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誰もがビックリマンになれる,生成AIの“エンタメ活用”を目指して。ロッテ×アル「ビックリマンAI名刺メーカー」の仕掛け人たち【PR】
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印刷2026/01/16 12:00

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誰もがビックリマンになれる,生成AIの“エンタメ活用”を目指して。ロッテ×アル「ビックリマンAI名刺メーカー」の仕掛け人たち【PR】

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 世界にひとつだけの“AIでつくる”オリジナル「ビックリマン名刺」。それが,ロッテ×アルの「ビックリマンAI名刺メーカー」だ。

 言うまでもないが「ビックリマン」とは1977年に発売され,購入者を“ビックリさせる”ことを目指した,シール付きのチョコレート菓子シリーズのことだ。もはや国民的菓子と評してもいい。

 なかでも,ビックリマン10代目「悪魔VS天使シール」は食玩ジャンルのパイオニアとして知られ,シールのデザイン性,描かれたキャラクターのストーリー性,さらにキラキラ加工のヘッドなどの要素で,あのころ少年だった者たちの心を鷲づかみにした。

 そんなビックリマンが,ビジネス用の名刺になった。しかも“自分の写真をAIが読み取り,ビックリマンの世界観にしてくれる”最先端のおまけ付きだ。

※本商品は特設サイトにて,2026年1月25日までの限定販売

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オモテ面には,全3種のビックリマンキャラクターと並び,生成AIにより自分の写真がビックリマン風にデザインされる。ウラ面には,バリエーション豊かなビックリマンアートとウワサ(がないフォーマル風デザインもあり)
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 今回はこのビックリマンAI名刺メーカーを完成させた,ロッテとアルのキーパーソンたちにインタビューしてきた。

 人の写真をもとに,生成AIでビックリマン風にする。ひと言で説明すると簡単そうだが,それはそれは試行錯誤があったようで――。

左から,ロッテ マーケティング本部 第一ブランド戦略部 焼き菓子企画課 課長の本原正明氏。アル 代表取締役のけんすう氏(古川健介氏)
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今の時代,ビックリさせるには


4Gamer:
 自分がビックリマンになれるサービスとのことで,本日はお話を聞かせてもらいます。まずはお二方の自己紹介からお願いできますか。

本原正明氏(以下,本原氏):
 ロッテのマーケティング本部,焼き菓子企画課の本原です。
 今回はアルさんと共同で,本サービスを担当しました。

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けんすう氏(古川健介氏):
 アルの代表取締役をしています,古川です。
 ネット上では「けんすう」の名で,いろいろと活動しています。

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4Gamer:
 お口の恋人 ロッテといえば,「ガーナ」「パイの実」「コアラのマーチ」「チョコパイ」に千葉ロッテマリーンズと言うまでもありませんが。一方で,アルはどのような会社なのでしょう。

けんすう氏:
 アルは,生成AIなどの最新テクノロジーを活用し,「クリエイティブ活動が加速する世界を実現する」ことを目指す企業です。
 当初は大手出版社と提携した漫画メディア・コミュニティサービス「アル」から事業をスタートして,クリエイター支援のためのサービス開発・運営,大手出版社やレコード会社をはじめとした,さまざまな企業さんとのアライアンス事業などを実施してきました。
 そして最近は主に,生成AIを活用したサービスの企画・開発に着手していて,今回はロッテさんと組ませていただいた次第です。

4Gamer:
 “けんすう”さんらしい会社のようですね(けんすう氏は「したらば掲示板」運営など,日本のネット史の潮流の多くに携わってきた)。

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4Gamer:
 ではあらためて,「ビックリマンAI名刺メーカー」がどんなサービスなのか,簡単にご説明いただけますか。

本原氏:
 自分自身がビックリマンの世界観にあったキャラクターになって,ビジネスシーンなどで使う名刺にデザインされる。そんなサービスです。
 こちらは特設サイトでのみ販売しており,価格は100枚セットで4400円となります。購入後は名前を入力し,写真を使って最大3回まで画像を生成できます。隣に並ぶキャラクターは「スーパーゼウス」「スーパーデビル」「ヘッドロココ」の3種からランダム選出です。

