業界動向
投機目的のユーザーを排除する仕組みが特徴――月刊ブロックチェーンゲーム通信 第2号。今回の分析ターゲットは,「Chain Colosseum Phoenix」
なんか最近ちょっと流行りつつあるかも……? ということは知っていても,どんなタイトルがあって,どういうもので,どれくらいの人が遊んでいて,中では何が行われているのか,実際にプレイしてみないとさっぱり分からないのが,ブロックチェーンゲームです。
なのでこの連載では,毎月のブロックチェーンゲームのユーザー数や取引高ランキングの動向,そのとき話題になっているブロックチェーンタイトルの様々な分析データなどをdouble jump.tokyoが作成し,まとめて皆さんに紹介します。前回は「キャプテン翼-RIVALS-」を深掘りしましたが,今回の分析ターゲットは「Chain Colosseum Phoenix」です。
いやいや私はもうだいぶ詳しいから説明なんか要らないよという人は,詳細版のマンスリーレポートだけでもぜひご覧ください。いま現在のブロックチェーンゲームの流れを見るには,そのPDFが大いなる助けになるはずです。
【2023年12月】BCGマンスリーレポート(double jump.tokyo)
およそ半分のユーザーが黒字運営?――月刊ブロックチェーンゲーム通信 第1号。今回の分析ターゲットは,「キャプテン翼-RIVALS-」
最近名前をよく聞くし,もしかしてちょっと流行りそう……? と思っても,始め方が難しいし,それを乗り越えても今度は何をやればいいのかよく分からないし,あぁもう面倒くさいな……となりがちな,ブロックチェーンゲームのデータをお見せするのがこの連載です。プレイヤー予備軍の人はぜひご覧ください。
ブロックチェーンゲームのユーザー数ランキング
順位 | タイトル | ジャンル | MAU | 先月比 |
1 | Moto DEX | レース | 141万 | +270% |
2 | PipeFlare | カジュアル | 92万 | +195% |
3 | Trickshot Blitz | カジュアル | 76万 | −10% |
4 | Gamifly | スポーツ | 68万 | +240% |
5 | Farmers World | ファーミング | 58万 | −13% |
※DappRadarから引用(2023年12月4日時点)。なおユーザー数は,各タイトルに関連したブロックチェーンネットワーク上でのユーザーアクティビティをもとにカウントされています。ブロックチェーンに関係のないアプリ内でのアクティビティなどはカウントされていないので,ご了承ください。
2023年12月4日時点でのユーザー数ランキングは,以上のような結果に。
今月のユーザー数ランキング1位のMotoDEXは,ライダーを育成してレースでタイムを競うゲームで,チャンピオンは賞金を獲得することができます。サーキットそのものを保有することも可能で,そこでのトーナメントの手数料を獲得することもできます。
2位のPipeFlareは,ラン系やシューティングなど最大14種類のハイパーカジュアルゲームで遊ぶことができます。ゲームをプレイしてユーザーのレベルを上げることで,プレイ可能なゲームが増えていくという仕組みです。各ゲームのトップは,少額の賞金を獲得することができます。
ブロックチェーンゲームの取引高ランキング
順位 | タイトル | ジャンル | 取引高 | 先月比 |
1 | Axie Infinity | TCG | 5900万ドル(約84.9億円) | +82% |
2 | Gods Unchained | TCG | 2120万ドル(約30.5億円) | −2.3% |
3 | Cambria Duel Arena | サバイバルPvP | 650万ドル(約9.4億円) | +100% |
4 | DeFi Kingdoms | シミュレーション | 490万ドル(約7.1億円) | +93% |
5 | Alien Worlds | シミュレーション | 460万ドル(約6.6億円) | +30% |
※DappRadarから引用(2023年12月4日時点)。取引高ランキングは,各ゲームのNFTや暗号資産に関連したブロックチェーンネットワーク上のアクティビティを元にカウントされています。ブロックチェーンに関係のないアプリ内でのアクティビティなどはカウントされていないので,ご了承ください。
2023年12月4日時点の取引高ランキングは,以上のような結果に。
「Axie Infinity」は,前回の2位からワンランクアップして1位に復帰。暗号資産マーケット好調の追い風もあり,取引高も前月比+82%でした。マーケットの影響を強く受けるのも,ブロックチェーンゲームの特徴です。
3位の「Cambria Duel Arena」は多人数のサバイバルアリーナで,勝者総取りのバトルになっています。最近話題になっているBaseというチェーンを使っていることもあり,人とお金がどんどん流入してきています。
「Chain Colosseum Phoenix」の分析
ブロックチェーンゲームで使用されるトークンは,プレイヤーが購入する前にトレーダーによって大量購入されて価格が高騰し,ゲームが盛り上がるタイミングで売却されることがあります。このような状況では,ゲームを楽しむプレイヤーが高価なトークンを購入することになり,損をしてしまうことがあります。
今回は,トレーダーによって発生するこのような不利益を防ぎ,ゲームの経済圏を保護するためのシステムを採用しているブロックチェーンゲーム「Chain Colosseum Phoenix」(CCP)を紹介します。
CCPは,キャラクターを育成して戦うPlay To Earn型のブロックチェーンゲームです。PvEを通じてトークンを獲得し,キャラクターを売買することができます。
バトルはシンプルなターン制のコマンドバトルスタイルで,「攻撃」「必殺技」「カウンター」のコマンドを使います。相手の必殺技にカウンターを合わせると,必殺技を無効化しつつダメージを与えることができたりします。また,連続して敵を倒すことで宝箱がドロップしやすくなるため,チームとしての戦略的な育成が重要になります。
・AT-Fieldとソウルマイニングシステム
プレイヤーが損をしにくいようにするためのシステムとして,AT-Field(アンチトレーダーフィールド)とソウルマイニングシステムが導入されています。
AT-Fieldは,ゲーム内で獲得したトークン枚数よりも多く売却できないようにする仕組みです。ゲームをプレイしないトレーダーは,トークンの売買のみで利益を得ることができないため,投機的なトレーダーの排除に役立ちます。
ソウルマイニングシステムは,トークンが一定価格を上回ると,獲得したトークンの一部が自動的にドル相当のトークン(ステーブルコイン)となってヒーローに蓄えられ,ヒーロー価値の裏付けとして利用される仕組みです。また自動売却により,価格の過度な上昇を抑制する効果も期待されます。
キャラクターには寿命があり,寿命を迎えるとバトルで使用できなくなります。そのときには,ゲームで獲得できるアイテムやトークンを使って復活させるか,キャラクターに蓄えられたトークンを引き出していくかを選択することができます。
・ユーザー分析
2023年11月21日時点での,購入数別のウォレット数分布です(tofuNFTでの販売を集計)。1個あたり約250ドルの高額NFTにもかからわず,2707個のNFTが売れています。保有数が多いほどゲームプレイに必要なエナジーが増えることから,複数購入しているユーザーが多いことが分かります。
CCPは,ゲームで獲得できる暗号資産に対して十分な流動性(プレイヤーが交換可能な在庫)を用意することを発表後,取引高が増加しました。流動性が大きいほど,プレイヤーが暗号資産を取引した際の価格変動が小さくなるため,期待が集まったとみられます。
・まとめ
以上,「Chain Colosseum Phoenix」のゲーム概要とユーザー分析についてでした。ゲームの経済圏を保護し,プレイヤーに公平な環境を提供するための取り組みが,本作の大きな特徴だと言えます。
「Chain Colosseum Phoenix」公式サイト
【2023年12月】BCGマンスリーレポート(double jump.tokyo)
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