インタビュー
[gamescom]SCE ワールドワイド・スタジオ吉田修平氏インタビュー。ゲームを持っていないフレンドと一緒に遊べる「Share Play」などについて聞いた
4Gamer:
PS4の販売台数が1000万台を突破したとのことで,おめでとうございます。
吉田修平氏(以下,吉田氏):
ありがとうございます。私達もこんなに早く達成できるとは思っていなかった,というのが正直なところです。
4Gamer:
想定外の早さだったわけですね。
吉田氏:
発売後9か月ですので,家庭用ゲーム機としては最速なのではないかと思います。
4Gamer:
8月12日に行われたSony Computer Entertainment Europeのカンファレンスではその1000万台達成というトピックだけでなく,いくつか新作も発表されましたが,私が一番注目しているのはPS4のシステムソフトウェア2.0での実装が予告されたShare Playです。
吉田氏:
Share Playは2013年の2月にニューヨークで行ったPS4の発表会で少し話していたんですよ。もちろん当時はShare Playなどとは呼んでいませんでしたが。
PS4は[SHARE]ボタンを押すことで自分がプレイしているゲームの映像を配信することができますが,その送り先をUstreamなどではなく,フレンドのPS4にすることで実現する機能なんです。
4Gamer:
なるほど,Share Playのベースになる部分をニューヨークで紹介していたということなんですね。
吉田氏:
ええ,そうです。PS4を友達にレンタルしているようなイメージで,自分のPS4に入っているゲームを「そっちで遊んでいいよ」という状態にするんです。そして,友達のゲームコントローラからのシグナルを送ってもらって,それを自分のPS4が映像に合わせ,その映像をストリームで送る,という仕組みです。
4Gamer:
その仕組みであれば,すべてのゲームがShare Playに対応できそうですね。
吉田氏:
ええ,そうなります。ただ,「プレイルーム」のように,PlayStation Cameraが必須となるタイトルはさすがに非対応です。ですから明確に定義するなら,発売済みのものも含めて「DUALSHOCK 4だけで遊べるゲーム」となります。
4Gamer:
ネットワークを介した機能ということは,PlayStation Plusへの加入が必要になるのでしょうか。
吉田氏:
そこがちょっと複雑なので,少し説明しますね。シングルプレイのゲームを遊ばせてあげる側の人はPlayStation Plusのメンバーでなければなりません。ただし,遊ぶ側の人は非メンバーでも大丈夫です。
そしてローカルマルチプレイのゲームは,オンラインで遊ぶことになりますので,両方がPlayStation Plusの加入者でなければなりません。
4Gamer:
条件によってはPlayStation PlusのメンバーでなくてもShare Playができるというのは嬉しいですね。では,ゲームメーカー側で,Share Playへの対応を制御するといったことはできるのでしょうか。
吉田氏:
ええ,そういう道は残してはいます。やはり版権の問題やコンテンツの在り方によっては非対応にせざるを得ないというケースもありますからね。とはいえ,ゲームのプロモーションにもなりますので,全部OKにしてほしいなとは思っています。
4Gamer:
Share Playへの各メーカーの反応はいかがでしょうか。
吉田氏:
私は直接担当していませんが,好感触と聞いています。大手メーカーにも喜んでくれているところがあるそうです。
4Gamer:
それを聞いて安心しました。いざ始まってみたら非対応タイトルばかり……では困りますから。
吉田氏:
それは避けたいですからね。メーカー側がなにもしなければ“対応”になりますので,なにもしないでほしいです(笑)。
4Gamer:
対戦もできるということでよろしいでしょうか。
吉田氏:
ローカルの対戦ができるタイトルなら可能です。オンラインでの対戦のみがサポートされているタイトルでの対戦はできない,ということになります。
4Gamer:
Share Playでのできる,できないはけっこう複雑なんですね。
吉田氏:
ええ,ですから私も社内で説明するときにちょっと苦労しました。
PlayStation Vita TVがPlayStation TVになったわけ
4Gamer:
ヨーロッパでPlayStation Vita TVが発売されることが発表されましたが,微妙に名前が変わっているのになにか意味があるのでしょうか。
吉田氏:
PS Vita TVを日本で発売したときは,PS4のリモートプレイ機能などにも非対応で,PlayStation Vitaのゲームを遊ぶメインのハードウェアという色が濃かったです。ですが,欧米での発売にあたり,リモートプレイでPS4のゲームを,PS NowでPS3のゲームを遊べるなど,できることが増えていて,PlayStation TVのほうがよりふさわしいと判断しました。
4Gamer:
ハードウェア的には同じと考えていいんですよね。
吉田氏:
ええ,まったく同じです。
4Gamer:
なぜ本体のカラーを白ではなく黒にしたのでしょうか。
吉田氏:
欧米のユーザーのマーケットデータに基づいて決定したと聞いていますね。
4Gamer:
先行して販売されている日本での売れ行きはどうでしょう。
吉田氏:
もうちょっと売れてもいいかな……といった感じです(笑)。ただ,もともとそんなに大きな数値目標があったわけではなく,どんな感じで受け入れられるかを試しているという状況ではあります。
4Gamer:
実際に使ってみると便利なんですけどね。
吉田氏:
いろいろとできることが多いということもあって,ユーザーを絞るのが難しかったという側面はあります。日本でPS Vita TVを持っている人は,PS Vitaユーザーが多いですね。
今はPS4をアピールすべきとき。日本でもPS4タイトルの充実を
4Gamer:
では,日本市場向けのソフトについてお聞きします。東京ゲームショウを約1か月後に控えたこのタイミングだと,いろいろと難しい面もあると思いますが。
吉田氏:
今は仕込みの時期ですからね(笑)。東京ゲームショウは1年の中で1番最後に開催される大きなイベントですので,発表済みのタイトルでも,E3やgamescomのバージョンよりもクオリティを上げたものをお見せできると思います。さらに,それらに加えてなにか新しいタイトルの発表ができるように,準備を進めています。
4Gamer:
8月12日に行われたSony Computer Entertainment Europeのカンファレンスで発表されたタイトルは,基本的にはPS4向けでしたが,東京ゲームショウに合わせて発表する日本向けのタイトルは,PS Vitaが中心でしょうか。
日本はPS Vita市場に活気がありますが,今はPS4をアピールするときだと考えています。
4Gamer:
PS4は全世界で1000万台売れたということですが,その大半が欧米で,日本の占める割合は少ないようです。今の日本でPS4を売るために必用な要素はなんでしょうか。
吉田氏:
やはりタイトルですね。日本のユーザーが求めるタイトルを増やしていくことにつきます。
4Gamer:
日本ではどんなゲームが喜ばれると考えていますか。
吉田氏:
個人的にはもっと海外のゲームを遊んでくれてもいいのにな,とは思っていますが,現実としてみなさんは日本のデベロッパが作るゲームを待っていると思いますので,その期待にこたえられるようにします。
4Gamer:
では最後に読者へのメッセージをお願いします。
吉田氏:
PS4の全世界での販売が好調なのは,PS4向けのコンテンツが充実してきたからだと思います。とくに欧米でその傾向が強いので,早く日本でもそういう状況を作りたいと思っています。サードパーティも含めてがんばっているところですので,東京ゲームショウに向けて新しい情報を出していけると思います。期待しておいてください。
4Gamer:
ありがとうございました。