※200枚セットは6600円(価格はいずれも税込。送料込み)。1日400セット限定販売のため,購入希望者はタイミングに注意

4Gamer:
 こちら,どこからどこまで生成AIが使われているのでしょう。

けんすう氏:
 今回のイラスト生成にあたり,最初に重視したのはまさに「どこに生成AIを活用し,どこに使わないか」の線引きでした。
 まず名刺画像にはキャラクターとユーザーイラスト,そして名前(ニックネーム)が出力されます。このうち,ビックリマンキャラクターについては生成AIを介さず,オリジナルのデザインを使っています。
 ここに手を加えることは,お客さまも望まないからですね。

4Gamer:
 間違いないですね。

けんすう氏:
 それと,ユーザーの名前についても,生成AIによる日本語文字生成が現状は不安定である点を踏まえて,AIには任せず,「ユーザーが入力した文字を,プログラムでそのまま表示する仕様」としました。
 一方,ユーザーが写真をアップロードし,生成AIがビックリマン風のイラストを生成するまでのプロセスでは,ロッテさんにご提供いただいた公式イラストデータを参照しつつ,細かな調整を何度もかけたプロンプトで出力します。ここはかなりチューニングが必要でした。

4Gamer:
「チャッピー(ChatGPTの愛称)。ビックリマン風に生成して」なんて,安易なプロンプトだけで成立させられたわけではないと。

けんすう氏:
 そのとおりです。
 お客さまにしても,いろいろな写真を使ってイラスト生成されるわけなので,あらゆるパターンを想定し,生成の精度を高める形に組みました。昨今はプロンプトエンジニアリングという言葉もありますが,まさに専門的な知識が求められるほど入り組んだ,高難度な設計でしたね。
 こうした細かな判断と工夫の数々が,今回の取り組みを成功に導いた重要なポイントの一つだと考えています。

本原氏:
 ちなみに,裏書きのデザインやウワサは自由に選んで作れます。


特設サイトでの購入手続きの流れ

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4Gamer:
 こちらの名刺はビジネスシーンで利用できるのでしょうか?
 まあ,すでにお二方には名刺として渡してもらいましたが(笑)。

本原氏:
 はい。ご覧のとおり,名刺としてちゃんと活用できます。渡した相手との会話のきっかけにしてもらえるとうれしいです。

4Gamer:
 サイズはどうでしょう。一般的な名刺入れに入るのかどうか。

本原氏:
 一般的な形状の名刺入れには,まず入ります。
 サイズ自体,本物のビックリマンシールと同じ原寸大です。

4Gamer:
 AIによる出力は何十人,何百人の描き分けもできていますか。

本原氏:
 そこはご安心ください。SNSなどで名刺とともに報告してくれている人も多いですが,人それぞれぜんぜん違いますね。さすがAIです!

4Gamer:
 一方,ビックリマンキャラクターをスーパーゼウス,スーパーデビル,ヘッドロココの3種に絞ったのはなぜでしょう。

本原氏:
 「ビックリマンといえば?」な,分かりやすい名物キャラクターを選んだ結果ですね。

4Gamer:
 名刺には,ヘッド(キラキラ仕様)はなしで?

本原氏:
 今回キラキラ仕様はないんですよ。それと念のためですが,今回はシールではなく,名刺と同じ紙状です。

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4Gamer:
 お子さんにタンスなどの家具に貼られずに済むと。
 しかし,なんでまた生成AIを活用したのでしょう。

本原氏:
 生成AIが時代の潮流となり,近年は自作風画像やシールを楽しむ方々も増えました。今までも「ビックリマンのあのシールになりたい」という声を非常に多くいただいていたので,今の時代にあった新たなチャレンジで「ビックリのアップデート」をしたいと思い挑戦しました!
 そのため今回は,ビックリマンのようなドキドキ感で,なにが出るか分からない(=3回だけの生成回数)名刺を作ってもらう。この体験自体をエンターテイメントとして受け取ってもらおうと考えました。

