDSRのもたらす画面上の効果を確認したが,DSRは「より高い解像度でレンダリングする機能」であるため,「負荷が高くなって,フレームレートが下がる」という問題からは逃れられない。では実際のところ,PS4を超えた解像度でゲームをプレイするというのは現実的な選択肢なのか。GTX 980のシングルカード構成と2-way SLI(以下,SLI)構成の2パターンで,解像度設定を変えながら,フレームレートを計測してみようと思う。

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 テストに用いるのは,先ほど紹介したカットシーンだ。プレイヤーの操作が介在しないこのカットシーンを用いれば,ゲームで期待できるフレームレートをおおむね推し量れるだろうと考えたわけである。
 テストにあたっては,カットシーンのスタート直後から2分間のフレームレートを追う。序盤で紹介したとおり,MGSVGZは60fps程度がフレームレートの上限となるので,見どころは「60fpsをどれだけ下回らないか」だ。言い換えると,最小フレームレートがどこまで踏ん張れているかが重要になるわけである。

 テスト条件は下記の4パターン。シングルGPU構成とSLI構成で,それぞれ4パターンの解像度をテストするから,合計では8パターンだ。

  1. 1920×1080ドット解像度のディスプレイと接続した状態のネイティブ解像度(以下,1920×1080N)
  2. 1920×1080ドット解像度のディスプレイと接続し,DSR 2.25倍設定(=2880×1660ドット)を行った状態(以下,2880×1660DSR)
  3. 1920×1080ドット解像度のディスプレイと接続し,DSR 4.00倍設定(=3840×2160ドット)を行った状態(以下,3840×2160DSR)
  4. 3840×2160ドット解像度のディスプレイにネイティブ解像度で出力した状態(以下,3840×2160N)

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「3D設定」に「SLI」があり,しかもDSRを有効化できている証明カット
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PB287Q
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ASUSサポートホットライン TEL 0800-123-2787(平日9:00〜18:00,土日9:00〜17:00)
実勢価格:6万4500〜7万1000円程度(※2014年12月18日現在)
 ここで「おかしいぞ?」と思った読者もいるだろう。すでに述べたとおり,SLI構成では今のところ,DSRを公式にはサポートしないからだ。ではなぜSLIのテストを行っているかというと,答えは簡単で,どういうわけかSLI構成でもDSRの設定を行えてしまったのである。
 調べたところ,どうやら,組み合わせるディスプレイによっては,SLI構成時にDSRが有効にならない「ことがある」。そのため,NVIDIA公式には今のところ「SLI構成時はDSR非対応」としているようだ。今回テストに用いたディスプレイはBenQ製でネイティブ解像度1920×1080ドットの「XL2410T」と,ASUSTeK Computer製でネイティブ解像度3840×2160ドットの「PB287Q」だが,両製品では何の問題もなかったので,将来的にはSLI構成時にもDSRが正式サポートされることになるのではないだろうか。

 というわけでグラフ1〜8が,条件ごとのテスト結果だ。グラフ3で示した2880×1620DSRの標準画質設定までは,スコアが見事に上限へ張り付いている。ここまではシングルカードでもSLIでもスコアはまったく変わらない。
 グラフ4,2880×1620DSRの最高画質設定で,ようやくGTX 980の最小フレームレートが59fpsを下回るが,まだ52fpsだ。GTX 980なら,2880×1620DSRまでは,性能面でのペナルティはほぼないままDSRを利用できるという理解でよさそうである。

 グラフ5〜8では,GTX 980のシングルカード構成で最小フレームレートが50fpsを大きく下回る一方,SLI構成では最も描画負荷の高い3840×2160Nの最高設定でも最小47fpsを維持した。平均フレームレートに至っては58.02fpsだ。

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 「快適にプレイできるレベル」というのをどのあたりに置くかは難しいのだが,実際にプレイしての体感レベルで言えば,最小フレームレートが50fpsを切ると,プレイ中,カクつくのが分かる程度になることがあった。なので,シビアに見るのであれば,最小50fpsが分水嶺になると思われる。そこを下回る場合は,本稿の序盤でも述べたが,「OPTIONS」−「グラフィック設定」−「垂直同期」から,「30fps固定」を選択したほうが,おそらく幸せになれるのではないかと思う。
 甘く見た場合は,最小50fpsを少し下回った程度なら問題にならないが,それでも最小30fpsを割り込むようだとかなり厳しい。

 その観点で振り返ると,GTX 980では2880×1620DSRの最高画質設定が上限で,DSRかネイティブ出力かを問わず,4Kを狙うならSLIが必須ということになるだろう。

 ちょっと面白いのは,DSRよりネイティブの4Kのほうが,スコアは低い傾向になったことだ。筆者はテスト前,画面のスケール変換が入るDSRのほうが負荷の高い処理なのではと予測していたが,逆だった。3840×2160ドットという広大なディスプレイ空間に出力するというのは“重い”処理だというわけだ。


PC版MGSVGZは体験の価値あり。“本編”にも期待


 以上,やや駆け足気味に,PC版MGSVGZのグラフィックスとその負荷を確認してきた。最大のポイントは,PC版であれば,標準画質設定であっても,PS4より高いグラフィックス品質が得られるということだろう。もちろん細かいことではあるのだが,FOX ENGINEの,そして新世代メタルギア ソリッドのポテンシャルを最大限に発揮させたいとき,その選択肢としてPCプラットフォームが浮上したことを歓迎するゲーマーは多そうだ。

 また,冒頭でも触れたとおり,“あの”KONAMI製タイトルを日本でSteamから購入できるようになったというのも大きい。こうしてプロローグが出てきた以上,本編も日本から購入できるようになる可能性は十分にあり,その点でも楽しみが増えたと言っていいのではなかろうか。
 すでにゲーム機版でMGSVGZをプレイ済みという人も,これまでPCで出なかったから最近のメタルギアはやったことがないという人も,PC版MGSVGZは,一度プレイしておくのが正解かもしれない。

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    METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES

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