テストレポート
「PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット」ってぶっちゃけどうなの? PULSE 3Dとの違いを見つつ使い心地を紹介
見てくれだけで即買いするには勇気のいる価格帯というのもあって,その装着感や使い勝手の良しあしはリサーチしておきたいもの。そんなわけで今回は,SIEからレビュー用として本製品を提供してもらったので,それをもとに「PULSE Elite」の使い心地を紹介しよう。
見た目をチェックしつつ
「PULSE 3D」との違いも見てみる
「PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット」はPlayStation 5を思わせる白と黒のカラーリングに,流線型のスタイリッシュなフォルムで,パッと見のシルエットは同シリーズの「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット」にとてもよく似ている。ヘッドバンドの長さを調節するアジャスターがなく,頭頂部にセットされたヘッドバンドストラップによって頭にフィットさせる仕様も「PULSE 3D」と同様だ。
似ているのはシルエットとヘッドバンドストラップぐらいで,細かい箇所は割と大きく変わっている。性能に関しては後述するとして,その1つとしてまず挙げたいのがマイクだ。「PULSE Elite」に搭載されているのは格納式のブームマイクで,ヘッドセット左のバンドから引き出すと口の端あたりまでマイクが伸びてくれる。軽く上下に曲げてマイクの位置を微調整できるのもポイントだ。
また,ボタンがハウジングではなくヘッドバンド底部とマイク部分に分散されたのも大きな変更点。電源/ペアリングはバンド(右)の先端に,ミュートならバンド(左)のマイク部に,音量調節なら耳の後ろに手を伸ばせばスムーズにアクセスできるデザインに変更され,「PULSE 3D」で起きがちだった「ミュートどれ? 音量調節どこ?」といったボタン操作の煩わしさが解消された。
そして忘れてはならないのが,ヘッドバンド上部に設けられた充電用端子と付属のチャージングハンガー。置き場所に困りがちなヘッドセットをチャージハンガーにかけておけるだけでなく,置いておくだけで充電もしてくれる便利な機構だ。そこで「充電もこなす収納場所があるとか最高!」と喜びたいところだが,正直悩ましい部分もある。
というのも,チャージングハンガーは充電フックをネジで固定する必要があり,必然的に壁や家具に穴を開けることになるからだ。となれば,賃貸住まいでは設置場所の選択肢がほぼほぼなくなる。USB Type-Cケーブルでの給電にも対応しているとはいえ,便利なハンガーを使えないのは惜しい(テーブルトップに取り付ける手もあるが……)。
それで,使い心地はどうなの?
■柔らかパッドで装着感良好! でもムレやすい
ヘッドセットで問題になりやすい“側圧”は,頭囲57cmの筆者的には気にならない程度。頭頂部をヘッドバンドストラップにおされている感覚はあれど,頭にピッタリとフィットしつつも締め付けすぎないホールド感がなかなか良かった。ゲームをプレイしつつ4時間ぶっ続けでボイスチャットをしてみたが,痛みを感じることはなかった。
頭囲60cmの担当編集的には「少し側圧を感じる」とのことで,人によっては独特のフィット感に窮屈さを感じるやもしれない。こればかりは装着者の頭のサイズ次第といったところ。
また,オーバーイヤー型特有の密閉感があり,長時間つけていると耳に多少のムレを感じる。パッドが合皮素材なのもあり,ここはまぁ仕方ない。
■接続も初期設定も簡単! デュアルデバイス接続可能なのがうれしい
「PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット」は,PlayStation Link USBアダプターを介してPS5やPCと接続できる。同梱のPlayStation Link USBアダプターはあらかじめヘッドセットとペアリングされた状態なので,接続したい機器にアダプターをさし,ヘッドセットの電源を付けるだけでOK。PS5で使用する場合は,サウンドの設定画面で3Dオーディオの出力を調整すれば初期設定も完了と,めっちゃ簡単〜!
Bluetoothでの接続にも対応しており,アダプターがなくともPCやスマホとペアリングが可能。ただし本機のウリである超低遅延のロスレスオーディオは,“PlayStation Link”での接続時のみ有効で,Bluetooth接続では本領が発揮されない点は覚えておきたい。
さらに,PlayStation LinkとBluetoothで接続した2つのオーディオを同時に聴ける“デュアルデバイス接続”に対応しており,PS5のゲーム音を流しながらスマホやPCでの通話音声を1つのヘッドセットでこなせる。クロスプレイ対応タイトルを遊ぶとなると仲間内でプレイするプラットフォームが異なるケースもあり,「ボイスチャットはDiscordで」という選択が定番化しつつある。マルチポイント対応の機器は珍しくないとはいえ,先述した背景を鑑みればデュアルデバイス接続が標準機能として搭載されているのはありがたい。
■「耳にミニシアターのせてんのかいッ!」みたいな臨場感
“音の情報”を立体的に描写する3Dオーディオが良い仕事をしており,ゲームへの没入感を高めてくれるのがなかなかに良い。「PULSE Elite」をお供に先日発売された「HELLDIVERS 2」をプレイしてみたが,四方八方から迫るエイリアンの足音や,横を飛ぶドローンの駆動音,ド迫力の爆撃音など,それぞれの音が埋もれることなくクリアに聞き取れ,民主主義に満ちた戦場の臨場感を存分に味わえた。3Dオーディオはやはりいいですなぁ。
ウリとなる“超低遅延のロスレスオーディオ”に関しては,ゲームプレイ中に劇的な変化を感じるかと言われると微妙なところだが,遅延テストをしてみた限りは遅延がほぼないという結果となった。
■生活音をフィルターしてくれるのは強み
筆者が試した範囲ではあるが,生活音やテレビの音声は拾いにくい印象だった。試したものの例でいうと,エアコンの音やブレスノイズ,スナック菓子の咀嚼音はほとんど拾われない。シチュエーションとしてはあまりないとは思うが,至近距離で子供向け番組の動画をタブレットで再生してみても音声が拾われることはなかった。これはちょっと驚き。余計な背景音をフィルターするノイズリジェクション機能はわりと優秀やも。
と言いつつも過信は禁物。生活音には強いのだが,装着者周辺にいる人の声まではフィルターしてくれない。「○○〜! ご飯よ〜!」的な第三者からの大きめの声は拾ってしまうようだ。
筆者はヘッドセットで耳や頭を痛めやすい民なのだが,痛みを感じにくい「PULSE Elite」の使い心地は想像していたよりも好印象だ。言わずもがなワイヤレスなので取り回しは快適! バッテリー駆動時間は約20時間(公称)で,バッテリーの持ちも申し分なし。大変タフでよろしい!
加えて,ワイヤレスの難点として挙がる伝送の遅延がPlayStation Linkによって解消されている本製品は,より没入感の高いゲームプレイを求めている人ならば購入を検討してみてもいいかもしれない(サイズ感とお財布事情が許すなら)。
「PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット」公式サイト
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