けんすう氏:
 お菓子でもシールでもない。かといってファングッズにも収まらない。ロッテさんのビジネスとしては相当変わった部類ですよね。

本原氏:
 ビックリマンファンのなかには,シールを自作する人もいっぱいいますしね。そういうコアな方々に向けたものをと考えると,ただのシールではダメだったんですよ。だけど,名刺という形で,「自分もビックリマンになれる」という夢にはワクワクしてもらえると思いました。


想いが一致した「エンタメのためのAI活用」


4Gamer:
 当初,アルとはどのような流れで手を組んだのですか。

本原氏:
 僕は以前から,AIを用いた新サービスの可能性を模索していました。それで業界各社さんにAIの活用法をヒアリングしていたのですが,なかなかエンタメ活用のAIモデルの可能性が見いだせなかったんです。
 しかしです。(けんすう氏と)共通のエンタメジャンルの知り合いからアルさんのことを教えてもらい,実際に話してみたところ,彼らの「エンタメ領域でのAI活用」という視点で可能性を見いだせるかもしれないと感じました。

4Gamer:
 AIのエンタメ活用。AI関連の生成物が最終的にそこに行き着くことはあれど,最初からゴールとして見据えている例は,当たり前のように聞こえつつも,確かにあまり聞かないかもと。
 それでいて,ものすごくしっくりする考え方です。

本原氏:
 ええ。それからアルさんとは何度もディスカッションさせてもらいましたが,「会社間の垣根も,立場の上下もなしに,真っ向から話し合う」というスタンスも肌にしっくりきました。
 僕はこれまでいろいろなコラボ施策を手がけてきましたが,最初にコラボ相手を見るときは,作品ではなく「人」を見ていますので。

4Gamer:
 人ですか。つまり担当者。

本原氏:
 これは私のスタンスとしても基本は50:50。僕らは主張するし,相手も主張する。互いに本音でぶつかり合える相手と組みたいんです。
 そういう波長もしっかりと合ったので,この人たちは信じられると。僕としてもぜひ,アルさんと手を組みたくなったんです。

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4Gamer:
 この話を受けて,アルのほうは当時どうでしたか。

けんすう氏:
 まずは生成AIの現状からですが,私はもともとネットユーザー向けサービスに長らく携わってきた身とあり,AI関連で巻き起こるであろう課題についても早期から「こうなるだろうなあ」というのは思っていました。
 当時からの結論としては,権利関係は法律の話と倫理の話と感情の話がすべて混ざって議論が盛り上がるが,生成AIを利用する動きは止まらないだろうなと。法律はともかく,倫理や感情の範囲で,流れを止めようとがんばったところであまり変わらないと思ったんですね。

4Gamer:
 おっしゃるとおりの状況に思えますね。

けんすう氏:
 だからこそ,今のような“AIを使って楽しもうとするユーザーの流れ”も止まらないと確信していました。
 そこで,ならばと,私たちは最初からエンタメ用途として問題なく活用できるAIサービスをと考えはじめたわけです。

本原氏:
 AI活用の目指す先にしろ,僕らは「みんなに楽しんでもらえるエンタメ的なAI活用」の考えが合致しています。僕らはAIで今までにない新体験でお客様を楽しませたいんだと。
 この思いを共有できたから,本サービスが生まれたとすら言えます。

4Gamer:
 手を取り合ったときから,完成形は見えていたのでしょうか。

本原氏:
 いや,まったく見えてなかったです(笑)。

けんすう氏:
 見えてなかったですよね(笑)。
 最初はそれこそ,生成AIで簡単なサンプルサイトを作ってみて,それをもとに議論をはじめたのがスタートでしたし。

本原氏:
 最初の数か月はとにかく議論だけ。
 構想が形になったのも夏ごろでしたし。

けんすう氏:
 でしたね。大まかな方向性が定まってからは,実際に生成AIを使ってデモサービスを開発し,本原さんたちプロジェクトメンバーが実際に触れながら,それを詰めていったという流れです。
 それに私たち,この件に関しては企画書やドキュメントの類いを1回も作ってないんですよ。

本原氏:
 ずっと「こんなことできませんか?」「こういうふうに動かせます?」なんて話し合いながら,手を動かし続けてましたからね。
 まさにアジャイル的な模索的開発に近いかなと。

けんすう氏:
 一般的な開発会社さんがやるような,企画書やワイヤーフレーム,要件定義のすり合わせはほぼやりませんでしたね。
 つまり私たちは,実際にお客さまが触れるモノを用意した状態で議論を重ね,段階的に品質を高めていけたんです。
 これにより,開発都合や技術先行の施策にはならず,お客さまにとってなにがうれしいのか,なにが楽しいのかの議論に集中できました。

4Gamer:
 言葉が軽かったら恐れ入りますが。
 その場のノリと勢いで楽しく形にしてきた,的な?

本原氏:
 ですね。
 むしろ形になるかどうかすら見えていませんでしたが,可能性を信じていましたね。高い壁のほうが私はむしろ燃えるタイプなので(笑)。

けんすう氏:
 それでも今回に限っては,ヘタに企画書があったなら「こういうこともできるのでは?」などの記述に振り回されて,空中戦を繰り広げるハメになっていたかもしれないですし。
 ここまでのスピード感を出せたのはすべて,この体制のおかげです。

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4Gamer:
 ちなみに,AI活用の専門家であるアル側は,お菓子メーカーのロッテ側と話しているとき,うーん。なんていうんでしょ。
 AIに対する理解度が高い。いや低い。今どきのAI業界をよく分かっているうんぬんかんぬんだの,知識の壁は感じましたか。

けんすう氏:
 それでいうと本原さん,めちゃくちゃ分かっている人です。

本原氏:
 いやいや! ぜんぜん分かってないですよ(笑)。

けんすう氏:
 いえいえ。技術的なことはさておき,本原さんも「生成AIが楽しんで使われる流れは止まらない」という観点を最初から持っていました。
 そのうえで,システムである程度,ユーザーができることを規定する。そのなかでマネタイズを目指し,権利者やデザイナーに利益が入る構造にする。この3点もあらかじめ考慮していて,達成できないなら両者ともに「やる意味はないですよね」という気持ちで合意できていました。

4Gamer:
 技術や知識よりも,大切そうな考えに聞こえます。

けんすう氏:
 実際,こうした土台から失敗すると往々にして,ユーザーに楽しんでもらえるものを目指していたはずなのに,コストが積み上がるだけで,そのうち流れを止める動きをしなければならなくなるので。

4Gamer:
 そうなったネットの遊び場は息苦しいですもんねー……。

けんすう氏:
 ええ。私もネットユーザーのそういった感情の機微は,なにが楽しんでもらえて,どうなると楽しませられなくなるのか。
 長年の経験で熟知しているつもりではあります。

本原氏:
 それでも僕の意見って,「これだとビックリマンの守るべきところが守れてないです」とか,こうしてくださいと言いたいことをズバズバ言わせていただくことでした。
 たぶん,AI関連のプロなら知識だけで「それはできない」と判断できるものばかりで,プロ同士ならあえて言わないことを遠慮なしに言っていました。そのせいでアルさん側も,無理な注文に聞こえたものがいくつかあったはずですので。
 今回で言うと「もっとビックリマンキャラクターと,ビックリマン風になった人を違和感なく共存させてください」とか。

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けんすう氏:
 そういう,当たり前だけど,相手や関係次第では言いづらい感想も遠慮なく言ってもらえたからこそです(笑)。
 でも実際,生成精度の調整は本当に大変でした。

本原氏:
 ほんと難しかったですよね。
 ビックリマンに寄せすぎると,本人の特徴が崩れる。かといって本人に寄せすぎると,人物写真に見えて違和感が強まる。ここのデフォルメがうまくいっていなかったら,たぶん企画ごと断念していました。

けんすう氏:
 人物写真をビックリマン風にするだけなら,プロンプトもそこまでこだわらなくて大丈夫なんです。だけど,今回は隣に立たせるビックリマンキャラクターがいたので,想像以上の難関になりました。

本原氏:
 「似てるね」なら簡単なんですよね。だけど公式を言い張れるレベルに近づけるには,とにかく試行錯誤が求められて。
 これは簡単にマネもされないなとも感じました。

けんすう氏:
 60点は一瞬でも,目標の90点は遠かったですねえ。最後は「ここまでやらないと,これが出ないんだ……」って思ったくらいです。

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本原氏:
 あと「隣に現れるキャラクターがランダムなのに,3回しか生成できないこと」も両社でものすごく議論しましたよね。
 アルさんからは「選べないとクレームになりませんか?」と何度も言われて,そのたびに「絶対に大丈夫です」と返していました。

けんすう氏:
 そこは僕らからしたら,本当にビックリな仕様でした(笑),
 当初,アル側はビックリマンファンとしての解像度が決して高いとは言えず,「それはユーザー体験として本当に適切ですか?」と提案する場面が何度もありました。そしてそのたび,本原さんと議論し合い,最終的に双方が納得できる仕様に落とし込んできたんです。

本原氏:
 このサービスではとにかく,ただ生成AIでおもしろ名刺を買っていただくのではなく,「ビックリマンを買う体験」を強く意識しました。
 ビックリマンというのは,中身が見えないからこそ買う楽しさがあり,そこに価値を置いてる方々が多いです。ですから商品は違えど,購入時にはビックリマンらしいドキドキ感を味わってもらう。それをやらなきゃビックリマンじゃないので,ひたすら意見させてもらったんです。

4Gamer:
 本当に両社とも,遠慮なく言い合えたことの利点を感じますね。

けんすう氏:
 それぞれの知見を持ち寄り,フラットな姿勢で,かつ互いにリスペクトを持ちながらサービスづくりに取り組めたこともそう。常に「お客さまがどう感じるか」「これはお客様が使いやすいか」といった視点にフォーカスできていたのもそう。
 今回は,これまで我々が手がけてきたサービス開発やユーザー体験設計に関する知見と,本原さんが持つビックリマンファンの心情に対する,非常に高い解像度から生まれた提案が組み合わさることで,ようやく実現できたものだとしみじみ感じます。

本原氏:
 開発中はいろんな妥協案が出てきましたが,僕はいっさい妥協しませんでした。公式が妥協したら終わりですからね。妥協するくらいなら頓挫していい,の意気込みで。
 開発するのが目的ではなく,ファンにビックリの新価値を提供するのが私のミッションですので!

4Gamer:
 それは関係各位の現実問題的に,大丈夫な判断で……?

けんすう氏:
 ある意味,それでも大丈夫だから,ここまでやれたんですよね?

本原氏:
 ですね。僕らの目的は最初から「新しいエンタメの創出」であって,この1年間で絶対になにかを生み出さなければいけない,といった関係ではなかったんです。もちろん,頓挫していたらアルさんへの申し訳なさなどはありましたけどね。
 でも,僕らは互いに探求することが最大の目的でしたから。アルさんの方々とは本当に波長がよく合って,刺激をたくさん受けました。
 もちろん,スキル面はすべてアルさんのおかげです(笑)!

4Gamer:
 理想的なパートナーシップって感じですね。


ビックリマン以外では無理だった


4Gamer:
 ビックリマンAI名刺メーカーは40周年記念企画ですが,1月に売りきってクローズドしてしまうのか。あるいは,さらなるビックリな展開を考えているのか。現状はいかがですか。

本原氏:
 現時点では1月でひと区切りと考えていますが,これまでの反響がとてもよいので,可能性の話はいろいろありますね。
 でもまだいずれも未定です。

けんすう氏:
 決まっていることはとくにないのですが,とりあえずは本原さんと継続して議論かな,という感じですよね。

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4Gamer:
 その点,アルは「〇〇AI名刺メーカー」というスキームをそのまま用いて,ほかのIPとも手を組めるんじゃないか,なんて思いますが。

けんすう氏:
 そう思われるかもしれませんが,私的にはそのままコンテンツ化するのは難しい,というより無理かなと思っています。
 実のところ,このサービスは「ビックリマンブランドで」「名刺だから」成り立ってるっていう,すごく絶妙なバランス感なんですよね。

4Gamer:
 仮に自分の顔が反映されるIPコラボ名刺があっても,それって,なんというかファングッズの範疇で,実用品としてもグッズとしても,共感の強みもビックリマン名刺ほど発揮されなさそうですもんね。
 この形と絵柄に収めて,ビックリマンという前提のアートを認知してもらって,そこで初めて収集や交換に価値が出てくると。

けんすう氏:
 ですので,「〇〇AI名刺メーカー」というシリーズ化みたいな考えはちょっと遠いですね……。

4Gamer:
 ならアルとしては,ほかになにか学びは得られましたか。

けんすう氏:
 あります。大きなものが。
 弊社は以前からエンタメ企業さんとご一緒して,生成AIを活用したサービスや事業開発に取り組んでいました。そこでユーザーさんや業界の皆さんからポジティブな反響をいただく機会は多いのですが,今回のビックリマンAI名刺メーカーでは,生成AIで一部作成した画像が,物理的な名刺として印刷され,実際に多くの方々の手に行き渡ったという点で,アルとしての大きな成功事例の1つになったと考えています。

4Gamer:
 ネット上だけにとどまっていませんものね。

けんすう氏:
 生成AIは著作権をめぐり,今もさまざまな課題や議論が多いなか,この取り組みを通じて,1つの現実的な選択肢を世の中に提示できたのは,アルとして意義深かったです。
 クリエイターや作品へのリスペクトを大切にしながら,生成AIの強みだけを適切にサービスへ取り入れ,ユーザー満足度の向上につなげる。
 今回の姿勢と取り組みが,1つの「正解の形」として業界の参考にしていただけるものであれば,とてもうれしく感じます。

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4Gamer:
(調べきれていないものの)前例も類例もなさそうですし,生成AIのIP活用における,代表的な参考例の1つになりそうですね。

けんすう氏:
 あと個人的に,マネタイズポイントもすごく参考になりました。単なる名刺だと考えたら100枚4400円って高い商品なので心配だったんです。コストを考えると,決してファン心理をついて高くしているような商品ではないんですが,もしかしたらそう思われてしまわないかな,と。
 しかし,そう思わない商品設計や工夫の数々によって,そうはならなかった。実際に,ファンの方々からは「安い」という声が大半でびっくりしました。ファンが自分オリジナルの商品を作れると考えると安い感覚があるというのは学びが大きいです。

本原氏:
 名刺ってなると,人によっては会社経費となる方々もおり,よりビジネス面も意識しています。

4Gamer:
 そういう購入手法も(笑)。
 自分がAIでビックリマンの世界観でイラストになる。言葉では簡単そうなのに,安易な考えでは達成できない裏側を,存分に理解させてもらいました。最後に,両社の今後の意気込みなどをお願いします。

本原氏:
 ビックリマンは常に「人をビックリさせる、ドッキリさせる」にこだわり続けるブランドです。時代が変わっても変わらないブランドの伝統に,その時代にあったビックリという革新を与え,常にアップデートし続けている印象をファンへ届け続けたいです。
 そのなかで今回のビックリマンAI名刺は,ビックリマンが創りだしてきた“集める”や“交換”するという文化が,名刺を渡すだけでなく,コレクション名刺や推し活での交換などにも広がっていくのではと期待してます。ぜひ一度作って,周囲の方々と交換いただけると,その魅力のとりこになっていただけるはずです(笑)!

けんすう氏:
 ビックリマンAI名刺メーカーは1月25日まで販売を続けますが,これまでも現在進行で調整を加えていて,日夜クオリティを高めています。こうした使いやすさの追求は,最後まで突き詰めています。
 また,アルとしてはこれからも引き続き,生成AI×エンターテイメントの領域で,さまざまなサービスや事業の開発に挑戦していくつもりです。

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